大幅にコスト削減する方法として、業務委託があります。外注として、社外に仕事をアウトソーシングしてしまうのです。

ダメな経営の典型例として、すべて自分たちで業務を頑張ろうとすることがあります。ただ自分たちでゼロから技術を得るのは時間がかかりすぎるため、そうではなく積極的に外注化しましょう。

アウトソーシングを積極的に行えば、人件費を大幅に削減できるだけでなく、無駄な税金まで省けるので固定費削減の効果は大きいです。それに伴い、どのような業務であればアウトソーシング可能なのかを理解するようにしましょう。

コアではない事業(ノンコア事業)を積極的に業務委託するだけで、高利益体質になります。そこで、具体的な方法を解説していきます。

人件費を大幅に削減できる外注化

法人経営者や個人事業主にとって、非常に高額な経費が人件費です。人件費が高額なために、ビジネスでの利益を大きく押し下げてしまうのです。

もちろん会社ごとに設定している給料は異なりますが、日本人の平均年収は約450万円です。また、社員がビジネスをするために会社の必要経費を利用したり、会社が福利厚生を整えたりすると、一人の社員を雇うためには年収の二倍の費用が必要になると一般的にいわれています。

そのため単純計算すると、一人の従業員の採用コストは年間900万円です。ここから一人の社員を採用するのではなく、なぜアウトソーシングが効果的か容易に理解できます。外注費として年間900万円を支出すれば、かなり優れた外注先からのサービスを受けられるのは誰でも予想できます。

またアウトソーシング先は当然ながら、その業務を専門でしている専門家です。そのため、あなたの社員が行うよりも仕事の質が優れていることはよくあります。

従業員を採用するよりも、業務委託を進めることで仕事を他の人に振っていくようにしましょう。これに着目するだけで、中小企業であっても年間で数千万円の固定費削減になるのは普通です。

固定費でなく変動費になる

また業務委託契約を推し進めることが優れているのは、外注費が固定費ではなく変動費になることです。もちろん外注の種類によりますが、成果報酬での支払いになるのです。

従業員として雇う場合、毎月決まった給料の支払いが必要になるため、固定費になります。社員が優れた働き方をしたとしても、パフォーマンスが悪かったとしても、同じ額のお金が会社から消えていってしまいます。

一方でアウトソーシング化をすれば、外注先が仕事を完了した分だけ成果報酬でお金を支払うので変動費になります。

例えば、私の会社は当サイトを運営していることからも分かる通り、ビジネス内容の一つとしてサイト運営があります。サイトを運営するためには、Webの仕組みを構築したり、デザインをしたりしなければいけません。

ただ私はシステムエンジニアではないため、プログラムを作ることはできません。また、デザイナーではないのでWebデザインは私にとって意味不明です。そこで、これらの作業はすべて外注しています。すべての仕事が完了した後、以下のように請求書が送られてくるため、お金を支払います。

上記は24万円の請求書です。24万円とはいっても、毎月支払っているのではなく単発での支払いです。合計すると、彼(この外注先)に支払っている費用は年間100万円ほどです。しかも、プログラミングやWebデザインに必要なパソコンやソフトはすべて彼が用意しているため、この金額以上の経費は発生しません。

もし、私が「社員としてプログラマーやデザイナーを雇っている場合」だとどうでしょうか。外注に比べると、圧倒的に無駄なコストをかけていることになります。しかも従業員では教育が必要になるものの、それすらありません。

アウトソーシングはむしろ普通であり、コスト削減では「社員を雇うのは最後の手段」と考えるほうが適切です。

社会保険料と消費税を節税可能

さらにいうと、外注化で省ける無駄なコストは人件費だけではありません。節税という面でも業務委託のほうが優れています。つまり、節税できる分だけさらなるコスト削減が可能になるのです。

給料としてお金を支払う場合、会社は社会保険料として給料の約15%を負担しなければいけません。社員の給料が高くなれば、それだけ社会保険料の負担が大きくなります。

また給与支払するお金については、消費税は含まれていません。そのため社員に給料を支払ったとしても、法人税は減るものの、消費税の課税を減らすことはできません。

それに対して、外注であれば給料ではないので社会保険料を支払う必要はありません。また、支払うお金については、外注なので消費税が含まれるお金になります。そのため同じ金額のお金を支払うにしても、まったく消費税額が異なるようになります。

例えば社会保険料15%、消費税10%だとすると、年収450万円の社員は外注と比べて以下の無駄な税金が上乗せされます。

  • 450万円 × 25% = 112万5,000円

そのため年収450万円の従業員を雇う場合、この税金や前述の福利厚生などまで含めると年間コストは軽く1,000万円を超えますが、これらを外注化することで費用を大幅に圧縮できるようになります。

