個人事業主や法人について、ビジネスをする場合はすべての人にとって重要なのが損害保険です。損害保険の中でも、自社の損害について備える保険(火災保険など)ではなく、他の人への損害について備える保険があります。

こうした損害保険としては施設賠償責任保険やPL保険(生産物賠償責任保険)、リコール保険などが知られています。他人への損害については、この3つの損害保険が最も多く利用されています。

ただ、これら損害保険の違いについて理解している経営者は少ないです。ただ内容を知っておかないと、そもそも保険が必要かどうか判断できませんし、どのような場面で保険金請求をしてお金を下ろせばいいのかも分かりません。

そこで損害保険の中でも、「他人に対する損害を補償する保険をどう考えればいいのか」について解説していきます。

賠償責任保険に施設賠償責任保険やPL保険がある

まず、賠償責任保険から内容を確認していきます。賠償責任保険には多くの種類があります。以下のようになっています。

  • 施設賠償責任保険
  • PL保険(生産物賠償責任保険)
  • 請負業者賠償責任保険
  • 受託者賠償責任保険

もちろん、他にも多くの種類の賠償責任保険があります。これら賠償責任保険の中には、以上のように施設賠償責任保険やPL保険があります。つまり施設賠償責任保険やPL保険というのは、賠償責任保険の一種と理解しましょう。

第三者への損害の補償が賠償責任保険

それでは、賠償責任保険は具体的にどのような特徴の損害保険になっているのでしょうか。これについて、賠償責任保険は「第三者に対する賠償責任を補償する保険」となります。

必ず補償対象が第三者(他人)である必要があります。そのため、経営者や社員がケガをしたとしても対象外です。第三者ではないからです。

ただ仕事をしていると、他の人に対して思いもよらず損害を与えてしまうことがあります。例えば、以下は過去に起こった実際のニュースです。

この店舗では食中毒が起こってしまい、結果として1.7億円の賠償命令が出されてしまいました。重要なのは、これらの事故を100%防ぐのは不可能なことです。要は、誰であってもこうしたトラブルに巻き込まれる可能性があるのです。

人の被害であれば数千万円・数億円での慰謝料になるのは普通ですし、対物であっても数百万円の賠償になるケースはよくあります。そうしたとき、賠償責任保険に加入していれば保険金でお金を出すことができ、倒産を回避できるようになります。

・リコール保険は賠償責任保険とは異なる

そうした視点でみると、リコール保険は賠償責任保険とは少し性質が異なります。製品回収に備えるのがリコール保険ですが、第三者に対する被害がなかったとしても、製品回収のときに発生する費用を負担してくれるのがリコール保険です。

ただ製品に何らかの不具合が起こったときに利用する損害保険であるため、賠償責任保険と比較したとき利用用途が非常に似ているといえます。

施設賠償責任保険やPL保険、リコール保険の違いは何か

なお、賠償責任保険の中でも最も頻繁に利用される損害保険が施設賠償責任保険とPL保険(生産物賠償責任保険)です。それでは、これら施設賠償責任保険やPL保険、リコール保険の違いとしては何があるのでしょうか。

大まかな概要を記すと、以下のようになります。

  • 施設賠償責任保険:施設や業務中の事故を補償
  • PL保険:商品提供後の事故を補償
  • リコール保険:商品回収の費用を補償

それぞれの損害保険の内容について、詳しく確認していきます。

施設賠償責任保険は施設や業務中の事故を補償する

賠償責任保険の中でも、最も多くの経営者で利用されているのが施設賠償責任保険です。理由は単純であり、非常に補償範囲が広いからです。施設賠償責任保険の対象としては、「施設に関する事故」「業務中に起こった事故」の2つがあります。

そのため、以下のような事故が起こったときに施設賠償責任保険を利用できます。

  • 店の看板が落ち、通行人がケガをした
  • スポーツジムの床が濡れており、利用客が転んで骨折した
  • 保育園で屋外を散歩中、園児がケガをした

これら施設や業務中の事故について補償対象になります。ビジネスであれば、ほとんどの会社で店舗や事務所、工場・倉庫などを用いてビジネスをします。また対面でお客さんにサービスを提供したり、外に出てビジネス活動をしたりすることもあります。

その場合、施設賠償責任保険が必須です。マンションの一室で仕事をしており、特に外出しないSE(システムエンジニア)やWebデザイナーなどであれば不要ですが、それ以外の業態では施設賠償責任保険を利用するのが基本です。

PL保険(生産物賠償責任保険)で商品提供後に備える

一方でPL保険(生産物賠償責任保険)は施設賠償責任保険と何が違うのでしょうか。これについて、PL保険は商品提供後を補償する損害保険になります。

施設賠償責任保険を利用できるのは、あくまでも施設や業務中の事故に限ります。サービス提供後の事故については対象外です。

ただ実際のところ、商品提供後に「製品から出火した」「食中毒が発生した」などの事態が起こることがあります。日本には製造物責任法(PL法)が存在するため、提供後の商品で不具合が起こった場合は賠償責任を負うことになります。

そうしたときに補償してくれる損害保険がPL保険です。

製造業や販売業、飲食店など何かしらお客さんに商品を提供している人の場合、PL保険が必要になります。また美容室などのサービス業であっても、ヘアケア製品などを販売している場合はPL保険へ加入するのが一般的です。

