多くの会社で出費が大きい経費として広告宣伝費があります。このような販促費は売上を作るために重要ではあるものの、金額が大きいため経営戦略を見直せば大幅なコスト削減が可能です。

ただ売上に直結するのが広告宣伝費であるため、何も考えずにコストカットすると売上が大幅に減ってしまい、利益を増やすどころかむしろ減らしてしまいます。そこで、最適な方法によって販促費の経費削減をしなければいけません。

正しく広告費をカットすれば、変動費を減らしつつ大幅な利益向上につながります。実際のところ、無駄な広告費を支払い続けているケースが多いからです。

それでは、経営者はどのように広告費の見直しをすればいいのでしょうか。ここでは、正しい販促費のコスト削減方法を解説していきます。

データで売上や利益を測定できない広告は意味がない

世の中にはさまざまな種類の広告があります。これらの広告について、もちろん意味はありますが利益に結び付く効果の大小はそれぞれ異なります。

経営者にとって重要なのは売上の大きさではなく利益です。そうしたとき、広告費に対してどれだけ利益を残したのかが重要です。広告によって売上は大きく伸びるものの、利益が残っていない場合があり、これでは意味がありません。

そうしたとき、いくらの広告費を出すことによって、いくらの利益を残すことができているのでしょうか。これについて数字を把握していない経営者が非常に多いです。

この状態では、効果的な広告を出すのは不可能です。販促費というのは費用対効果で明確に表す必要があり、広告を出していくらの見返り(利益)が残ったのか知っておかなければいけません。

ターゲットが不明なマス広告は効果が薄い

そうしたとき、ターゲットが不明な広告を出す意味はほぼありません。より具体的にいうと、マス広告がこれに該当します。以下の広告については、異常に多くの人をターゲットにできます。

  • テレビCM
  • ラジオCM
  • 電車中吊り広告
  • 全国紙(新聞)
  • 大衆紙(週刊誌)

例えば、以下は東京や大阪などの地下鉄でよく見かける電車広告です。

ただ、中小企業は利用の意味がないのですぐにカットしなければいけません。大企業のようなイメージが重要視される場合は例外的に意味があるものの、少なくとも中小企業が行う必要はありません。

本来、広告は「あなたの商品に興味をもつ人がたくさんいる場所」で出さなければいけません。いろんな人がごちゃ混ぜで存在しているマス媒体に広告を出したとしても、広告費ばかり高くて優れた利益を生み出すことはできません。

こうした効果の薄い広告は決まっており、それは「効果に関する因果関係の測定が難しい」ことがあります。つまりお客さんから問い合わせがあったとしても、どのプロモーション行為がきっかけとなって問い合わせにつながったのか分かりにくいのです。広告費を見直すうえで、こうした状況は避けなければいけません。

本来、広告を出すときは以下のように具体的な数字を算出できる必要があります。

  • 広告費:50万円
  • 売上:100万円(粗利は80万円)

これであれば、残る利益は「80万円(粗利) - 50万円(広告費) = 30万円」です。このような計算式を組むことができれば、後は広告を出せば出すほど利益が増えていきます。

ただ、こうした計算式を組めない状態で広告費を出し続けている会社が非常に多く、結果としてむしろ赤字になっているケースがよくあります。そうした状態は必ず避けなければいけません。

お客さんの属性や行動範囲、趣味を明確に把握するべき

そこで広告宣伝費のコスト削減をするためには、効果を高めることを意識しましょう。具体的には、お客さんの属性や行動範囲、趣味を含めて明確に把握しなければいけません。

これについては、既にビジネスをしていてお客さんをたくさん抱えているのであれば、調査は難しくありません。実際にお客さんにインタビューして、彼らが日々どういう行動をしているのか深く理解するようにしましょう。

例えばあなたがパチンコ店を経営しているとして、どのような広告を出せば効果的でしょうか。

パチンコを利用するお客さんというのは、言葉を悪くいうと「レベルの低い層の人たち」といえます。少なくとも、エリートサラリーマンや富裕層はほぼ利用しません。

パチンコに通いつめる人の場合、毎朝の新聞を読む可能性は低いです。ただ、スポーツ紙などエンタメ系の新聞であれば読む可能性があります。

またポスティングによってチラシをばら撒くにしても、「シニアが多く住むエリア」「低所得者が多く住むエリア」を調べる必要があります。または、パチンコ利用者向けに何かキャンペーンを実施してアンケートを取り、どのエリアのお客さんが多いのか調べてもいいです。そうすれば、お客さんの多いターゲットエリアが分かります。

いずれにしても、このように試行錯誤を重ねていきながらお客さんのデータを集めていきましょう。直感だけで広告費を出しても経費削減はできません。データから客観的に分析するからこそ、広告費のコスト削減が可能になるのです。

ライバル店や他の業界を参考にするのが最重要

ただ、販促費の経費削減が重要とはいっても、どのような方法が効果的な広告の出し方なのか分からない経営者は多いです。その場合、ライバル企業がどのような広告戦略を取っているのか参考にしましょう。