アウトソーシング可能な業務はほぼすべて

それでは、どのような業務内容であればアウトソーシングできるのでしょうか。当然ながら、業務委託が最適な分野があれば、そうでない分野もあります。

また多くの人が「アウトソーシングに向いていない」と考えている分野であったとしても、積極的に外注化したほうがいいケースもあります。例えば、あなたの本業に関わる分野についても、積極的に外注化するのが最適です。

具体的にアウトソーシング可能な業務としては以下があります。

  • 専門外の分野
  • 経費や財務、秘書などの事務関係
  • ノンコア業務

実際のところ、あなたの会社がしている業務の大部分は外注化が可能です。そこで、積極的に業務委託するように考えましょう。

専門外はすべてアウトソーシングが大原則

大原則として、専門外の業務はすべてアウトソーシングしなければいけません。これについては、特に意識しなくても多くの人が既に行えているのではと思います。

すべて自社内で行おうとすることほど、無駄なことはありません。外部の専門家に目を向ければ、非常に多くのプロフェッショナルが存在しているからです。

例えば私の会社では、自社商品を開発して全世界で販売しています。ただ、私はデザイナーではありませんし、自社工場をもっているわけでもありません。ただ世の中には、独自商品の開発を手伝ってくれる会社(OEM会社)が存在します。

そこで私は以下のように、OEM会社に出向いて何度か打ち合わせを行い、自社商品を開発しました。

外注先としてOEM会社に依頼することで、私は独自にデザイナーや作業員、工場などをもつ必要がありません。専門外のことについては、完全に外注化してしまったほうが圧倒的に安上がりです。それでいて、品質の高い商品を作れるようになります。

経費・税務や秘書業務、事務関係の外注で固定費を削減する

他にも外注するべき分野があります。それが事務関係です。多くの会社では経理担当がいます。会社によっては、秘書業務を担当する社員を雇っていることがあります。また、電話を受ける事務スタッフが何人もいるケースは多いです。

ただ、これらの社員は本当に必要でしょうか。もちろん経理・税務関係を担う人材が必須なのは間違いありません。ただ、外注スタッフでも問題なくはないでしょうか。例えば経費申請での紙を全廃し、すべてネット上での申請に移行すれば、社内スタッフではなく外部スタッフが作業を担ってもまったく問題ありません。

またいまでは、多くの秘書代行会社が存在します。スケジュール管理を社内スタッフが行う意味はゼロであり、外注でいいのではと思います。また独自にコールセンターをもつ外部会社はたくさん存在するため、自社でカスタマーセンターを設ける意味はありません。

事実、大手企業のコールセンターはほとんどが外注です。これは、「外注に出したほうが圧倒的に経費削減できる」と大手企業は知っているからです。同じように、中小企業や個人事業主も積極的に電話受付業務を外注するようにしましょう。

そのように考えると、自社にて事務スタッフを雇用する意味はほぼないと理解できます。事務関係については、ほぼ外注化するのが正しい経営戦略だといえます。

・人事評価など外注が無理な事務関係もある

もちろん事務関係のすべてを外注化できるわけではありません。業務委託に適さない分野もあります。その一つが人事です。人事評価や採用など、これらの業務は外注化が不可能です。自社社員を評価したり、採用したりするのを外部機関に任せる経営者は存在しません。

ただ、こうした例外はあるものの、ほとんどの作業を外部委託できる事実は変わりません。経理や秘書、総務など、可能な限り外注化していくようにしましょう。

ノンコア業務(本業と少し重なる部分)の外注化はビジネスの基本

さらに、「本業に関わるけれどもコアではない業務(ノンコア業務)」についても積極的に外注化していくのが最適です。本業のすべてを自分たちだけで行うほど、非効率なことはありません。

実際のところ、世の中のビジネス形態をみると、本業に関わる内容の大部分を外注化している大企業がほとんどです。例えば、大手建築会社はどのようなビジネスモデルになっているでしょうか。大手建築会社に所属している社員が実際に現地に出向き、土木工事をするでしょうか。

もちろん、そういうことはありません。大手建築会社は仕事を受注した後、下請け会社にすべての仕事を丸投げします。実際に工事をするのはすべて下請けであり、大手建築会社は集客だけをしています。

このように分業することで、大手建築会社としてはすべての都道府県に事業所をもち、大量の社員を雇う必要がなくなります。積極的に外注化しているからこそ、集客に徹することができるのです。

また大手コンビニチェーンはどのようなビジネスモデルでしょうか。彼らはフランチャイズによって、会社の看板を貸すことでロイヤリティー収入を得るのがメインです。決して、すべて自社にて店舗を保有しようとは考えません。フランチャイズとして、多くの外注先を保有しています。

大手コンビニチェーンは物流を含めた業務効率化や商品開発に徹しています。実際に何万という店舗を構え、社員を雇おうとは考えません。このように、本業ではあってもその大部分を外注化している大企業がほとんどだと理解できます。

