夜の店を経営している人はたくさんいます。キャバクラやスナック、ガールズバー、ホストクラブ、ナイトクラブなど、水商売の形態はそれぞれ異なります。ただいずれにしても、夜の店を経営することでビジネスを動かしているのです。

こうした店舗の場合、少し工夫することで高額な費用削減が可能になります。その結果、水商売の経営が非常に円滑になります。

コスト削減の対策を実践することで、一瞬にして年間300~1,000万円以上の無駄な経費や税金を抑えることができます。そのため、水商売ならではのコスト削減法や節税として何があるのか理解しなければいけません。

そこで、どのように考えて水商売経営でのコストを大幅に削減すればいいのか解説していきます。

コスト削減で重要な事業所得と給与所得

多くの水商売では、キャストの人件費が非常に高額になりやすいです。ナイトクラブは例外として異なりますが、キャバクラやスナック、ガールズバー、ホストクラブなどの形態だと、接客するスタッフへの支払いが非常に高額になるのです。

ただ、この費用を削るのは不可能です。キャストやスタッフが働いてくれているからこそ、店に多くのお客さんが来店して売り上げを作れるようになるからです。

ただ、このとき非常に高額な税金がのしかかるようになります。それが消費税です。キャストへの支払いが高額だと、必然的に消費税が高くなるのが日本の税制です。

通常、経費を支払えばその分だけ支払う消費税を減らすことができます。経費の支払いでは、通常は費用の中に消費税が含まれているからです。

しかし給料については、支払ったお金の中に消費税が含まれていません。給料を支払うとき、消費税分をプラスして支給することはしないと思います。ここから、給料に消費税が含まれていないことを理解できます。

給料に消費税が含まれていないため、いくらスタッフへの支払いが多くなったとしても、その分の消費税を減らすことができません。経費にすることで法人税を減らすことはできても、消費税については減額できないのです。これが、水商売で異常なほど消費税が高くなる理由です。

事業所得なら消費税の節税が可能

そこで水商売で最も重要なコスト削減策としては節税があります。無駄な税金を減らすために、キャストへの待遇を「キャストにとって給与所得ではなく、事業所得(外注スタッフとしての扱い)になる」ようにしましょう。外注費であれば、支払ったお金について法人税を減らせるだけでなく、消費税も減らすことができます。

例えば売上300万円があるとします。ここから100万円の給料を支払ったとしても、前述の通り消費税を減らすことができないため、300万円に対して消費税を課税されます。

一方で、スタッフに対して外注費として支払えば、このときの経費100万円を差し引いて200万円に対してのみ消費税がかかります。このように、スタッフの勤務形態を変えるだけで節税額が大きく変わります。

なお個人事業主として活躍することになるキャストについて、売上収入が年間1,000万円以下であれば消費税無税なので、この方法なら誰も消費税を払わなくても問題ありません。

給与所得に認定されないキャバクラやホストでの要件

それでは、何でもいいから外注費として計上すればいいかというと、そういうわけではありません。実際の「支払っている形態」が外注でなければいけません。

例えば、以下のような形態だとほぼ確実に税務調査で否認されます。

  • 給与明細を作っている
  • 時給形式でお金を支払っている
  • 業務委託契約書がない

アルバイトなどの給与所得であれば、時給〇円(または日給)で計算します。またアルバイトだと、勤務時間や曜日が店側で明確に管理されています。

一方で外注では成果報酬で勤務します。時間給ではなく、どれだけ売上を出したのかによって報酬が変動します。もちろんキャバクラやホストクラブなどではインセンティブを設けていることは多いです。ただそれでも、時給や日給に上乗せしてのインセンティブでは、外注費とはみなされません。

あくまでも一般的なアルバイトと同じ扱いではダメであり、業績に応じた報酬支払いが適切です。また出勤時間を厳格に管理するのではなく、おおざっぱな出勤形態に設定するといいです。

イメージとしては、個人事業主として働いている大工(一人親方)やシステムエンジニア(SE)を考えれば分かりやすいです。彼らは働く日は決められているものの、出勤時間はある程度まで自由です。また、給料ではなく成果に応じて報酬が支払われます。

さらに、業務契約書などを交わしています。これと同じように、キャバクラやスナック、ガールズバー、ホストクラブなどでスタッフに支払う報酬についても、外注費として計上して問題ないように準備しましょう。

いくら業務委託契約書を結んだとしても、その実態が給料支払いと同じであれば否認されるため注意しましょう。

水商売では、一般的に売り上げのうち40~50%が人件費です。これだけ高額な人件費支払いについて、消費税を削減できるかどうかは非常に重要なコスト削減のポイントだといえます。

電気代の削減で高額な経費削減が可能

こうして消費税の節税を実践するだけでも、水商売の経営者は高額なコスト削減が可能になります。それでは、他に経費削減できる項目はあるのでしょうか。これについては、電気代を削減するようにしましょう。

水商売の場合、どうしても電気代が高くなってしまいます。例えばキャバクラであれば、店内の照明は豪華になりがちです。また店内の照明が暗かったとしても、お客さんのために空調温度の調節は必須ですし、製氷機など電気代を取られる機器が意外とたくさんあります。

