エステサロンやネイルサロンなど、サロン経営をしている人はたくさんいます。こうしたサロン経営では思わぬトラブルに巻き込まれることがあり、高額な賠償責任を負ってしまうことがあります。
そうしたとき、サロン経営でのリスクを抑えるためにほとんどの人が賠償責任保険に加入しています。たとえ高額な賠償責任を負うことになり、慰謝料の支払いが必要であったとしても、損害保険で補うことができます。
ただ、エステサロンやネイルサロンで加入しなければいけない賠償責任保険の種類はそれなりにあります。具体的にどの損害保険を利用するべきなのか、事前に理解しなければいけません。
そこでエステサロンやネイルサロンなどを経営する個人事業主や法人について、どのように賠償責任保険を利用すればいいのか解説していきます。
もくじ
やけどや肌荒れによる賠償・慰謝料はサロン経営で多い
損害保険なしにサロン経営するのは非常に危険であり、事故が起こったときには一瞬にして廃業・倒産してしまうリスクが常に付きまとうようになります。こうしたサロン経営では高額賠償を負うことになる危険性が非常に高いからです。
実際のところ、エステサロンやネイルサロンを含めて「お客さんがやけどした」「施術後に肌荒れを起こしてしまった」「間違ってお客さんの指を傷つけてしまった」などの事態が起こるのは普通です。こうして、高額な慰謝料の支払い費用が必要になります。
やけどや肌荒れであっても賠償金が何百万円にもなるケースはよくあります。例えば、以下のようなニュースです。
このケースでは、美顔エステの施術によってアトピー性皮膚炎が再発・悪化したため、エステサロンに対して裁判所が約440万円の支払いを命じました。
重大な事故ではなく、施術によってお客さんの持病が再発した場合であっても、このようにサロン経営者は高額な賠償請求を受けることがあります。資本力のある個人事業主や法人ならいいですが、そうでない場合すぐに潰れてしまうのは、こうしたリスクがあるからなのです。
従業員(エステティシャンなど)のミスは法人の責任となる
また個人事業主として一人で経営しているわけではなく、法人として何人もの社員や非正規を雇っているケースは多いです。
このとき、エステティシャンなど従業員のミスによってお客さんにやけどや肌荒れが起こり、トラブルになるのは特に珍しくありません。
そうしたとき、従業員にすべての責任を押し付けることはできません。社員や非正規が働いているからこそ、エステサロンやネイルサロンは利益を生み出すことができます。そのため、法人には社員の使用者責任が生まれます。
社員を監督するのが経営者であり、法人の役割です。当然、すべての責任を総監督が取るのは当然です。そのため社員が起こした事故というのは、法人が賠償責任を負うことになっています。こうしたことからも、サロン経営で賠償責任保険が重要になると分かります。
サロン経営で必須となる賠償責任保険の中身
ただ賠償責任保険に加入するとはいっても、損害保険にはいくつもの種類があります。そうした損害保険の中でも、サロン経営者が加入するべき賠償責任保険には以下の種類があります。
- 施設賠償責任保険
- 受託者賠償責任保険
- 生産物賠償責任保険(PL保険)
賠償責任保険の中でも、法人の業態によって加入するべき内容を見極めなければいけません。その中でも、サロン経営ではこの3種類の賠償責任保険に加入しておけば、業務中に発生する事故の多くをカバーできるようになります。
それぞれの賠償責任保険がどのようになっているのか確認していきましょう。
施設賠償責任保険で施設や業務中の事故に備える
店舗内の設備が起因したり、業務中のミスによって起こったりした事故について、広く補償してくれる損害保険が施設賠償責任保険です。
例えば先ほどのニュースで紹介した「美顔エステによるお客さんの皮膚症状の悪化」については、業務中に起こったトラブルといえます。そのため施設賠償責任保険に加入していれば、この保険によって全額が補償されます。
