飲食店や食品加工工場など、食事や加工食品を提供するビジネスをしている経営者はたくさんいます。こうした飲食ビジネスについて、店で飲食物を提供したり、テイクアウトによって食べてもらったりするとき、多少なりともリスクを伴います。
こうしたリスクの中でも、特に大きいリスクが食中毒です。あらゆる店舗や食品工場にて、食中毒発生の危険性があります。
そこで、法人経営者はリスクに備えなければいけません。特に食中毒のリスクでは、生産物賠償責任保険(PL保険)を利用することになります。
それでは、どのようにPL保険を利用することで食中毒に備えればいいのでしょうか。特約として、何か付ける必要はあるのでしょうか。そこで、生産物賠償責任保険を利用した食中毒への補償内容について解説していきます。
もくじ
生産物賠償責任保険(PL保険)で食中毒をカバー可能
多くの人が飲食物を提供するビジネスに関与しています。以下のような会社を運営している人は非常にたくさんいます。
- 飲食店・レストランを経営している
- テイクアウトの店舗を運営している
- 食品加工工場を経営している
こうした法人の場合、数種類の賠償責任保険に加入しなければいけません。賠償責任保険にはいくつも種類があるため、その中から最適な賠償責任保険を選ぶ必要があるのです。
その中でも、特に飲食・食品ビジネスの食中毒リスクについて、最重要となる賠償責任保険が生産物賠償責任保険(PL保険)です。
製造業者や販売者は提供した後の商品についても責任を負うようになっています。この根拠が製造物責任法(PL法)です。飲食店や食品加工工場であれば、飲食物が提供物です。店舗やテイクアウトで提供した飲食物について、食中毒が起こったときに賠償責任を生じるというわけです。
そこで、出した後の製品(飲食物)に対して補償を加えられるのが生産物賠償責任保険(PL保険)です。これが、飲食店や食品工場でPL保険が重要となる理由です。
食品ビジネスで最も重要な食中毒の補償
店内やテイクアウトなど飲食物を提供する会社で賠償責任保険が必須になるのは、こうした損害保険を付けていないと、いますぐ破産する危険性があるからです。
食中毒によるトラブルは大きくなりやすく、場合によっては死亡事故が起こることもあります。また一度の食中毒事故によって何十人、何百人もの被害者を出すのが普通なので、結果として賠償金額が高くなります。
例えば以下は、過去に発生した食中毒の事例です。
この事件では飲食店で食事をしたお客さん181人に食中毒が発生し、それに伴って訴訟を起こされたケースです。その結果、1.7億円の賠償命令となりました。
中小企業の場合、資本力がないのでこの時点で倒産が決定します。ただ生産物賠償責任保険に加入していれば、こうした賠償命令が出されたとしても損害保険ですべてお金が出ます。もちろん信頼回復のために努力する必要はあるものの、高額な賠償金は保険金で補うことができます。
飲食や食品加工のビジネスをしている以上、食中毒のリスクを100%防ぐのは不可能です。夏と冬では特に食中毒リスクが上がるため、PL保険によって賠償金や和解金に備えなければいけません。
その他の食品事故にもPL保険で対応可能
ちなみに店舗やテイクアウトで飲食物を提供する場合、食中毒以外にもリスクがあります。このとき、その他の食品事故についても対応できるのがPL保険です。
例えば、以下のようなケースであっても補償されます。
- 食品の中にガラス片が入っており、お客さんが口の中をケガした
- 提供した食事でお客さんがアレルギー症状を起こした
店内やテイクアウトを含めて、「何かしらの飲食物を提供した後に起こった事故」について補償してもらえるのは共通しています。そのため事故内容が食中毒でなかったとしても、飲食店や食品工場はリスクに備えられるようになります。
生産物賠償責任保険で対応可能な内容
それでは、生産物賠償責任保険ではどのような補償を受けられるのでしょうか。これについては、主に以下の内容が自動的に加わると考えるようにしましょう。
- 損害賠償金
- 争訟費用(弁護士特約)
- 損害防止費用
- 緊急措置費用
