資金繰りの苦しい会社であると、「売上高と利益額は前年度より増加しているのに、なぜかお金が足りない」と疑問に感じている経営者が多いです。

商品を販売して売上代金が未回収でも、売上高から仕入原価を差し引いた粗利益額だけ、利益額は増加します。手元に現金預金が入っていなくても、利益はあるのです。

また、今年度末字の在庫が前年度末日より増えれば、在庫が増えた分だけ利益額がプラスされます。

「売上代金の未回収額」や「在庫」は、来年度以降に現金預金へ入金されるのが前提であるため、換金能力のある財産が増加すると、今年度の利益額にプラスされてしまいます。

このような現金預金や在庫など換金能力のある財産価値の明細を示すのが貸借対照表であり、資金繰りを改善するための羅針盤になります。

そこで、貸借対照表を活用した資金繰りの改善方法を解説します。

貸借対照表の構造を理解する

貸借対照表とは創業してから現在に至るまでの成績表といえます。

例えば、同業他社のA社とB社の創業時に先行投資(事業活動で販売数量を伸ばすために必要な在庫や店舗の改装費用など)した金額が同じ1千万円であっても、10年後の現金預金や借入金の残高には当然ながら差が生じます。

創業時は全く同じでも、10年後にストックされている財産などは会社の営業成績によって異なるのです。したがって、資金繰りの改善するために、まずは貸借対照表の構造を理解しなければなりません。

貸借対諸表のアウトライン

貸借対照表の構造を理解するためにアウトラインを押さえる必要があります。貸借対照表のアウトラインを一言で表現すれば、「創業してから現在に至るまでの調達した資金を運用した結果、どのような形で換金能力のある財産をストックしているのか」を示す表といえます。

貸借対照表の項目は右と左に分かれていて、両者の意味は次の通りです。

創業して現在に至るまでの累積入金額

創業してから現在に至るまでの累積入金額(資金調達した金額)は貸借対照表の右側にある項目を指します。資金調達方法は大きく2種類に分かれます。

  • 出資や銀行融資のように現金預金として入金する方法
  • 仕入先に対する商品代金の未払い(未払い金)のように、現金預金の支払いを先延ばしに方法

特に「仕入先に対して、支払いを待ってもらう」という考え方は効果的です。これには、「出資や銀行融資を受けて現金預金として入金された」と同様の経済効果があります。

例えば、商品100万円を仕入れるとき、現金払いをすれば同額(100万円)の現金預金が減少します。しかし、仕入先に対して支払猶予をしてもらえば、支払いを先延ばしにした100万円を広告宣伝など他の費用に投入できます。

つまり、支払猶予した100万円を販売数量の増加などの事業活動に新たに投入でき、さらに現金預金を増加させるチャンスを獲得できます。将来は支払う必要があるお金ではあるものの、手持ちの現金は増えます。

これは1千万円の銀行融資を受けて口座へ入金された金額を毎月25万円ずつ返済する約束をして、調達した資金を「商品の仕入や設備投資などに投入できる」という考え方と同じです。

このとき、調達した資金を細分化すると次の通りになります。

1. 自己資金を投入する

貸借対照表の「純資産の部」を指すのが自己資金です。出資した金額や創業してから現在に至るまでの累積利益額の合計であり、返済や支払義務のない資金です。

2. 銀行融資や仕入先などへの支払猶予により資金を調達する

貸借対照表の「負債の部」を指します。銀行融資や仕入先に対する支払猶予した金額など、返済や支払義務のある資金調達方法です。さらに細分化すると次の通りになります。

  • 流動負債:1年以内に返済や支払義務のある資金調達方法
  • 固定負債:返済や支払義務が1年を超える資金調達方法

換金能力のある財産例えば、同じ銀行融資でも手形貸付は口座へ入金されてから引落期日が1年以内であるため、流動負債に該当します。一方、証書貸付は返済期間が5年間など、1年を超えるために固定負債に該当します。

換金能力のある財産

貸借対照表の左側に位置し、「資産の部」を指すのが現金預金、および換金能力のある財産の明細です。

貸借対照表の「換金能力のある財産」というは、商品の販売や売上代金の回収により、現金預金へ入金できるものだけに限りません。商品などの販売数量を増やすことで、現金預金への入金に間接的に貢献する設備などの物も含まれます。

換金能力のある財産は流動資産と固定資産に細分化することができます。

  • 流動資産:現金預金や商品など1年以内に換金できる財産
  • 固定資産:1年を超えて換金できる財産、および設備のように長期間にわたって間接的に現金預金の増加に結び付く物