サロン経営で必ず加入しなければいけないのが施設賠償責任保険であり、最も利用する確率が高いです。実際のところ、施術によってお客さんがやけどしてしまったり、肌荒れが起こったりするのは誰でも経験する可能性があります。
もちろん、他にも「施術後にお客さんの腕や指が痛みを起こすようになった」「床が濡れており、お客さんが滑って骨折した」など、施設や業務が関わるあらゆるトラブルに対応しています。そこで施設賠償責任保険に加入しておくことで、事前にこれらの事故に備えるようにしましょう。
預かり物の紛失は受託者賠償責任保険でカバー
またエステサロンやネイルサロンでは、店内でお客さんの荷物を預かるのが基本です。そうしたとき、場合によっては預かっていたお客さんの荷物を紛失してしまったり、バッグなどを傷つけてしまったりすることがあります。
お客さんの荷物を長時間、預かるわけではないものの、紛失や傷によってトラブルに発展するリスクがあります。
施設賠償責任保険は必須であるものの、受託者賠償責任保険はサロン経営者にとって必須となる損害保険ではありません。ただ、受託者賠償責任保険に加入していればお客さんの預かり物に対する補償・賠償をカバーできるようになります。
生産物賠償責任保険(PL保険)で販売物のトラブルを補償する
ネイルサロンを含め、サービスの提供だけで完結する場合は必要ないものの、お客さんに何か商品を販売している場合に必要な損害保険として生産物賠償責任保険(PL保険)があります。
商品を販売後、店の外(お客さんの家など)で商品に起因するトラブルが発生するケースは多いです。
- 化粧品で肌荒れのトラブルが起こった
- 美顔器の不具合でお客さんがケガをした
施設賠償責任保険は施設内や業務中のトラブルに対する補償なので、こうした商品販売後は補償対象外です。そこで生産物賠償責任保険(PL保険)を利用することによって、化粧品や美容機器などの商品を販売した後についても補償されるようにする必要があります。
製造物責任法(PL法)では製造業者だけでなく、販売業者が責任を負うこともあります。そのためサロンでお客さんに商品販売している場合、こうしたPL保険への加入が必要になります。
・弁護士特約を必ず確認するべき
なお、こうした賠償責任保険に加入するときは必ず弁護士特約がどうなっているのか確認するようにしましょう。
お客さんと訴訟になったときはもちろんのこと、調停・和解するときについても弁護士への依頼が必要になる場合は多いです。口頭だけでの和解だと弁護士は必要ないかもしれませんが、より大きなトラブルでは高額なお金を支払って弁護士に依頼しなければいけません。
そうしたとき賠償責任保険の弁護士特約で費用を出してもらえますが、中には自動的に弁護士特約に加入しているわけではなく、オプションになっているケースもあります。オプションだと高額な弁護士費用を負担しなければいけないため、弁護士特約を必ず入れましょう。
美容では補償対象にならない施術が存在する
なお美容ビジネスでは注意しなければいけないポイントがあります。それは、あらゆる賠償責任保険で「補償対象外の施術が存在する」ことです。
分かりやすい例は美容医療です。医療行為に対する賠償責任保険はたくさんありますが、これが美容医療になるとあらゆる施術が補償の対象外になります。これは美容エステでも同様であり、施設賠償責任保険で補償される内容と、補償されない施術があります。
例えば光脱毛など、エステサロンのサービスで賠償責任保険の対象外となっている内容があります。利用する機器や施術内容によって異なりますが、どの内容が対象外になるのか事前に保険代理店へ確認するようにしましょう。
通常だと、賠償責任保険によってあらゆる店舗ビジネスでの補償をカバーできます。ただ美容が関わるエステやネイルについては、例外的にすべての業務内容について完ぺきに補償を加えることができません。これについては事前に理解しておきましょう。
すべての保険をまとめ、交渉すると経営で優れる
またサロン経営では、これら複数の賠償責任保険を利用することになるため、どうしても管理が煩雑になりやすいです。またここまで説明した内容に加えて、以下の損害保険に入るのが普通です。