何も商品を製造・販売していない場合であれば、生産物賠償責任保険は不要です。ただ何かしら商品を売っているのであれば、商品販売後のリスクに備えるようにしましょう。

リコール保険で製品回収の費用を損害保険で出す

なお形ある商品を製造または販売している場合、何か商品に不具合が起こったときに商品回収をしなければいけません。例えば、以下のようなケースが考えられます。

  • 製造商品に明らかな不具合が発見された
  • 貼り付けたラベルに誤表示が発見された
  • 食品から基準値以上の農薬が検出された

既に何かしらの被害が発生している場合、当然ながら製品回収をしなければいけません。ただ製品回収では、特に被害が発生していなかったとしても、未然に被害の発生を防ぐためにリコールをするケースが頻繁にあります。

前述の通り、特に何かしらの被害が出ていなかったとしても、製品回収をすればリコール保険によって補償してもらえるようになります。

また重要なのは、リコールに伴う回収費用は賠償責任保険の対象外であることです。施設賠償責任保険やPL保険を利用することはできません。

被害者が出たかどうかに関わらず、リコール費用を賠償責任保険で補ってくれないため、リコール保険が重要になるというわけです。

製品提供していることが大前提なので、リコール保険が必要になるかどうかはあなたのビジネス業態によって異なります。ただ何かしか商品を製造または販売しているのであれば、リコール保険に加入することによってビジネスでのリスクに備えるようにしましょう。

請負業者賠償責任保険や受託者賠償責任保険などの保険もある

なお賠償責任保険の中でも、ここでは施設賠償責任保険とPL保険(生産物賠償責任保険)についてメインで解説してきましたが、先に少しだけ紹介した通り、別の賠償責任保険も存在します。

よく利用されるのは、特定の業界に特化した賠償責任保険です。例えば以下のような損害保険が該当します。

  • 病院特化の賠償責任保険:病院賠償責任保険
  • 運送業特化の賠償責任保険:運送業者貨物賠償責任保険
  • ホテル・旅館業の賠償責任保険:旅館賠償責任保険

その他にも、わりと有名なのが請負業者賠償責任保険です。主に工事業者で利用される賠償責任保険と考えましょう。

こうした専門特化の賠償責任保険を利用すれば、施設賠償責任保険としての機能だけでなく、業界特有の事故についても補償してもらえるようになります。

・物だけに対する賠償責任保険もある

また、他には受託者賠償責任保険という損害保険もあります。受託者賠償責任保険とは、「お客さんから預かった荷物への保険」になります。美容室やアミューズメントパークなど、お客さんから荷物を一時的に預かる場合は必要になる損害保険です。

受託者賠償責任保険では人への補償がなく、物への補償となります。こうした対物に特化した賠償責任保険もあります。

賠償責任保険やリコール保険の違いを理解する

このように、賠償責任保険には多くの種類があります。その中でもたくさんの会社が利用しており、有用性の高い損害保険が施設賠償責任保険とPL保険(生産物賠償責任保険)です。そこで、この2つの違いがどのようになっているのか認識しましょう。

ただそれだけでは不十分です。特にPL保険を利用するのであれば、製品回収についても考慮しなければいけません。そうなるとリコール保険が必要になります。PL保険とリコール保険はセットになりやすいです。

なお損害保険は重要ではありますが、あらゆる補償を加えればいいわけではありません。利用頻度の高い施設賠償責任保険やPL保険、リコール保険ではあっても、会社の状況や業態によって必要なケースがあればそうでない場合もあります。

そこで個人事業主や法人はこれらの違いを認識しましょう。あなたのビジネスにとって必要な損害保険を加えることによって、無駄な補償や支払いを抑えながらも、ビジネス上でのリスクを排除できるようになります。


法人コスト削減法の中でも、損害保険(自動車保険、賠責・工事保険、取引信用保険、火災保険)の削減を考えるのは重要です。そこで、専門業者を利用することで損害保険の一括見積をしましょう。

新規加入は当然として、既に法人用の損害保険に加入している場合であっても、こうした見積もりによって大幅に損害保険の金額を下落できます。

もちろん、法人によって加入している保険や必要な保険は異なります。そこで必要な損害保険の値下げを考えましょう。損害保険は内容を同じにしつつ、さらなる値下げが可能であるため、いますぐ大幅なコスト削減が可能です。

【自動車保険】

車を法人所有している場合、法人自動車保険の契約・乗り換えをしましょう。自動車保険は高額であるため、コスト削減の威力は大きいです。

【火災保険】

店舗経営者やオフィスを利用している法人であれば、ほとんどの人で火災保険に加入しています。そこで一括見積をすれば、一瞬で保険料の減額が可能です。

【賠償責任保険・工事保険・労災上乗せ保険】

賠償責任保険や工事保険、労災上乗せ保険など、損害賠償に備えるための保険は多くの会社で必須です。ただ賠償額が大きいと保険金額も高くなります。そこで、これら賠償責任保険や工事保険、労災上乗せ保険の見直しをして無駄な経費を抑えましょう。

【貨物保険】

貨物自動車の運送事業者について、お客さんから預かった荷物が輸送中に破損してしまうリスクがあります。そこで、物流に関わる事業をしている会社にとって貨物保険は必須です。

【取引信用保険】

法人経営でよくあるリスクが取引先の倒産や一定期間の支払遅延などの債務不履行です。これによって連鎖倒産してしまいますが、取引信用保険を利用すれば貸倒損失リスクを軽減できます。特に売掛金が多い場合、取引信用保険を活用しましょう。