もちろんダメな会社を参考にするのではなく、圧倒的に儲かっていて利益率の高い会社を参考にする必要があります。

  • どのような媒体に広告を出しているのか
  • 広告内容はどうなっているか
  • あなたが想定している広告と近いか

これらを確認しましょう。特に重要なポイントは、「あなたと業態が似ているかどうか」になります。例えば、地域密着ビジネスをしている会社が全国展開の会社広告を見ても参考になりません。

そうではなく、同じく地域密着でビジネスをしており、利益率の高いライバル会社が何をしているのか確認する必要があります。その後、その会社の戦略を真似させてもらいましょう。

また中には、医療や士業(弁護士、税理士など)のように、マーケティングがいまだに原始時代の分野もあります。この場合はライバルを参考にすることができないものの、似た業界であれば参考になるはずです。

例えば医療分野であれば、地域密着の美容クリニックがどのような広告戦略を取っているのか参考にすればいいです。

また士業であれば、過払い金請求を広く扱っている司法書士はマーケティングが上手です。彼らが何を考えて広告を出しているのか参考にさせてもらえば、多くの顧客を効率的に獲得できるようになります。

ネット広告は特定顧客のみをターゲットにできる

ただ、それでもリアル媒体は広告宣伝費の効果を数字で表しにくく、完ぺきには費用対効果を把握することができません。そこで、広告戦略を変えることでコスト削減をしてもいいです。つまり、本当に効果があるのか不明な販促費を出すのではなく、明確に効果があると分かる広告費のみ支払うのです。

代表的な広告としてはネット広告があります。このとき、ランディングページ(問い合わせページ)を作成した後、ネット広告を出しましょう。例えば、Web上の以下の場所にあるのがネット広告です。

ネット広告の場合、ターゲットが明確です。例えば、「三宮 美容院 メンズ」で検索する人であれば、「神戸三宮で髪を切りたい男性」が店を探しているのは明らかです。少なくとも、その他の地域の人がこのキーワードで検索することはありません。

そこで、このようにキーワードを選んで広告を出せば、ターゲットが明確なので非常に効果的な集客が可能になります。

リアル広告とは異なり、検索エンジンでもSNSでもネット広告ではターゲット顧客を細かく絞れるようになっています。また広告費に対する売上・利益の数字が明確に分かるため、「広告を出して本当に利益に結び付いているのか分からない」という不安がなくなります。

もし「広告を出せば出すほど利益が大きくなる」と明確な結果がデータで分かったのであれば、広告宣伝費はコストではなくなります。むしろ利益を押し上げる重要なツールになります。

広告宣伝費の経費削減というのは、利益に結びつかない無駄な広告を排除し、利益を出す広告のみに絞ることを意味します。これについては、データで判断するようにしましょう。

広告費ゼロでも集客できる仕組みを作るべき

それでは、より根本的に広告宣伝費を削ることはできないのでしょうか。これについては、広告費ゼロであったとしても集客できる仕組みを作るようにしましょう。

販管費のコスト削減をするとはいっても、利益に直結するとデータで判明している広告費を削減してはいけません。ただ、広告出稿以外にお客さんを集める仕組みを構築するというわけです。

自動でお客さんを集める仕組みを取り入れれば、自動的に売上を生み出せるようになります。こうした仕組みはいくつか存在し、例えば以下があります。

  • 代理店制度
  • アフィリエイト広告
  • WebサイトやSNSの活用

それぞれについて確認していきましょう。

代理店制度を取り入れるのは有効

大企業を含めて、多くの会社が導入しているのが代理店制度です。あなたの代わりにあなたの会社の商品を販売してもらい、完全成果報酬にて成果に見合うマージンを支払うという方法です。

例えば保険会社がこの制度で有名です。世の中には多くの保険代理店が存在します。彼らは保険会社の代わりに商品を販売し、その見返りとして後でバックマージンをもらいます。つまり保険会社が頑張って広告を出す必要はなく、全国の代理店が勝手に営業して商品を販売してくれます。

保険会社としては、商品が売れた分だけ代理店に紹介料を支払えば問題ありません。成果報酬なので、保険会社としては損をすることがありません。

もちろん「報酬を支払う費用」については販売委託料として経費が上乗せされます。ただお客さんを紹介してもらい、確実に利益が増えているのであれば、このときの経費はむしろ喜んで支払うべきお金になります。

完全成果報酬でアフィリエイト広告を出す

ただ、中には代理店制度をゼロから作り上げるのは面倒で大変と考える人がいるかもしれません。その場合、アフィリエイト広告を採用してもいいです。

リアルで展開する人たちに代理販売してもらう場合、代理店という言葉になります。一方でこれをネット上で行うと、アフィリエイトという名前になります。

世の中には、Webサイトやブログ、SNSなどで多くのアクセスがあったり、フォロワーを抱えていたりする人がいます。こうした人たちにあなたの商品やサービスを紹介してもらえば、成果報酬にて彼らが勝手に集客してくれます。

