ビジネスをするとき、どれだけ経費削減できるのかは重要です。そうしたとき、内製化によって経費削減できないか考える経営者がいます。
ただ非常に特殊な状況を除いて、内製化によるコスト削減は無理です。実際のところ、経費削減では内製化ではなく、積極的にアウトソーシングすることで外注化したほうがいいです。内製化の逆をするほうが固定費削減になるのは常識です。
それでは、なぜアウトソーシングのほうが経費削減になるにも関わらず、わざわざ内製化をする会社が存在するのでしょうか。もちろん、これには理由があります。
内製化にはメリットがあれば、デメリットもあります。そこで、どのような場合が内製化に適しているのか理解したうえでビジネスモデルを組むようにしましょう。
もくじ
一般的な経費削減法はアウトソーシング
経費削減をするとき、最も一般的な経費削減の方法の一つが外注化です。積極的にアウトソーシングをすることによって、コストカットをするのです。
外注化すれば、余計なリソースをもつ必要がなくなります。社員の採用コストは高いですが、外注化すれば完全成果報酬による変動費になります。プロに依頼するものの、余計な費用をかける必要がありません。
例えば私の会社では、自社商品を開発して販売しています。このとき、商品開発会社(OEM会社)に何度も出向き、以下のように打ち合わせを重ねました。
つまり、商品作成について私の会社はOEM会社にすべて外注しています。もし、内製化によってすべて自社で商品を作るとなるとどうでしょうか。職人を雇い、工場をもち、あらゆる新規投資をしなければいけません。
これらの投資なしにリスクなく商品開発できます。私の会社が商品を作る工程をすべて外注化している理由がこれです。
また私の会社では、自社倉庫がありません。商品管理はすべて倉庫会社に依頼しています。商品の注文があったとき、倉庫会社に遠隔で依頼し、発送してもらっています。これによって賃貸倉庫の費用が不要であり、倉庫管理の人員を雇う手間も省けます。
商品販売(マーケティング)の部分だけ、私の会社がしています。このように、できるだけ外注化することで無駄なコストを省いています。
内製化が固定費削減につながることはほぼない
実際のところ、内製化が固定費削減につながることはほぼないと考えましょう。いままで外注化していた業務を自社で行うとなると、以下のようにさまざまなコストがかかるようになります。
- 人材の採用・維持
- 人材の教育
- 新たなオフィスの契約
- 新規物品の購入
一方でアウトソーシングであれば、これらを用意する必要がありません。すべてアウトソーシング先の会社が用意しており、それらをプロの彼らがしてくれます。そのため、内製化するよりも圧倒的に安上がりになるのです。
事実、あらゆる大企業が業務の大部分を外注化しています。例えば、大手建築会社は建物を建てていません。彼らは全国から集客をした後、地元の工務店にすべての業務を丸投げしています。大手建築会社は集客に徹し、下請けに投げるビジネスモデルを採用しているのです。
もし、全国の各エリアすべてに事務所を構え、人を雇うとなると、とんでもない維持費がかかります。それらを省いてすべて下請けに投げるからこそ、無駄な固定費がかからず利益を出すことができるのです。決して、大手建設会社は内製化によって全国拠点を持とうとは考えません。
こうした世の中で行われているビジネスモデルを眺めてみると、なぜ内製化で経費削減できないのか理解できるはずです。
ビジネスをするとき、コア事業だけに特化している会社だけが高利益体質です。コアとなる一つのビジネスだけを行い、他はすべて外注化しなければいけません。
不景気で仕事が減ったときは例外的に利益が上がる
ただ例外的に、内製化によって利益が増えるパターンがあります。それは、不景気のときです。不景気によって仕事が減った場合、例外的に内製化によって利益が上昇するケースがあります。
前述の通り、通常であれば人件費が増え、設備投資が必要になるため、内製化によってコストは大幅に増えます。それにも関わらず、なぜ不景気だと内製化によって利益が増える可能性があるのでしょうか。それは仕事がないと、社員を遊ばせていることになるからです。
仕事が減って社員の働く時間が激減したとしても、給料は固定費として毎月同じ金額を支払わなければいけません。それなら、外注費としてお金を支払うよりも、時間的に余裕のある社員に仕事を振り分けたほうがパフォーマンスは上がります。
もちろん高額な設備投資が必要ないという条件がなければいけません。ただ、既にある社内リソースで何とか内製化できそうな場合、仕事を外に投げるよりも安上がりになります。
