銀行を比喩する表現として、「晴れているときに傘を貸す」というものがあります。銀行は会社の業績が良いときに融資をしたがり、反対に業績が芳しくないときにはお金を貸したがりません。社長・起業家の思惑とは反対のことをしようとするのが銀行です。

業績が悪化して資金繰りが苦しくなれば、融資する銀行にとっては返済してくれるかどうかが不安になります。そのため、これは当然といえます。それでは、銀行から融資を引き出すために社長や起業家が準備すべきことは何でしょうか。

ここでは、資金繰りに悩んでいる社長や起業家のために「銀行融資を引き出すために必要な事前準備や方法」について紹介します。

資金調達の前に社長・起業家がすべき事前準備

経営者の重要な仕事に資金繰りをよくすることがあります。手持ちの現金を多くすることによって、円滑にビジネスを遂行できるようにするのです。そのためには、資金調達をしなければなりません。

資金調達の王道は銀行から融資を受けることです。このとき、銀行は簡単にはお金を貸してくれません、それは、お金を貸す側の立場になるとわかります。まず、あなたは信用できる会社と信用できない会社のどちらに融資したいと思うでしょうか。もちろん前者のはずです。

したがって信用できる会社になるためには、信頼できる会社だと認識してもらうための準備が必要です。金融機関に対する信用アップのため、事前準備をしなければなりません。

具体的には、現金預金の出入りを示す「資金繰り表」、現金預金や借入金の残高を示す「貸借対照表」、売上額や利益額を示す「損益計算書」を常に用意しておきましょう。

銀行に融資してもらうときは決算書を提出します。ただ、資金繰りが苦しいときの決算書を渡して融資を申し込んでも受け入れてもらいにくいです。

そこで、銀行に最新の情報が開示し、「現在は資金繰りが問題ない」ことを示すため、資金繰り表・貸借対照表・損益計算書を毎月作成して準備する必要があります。

まずは資金繰り表を作成しよう

資金繰り表とは、現金預金の出入りを示した表のことです。損益計算書のように、売上額や利益額を示した表とは異なります。いくら売上があっても、代金を回収できなければ現金預金は増えません。

そこで、毎月の入金と支出の結果、いくら現金預金が残っているのを示す資金繰り表を用います。

資金繰り表を作成するメリットは2つあります。

  1.  銀行へ融資を申し込むとき、資金使途(お金の使い道)が明らかになる
  2.  銀行が知りたい経常収支の情報が載っている

経常収支とは、事業活動で行われる定期的な入金と支払いの差額を指します。

・定期的な入金 :売上代金の回収

・定期的な支払い:商品の仕入れや家賃などの経費支払

銀行が知りたい経常収支とは、上記のような「通常の事業活動におけるお金の動き」です。売上代金を回収した後、仕入れや外注先、給料などの人件費や物件の地代家賃などの諸経費を支払った残りを意味します。

例えば、得意先から100万円のお金の振込(代金の回収)があり、そこから仕入れや人件費などで80万円の支出があった場合、残りの20万円が経常収支です。今回の場合、20万円が「通常の事業活動でコンスタントに現金預金を残す能力」になります。

融資の返済は現金預金で行います。そのために、銀行にとっての返済能力は、現金預金をコンスタントに残す能力である経常収支を指します。

実際に資金繰り表を作成するとお金の動きが見えて、今後の現金預金の出入りを予測できるようになります。そうすると、どの段階で資金ショートが起きるのかが分かるようになります。

例えば、3か月後に季節商品500万円の大量仕入れを予定しているとき、現金預金が400万円しか残っていない場合などは資金ショートします。最低でも100万円の仕入資金が不足することが分かります。

このように資金繰り表を用いると、融資を申し込むときに仕入資金や設備投資資金など明確な資金用途を説明できるようになります。

先ほどの例の場合、銀行融資を申し込むときに「大量仕入れの結果、売上と利益をより多く残せる」ことを銀行側に説明できれば、説得力が増します。

漠然と「運転資金が不足しているから融資してほしい」と説明するよりも、融資を受けることによって業績がアップすると納得させることができれば、銀行に信用してもらえるのは容易に想像できます。

会社の格付けをアップさせる

また、資金繰り表によって具体的に説明するだけでなく、「会社の格付け」も融資を受ける際には重要です。

銀行は会社に対する信用の指標として、会社を格付けします。格付けをアップさせれば、銀行からの印象が良くなって資金調達が円滑になります。格付けするポイントは大きく2つに分かれます。

