経営者は毎月の業績に関心があります。例えば、「今年5月に3,000万円売り上げ、販売原価1,500万円と諸経費900万円を差し引いた残りの利益600万円を獲得した」という結果などです。

このような事業活動の業績を表すのが損益計算書です。

損益計算書を活用すれば、業績を向上させるために「販売数量を伸ばすべきなのか、諸経費を削減すべきか」など具体的にどのような事業展開を行えばいいのかが分かります。そこで、損益計算書を活用して業績を向上させるために全社員の行動を促す方法について解説します。

損益計算書によって業績の良し悪しを把握する

損益計算書を経営で活用するときは、売上高や利益などの推移により業績の良し悪しを把握するところからスタートします。

例えば今年5月を基準とした場合、実際に損益計算書を用いて前年同月(去年5月)や前々年同月(一昨年5月)と比較することで「業績が上昇傾向なのか、下降傾向なのか」を分析することができます。

  • 上昇傾向=事業活動の方向性は正しい
  • 下降傾向=事業活動の方向性に問題がある

前年同月や前々年同月の売上と利益と比較する理由は、消費者の行動や事業活動の稼働日数の条件が同じだからです。

例えば5月の場合、ゴールデンウイークで休日が多いのが特徴です。

繁華街にある小売店なら消費者が多く訪れるため、販売数量が多くなる傾向があります。一方、製造業なら休日が多いために稼働日数が少なくなり、製品の生産量は少なくなります。

したがって、月ごとの条件を揃えるために同一月を比較対象とするのです。

前年同月などの過去と比較して売上や利益が少ないときは、事業活動の方向性に問題があります。販売方法の問題点や経費の無駄遣いなど事業活動の内容について検証する必要が生じます。

全社員一丸となって業績向上させる体制の構築に着手する

損益計算書を経営に活用するためのゴールは「全社員が一丸となって業績を向上させる体制を構築する」ことに尽きます。経営者ひとりでは販売数量を伸ばすことも固定費を削減することにも限界があるからです。

例えば販売数量を伸ばすため、ルート営業で訪問する得意先の件数や訪問回数を増やすためには営業マンの協力が必須です。

また、消耗品を節約して固定費を削減するためには全社員の協力が必要になります。コピー用紙やトイレットペーパーなどを無駄遣いしていては固定費を削減できません。

損益計算書のデータを加工する

社員の行動を促して業績を向上させるための、損益計算書のデータを加工することが出発点になります。データをシンプルしないと経理の知識がある社員以外には役に立たないからです。

例えば業績を向上させるための「営業マンは商品を何個売るべきか」や「全社員でいくら諸経費を削減すべきか」などのデータについては、これを損益計算書の売上や利益の金額だけから眺めてみても、社員は行動に落とし込むことができません。

そこで、全社員の行動を促すためには、損益計算書のデータをシンプルに加工することが必要となります。

・変動費と固定費を区分する

経営者や営業マンが知りたいのは「商品を何円で売れば、どれだけの利益を残せるのか」の概算額です。そのような利益を粗利益といいます。このような粗利益額を経営者や営業マンが販売数量から連想できるようにするため、損益計算書のデータを加工しなければなりません。

そのため、損益計算書の勘定科目から原価の項目を拾い出さなければなりません。このような原価を変動費といいます。

例えば、仕入単価24万円の商品を販売単価30万円で販売した場合、販売数量が50個と100個では、粗利益額に差が出ます。

販売数量50個のとき:

粗利益額=(販売単価30万円-仕入単価24万円)×50個=300万円

販売数量100個のとき:

粗利益額=(販売単価30万円-仕入単価24万円)×100個=600万円

原価というのは、販売数量によって変わります。これを、変動費といいます。一方で、損益計算書の勘定科目には社員の月給や事務所の家賃などの諸経費があり、これを固定費といいます。両者の特徴は次の通りです。

  • 変動費:販売数量に比例して増加する費用
  • 固定費:販売数量と関係なく、一定の金額を負担しなければ費用

前述の通り、損益計算書の勘定科目でも仕入高(原価)は販売数量に比例して増える費用です。一方、事業活動を維持するための社員の月給や地代家賃などの諸経費は販売数量に関係なく、毎月一定の費用が発生します。

変動費と固定費を区分することにより、最終的には粗利益額(売上高-変動費)から固定費を差し引いた利益額が連想できるようになります。販売数量に左右されない固定費の金額はほぼ毎月一定だからです。

目標利益を達成するためのシミュレーションをする

前述の通り、利益とは粗利益から固定費を差し引いた金額です。

全社員が業績を向上させるために実行できることは、「粗利益=販売数量を伸ばすこと」と「固定費の削減」です。

そのため、具体的な金額による目標設定が必要になります。売上高・粗利益・固定費・利益のデータを加工して、行動に落とし込みやすくしなければなりません。

・売上高を売価と販売数量に分割する

粗利益額をアップさせるための戦略を練るためには、販売単価(商品の値段)と販売数量を分けて考えなければなりません。同じ売上アップでも、「販売単価を上げる」のと、「販売数量を伸ばす」のと、では仕事のやり方が異なるからです。

例えば、販売単価を上げるためには商品の付加価値を向上させることや経営者の交渉力など求められます。一方、販売数量を伸ばすためには得意先への訪問回数を増やすなど営業マンの小さな行動の込み重ねが必要です。

そのため、営業マンが粗利益額を増やすためには、目標とする販売数量を計算しなければなりません。

例えば、売上高を売価と販売数量に分けると次のようになります。

  1. 売上高 販売単価30万円×販売数量100個=3,000万円
  2. 変動費 仕入単価25万円×販売数量100個=2,500万円
  3. 粗利益(売上高-変動費) 粗利益の単価5万円(販売単価30万円-仕入単価25万円)×販売数量100個=500万円
  4. 固定費 300万円
  5. 利益(粗利益-固定費) 200万円