新規ビジネスでコア事業になる場合は内製化するべき
ただ、もちろん内製化が経費削減にならないからといって、内製化するのが悪いわけではありません。固定費削減にならないだけであって、新規ビジネスとしてコア事業を拡大させたい場合は内製化すれば問題ありません。
例えばリフォームの案件をメインで取り扱っている会社がゼロから勉強し、外構工事(エクステリア工事)や家の解体に関する事業をしても問題ありません。それまで他の会社に流していた仕事について、自社で受注するようにするのです。
この場合、案件受注によって得たお金はすべて自社に入ります。もちろん、コスト削減という目的ではなく新規事業の立ち上げのための内製化です。
内製化というのは、あくまでも完全なる新規事業を作ることでお金を得るために行います。コスト削減の目的ではありません。だからこそ新たな人員採用や設備投資が必要になるのです。コストは増えるものの、それ以上の収益を出すことで、利益を出すように努力するのが内製化です。
内製化後、他の人から仕事を受けて利益を上げる
そうして新たなコア事業を作った後、集客することで多くの仕事を受けて利益を上げるようにしなければいけません。これが、内製化するときの正しい経営判断の考え方です。
- コスト削減;アウトソーシングする
- 新規事業の立ち上げ:内製化する
この違いを必ず理解しましょう。前述の通り仕事が少なくなった場合、例外的に内製化によって経費削減できるケースはあります。ただ稀であり、一時的なコスト削減でしかありません。そのため、そこまで大きな意味はありません。
そこで、どのようなときにアウトソーシングが最適であり、どの場面で内製化するべきなのか理解するようにしましょう。
内製化を図る意味を理解する
大企業を含め、なぜほぼすべての会社が積極的に外注化を採用しているのかを学べば、アウトソーシングがコスト削減に最適であることが分かります。その逆である内製化をすると、人員増や教育コストの増加、新たな設備投資などによって大幅に固定費が増えてしまいます。
内製化によって経費削減するのは、特殊な事例を除いてほぼ不可能だと理解しましょう。コスト削減をするためには、内製化ではなく外注化でなければいけません。
ただ新規ビジネスとしてコア事業を立ち上げたいのであれば、内製化は一つの戦略だといえます。新規投資によって新たにビジネスを作り、コスト増となった費用よりも多くの売上を出すことができれば、それが利益として残ります。
内製化を図るとき、新規ビジネスのスタート目的以外は基本的にあり得ないと考えましょう。この事実を理解したうえで、内製化を図るときはコスト増以上に儲かるかどうかを考え、正しい経営判断をする必要があります。
法人コスト削減法の中でも、損害保険(自動車保険、賠責・工事保険、取引信用保険、火災保険)の削減を考えるのは重要です。そこで、専門業者を利用することで損害保険の一括見積をしましょう。
新規加入は当然として、既に法人用の損害保険に加入している場合であっても、こうした見積もりによって大幅に損害保険の金額を下落できます。
もちろん、法人によって加入している保険や必要な保険は異なります。そこで必要な損害保険の値下げを考えましょう。損害保険は内容を同じにしつつ、さらなる値下げが可能であるため、いますぐ大幅なコスト削減が可能です。
【自動車保険】
車を法人所有している場合、法人自動車保険の契約・乗り換えをしましょう。自動車保険は高額であるため、コスト削減の威力は大きいです。
【火災保険】
店舗経営者やオフィスを利用している法人であれば、ほとんどの人で火災保険に加入しています。そこで一括見積をすれば、一瞬で保険料の減額が可能です。
【賠償責任保険・工事保険・労災上乗せ保険】
賠償責任保険や工事保険、労災上乗せ保険など、損害賠償に備えるための保険は多くの会社で必須です。ただ賠償額が大きいと保険金額も高くなります。そこで、これら賠償責任保険や工事保険、労災上乗せ保険の見直しをして無駄な経費を抑えましょう。
【貨物保険】
貨物自動車の運送事業者について、お客さんから預かった荷物が輸送中に破損してしまうリスクがあります。そこで、物流に関わる事業をしている会社にとって貨物保険は必須です。
【取引信用保険】
法人経営でよくあるリスクが取引先の倒産や一定期間の支払遅延などの債務不履行です。これによって連鎖倒産してしまいますが、取引信用保険を利用すれば貸倒損失リスクを軽減できます。特に売掛金が多い場合、取引信用保険を活用しましょう。