銀行は「貸したお金をきちんと返済してくれる会社」に対して、できるだけ融資したいと考えています。融資先から借入金元本に上乗せして返済される利子が銀行の収入となるためです。

例えば、金利年3%で3,000万円を銀行が会社に融資したと仮定します。そうすると、銀行が融資先1社から得られる年間収入は、「融資額3,000万円✕金利年3%=90万円」となります。

そのため融資担当者は、経営者とのコミュニケーションから「いずれこの会社はうちの銀行に融資を申し込む可能性があり、お金を返してくれるか」ということを探ります。

このような銀行の思惑を活用して、「いずれは資金調達(融資)が必要となる」ことをアピールすることが銀行融資を引き出すポイントとなります。そうすることで、融資担当者はその会社に対して融資の案件を提案しやすくなります。

そこで、融資担当者が会社に対して融資を提案しやすくするためのコミュニケーション術を解説します。

融資担当者に必ず伝えるべきポイント

融資担当者は「融資先が新規で融資を受けたい」と考えるタイミングを知っています。具体的には、銀行融資によって資金調達をしないと会社の事業展開を円滑に推進することができない場合です。

例えば、スーパーが新たなエリアに出店する予定であると仮定します。新たに出店をするためには、店舗の内装工事代や商品などへ投資が必要となります。これらの投資額について、自社の現金預金で賄いきれない分を銀行融資により、資金調達しなければなりません。

このように、今後の事業展開など「いずれ銀行融資により資金調達が必要となる」という見通しを経営者は融資担当者へ伝えることが大切となります。それによって銀行は会社へ融資の案件を提案しやすくなります。

今後の事業展開について説明する

事業展開とは、「5年後にわが社は社員の数を増員したい」など会社の経営方針のことを指します。

例えば、アパレル業界が「今年の流行に備えて、大量の洋服が必要となる」など販売数量の増加が見込めると仮定します。この場合、会社は洋服を大量に購入しなければならないため、融資担当者は「服を購入するタイミングで、この会社は融資を受けたい」と予測することができます。

一方、前述のアパレル業界が「3年後にはもう1店舗の出店を実現したい」など、長期的な視点からの事業展開についても積極的に融資担当者へ説明する必要があります。

この場合、新店舗で販売をするために、洋服を大量に購入したり、店舗を内装したりするために投資が必要となってきます。

当然、洋服の大量購入や新店舗を出店するタイミングで銀行への融資を申し込むことを融資担当者は予測します。

このように、今後の事業展開を話すときに「銀行融資による資金調達が必要となる」ことについて盛り込むことが大切となります。

ここで重要となるのは、経営者が話した今後の事業展開について「実現できる」ことを銀行に納得させることです。

そのために必要な融資担当者とのコミュニケーションのポイントを解説します。

同業他社との競争力で勝っていることを強調する

銀行は同業他社との競争力を重視します。例えば、前述のアパレル業界の近所にライバル店が出店していると仮定します。

同じレディースの洋服を取り扱っているのに対して、顧客の数においてライバル店のほうが多ければ、商品(洋服)は売れ残ってしまいます。

そうすると、洋服の購入代金(在庫の購入費)を支払っているのに、売れないために現金預金は減少してしまいます。そのため、「融資しても返済するお金がないのでは」と融資担当者は不安になります。

したがって、ただ自社の商品・製品や提供するサービスのことを伝えるだけでは不十分だといえます。あくまでも、自社の商品・製品や提供するサービスが同業他社よりも優れている点を融資担当者へアピールする必要があります。

自社の販売力・営業力についてアピールする

前述の通り、自社が同業他社よりも競争力で勝っていることを強調するのは大切です。だが、融資担当者に対して競争力で勝っていることについてさらに説得力を増すためには、自社の販売力・営業力についてアピールする必要があります。

例えば、電気工事業が新たなエリアに営業所を開設すると、社長ひとりでは営業ができないと仮定します。それにもかかわらず、営業マンの数が従来どおりであると、「拠点が増えて、営業力がアップする」と説明しても融資担当者を納得させることはできません。

そのため、「営業マンを中途採用して増員する」「インターネットから集客するためにホームページをリニューアルする」など、販売力や営業力の向上に力を入れていることについての根拠を融資担当者に説明する必要があります。