そのためどうしても電気代が高くなりますが、これらの節電は水商売という関係上無理です。そうしたとき、電力会社を見直すことによって、大幅な経費削減を実現することが可能です。

新電力会社を含め、電気代の見直しを実施するだけで1~2ヵ月以内に10~30%の電気代削減が可能です。平均して15%の電気代削減が可能であり、もちろん複数店舗をもつほど威力が大きくなります。

例えば、以下は3店舗を経営する法人での「電気代削減に関する最終見積もり提案」です。

この法人では3店舗合計で月36万2077円の電気代支払いでした。それが月32万3794円に減り、合計で月に約3万8000万円を削減しました。年間では約46万円の固定費削減になります。

キャバクラ、スナック、ガールズバー、ホストクラブ、ナイトクラブなど、これら夜の店は一般的に利益率が高いといわれています。ただ、それでも年間で約46万円の固定費は、10年で約460万円にも膨れ上がります。当然、資金繰りにも大きく影響します。

電気代削減策はほぼデメリットがない手法であるため、電気代を多く使っているナイトビジネスの経営者はいますぐ実施しましょう。

店舗の構造を見直してコスト削減を考える

他には、店舗構造の見直しができないか考えるようにしましょう。既に店舗を契約してナイトビジネスをしている人の場合、店舗の構造自体を変えるのは難しいです。ただ、店でどこに何を置くのかなど、配置を調整することは可能です。

例えば製氷機が小さいため、忙しい日に氷が切れることで、近くの店にスタッフが買いに行っていることはないでしょうか。そうなると、その時間はスタッフが接客することができなくなり、大きなロスにつながってしまいます。氷の購入費用も必要です。

また、洗い物がすぐにキッチンにいっぱいとなり、洗い物を済まさなければお客さんを通せない状況に陥ってはいないでしょうか。この場合についても、当然ながら大きなロスとなっています。

このとき洗い物について、高い人件費が必要なキャストが担当していては非効率です。例えばある店では、グラスや皿についてまったく洗わず、キッチンスペースに積み重ねるだけにしています。そうして閉店後、昼に掃除の人がすべての作業をします。

こうしてキャストが接客だけに専念すれば、より売り上げが上昇して利益を作れるようになります。ホールからのクレームも少なくなります。あくまでも一例ですが、人件費が高い水商売だからこそ、スタッフが接客だけに専念できる環境を作るようにしましょう。

水商売のコスト削減・固定費削減は可能

利益率が高いといわれているのがナイトビジネスです。ただ、キャバクラやスナック、ガールズバー、ホストクラブ、ナイトクラブが簡単に儲かるかというと、そういうわけではありません。景気に左右されますし、スタッフの人件費は非常に高いです。

ただ、人件費を削ることはできません。そこで、他の部分で無駄な経費削減を検討するようにしましょう。水商売の経営者がいますぐ行うべきことが以下になります。

  • 外注化による消費税の節税
  • 電力会社の切り替え
  • 店舗構造の見直し

これらすべてを実施するだけで、年間の利益額が一瞬にして数百万円ほど上昇するのは普通です。もちろん店舗が多い法人であれば、数千万円レベルでのコスト削減になります。そこで、積極的に経費削減・固定費削減を推し進めるようにしましょう。


法人コスト削減法の中でも、損害保険(自動車保険、賠責・工事保険、取引信用保険、火災保険)の削減を考えるのは重要です。そこで、専門業者を利用することで損害保険の一括見積をしましょう。

新規加入は当然として、既に法人用の損害保険に加入している場合であっても、こうした見積もりによって大幅に損害保険の金額を下落できます。

もちろん、法人によって加入している保険や必要な保険は異なります。そこで必要な損害保険の値下げを考えましょう。損害保険は内容を同じにしつつ、さらなる値下げが可能であるため、いますぐ大幅なコスト削減が可能です。

【自動車保険】

車を法人所有している場合、法人自動車保険の契約・乗り換えをしましょう。自動車保険は高額であるため、コスト削減の威力は大きいです。

【火災保険】

店舗経営者やオフィスを利用している法人であれば、ほとんどの人で火災保険に加入しています。そこで一括見積をすれば、一瞬で保険料の減額が可能です。

【賠償責任保険・工事保険・労災上乗せ保険】

賠償責任保険や工事保険、労災上乗せ保険など、損害賠償に備えるための保険は多くの会社で必須です。ただ賠償額が大きいと保険金額も高くなります。そこで、これら賠償責任保険や工事保険、労災上乗せ保険の見直しをして無駄な経費を抑えましょう。

【貨物保険】

貨物自動車の運送事業者について、お客さんから預かった荷物が輸送中に破損してしまうリスクがあります。そこで、物流に関わる事業をしている会社にとって貨物保険は必須です。

【取引信用保険】

法人経営でよくあるリスクが取引先の倒産や一定期間の支払遅延などの債務不履行です。これによって連鎖倒産してしまいますが、取引信用保険を利用すれば貸倒損失リスクを軽減できます。特に売掛金が多い場合、取引信用保険を活用しましょう。