貸借対照表のひな型

貸借対照表のひな型は次の通りです。例えば、売上代金の回収は販売してから1年以内に現金預金へ入金できるので流動資産に該当します。一方、乗用車などは1年を超えて使用し、現金預金の入金に貢献するので固定資産に該当します。

換金能力のある財産 ‎資金調達した金額
資産の部 負債の部
(流動資産)

現金預金

売上債権(販売代金や提供したサービス料の未回収額)

棚卸資産(商品や製品などの在庫)

(固定資産)

有形固定資産(自動車、設備、ソフトウェアなどの資産)

無形固定資産(特許権などの無形の財産)

投資その他の資産(物件の賃貸に伴う敷金や得意先に差し入れた営業保証金など)

(流動負債)

仕入債務(商品代金や外注費などの未払い分)

その他流動負債(消費税などの一時的な預り金など)

(固定負債)

長期借入金(金融機関から融資を受けた借入金元本の返済残額)

(純資産の部)

資本金(出資した金額)

利益剰余金(創業してから現在に至るまで獲得した累積利益額)

貸借対照表で資金繰りの苦しい原因を把握する

ここまで貸借対照表の構造を説明してきたのは、資金繰りの苦しい原因を把握し、改善を促すためです。前述の通り、貸借対照表は創業してから現在に至るまでの成績表であり、会社の体質を示しています。このような体質にメスを入れることで、資金繰りは改善されます。

例えば、貸借対照表を見れば会社の資金繰りの苦しい理由が「売上代金の未回収額が多額でお金を寝かしつけていることが原因」のようなことがわかります。

得意先から入金されないにも関わらず、仕入先へ商品の仕入代金を先に支払えば現金預金は減少し、慢性的にお金が不足してしまいます。

資金繰りの苦しい原因は2パターンある

「売上代金の未回収額が多いこと」や「利益額が獲得できていない」など資金繰りの苦しい原因を個別に分析すれば、その原因は多くのパターンに分かれます。ただ、資金繰りの苦しい原因を大別すれば、大きく2パターンに分けて分析することができます。

この2パターンとは、「運転資金の循環に問題があるケース」と「設備など固定資産への過剰な投資」です。

・運転資金の循環に問題があるケース

運転資金の循環に問題があれば、資金繰りは苦しくなります。ここでいう運転資金とは、上記の貸借対照表でいう「売上債権」「棚卸資産」「仕入債務」を指します。これらの項目は商品の販売やサービスを提供するまでの運転資金の流れを示します。

貸借対照表の「売上債権(売上代金の未回収額)=得意先へ一時的に貸し付けている状態」と「棚卸資産(在庫の金額)=投資した金額」の合計は、換金するために「得意先へ貸し付けている金額」「在庫へ投資をしている金額」だといえます。これはつまり、お金を寝かしつけているのと同じ状態です。

また、「仕入債務(仕入代金の未払い額)」は支払いを先延ばしにすることで、一時的にお金を浮かせている金額です。

売上債権と棚卸資産の合計が仕入債務の金額を上回っている状態では、慢性的に資金繰りの苦しい体質の会社だといえます。

これら3項目の金額は、得意先・仕入先との取引条件や在庫の管理体制により決定されるため、取引先との交渉や社内の方針を転換しない限り、改善しません。このような意味で「資金繰りが悪い」という状況は会社の仕組みに問題がある状態といえます。

例えば、仕入代金が500万円であり、これを売ったときの代金が700万円と仮定します。

取引条件が「在庫の金額が月商の1.5か月(45日)」「売上代金の未回収額が月商の1ヶ月(30日)」に対して、「仕入代金の未払い額が月商の1ヶ月(30日)」の場合、現金預金が不足する期間と金額は次の通りになります。

  1. お金を寝かしつける期間:在庫45日間+売上代金30日間=75日間
  2. 支払猶予の期間(仕入先に対しての代金支払い猶予期間):仕入代金30日間
  3. 現金預金が不足する期間:お金を寝かしつける期間75日間-支払猶予する期間30日=45日

このため、仕入代金500万円を支払ってから45日間、つまり同額(500万円)の現金預金が慢性的に不足します。

資金繰りの循環に問題があることにより現金預金が不足しても、家賃などの諸経費や借入金の返済をする必要があります。そのため、不足分を銀行融資や出資などにより資金調達をしなければなりません。

このような状態を解消するために、運転資金の循環を改善する方法は3つあります。

  • 効率よく在庫管理して、無駄な商品などを減らす
  • 得意先との取引条件を変更して、売上代金の回収期間を短縮する
  • 仕入先や外注先と交渉し、代金の支払猶予期間を延長する

