電気代の消費が非常に多いビジネスに製造業があります。工場をもってビジネスをしている場合、稼働させているだけで多くの電力を消費します。それに伴って電力料金が高くなり、経費が大きくなって経営を圧迫するようになります。

この状況を改善するため、製造業では電気代削減を検討する経営者が多いです。一般的に製造業の利益率は高くないため、少し経費削減するだけで大きな効果を得られるようになります。

それでは、工場をもってビジネスをしている経営者はどのように考えて電気代を節約すればいいのでしょうか。

工場では一般的な節電方法があります。また、リスクなしに大幅に電気代を減らす方法もあります。製造業で必要な電気代のコスト削減方法について解説していきます。

製造業は消費電力が大きく、高圧での契約が一般的

人によってビジネス内容は異なりますが、工場の中には必ず機器類が存在します。これらが稼働することでビジネスを継続することができます。機器類を動かすためには、当然ながら電気を通す必要があります。これらの消費電力は非常に大きいです。

こうした製造業の場合、高圧電力での契約が一般的です。一般家庭は低圧での契約です。変圧器によって、100Vや200Vへすでに変換されている電気を利用するのが低圧です。

それに対して工場では、発電所から送られてくる6600Vなどの電圧の電気を利用します。そこで専用の変圧器を敷地内に設置し、高圧電力を利用できるようにします。低圧に比べると、高圧では1kWhあたりの利用料金単価が10~15円ほど安いです。

ただ単価が安かったとしても、電気の利用が非常に多いため、結果として電気代が高くなります。そのため、多くの経営者が節電アイディアを考えるようになります。

工場・倉庫は電気代の節電ポイントが多い

そうしたとき電気代を下げる、分かりやすい方法として節電があります。工場を省エネ化することで、電気の利用自体を下げるのです。その結果、コスト削減が可能になります。

一般的なビジネスとは異なり、工場では節電可能なポイントが多いです。一例を挙げると、以下のような対策が該当します。

  • 空調温度を調節する
  • 照明で人感センサーを利用する
  • 製造設備を省エネ化する
  • 太陽光発電・蓄電池を活用する

どのように電気代を抑えるのか確認していきます。

空調を調節し、温度を下げすぎない(上げすぎない)

工場であれば、ほとんどのケースで空調による温度管理をしています。このとき、クーラーの温度を下げすぎない(暖房なら上げすぎない)ことによって電気代を調節できます。

空調では、温度が1度違うだけであっても空調の電気代を5~10%ほど下げられるといわれています。それだけ、空調は電気代への影響が大きいです。工場でこのようにクーラーや暖房の電気代が大きいのは、単純に以下のように多くの空調機器が存在するからです。

もちろん、中には「冷蔵や冷凍の倉庫を保有している」など、法律の関係で温度を上げられないケースがあります。こうした場合は無理ですが、そうした工場であってもその他のエリアについては空調を調節することができます。

なお屋根に断熱材を利用し、熱が逃げにくいようにすることで、空調代の大幅な節約もできます。リフォーム代との相談にはなりますが、工場・倉庫の屋根に断熱材を設置することで、結果的にクーラーや暖房の料金が安くなります。

人感センサーを利用し、LED照明の使用量を減らす

使用する照明をすべてLEDに変えれば、電気代が安くなることが知られています。LED照明は高額ですが、省エネ製品への買い替えによってその後の電気代が安くなります。

なおLED照明に切り替えることについては、一般的な方法なので誰でも思い浮かべます。ただ工場や倉庫を保有している場合、LED照明を利用するだけでなく、人感センサーを利用することで無駄な電気代をカットするようにしましょう。

工場・倉庫で常に人が作業している場所以外では、一般的に人のいる確率は約20%です。つまり、80%ほどは人が誰もいないにも関わらず照明がついています。この電気代については、人感センサーを利用することで簡単に減らすことができます。

空調の調節に比べると、人感センサーの設置は社員満足度の低下になりにくいです。また機器類の総取り換えのように高額になりにくいため、費用対効果は優れています。

エアーコンプレッサーなど製造設備を省エネ・節電する

他に重要な項目が製造設備です。製造業である以上、製造設備の利用は欠かせません。このとき、工場や倉庫では製造設備が利用電気量の大半を占めています。

製造設備を止めることはできないため、空調や照明に比べると、製造設備の電気代削減は難しいです。ただ、製造設備を省エネ機器に交換することで節電することはできます。このとき、特に消費電力の大きい機器類に着目しましょう。

例えばエアーコンプレッサーがある工場では、消費電力全体の20~25%がエアーコンプレッサーになっていることはよくあります。

そこで電気効率の良い機器を導入します。もちろん費用対効果が重要になるため、いま利用している製造設備を取り換えることにより、どれだけ消費電力を減らせるのか比較するのは必須です。ただこうした省エネ機器に変えることで、節電によって経費を減らすことができます。

太陽光発電・蓄電池の有効活用

同じく費用対効果を検証する必要はあるものの、太陽光発電や蓄電池の設置は電気代節約に大きな威力を発揮します。

太陽光パネルを工場の屋根などに設置すれば、自動的に電気を生み出してくれるようになります。通常、太陽光パネルを設置して費用回収できるまでには10~15年ほどかかります。その後の電気代については、すべてプラスです。