そうすることで、同業他社よりも競争力で勝っていることについて、銀行を説得できます。

このように、「同業他社との競争力が勝っている」「販売力・営業力がある」ことをアピールすることで、「この会社へ融資すれば、融資先は借入金元本に利子を上乗せして確実に返済してくれるはず」だと融資担当者に納得させることができます。

運転資金を調達するために融資担当者へ伝えるべきポイント

なお、資金調達の中でも「商品などの購入→販売→販売代金の入金」といったサイクルで会社のお金を動かすためには、銀行融資を引き出さなければならないケースが生じます。

例えば、販売代金の入金が滞っているため、商品の購入に必要な現金預金が不足しているとします。そうすると商品を購入することができずに販売活動に支障をきたします。そこで、商品(在庫)を購入するために必要な資金を銀行から調達をしなければなりません。

このように、会社が事業活動を遂行するために必要なお金のことを運転資金といいます。

例えば、プラスチック加工業の場合、販売をするためには、「原材料の購入代金」「工場の家賃や社員給料などの諸経費」を支払わなければなりません。これら原材料や諸経費は販売代金の入金額(これまでの利益)で賄うのが普通です。

ところが、これら原材料や諸経費は販売代金の入金額で賄えないケースが生じます。特に販売数量を伸ばすために原材料を大量購入する場合、諸経費の支払いに支障をきたしてしまいます。原材料を大量購入すると代金支払いが多額になるためです。

そのため、銀行融資を引き出しての資金調達が必要となってきます。もちろん、原材料などの大量購入により現金預金が不足することを銀行は熟知しています。

そのため、経営者とのコミュニケーションの中から「この会社はどのタイミングで原材料などの大量購入により銀行融資が必要になるか」と見極めようとしています。

そこで、運転資金の融資を提案しやすくするために融資先(自社)が融資担当者へ伝えるべきポイントを解説します。

「商品・原材料の大量購入=販売数量の増加」の見込みを伝える

「商品を購入して販売する会社」「購入した原材料を加工して販売する会社」は、売上代金が入金される前に、商品や原材料の購入代金を先に支払います。そのため、商品や原材料を購入するのに必要なお金が不足するケースがあり得ます。

例えば、靴の小売業が商品を購入した後、1ヶ月後に平均3,000万円を販売して入金されると仮定します。通常はこの販売代金から靴の購入代金や家賃など諸経費を賄います。

ここでは、「靴の購入代金(在庫金額)を2,400万円」「販売単価は購入代金の125%(販売代金3,000万円÷靴の購入代金2,400万円)」「諸経費を400万円」として計算します。

通常なら現金預金が不足することはありません。「販売代金3,000万円-靴の購入代金2,400万円-諸経費400万円=200万円」が手元に残るためです。

しかし、通常の月より靴を大量に購入する場合は現金預金が不足することがあり得ます。

例えば、前述の靴の小売業がヒット商品と見込めるロングブーツ含めた靴3,000万円を購入する必要がある場合、「販売代金3,000万円-靴の購入代金3,000万円=0円」となり、諸経費400万円を販売代金から賄うことができません。

ただ、3,000万円の靴を購入できなければ、ロングブーツを大量販売するチャンスを逃してしまいます。

そのため、「どうしてもロングブーツを含めた靴3,000万円を購入したい」と経営者は考えます。そのためには、銀行融資により運転資金を調達する必要が生じます。

例えば、運転資金で1,000万円の資金調達に成功した場合、諸経費400万円を賄えるため、3,000万円分の靴を購入することができます。

それによって、販売金額を3,750円(靴の購入代金3,000万円×125%)にすると、すべて売れれば無事に750万円の利益を獲得できるようになります。

新たな商品などの大量購入により、会社の現金預金が一時的に不足し、販売数量が伸ばせることを融資担当者は熟知しています。それによって新たなビジネスをしてもらえば、「融資したお金を会社から返済してもらえる」と銀行は考えています。

そのためにも、融資先(自社)は「商品・原材料の大量購入=販売数量の増加」の見込みを融資担当者へ伝える必要があります。

特に、クーラーやストーブなど季節商品を取り扱うビジネスでは、シーズン前に大量購入をして、シーズンとなる時期に大量販売をするのが普通です。その季節商品を大量購入するために、銀行融資よって資金調達することが有効となります。