- 火災保険
- 店舗休業保険
- 借家人賠償責任保険
このように、店舗運営者はどうしても加入しなければいけない損害保険の数が多くなります。そこで、すべての損害保険をまとめるといいです。これを包括契約といいます。
包括契約であれば、損害保険の管理が容易になります。また、一つの損害保険へと一本化されるので保険料が割引されます。そのため、メリットの大きい契約方法といえます。
さらにエステサロンやネイルサロンの経営者であれば、コスト削減に強い損害保険の代理店を通すことを考えましょう。これによって大幅に固定費(損害保険料)を抑えることができるからです。例えば以下は、法人で損害保険の見直しをしたときの最終結果です。
この会社の場合、それまでの損害保険料は年間31万7,260円でした。これを見直すことで、補償内容はまったく同じにも関わらず年5万4,710円の削減を達成できました。削減率は17%以上であり、これだけの経費削減となりました。
エステサロンやネイルサロンで店舗数が多くなると、それに伴って損害保険料も高額になります。多くの店舗をもっている法人であるほど効果は大きいですし、特にデメリットがないので、こうした費用面も抑えながら最適な補償を加えるようにしましょう。
サロン経営の個人事業主や法人で必要な損害保険
店舗運営をしているビジネスでは、すべてのビジネスで賠償責任保険への加入が必須です。思わぬトラブルによって、高額な賠償金や和解金の支払いが必要になる場合があるからです。
これがエステサロンやネイルサロンであれば、わりと頻繁にトラブルが起こります。お客さんがやけどをしたり、肌荒れを起こしたりすることがあるからです。また、エステティシャンやネイリストなど従業員のミスでお客さんの皮膚を傷つけてしまうことがあるかもしれません。
こうしたトラブルによって、何百万円もの賠償命令が出された事例はいくつもあります。そのため、賠償責任保険へ加入していなければ破産リスクが高くなるのです。
そこで損害保険を利用して、適切な補償を付与させましょう。同時に優れた代理店を通すことで、コスト面で優れた損害保険を利用して契約するといいです。ここまでの注意点を理解して、賠償責任保険を正しく利用しましょう。
法人コスト削減法の中でも、損害保険(自動車保険、賠責・工事保険、取引信用保険、火災保険)の削減を考えるのは重要です。そこで、専門業者を利用することで損害保険の一括見積をしましょう。
新規加入は当然として、既に法人用の損害保険に加入している場合であっても、こうした見積もりによって大幅に損害保険の金額を下落できます。
もちろん、法人によって加入している保険や必要な保険は異なります。そこで必要な損害保険の値下げを考えましょう。損害保険は内容を同じにしつつ、さらなる値下げが可能であるため、いますぐ大幅なコスト削減が可能です。
【自動車保険】
車を法人所有している場合、法人自動車保険の契約・乗り換えをしましょう。自動車保険は高額であるため、コスト削減の威力は大きいです。
【火災保険】
店舗経営者やオフィスを利用している法人であれば、ほとんどの人で火災保険に加入しています。そこで一括見積をすれば、一瞬で保険料の減額が可能です。
【賠償責任保険・工事保険・労災上乗せ保険】
賠償責任保険や工事保険、労災上乗せ保険など、損害賠償に備えるための保険は多くの会社で必須です。ただ賠償額が大きいと保険金額も高くなります。そこで、これら賠償責任保険や工事保険、労災上乗せ保険の見直しをして無駄な経費を抑えましょう。
【貨物保険】
貨物自動車の運送事業者について、お客さんから預かった荷物が輸送中に破損してしまうリスクがあります。そこで、物流に関わる事業をしている会社にとって貨物保険は必須です。
【取引信用保険】
法人経営でよくあるリスクが取引先の倒産や一定期間の支払遅延などの債務不履行です。これによって連鎖倒産してしまいますが、取引信用保険を利用すれば貸倒損失リスクを軽減できます。特に売掛金が多い場合、取引信用保険を活用しましょう。