これと同じように、中小企業も本業の多くを外注化できます。自社ですべての仕事を抱え込むのではなく、業務委託によって他の専門家にノンコア業務を任せるようにしましょう。

唯一、コア技術だけは業務委託できない

ただ唯一、コア技術に関わる部分だけは業務委託することができません。例えば前述の通り、大手建築会社は集客に関わる部分がコア業務です。建物を建てることがコア業務ではありません。コンビニチェーンであれば、物流や商品開発がコア業務です。コンビニ店舗運営がコア業務ではありません。

他の事例だと、例えば保険会社のコア技術は保険商品の開発です。保険を売るのは、全国に存在する保険の代理店がすべて代行してくれます。保険が売れたら、保険の代理店に仲介手数料を支払うだけで問題ありません。営業や集客のほとんどを外注化して、保険商品の開発に注力しているのが保険会社です。

同じようにノンコア業務は積極的に外注化するものの、あなたはコア技術に特化するようにしましょう。そうしたとき、あなたでなければ不可能なビジネスは何でしょうか。

例えば私がしているビジネスとしてサイト運営があります。このとき、以下の業務はすべて外注化しています。

  • プログラムの作成
  • Webデザイン
  • お客さまの対応

例として、以下は私が保有する商業出版に関わるサイトです。

このサイト経由で「商業出版したい人」から問い合わせが来たとき、私が業務を受けることはありません。提携している出版コンサルタントがいるため、彼がお客さんにアポイントを取り、商談し、入金まで行います。その後、私は後で仲介手数料をもらいます。私は集客に特化して、実際の作業は別の専門家が受け持っています。

私にとって、出版コンサルタントの彼は外注先だといえます。また当然ながら彼は、私よりも出版業界に詳しく、人脈も広いので優れた仕事をしてくれます。一方で彼にとってみれば、私は集客代行してくれる外注先だといえます。私のコア技術は集客です。そのため、このように役割分担しています。

このように考えれば、社員を雇わなくても業務委託によって優れたパフォーマンスを発揮しながら、大幅な経費削減が可能になるケースは多いです。そこでコア業務だけを残して、ノンコア業務を積極的に業務委託しましょう。

ノンコア業務を効率化するべき

ビジネスをするとき、「自分が仕事をしない」という考え方は非常に重要です。本業のように思えたとしても、実はノンコア業務なので、あなたが自ら行わなくても問題ないケースは多いです。

大手建築会社が建物を建てていないのと同じように、またコンビニチェーンが店舗運営していないのと同じように、本当のコア業務は別の場所にあることが多いです。そこでコア技術は何かを見極めたうえで、それ以外はすべて外注化するようにしましょう。

雇う社員を減らし、アウトソーシングを積極的に推し進めるだけで、年間にして何千万円もの利益アップになるのは普通です。また社員の給料を減らすわけではなく、単に外部に仕事を投げるだけなので特に社内の不満が高まるわけではありません。

法人経営者や個人事業主として活動するとき、あなたが自ら行うべきではない業務は非常に多いです。これらをいますぐ見直すことで、大幅な経費削減・固定費削減が可能になります。


法人コスト削減法の中でも、損害保険(自動車保険、賠責・工事保険、取引信用保険、火災保険)の削減を考えるのは重要です。そこで、専門業者を利用することで損害保険の一括見積をしましょう。

新規加入は当然として、既に法人用の損害保険に加入している場合であっても、こうした見積もりによって大幅に損害保険の金額を下落できます。

もちろん、法人によって加入している保険や必要な保険は異なります。そこで必要な損害保険の値下げを考えましょう。損害保険は内容を同じにしつつ、さらなる値下げが可能であるため、いますぐ大幅なコスト削減が可能です。

【自動車保険】

車を法人所有している場合、法人自動車保険の契約・乗り換えをしましょう。自動車保険は高額であるため、コスト削減の威力は大きいです。

【火災保険】

店舗経営者やオフィスを利用している法人であれば、ほとんどの人で火災保険に加入しています。そこで一括見積をすれば、一瞬で保険料の減額が可能です。

【賠償責任保険・工事保険・労災上乗せ保険】

賠償責任保険や工事保険、労災上乗せ保険など、損害賠償に備えるための保険は多くの会社で必須です。ただ賠償額が大きいと保険金額も高くなります。そこで、これら賠償責任保険や工事保険、労災上乗せ保険の見直しをして無駄な経費を抑えましょう。

【貨物保険】

貨物自動車の運送事業者について、お客さんから預かった荷物が輸送中に破損してしまうリスクがあります。そこで、物流に関わる事業をしている会社にとって貨物保険は必須です。

【取引信用保険】

法人経営でよくあるリスクが取引先の倒産や一定期間の支払遅延などの債務不履行です。これによって連鎖倒産してしまいますが、取引信用保険を利用すれば貸倒損失リスクを軽減できます。特に売掛金が多い場合、取引信用保険を活用しましょう。