- 権利保全行使費用
- 協力費用
ただ自動的に加わるとはいっても、損害保険会社ごとに商品内容は異なります。オプションで加えなければいけないこともあるため、これについては加入するときに補償内容を確認するようにしましょう。
・損害賠償金
先ほど記したニュースのように、食中毒によって高額な賠償支払いを生じることがあります。そうしたとき、PL保険は損害賠償金を補償してくれます。
この補償内容については、賠償責任保険なので当然といえます。また治療費、医療費、慰謝料などもここに含まれます。
・争訟費用(弁護士特約)
実際に訴訟を起こされるとなると、対応を弁護士に依頼しなければいけません。ただ弁護士費用は非常に高額になりやすいです。そこで生産物賠償責任保険に加入していれば、弁護士費用についても補償されるようになります。
賠償責任保険によっては弁護士特約がオプションになっているので要確認ですが、弁護士特約は必ず入っていることをチェックしましょう。
・損害防止費用
実際に食中毒を含めた事故が発生したとき、より被害の拡大を抑えるために対策を練ることがあります。そうしたときに出した費用についても、PL保険の範囲となります。
・緊急措置費用
場合によっては、飲食物を店内・テイクアウトで提供したその場でトラブルが発生することもあります。そうしたとき、すぐに対象者を救済しなければいけません。
このとき救済費用が発生した場合、あなたの会社が賠償責任を負う必要がなかったとしても、緊急措置のために支出した費用が損害保険会社から支払われるようになります。
・権利保全行使費用
食中毒が発生するにしても、あなたの会社だけが直接の原因ではないケースもあります。例えばどこか他の食品工場から仕入れた食品を提供した結果、お客さんの容態が悪くなった場合、その食品工場にも大きな過失があるといえます。
そのためお客さんが訴えたのがあなたの会社であったとしても、あなたの会社は問題を起こした取引先(仕入れ先)について賠償請求することができます。要は、責任をあなただけが負うのではなく、トラブルに関係する取引先にも負担してもらうのです。
そうしたときに必要な手続きの費用について、弁護士費用を含めて補償してもらえます。
・協力費用
損害保険を利用して保険金の請求をするとき、損害保険会社から協力を要請されることがあります。このときに支払った費用を補填してくれます。
食中毒利益補償特約で売上を補う
このように、PL保険によってさまざまな食中毒への賠償リスクをカバーできるようになります。ただ、それだけでなく特約を加えるようにしましょう。特約を利用することで、さらに優れた損害保険の内容となります。
特に飲食店・レストランや食品加工工場の場合、食中毒が発生したらほぼ確実に何日もの間は営業停止となります。その間、商品を販売できないので当然ながら売上は発生しません。それにも関わらず、家賃や給料などの支払いは発生します。
こうした休業に対する食中毒の特約として、食中毒利益補償特約があります。休業したとしても粗利分を補償してくれるので、食中毒発生の被害はより少なくなります。
・店舗休業保険と重なる場合は不要
ただ一般的には、こうした飲食店や食品工場は店舗休業保険に加入します。この場合、食中毒に限らず、天災を含めてあらゆる休業に対する補償をしてくれます。
店舗休業保険に加入している場合、内容が重なるので食中毒利益補償特約は不要です。これについては、損害保険の代理店と相談しながら、どの特約や損害保険を利用するのか考えるようにしましょう。
見舞金の特約が必要なら利用する
なお、大きなトラブルが起こると訴訟に発展しますが、軽い食中毒で終わるケースもあります。例えば冬に発生しやすいノロウイルスであれば、確かに食中毒で苦しむ人は多いものの、死亡例はほとんどありません。
ただ店内やテイクアウトなどで提供した飲食物が原因の場合、やはり何かしらの責任を取らなければいけない場合は多く、治療費とは別に見舞金を対象者に送ることがあります。
本来であれば、法人が支出した見舞金は損害保険の対象外です。ただ被害者対応費用として、見舞金の支出に対する特約を付けている場合、こうした見舞金についても補償されるようになります。