これらを行うことにより、「お金を寝かしつける期間ー支払猶予する期間=慢性的に現金預金が不足する期間」が短縮され、または解消されます。そのため、資金繰りは改善されます。

例えば、上記の例でお金を寝かしつける期間が75日を30日に短縮するとします。

そうすれば、「お金を寝かしつける期間30日=支払猶予の期間30日間」とバランスがとれます。

この場合、30日後に到来する仕入代金500万円の支払い予定日と同時に、寝かしつけていたお金700万円が入金されるため、売上代金を仕入先への支払いに充てることができます。その結果、「入金額700万円-仕入代金500万円=200万円」を借入金の返済などに回すことが可能です。

・設備など固定資産への過剰な投資をしているケース

過剰な投資をしている基準については、貸借対照表上に表示されている「固定資産の金額」が「純資産と固定負債の合計額」を上回っているかどうかで判断します。

前者の金額が後者の金額より上回っている分は、運転資金(流動負債)の一部で賄っているといえます。

固定資産は投資した金額を1年超(数年あるいは数十年)でじっくり回収する性質に対して、商品の仕入代金などの運転資金は1年以内に支払わなくてはなりません。

例えば、乗用車300万円を購入し使用することにより、長期間にわたって年間100万円の入金が見込めると仮定します。この300万円を「一年以内に一括返済する銀行融資」によって調達した資金で賄えば、返済後に現金預金が不足する金額は次の通りになります。

入金額100万円-銀行への返済額300万円=▲200万円

ただ、上記と同じ条件で年間100万円の入金が見込める場合のとき、乗用車の300万円の購入費用を5年間の月賦払い(毎月の分割払い)で返済する銀行融資を受けたときは、1年間返済しても現金預金が残せる金額は次の通りになります。

  1. 銀行融資を受けた金額300万円÷返済期間60ヶ月(5年間)=毎月の返済額5万円
  2. 月賦での返済額5万円×12ヵ月(1年間)=60万円
  3. 入金額100万円-銀行への返済額60万円=40万円

この現金預金の収支残高がプラスになった40万円は、新たに商品などの投資へ回すことが可能になります。

資金繰りを改善する方法

現金預金の残高が不足することを心配せず、本業に専念するためには、資金繰りを改善しなければなりません。そのため、資金繰りの苦しい原因を取り除く必要があります。

そこで、どのようにすれば資金繰りが改善できるかどうかを検討しましょう。

運転資金の循環を改善する方法

商品の保有期間や販売してから売上代金を回収するまでの期間といった「お金を寝かしつける期間」を短縮して、納品してから仕入代金を支払うまでの期間といった「支払猶予する期間」を長くすれば、資金繰りは改善されます。

しかし、回収期間など取引条件を変更することや、在庫の保存期間を短縮することは簡単ではありません。

例えば、得意先に対して「回収期間(お金の支払猶予期間)を短くしてください」とお願いしても、相手を納得させるのは難しいです。

得意先からすれば、仕入代金の支払猶予期間が短縮されることを意味します。今までの取引条件(支払猶予の期間)を前提に諸経費の支払いや銀行融資の返済をしてきたため、前倒しであなたの会社へ支払えば得意先の資金繰りは一気に苦しくなる可能性があります。

また、一定量の在庫を確保することは事業活動をする上において必要不可欠です。得意先から注文があったときに商品がなければ、販売するチャンスを逃してしまいます。

そのため、運転資金の循環を改善させるのには、相当の労力を要します。

固定資産への過剰な投資状態を解消する

次に、過剰な投資の状態を解消する方法としては、「3つの資金調達方法を組み合わせる」が存在します。

  1. 利益剰余金を増やす=利益額を増やす
  2. 出資を受ける
  3. 返済期間が1年超の銀行融資を受ける

まず、利益額を増やすのには時間がかかります。売上高から仕入原価や諸経費を引いた残りを蓄積しなければならないからです。

次に、出資を受ける場合も利益額を獲得するのと同様に時間がかかります。あなたの会社へ出資する人は代表者(社長)かその家族がほとんどです。利益の中から役員報酬が支払われるため、利益剰余金を増やせない会社では、出資を受けることも難しいです。

資金繰りを改善するのに最も効率的なのは、銀行融資を受ける方法です。銀行融資であれば一度に資金調達できる金額は最低でも百万円単位であり、何千万円単位の融資を受けることは普通です。

このように考えると、銀行融資による資金調達が資金繰りの改善には最も適しています。したがって、銀行との関係を良好にして、融資を受けられる状態にしなければなりません。


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