  1.  定量要因
  2.  定性要因

それぞれについて、どのようにして会社の格付けを上昇させるのかについて確認していきます。

定量要因で印象よくする方法

定量要因とは、ビジネスをした時の実績を意味します。端的にいえば、決算書の数字が定量要因になります。

一つの取引に対して、複数の会計処理を選択できるケースがあります。そのとき、銀行が知りたい情報に沿うように会計処理を行えば、格付けをアップさせることができます。

それでは、「複数の会計処理を選択できる」とはどういうことなのかについて具体例を紹介します。

・借入金の返済能力を高いことを示す

銀行が借入金の返済能力を見る指標で重視するのは、損益計算書の経常利益です。なぜなら、毎年の事業活動でコンスタントに得られる利益が経常利益だからです。経常利益は事業全体(本業+営業活動以外の活動)でどれだけの利益(または損失)が出たのかを表す金額です。

この中でも、退職金の会計処理には注意が必要です。退職金の支払いに伴い、経常利益の額を減らしてしまうと結果として銀行からの印象が悪くなります。

大企業のように毎年多額の退職金が発生する場合、この退職金は経常利益から減少させなければなりません。

しかし、中小零細企業の場合は数年に一度支給されるケースが多いです。

数年に一度支給される場合には大企業と同じように経常利益からマイナスする必要がありません。なぜなら、数年に一度支給される退職金は毎年の事業活動でコンスタントに得られる利益の計算とは関係ないからです。

毎年、退職金が発生しない場合には退職金は損益計算書の「特別損失」の項目に入れるようにしましょう。そうすれば、見た目上の経常利益の額を増やすことができます。

・金利の支払い能力を高いことを示す

銀行にとって、貸したお金について「金利分を上乗せして返済できる能力のある会社かどうか」を当然ながら重視します。

借入金を返済するとき、金利は会社の決算書で営業外費用の支払利息という勘定科目に該当します。借入金の返済能力のうち「上乗せした金利分の返済能力」を見る指標が、損益計算書の営業利益です。営業利益とは、本業での営業活動による利益です。

借入金(貸したお金)自体の返済能力は経常利益で見ますが、金利部分の支払い能力は営業利益で判断します。

そこで、営業利益をできるだけ多く計上したほうが銀行に対する印象は良くなります。銀行は会社の本業が円滑になることを目的に融資しているため、営業利益の額を多くしてほしいと考えているからです。そのために経常利益だけでなく、営業利益も重視されます。

経常利益の中には、本業以外に株式投資の売却益や配当金などの営業外収入も含まれます。銀行が融資する目的はあくまでも本業で営業利益をアップしてもらうことだと肝に銘じてください。

例えば、飲食店が自動販売機やフリーペーパーなどを設置して副収入を受け取った場合、本業以外の営業外収入と計上するケースが多いです。本業を料理やドリンクの提供と限定しているためです。そうするとこのときの副収入は営業利益のプラスになりません。

しかし、受け取った副収入は本業での営業収入と考えることもできます。本業(店舗運営)に付随する収入だからです。

自社店舗を活用して副収入をもらうことは、株式投資での配当金などのように本業とかけ離れていません。そのため、副収入を営業収入として計上したほうが営業利益はプラスになります。

このように、いまある収入をどの項目に入れるのかによって営業利益を多く見せることができ、銀行側に金利分の負担能力が高いことを示すことができます。

・効率よく経営していることを示す

中小零細企業の場合、不要な資産を処分すると効率的に経営しているように見せることができます。銀行が考える効率とは「投資した金額をいかに現金預金へと変えることができるかどうか」を指します。

例えば、1,000万円を融資した場合に、本業で獲得できる現金預金が300万円の会社と500万円の会社と比較して、銀行がどちらを信用するのかは一目瞭然です。

不要な資産を保有してお金を寝かしつけても現金預金は増えません。そのような資産を処分するために、不良在庫を処分価格で売却する方法も一つの手です。

無駄な在庫を原価割れしない安価な値段で処分した(売った)場合、それだけ現金を手にすることができます。そうすれば売上が上がるため、結果として営業利益の数値を改善させることができます。