・利益を100万円増やすためのシミュレーションをする

上記から、利益を200万円から「100万円増の300万円する方法」をシミュレーションしましょう。これには、2つの方法があります。

1, 粗利益を500万円から100万円アップさせ、600万円にする

粗利益を100万円アップさせるために必要な販売数量の算出方法は次の通りになります。

  1. 増やすべき販売数量:粗利益100万円÷粗利益の単価5万円=20個
  2. 目標の販売数量:増加する前の販売数量100個+20個=120個

2, 固定費を300万円から100万円削減して200万円にする

また、固定費を削減することによっても利益を増やすことができます。

粗利益は据え置きで利益を100万円アップさせるためには、同額の固定費(100万円)を削減しなければなりません。

目標利益の金額を月間の稼働日数で割る

目標利益を稼働日数で割ることで1日当たりに稼がなければならない粗利益額が算出されます。

例えば、月の稼働日数が20日(週5日×4週)の場合、1日当たりに稼ぐべき利益額は次の通りになります。

目標の粗利益額600万円÷稼働日数20日=1日30万円

上記に基づき、1日に必要な最低限の販売数量は次の通りになります。粗利益の単価は前述の通り5万円とします。

1日に必要な粗利益額30万円÷粗利益の単価5万円=6個

上記のように目標利益を稼働日数で割ることにより、1日単位の目標設定が可能になります。1ヶ月で120個販売する目標設定に比べて、具体的な行動に落とし込むことが容易になります。

これは、販売数量に限らず訪問件数でも同様です。例えば、120個を販売するために「ルート営業で訪問する得意先の件数を300社」と設定するよりも、次のように1日当たりの訪問件数を定めたほうが目標はより明確になります。

1ヶ月300社÷20日=1日15社

1人当たりに必要な販売数量を算出する

ここまで計算してきた過程は、一人ひとりの営業マンの行動を促すことにも役立ちます。

販売のためにルート営業を実施するのは営業マンであり、ここでは5人いると仮定します。そうすると、1日で6個以上売るために1人当たりの必要な販売数量は次のようになります。

1日の販売数量6個÷5人=1.2個

「1ヶ月で必要な販売数量120個」という目標を会社全体で定めるよりも、上記のように1人当たりの1日に必要な販売数量を求めたほうが、営業マンは得意先への訪問などを実行するためのスケジュールを組みやすくなります。

1人当たりの固定費を算出する

また、固定費を削減することで利益額を上げる戦略を取る場合、全社員のコスト意識を根付かせるために、1人当たりの固定費を算出しなければなりません。会社全体で300万円の固定費を100万円削減するといっても、漠然としているために行動に落とし込むことが難しいからです。

月の稼働日数20日で1ヶ月の固定費が300万円の場合、1日当たりの固定費は15万円になります(固定費は稼働日数と比例すると仮定)。また全社員が10人いる仮定とします。そうすると現在1人当たりの固定費は次の通りになります。

現在1日当たりの固定費15万円÷10人=1日あたりの1人の固定費1.5万円

さらに、削減すべき1日の固定費は「100万円÷20日=1日5万円」ですが、1人の社員が1日で削減すべき固定費は次の通りです。

1日当たりに削減すべき固定費5万円÷10人=1人当たり1日に削減すべき固定費0.5万円(5千円)

現在に比べ1人当たり1日に削減すべき固定費が0.5万円(5千円)であることを認識することで、全社員が固定費を削減するための動機づけになります。

そうすることで、「無駄な接待経費を使わない」「電気をこまめに消す」など小さな行動の組み合わせを全社員が考えるきっかけ作りになります。

全社員の行動をさらに促す方法

「利益を200万円から100万円増の300万円にするため」に、粗利益を増やす方法と固定費を削減する方法で検証してきました。しかし、両方の方法を組み合わせれば、業績を向上させるための行動へと社員をより促すことができます。

例えば、利益を100万円増やすために、「粗利益額50万円を増やす」「固定費を50万円削減する」の方法を組み合わせることで、上記の例のように「粗利益額だけを増やすこと」や「固定費だけを削減する」ときよりも、全社員が行動すべきことがバランスよく改善できます。

具体的には次の通りです。

1人当たり1日の目標販売数量:

  1. 増やすべき月間販売数量:粗利益50万円÷粗利益の単価5万円=10個
  2. 目標の月間販売数量:増加する前の販売数量100個+10個=110個
  3. 1日当たり目標販売数量:110個÷20日=5.5個
  4. 1人当たり1日の目標販売数量:5.5個÷5人=1.1個

そのため、100万円増の場合は1.2個→50万円増の場合は1.1個

1人当たり1日の目標固定費の削減額:

100万円削減の場合は0.5万円(5,000円)→50万円削減の場合は0.25万円(2,500円)

利益を月100万円あげ月600万円とするとき、上記のように粗利益額と固定費の両方に着目することで、営業マンとしては「1人1日あたり販売数」が「1.2個から1.1個」へと若干減少します。

また、経理や総務など内勤を含めた固定費の削減も負担が半分に減るため、実現しやすくなります。

このように業績を向上させる方法をいくつか組み合わせることで目標を達成するためのハードルが低くなり、全社員の行動をさらに促すことができます。

損益計算書を活用すれば、全社員を「自社の業績を向上させなければならない」という目的意識を植えつけることができます。

経営に損益計算書をうまく活用すれば、利益額の獲得に向かって、営業マンは「粗利益額を増やす」、経理や総務など内勤を含めた全社員は「固定費を削減する」ための行動を促すことができるのです。


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