大口の得意先と新規に取引を開始する場合

他には、大口の得意先と取引を開始する場合、商品や製品の販売数量が急増するため、商品や原材料を大量に購入しなければなりません。

そのため、商品や原材料を大量に購入するケースは、上記の季節商品のように販売数量の増加を見込むだけはありません。大口の得意先と新規に取引を開始する場合も、季節商品と同様に大量購入が必要となります。

例えば、次の加工食品の卸売業者があると仮定します。

  • 月商:5,000万円
  • 加工食品の購入代金(月商の0.8ヶ月分):月商5,000万円×0.8ヶ月=月額4,000万円
  • 家賃や給料など諸経費:月額800万円
  • 利益額:月商5,000万円-加工食品の購入代金4,000万円-諸経費800万円=月額200万円

この加工食品の卸売業者が大口の得意先となるスーパーと取引を開始して、販売数量が前年度より2割増しが見込める場合、月商や利益額などは次のように増加します。ここでは、加工食品の購入代金は販売数量の増加に比例し、諸経費は大口の得意先と取引する前と同額と仮定します。

  • 月商:5,000万円×120%=6,000万円
  • 加工食品の購入代金(月商の0.8ヶ月分):月商6,000万円×0.8ヶ月=月額4,800万円
  • 家賃や給料など諸経費:月額800万円(大口の得意先と取引する前と同額)
  • 利益額:月商6,000万円-加工食品の購入代金4,800万円-諸経費800万円=月額400万円

しかし、加工食品をスーパーへ納品するためには、販売代金が入金される前にメーカーや仲卸業者に対して加工食品の購入代金を支払わなければなりません。

実際にスーパーへ納品する前に加工食品を購入すると、「月商5,000万円-加工食品の購入代金4,800万円-諸経費800万円」となり、600万円の現金預金が不足してしまいます。

これでは諸経費を支払えず、商品を販売することができなり、利益額を増やすことが不可能となっていまいます。

そのため、上記600万円の不足を補うために、銀行融資による資金調達が必要となってきます。このような大口の得意先と新規で取引を開始することにより、現金預金が不足することを融資担当者は熟知しています。

しかし、大口の得意先と取引すれば、販売数量は伸ばせます。そして、「その販売代金から融資した金額を返済してくれること」を融資担当者は期待します。

したがって、新規の得意先と取引を開始するときは、事前に銀行へその旨を伝えることが大切となります。そうすることで、商品や原材料の大量購入に必要な融資の案件を融資担当者が提案しやすくなります。

設備資金を調達するために融資担当者へ伝えるべきポイント

なお、会社が従来よりも販売数量を増やすためには、「商品を保管するスペースを広くする=倉庫を購入」「製品を製造する能力を向上させる=生産設備への投資」などにより、販売体制を強化する必要があります。

設備資金とは、販売体制を強化して、長期間にわたって利益額を獲得するために投資するものに充てる資金のことを指します。

具体的には、建物や機械設備などが当てはまります。5~10年以上といった長期間にわたって使用することで、間接的に販売数量を増加させることに貢献するのが特徴です。

言い換えれば、運転資金のように「商品を購入し、販売して現金預金を増やす」というようなことはできません。

例えば、印刷業が1億円の印刷機を新たに購入したと仮定します。実際に10年間ほど印刷機を使用した場合、印刷機によって1年間で「販売金額1億円÷使用期間10年=1,000万円」を稼げば、購入代金1億円を回収することができます。

このように設備資金は、「商品などの購入に1億円投資してすぐに同額の1億円以上を販売しなければならない」といった運転資金と違い、短時間で現金預金が増えることはありません。

そのため、運転資金の融資を引き出すために必要な融資担当者とのコミュニケーションのやり方が違ってきます。

具体的には「投資した設備などを使用することで、確実に利益額を獲得できる」と銀行を説得する必要があります。少しずつ会社の現金預金を増やし、借入金の返済ができることを融資担当者へアピールしなければなりません。