典型的な例は家電量販店での在庫処分セールが挙げられます。処分価格で売却すれば現金預金は確実に増えます。

定性要因で印象よくする方法

決算書の数値を改善する定量要因に対して、定性要因とは「会社の将来性など実績以外の目に見えない部分」を指します。

定性要因には「その会社が将来に向けて継続できるか否か」「社員の質」などが挙げられます。例えば、同じ業績の会社が2社ある場合、衰退が予想される会社よりも将来性のある会社を銀行が信用するのは目に見えています。

そこで銀行は、ビジネスでの実績だけはなく定性要因を含めてトータルで会社を格付けします。

こうしたことを理解したうえで、定性要因を改善する具体的な方法をいくつか紹介します。

・経営者が交代しても事業に支障がないことをアピールする

会社の命運は経営者次第だと銀行は考えています。例えば、ワンマン経営の社長が入院したり死亡したりすることにより、事業に支障をきたすことを銀行は恐れます。

そのような銀行の不安を払しょくするため、経営者は自分が不在でも事業に支障をきたさないことをアピールする必要があります。

実際に、跡継ぎの息子がいれば、後継者として育てていることを銀行に伝える必要があります。

その反対に、銀行に対して「自分の跡継ぎ息子は仕事をなかなか覚えられない」などのような愚痴を言えばマイナス要因になりかねません。中小零細企業の場合、大企業のような会社のブランド力ではなく、経営者の信用で事業が成り立っているケースがほとんどだからです。

経営者が交代すると得意先などに対する信用不安につながるリスクがあるため、後継者を育てることは会社を存続させるために必要不可欠です。

・同業他社より優れていることを示す

同業他社より優れていることを示す前に、会社の業種について銀行に理解してもらう必要があります。銀行員は業種についてあまり理解していないからです。同業他社にない技術力、商品・サービスの品質をアピールして銀行員に伝われば、会社の格付けアップの可能性があります。

例えば、大手書店のジュンク堂書店のように品揃えの豊富さで勝負している場合には、在庫の必要性を銀行員に理解してもらう必要があります。その後、品数が豊富なことでいかに業績を上げているのかを説明できなければなりません。

銀行は「在庫=お金を寝かしつけている=効率が悪い」と考えています。無駄に在庫をもっている会社は評価されにくいですが、事業戦略を説明することで反対に格付けアップにつながることがあります。

社員の質が高いことをアピールする方法

銀行は社員をチェックしています。見るポイントは新人研修で行うような基本動作です。挨拶がしっかりしている、時間をキチンと守るなど、「報告・連絡・相談」ができているかを銀行員が会社を訪問したときにさりげなくチェックします。

例えば、銀行の支店長が訪問したときに、あなたの会社の社員が挨拶できているかどうかが銀行にはすぐにわかるのです。

ある会社では、銀行の支店長を招いて経営計画発表会を実施しています。そのときに銀行のチェックするポイントは発表の内容だけではなく、定時に会が開始するかどうか、社員の行動などをチェックしています。

このため、基本動作など社員の質の高さのアピールは重要となります。

反対に銀行に社員の愚痴をこぼすのは厳禁です。社長が社員の愚痴をこぼした場合、銀行員は「教育ができていないことを棚に上げて社員に責任転嫁をしている」と思ってしまいます。

実際に銀行から融資を引き出す方法

銀行との付き合い方によっても、融資を引き出せるかどうかが変わります。融資した側からすれば、本当に返済してもらえるかどうか不安を抱いています。そのような銀行側の不安を解消する方法をいくつか紹介します。

業績をこまめに報告する

前述の通り、銀行は資金繰り表の経常収支から借入金返済の可否を判断しています。そこで、「返済してもらえないのでは」という銀行の不安を解消するために定期的に業績を報告する必要があります。

銀行へ業績報告をするとき、具体的には2つ種類があります。それは、「期中の報告」と「決算報告」です。

・期中の報告のポイント

期中(決算以外の時期)に報告するとき、具体的には毎月の資金繰り表とそれを補完する貸借対照表、損益計算書を銀行に提出するのがベストです。それぞれの表には銀行が知りたい情報が載っています。

貸借対照表はその時点の財政状態を表しており、売上代金の未回収の金額などの寝かしつけているお金が載っています。寝かしつけているお金が多ければ、いくら売上額が増えていても現金預金が増加しない構造であることが分かります。