見舞金への特約は必ず必要なわけではありません。そのため経営者によって判断は分かれますが、必要だと思う場合は活用しましょう。賠償責任を生じていないケースであっても、見舞金への特約があればお客さんに対して保険を利用しつつお金を送れます。
食品会社はリコール費用補償を加えるべき
さらに食品工場はリコールに備えるようにしましょう。飲食店・レストランであれば関係ないですが、食品加工工場などであれば、大量の食品を製造・出荷するようになります。こうした食品に食中毒を起こす細菌が繁殖しているなど、不具合があれば大量回収しなければいけません。
重要なのは、PL保険は販売後製品の賠償責任に対する費用を補償してくれるものの、リコールに伴う回収費用までは補ってくれない場合があります。
そのため通常はリコール保険に加入してあらゆる製品のリコールに対応します。食品工場の場合は「出荷した商品で食中毒が発生した」「ガラスなど不純物が混じっていることが分かった」など、食品に関するリコール発生の可能性があり、そうしたときにリコール費用補償の特約を加えておくと安心です。
飲食店は必要ないものの、食品工場の場合だとリコールへの保険・特約は必ず入れておくべき損害保険です。
レストランや食品会社でPL保険を利用する
飲食店やレストランで食事・テイクアウト商品を提供したり、食品会社で加工食品を販売していたりする場合、すべての会社で食中毒への備えが必要です。食中毒が発生すると、何千万円・何億円もの損害賠償や和解金の支払いが必要になる可能性があります。
こうした食中毒に備えるための賠償責任保険が生産物賠償責任保険(PL保険)です。賠償費用だけでなく、通常は弁護士費用などその他の訴訟費用を含めて補償してくれるようになります。
それに加えて、休業特約を加えたりリコール費用補償を付与させたりしましょう。見舞金など経営者の判断次第になる特約は存在するものの、損害保険の代理店を利用しながら最適な補償内容に設定するといいです。
損害保険に加入しているからこそ、ビジネスでのリスクに備えられるようになります。特にレストランや食品工場では食中毒への備えが重要なので、高額賠償となってしまった場合であっても問題なくビジネスを続けられるようにPL保険を利用しましょう。
法人コスト削減法の中でも、損害保険(自動車保険、賠責・工事保険、取引信用保険、火災保険)の削減を考えるのは重要です。そこで、専門業者を利用することで損害保険の一括見積をしましょう。
新規加入は当然として、既に法人用の損害保険に加入している場合であっても、こうした見積もりによって大幅に損害保険の金額を下落できます。
もちろん、法人によって加入している保険や必要な保険は異なります。そこで必要な損害保険の値下げを考えましょう。損害保険は内容を同じにしつつ、さらなる値下げが可能であるため、いますぐ大幅なコスト削減が可能です。
【自動車保険】
車を法人所有している場合、法人自動車保険の契約・乗り換えをしましょう。自動車保険は高額であるため、コスト削減の威力は大きいです。
【火災保険】
店舗経営者やオフィスを利用している法人であれば、ほとんどの人で火災保険に加入しています。そこで一括見積をすれば、一瞬で保険料の減額が可能です。
【賠償責任保険・工事保険・労災上乗せ保険】
賠償責任保険や工事保険、労災上乗せ保険など、損害賠償に備えるための保険は多くの会社で必須です。ただ賠償額が大きいと保険金額も高くなります。そこで、これら賠償責任保険や工事保険、労災上乗せ保険の見直しをして無駄な経費を抑えましょう。
【貨物保険】
貨物自動車の運送事業者について、お客さんから預かった荷物が輸送中に破損してしまうリスクがあります。そこで、物流に関わる事業をしている会社にとって貨物保険は必須です。
【取引信用保険】
法人経営でよくあるリスクが取引先の倒産や一定期間の支払遅延などの債務不履行です。これによって連鎖倒産してしまいますが、取引信用保険を利用すれば貸倒損失リスクを軽減できます。特に売掛金が多い場合、取引信用保険を活用しましょう。