このとき、あなたが世の中にいるインフルエンサーに声掛けする必要はありません。アフィリエイト広告を束ねている会社をASPと呼び、この会社を利用すればいいです。なおアフィリエイト業界は大きく、上場しているASP会社はたくさんあります。

例えば最大手であれば、A8.netというASP会社があります。

ここに広告主として登録し、サイト・ブログやSNSをもっている人に紹介してもらえるように仕向けましょう。

ランディングページ(紹介ページ)をきちんと作る必要はあるものの、それさえ準備すれば後は自動で他の人が集客してくれます。このとき実際にお客さんを紹介してくれたときのみ成果報酬で支払えばいいので、効果の高い広告宣伝費の支出となります。

WebサイトやSNSで無料集客する

また方法によっては、販促費そのものをカットすることができます。これについては簡単ではありませんが、経営者自ら努力することによって可能になります。それは、自社のWebサイトやSNSを育てることです。

例えば当サイトについても、私の実体験やその他の事例をもとにして有益な情報を顧客に提供し、Web集客をしています。このとき誰かに広告費を支払っていることはなく、すべて無料にて集客が完了しています。これと同じことをWebサイトやSNS上で行いましょう。

重要なのは、商品の宣伝をしてはいけないことです。「商品を購入してもらうために集客するのに、売り込みをしてはいけないとはどういうこと?」と思うかもしれません。ただ、読者は商品を購入したいわけではなく、情報を知りたいために検索しています。そのため、売り込みではなく有益な情報提供でなければいけません。

そうすれば、Webサイトを訪れた多くの閲覧者のうち何人かは、あなたの会社に問い合わせしてくれます。

例えば相続に悩んでいる人であれば、「自分で相続手続きのすべて行うのは不可能なので、優れた情報を提供しているこの税理士に依頼しよう!」と考えて問い合わせしてくれます。整骨院を探している人であれば、「良い情報を出していて、信頼できるこの人に腰痛を直してもらおう」と患者さんは考えます。

  1. 有益な情報を提供する
  2. お客さんが信頼し、問い合わせをしてくれる

この流れを作らなければいけません。そのため有益な情報提供が必須であり、無料集客の仕組みができるまでには1年以上かかりますが、非常に高額な販促費をカットできる手法でもあります。

販促費の見直しは経営戦略で重要

個人事業主や法人を含めて、ビジネスで高額な費用になりやすいのが販促費です。このときの広告費について、積極的なコスト削減をしましょう。

ただ広告宣伝費の経費削減については、意味なく変動費を下げるためにコストカットすればいいわけではありません。より正確にいうと「本当に効果があるのかどうか不明な広告をカットするべき」といえます。これが、本当の意味での広告費の経費削減です。

利益をもたらす販促費については、積極的にお金をつぎ込まなければいけません。そこで広告費と売上・利益の因果関係を明確な数字で出し、結果データから判断するようにしましょう。また成果報酬の費用支払いであれば確実に儲かると分かるため、むしろ積極的に販促費を増やすといいです。

なお、最強の広告宣伝費の削減は自社集客です。ネット媒体を使うことによって、販促費ゼロでの無料集客が可能です。ここまで行えれば会社の利益率は圧倒的に向上するため、努力できる経営者はここまで目指すようにしましょう。


法人コスト削減法の中でも、損害保険(自動車保険、賠責・工事保険、取引信用保険、火災保険)の削減を考えるのは重要です。そこで、専門業者を利用することで損害保険の一括見積をしましょう。

新規加入は当然として、既に法人用の損害保険に加入している場合であっても、こうした見積もりによって大幅に損害保険の金額を下落できます。

もちろん、法人によって加入している保険や必要な保険は異なります。そこで必要な損害保険の値下げを考えましょう。損害保険は内容を同じにしつつ、さらなる値下げが可能であるため、いますぐ大幅なコスト削減が可能です。

【自動車保険】

車を法人所有している場合、法人自動車保険の契約・乗り換えをしましょう。自動車保険は高額であるため、コスト削減の威力は大きいです。

【火災保険】

店舗経営者やオフィスを利用している法人であれば、ほとんどの人で火災保険に加入しています。そこで一括見積をすれば、一瞬で保険料の減額が可能です。

【賠償責任保険・工事保険・労災上乗せ保険】

賠償責任保険や工事保険、労災上乗せ保険など、損害賠償に備えるための保険は多くの会社で必須です。ただ賠償額が大きいと保険金額も高くなります。そこで、これら賠償責任保険や工事保険、労災上乗せ保険の見直しをして無駄な経費を抑えましょう。

【貨物保険】

貨物自動車の運送事業者について、お客さんから預かった荷物が輸送中に破損してしまうリスクがあります。そこで、物流に関わる事業をしている会社にとって貨物保険は必須です。

【取引信用保険】

法人経営でよくあるリスクが取引先の倒産や一定期間の支払遅延などの債務不履行です。これによって連鎖倒産してしまいますが、取引信用保険を利用すれば貸倒損失リスクを軽減できます。特に売掛金が多い場合、取引信用保険を活用しましょう。