こうした長期的目線に立ち、太陽光発電を活用することで電気代を浮かせるという手法は有効です。

または、蓄電池の活用も有効です。工場や倉庫の場合、太陽光発電によって得た電気は自社内ですべて消費するのが一般的です。そのため一般家庭のように、蓄電池に電気を貯めて売電することはほぼありません。

ただ夜間電力は昼間の電気代に比べて圧倒的に安いという特徴があります。昼間と夜の電気代を比べると、1kWhあたり10円以上も違うのは普通です。電力会社はできるだけ出力を落としたくないため、夜の電気代を安くすることで需要を大きくしようとするのです。

そのため夜間に蓄電池に電気を貯めておき、その電気を昼に利用することで大幅に工場の電気代を安く抑えることができます。

基本料金は電力会社を見直しで下がる

このように節電アイディアはいくつもあります。ただ製造業でこれら電気代削減のアイディアを実践したとしても、電気の使用量しか下げることができません。

電気代には、電気の使用量だけでなく基本料金が存在します。電気を利用しても利用しなかったとしても、費用を課せられるのが基本料金です。製造業では想定される電気の使用量が大きいため、基本料金は非常に高額です。

いくら電力料金を下げる努力をしたとしても、基本料金を下げられなければ大幅なコスト削減はできません。そこで基本料金を見直すために、利用する電力会社の見直しをしましょう。

安い電気料金の会社に乗り換えするだけで、一瞬にして大幅な電気代を削減できます。省エネ化の努力をすることなく、苦労せずに電気代を落とせるのが電力会社の見直しです。

リスクなしにて、工場の電気代削減を行う

また電力は品質の違いがないため、「リスクなしに電力会社を切り替えできる」という利点があります。それでは具体的に、いくらの金額を削減できるのでしょうか。

会社によって工場や倉庫の規模が違うため、一概にはいえません。ただ例として、以下に「富山にある食品加工工場にて電気代削減を行うために、50社以上の電力会社で競争入札したときの結果」を示します。

社員17人ほどの小規模の工場ですが、それでも年間の電気代は459万3812円です。そこで電力会社の見直しをした結果、年間の基本料金を約107万円から約43万円に削減でき、6割引を実現できました。1kWhあたりの単価については、今回は安くならなかったものの、基本料金が大幅に下がりました。

こうして、この工場の場合は年間で約64万円(削減率は約14%)が可能になりました。節電アイディアは特に実施していないものの、電力会社の切り替えだけで大きな経費削減が可能になります。

複数の方法にて工場・倉庫の電気代を抑える

1つの施設だけであったとしても、非常に高額な電気代になるのが工場や倉庫です。中小企業であっても年間の電気代は何百万円にもなるため、少しのアイディアによって大幅に電気代を削減できるようになります。

一般的な方法としては、できるだけ電気を利用しない対策を取ることがあげられます。そのためには空調や照明、製造設備などを見直したり、太陽光・蓄電器の導入を検討したりしましょう。

またすべての製造業にとって有効であり、リスクなしに電気代の基本料気を下げられる手法が電力会社の見直しです。基本料金を半分以下にできる唯一の手法なので、競争入札を実施することで法人経費を下げるようにしましょう。

これらはいますぐ行える経費削減の方法です。コスト削減をすることで、年間の利益額がまったく違うものになります。


法人コスト削減法の中でも、損害保険(自動車保険、賠責・工事保険、取引信用保険、火災保険)の削減を考えるのは重要です。そこで、専門業者を利用することで損害保険の一括見積をしましょう。

新規加入は当然として、既に法人用の損害保険に加入している場合であっても、こうした見積もりによって大幅に損害保険の金額を下落できます。

もちろん、法人によって加入している保険や必要な保険は異なります。そこで必要な損害保険の値下げを考えましょう。損害保険は内容を同じにしつつ、さらなる値下げが可能であるため、いますぐ大幅なコスト削減が可能です。

【自動車保険】

車を法人所有している場合、法人自動車保険の契約・乗り換えをしましょう。自動車保険は高額であるため、コスト削減の威力は大きいです。

【火災保険】

店舗経営者やオフィスを利用している法人であれば、ほとんどの人で火災保険に加入しています。そこで一括見積をすれば、一瞬で保険料の減額が可能です。

【賠償責任保険・工事保険・労災上乗せ保険】

賠償責任保険や工事保険、労災上乗せ保険など、損害賠償に備えるための保険は多くの会社で必須です。ただ賠償額が大きいと保険金額も高くなります。そこで、これら賠償責任保険や工事保険、労災上乗せ保険の見直しをして無駄な経費を抑えましょう。

【貨物保険】

貨物自動車の運送事業者について、お客さんから預かった荷物が輸送中に破損してしまうリスクがあります。そこで、物流に関わる事業をしている会社にとって貨物保険は必須です。

【取引信用保険】

法人経営でよくあるリスクが取引先の倒産や一定期間の支払遅延などの債務不履行です。これによって連鎖倒産してしまいますが、取引信用保険を利用すれば貸倒損失リスクを軽減できます。特に売掛金が多い場合、取引信用保険を活用しましょう。