例えば、売掛金(売上代金の未回収の金額)が「月商の1ヵ月分ある会社」と「月商の3ヵ月分ある会社」では、売り上げてから代金を回収する期間の短い前者のほうが現金預金は増えやすいです。

また、損益計算書は期の開始日からその時点までの業績を示す表です。お金が増える源は利益額です。したがって、利益額が少なければ現金預金は増えません。

現実にはほとんどの会社が期中での報告を実施できていないので、報告するだけで他社より印象を良くすることができます。

・決算報告のポイント

期中の報告と違って、融資の決裁権を持つ支店長と会えるチャンスが決算報告です。普段は忙しくても、決算報告なら時間を確保してくれます。融資の決裁権がある支店長に会社を認知してもらえると、資金調達は円滑になりやすいです。このとき、報告する内容は期中の報告と同じです。

複数の銀行に融資を申し込もう

「他行から融資を受けると、現在のメインバンクから嫌われる」などと恐れている社長(経営者)が存在します。しかしメインバング1つの銀行だけよりも、複数の銀行に融資を申し込むほうが銀行からの印象は良くなります。

メインバンクのリスクヘッジになるからです。たとえば、3千万円の融資を受けたいときに1つの銀行だけに申し込む場合、銀行側としてはでリスクが大きいです。それを3つの銀行で1千万ずつ借り入れができれば、銀行のリスクは1/3に分散できます。

また、「他の銀行が融資してくれた」いう情報はメインバンクの融資の審査を助ける結果になります。「他の銀行が貸すのなら、うちも融資ができる」と安心できるからです。他の銀行が融資した事実はあなたの会社が信用されている証になります。

注意点としては、他の銀行から融資を受けられなかったことが発覚すると、融資を受けるときマイナスに作用します。

融資を申し込むなら2月・8月がチャンス

銀行は「融資したのち、金利分を上乗せして返済してもらうこと」が商売です。したがって、銀行側としては営業成績をあげるために決算前は「融資した実績を残したい」と考えています。

銀行の決算は法律で3月末と定められています。中間決算は9月末です。このとき、決算と中間決算までに融資した実績を残したいと思うのは当然だといえます。

そのため、スケジュールから逆算すると決算・中間決算の一ヵ月前の2月・8月に融資を申し込めば審査が緩くなる傾向にあります。

実現性のある事業計画書・予定資金繰り表を作成しよう

銀行が融資するときに重視するのは、会社がお金を返済できるかどうかです。そのために事業計画書と予定資金繰り表は欠かせません。

事業計画書では「会社が融資を受けた金額を投資にまわして、どれだけの利益を残せるのか」を説明します。銀行側に対して説得力をもたせるためには、売上金額の根拠となる顧客のニーズや同業他社の動向などの外的要因から、実現できることを銀行に納得してもらう必要があります。

予定資金繰り表では、「売り上げて利益を出した後、現金預金を手元に残せる」ことを説明します。そのため、売上があった何ヶ月後に代金を回収できるのかなど、お金の動きを客観的なデータをもとにシミュレーションする必要があります。

例えば、事業計画書では設備投資した結果、「売上がいくら伸びて、利益はどうなのか」をプレゼンする必要があります。その後、予定資金繰り表で売り上げた日から代金を何日後に回収して、返済する財源を確保するのかまで説明しなければなりません。

こうすることによって、「融資をしてもらえば会社の利益額が増加して、売上の代金を回収することで現金預金が以前よりも多く残せること」を銀行側に納得してもらえます。

まとめ

銀行融資を引き出すことで円滑に資金調達するためには、事前準備が必要です。「お金が足りないから資金調達したい」と考えても、資金使途が曖昧だと思惑通りにことは進まないからです。

準備計画にはいろいろな種類がありますが、資金調達を円滑にするための第一ステップとして資金繰り表の作成から始めましょう。資金繰り表を作成することで、ようやく資金用途(融資を受けるための明確な理由)を説明できるようになります。

例えば、「1,000万円の設備投資をすれば事業を発展できる」という見込みがあっても。現金を用意できなければ設備投資できません。これでは、投資して得られるはずの利益を獲得できません。

このような機会損失に陥らないように、資金調達を円滑にする仕組みづくりが必要になります。そのためにも資金繰り表で会社のお金の動きを把握して、計画的に資金調達をするようにしましょう。


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