そこで、銀行からの設備資金の融資を提案しやすくするために経営者が融資担当者へ伝えるべきポイントを解説します。

建物・設備が老朽化していることをアピールする

老朽化した建物や設備などは、購入したときに近い状態へ修理するのが普通です。

例えば、前述の印刷業が印刷機の老朽化により、「1時間あたりにチラシを印刷する枚数が10万枚から8万枚へと減少した」とします。この場合、1時間当たりにチラシを10万枚の印刷をするためには、修理が必要となります。

得意先に対するチラシの販売数量が10万枚から8万枚へと減少すれば、この印刷業にとっては販売金額や利益額が減ることを意味します。

言い換えれば、修理しないことによって販売金額や利益額が減少している以上、会社の現金預金を増やすことはできません。

そこで、印刷機を修理することにより、1時間当たり10万枚のチラシが印刷できるようになれば、販売数量や利益額は増えます。そうすると、「現金預金が増え、融資した金額を返済してくれるはず」と融資担当者は考えます。

したがって、このような場合は銀行融資により資金調達が必要となります。

そのためには、「建物・設備の古いことや修理が必要なこと」を経営者が口頭で融資担当者へ伝えるだけでは不十分です。建物や設備などの使用期間について、融資担当者へ納得するような客観的なデータがないためです。

そこで、固定資産台帳を銀行へ提出することが必要となってきます。

・固定資産台帳を銀行へ提出する

固定資産台帳とは、その会社が保有している使用期間1年以上の建物や設備などが記載されている明細書のことを指します。

この明細書に記載されている「設備などの使用可能期間」と「購入年月日」から、融資担当者は次回の設備の購入タイミングを把握することができます。

例えば、前述の印刷業で、印刷機の使用可能期間が10年なのに対して、使用期間が9年前なら、「使用可能期間10年-使用期間9年=使用できる残りの期間は1年」であると銀行は判断できます。

そのため、固定資産台帳から「この印刷機は修理が必要である」ことが分かり、修理代に対する融資の案件を融資担当者は提案しやすくなります。

この固定資産台帳は決算のときに作成するのが普通です。したがって、固定資産台帳は決算書とセットにして融資担当者に渡すのがポイントとなります。

・新たに設備などに投資する場合

ここでいう「投資する対象となる物」とは、建物など不動産や印刷機のような設備だけではありません。

例えば、中華料理店が2号店をオープンするとき、店舗の改装費用や物件を賃貸するときに必要となる敷金などに投資しなければなりません。ここでは、これらの投資額を1,000万円と仮定します。

このとき、2号店のオープンに必要な投資額1,000万円を1号店で稼いで貯蓄した現金預金からを賄うのは現実的ではありません。「客から受け取った料理の代金から、食材の仕入れ・家賃やスタッフの給料など諸経費」を差いた残りの金額しか貯蓄することができないためです。

例えば、中華料理店の月商2,000万円、食材の購入費用は月額600万円、家賃や給料など諸経費の月額1,300万円の場合、1ヶ月で現金預金が貯蓄できる金額は「月商1,000万円-食材の購入費用600万円-諸経費1,300万円=月の貯蓄額100万円」となります。

そのため、2号店をオープンするために必要な投資額1,000万円を貯蓄するには「投資額1,000万円÷月の貯蓄額100万円=10ヶ月間」と時間がかかりすぎます。それでは、貯蓄している間に別の会社が入居する可能性があります。そうすれば2号店のオープンは実現できません。

しかし、「2号店をオープンすれば月商や利益額は増加し、現金預金が増やせる」と銀行は考えます。そうなれば、「融資したお金を返済してもらえる」と融資担当者は期待します。

したがって、「将来は設備などの投資が必要であること」について経営者は事業展開を融資担当者へ伝えることが大切となってきます。

まとめ

今回は融資担当者とのコミュニケーションのポイントを解説しました。銀行が融資の案件を提案しやすくするポイントは2つに集約されます。

  • 事業展開を説明して、借入金の返済能力があることを融資担当者に納得させる
  • 融資担当者に対して、いずれ「運転資金」と「設備資金」の融資が必要であることをアピールする

上記2つのポイントをアピールするためには、銀行へ定期的に訪問するなど融資担当者とのコミュニケーションを積極的に図ることが大切になります。

経営者は「融資担当者からコンタクトを待っている」といった受身の姿勢ではいけません。そうではなく、銀行とのコミュニケーションにより会社の状況をこまめに報告して、円滑に資金調達を実現できるようにしましょう。


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