経費削減を考えるとき、多くの人が着目するものとして印刷物があります。コピー機・複合機によって、毎日多くの書類や資料を印刷している会社であれば、プリンターコストを削減できないか検討するケースが非常に多いです。
これについて、印刷コストを下げる一般的な方法は存在します。「裏紙を利用する」「トナーの使用量を少なくする」などは誰でも思いつく方法であり、いますぐ実行できます。ただ、コスト削減効果は非常に薄いです。
実際のところコピー機・複合機のコスト削減について、このような一般的なやり方を試したとしても大した経費削減にはなりません。ただ正しい方法を実践すれば、間接費を含めて大幅なコスト削減を実現でき、年間にして数百万円・数千万円レベルでのコスト削減がいますぐ可能です。
どのようにすれば、印刷物に関する効果的な経費削減が可能になるのでしょうか。ここでは、プリンターコストを減らす正しい考え方を解説していきます。
もくじ
印刷物のコスト削減はトナーや印刷枚数削減を考える
あらゆる会社で印刷物の作成が発生します。印刷機・複合機を利用することで、紙の書類を印刷するのです。以下のような機器が会社内に備えられているのは普通です。
こうしたプリンターを利用するとき、コスト削減法としては何があるのでしょうか。一般的には、以下のような対策があります。
- トナー・インクの使用量を抑える
- 印刷枚数を抑える
この2つの方法がメインになります。印刷機は必ずトナーやインクを利用するため、その使用量を抑えるのです。また必ず紙に印刷するため、印刷枚数を抑えることによって経費削減を図るのです。
効果が高いのは相互インク(互換インク)の利用
非常に分かりやすいコスト削減の方法がインク使用量や印刷枚数です。より具体的にいうと、以下の対策を実施します。
- 相互(互換)インクを使う(純正インクを使用しない)
- 印刷品質を落とし、印刷速度を上げる
- カラーと白黒を区別する
- 裏紙利用や資料をまとめて、紙の使用量を省く
これらの中でも、インク・トナー使用量を減らすのではなく、利用するインク会社を変えることはかなり有効です。
純正インクはどの会社も非常に高額です。一方で純正インクでなく、他の会社が製造する相互(互換)インクであったとしても問題なく使えます。これだけでインク・トナー費用が半分以下に落ちるのは普通です。非常に手っ取り早くコスト削減できる方法だといえます。
例えば、以下はECサイトを利用して純正品と相互トナーカートリッジの値段を比較したときの結果です。
純正トナーによるカートリッジでは、1本で5,980円です。一方、同じプリンターに対するトナーカートリッジではあっても、相互品・互換品であれば3本で3,480円です。1本あたりの値段は1,160円であり、純正トナーの約5分の1の値段です。
印刷代については、いますぐ安くできます。方法としては、純正インク・トナーの購入ではなく相互のインク・トナーカートリッジを使うだけです。既に相互品・互換品を利用している場合は無理ですが、純正品を利用している場合は一瞬にしてインク・トナー代を大幅削減できます。
カラー・白黒の区別や裏紙利用の効果
一方で他の方法によるコスト削減を考える経営者も多いです。例えばカラーインクは高額なので、白黒のインクのみで印刷するのです。また印刷の質を落として、印刷速度を上げればその分だけ使用するインク量は少なくなります。
ただカラーと白黒を分けるのは効果が薄いです。多少は経費削減できるかもしれませんが、効果は限定的です。同じことは印刷の質でもいえます。相互・互換トナーカートリッジに変えることで費用を一気に半分以下に落とす方法に比べると、どうしてもインパクトは劣ります。
また裏紙を利用するにしても意味がありません。裏紙利用を推奨するにしても、そもそも紙代は非常に安いです。
実際のところ、紙代よりも人件費のほうが圧倒的に高額です。社員に対して、わざわざ裏紙を有効活用させるように徹底させるほうが、無駄な作業が増えてコスト増になりやすいです。
純正品を相互品・互換品に変えることについては、特に労力は必要ありません。一方で「カラー・白黒の区別」「印刷の質をそのつど落とさせる」「裏紙を利用させる」などは、社員に対して新たな労力を強いることになります。
この場合、コスト削減効果がわずかであるどころか、むしろ無駄な作業を増やすことで労働コストのほうが高くなりやすい事実を理解しましょう。
コピー機・複合機を安い値段で仕入れる
また、印刷機の本体価格についても考慮するといいです。いくらインク代を削減したとしても、コピー機・複合機などの本体価格が高額であれば、経費削減をしたとしても意味がありません。
特に高額な複合機の場合、リース契約を選択する経営者がいます。ただ、これはやめたほうがいいです。法人の場合はファイナンスリースになりますが、この場合は定価販売になるだけでなく、リース料率を加味した手数料分についても金額が上乗せされるからです。
しかも、契約期間が満了して通常価格を支払っているにも関わらず、印刷機はあなたの物にならず、再リース契約によって継続してお金をリース会社に払い続けなければいけません。さらには途中解約が無理であり、圧倒的に不利な条件での契約になります。
そのためコスト削減を考えると、印刷機は現金購入が大原則です。また複合機のように高価な機器の場合、中古品の購入を検討しましょう。実際のところ、2~3年ほど利用されている印刷機であっても性能はほぼ変わりません。
これであれば購入費用を半分以下に抑えられるのは普通です。高額な機器類であるほど、中古品に目を向けなければいけません。
経費削減では印刷機を利用しないのが効果的
ここまで、一般的な印刷物の経費削減法について解説してきました。ただ、それでも根本的な解決にはなっていません。もちろん相互品・互換品のインク・トナーカートリッジを利用することで大幅なコスト削減は可能ですが、より大きな経費削減はできないのでしょうか。
これについて、「そもそも大きな印刷機が本当に必要なのか」を考えましょう。つまり、より根本的に業務内容を見直すのです。
例えば私の会社の場合、長年ビジネスをしていますがいまはプリンター代がほぼゼロに等しいです。もちろん完全ゼロにすることはできません。ただそれでも、ないに等しいほど印刷機を利用していません。そのため、紙の消費はほぼないですしインク代も非常に少ないです。
この理由としては、以下の3つを徹底しているからです。
- FAXなどの無駄はすべて廃止
- ペーパーレス化で紙をそもそも利用しない
- チラシや名刺などは印刷会社に依頼
具体的にどのようにすればいいのかについて、より詳しく解説していきます。
FAXや書類作成の無駄はすべて廃止
多くの会社で紙に印刷しています。ただ、それらの作業は本当に必要でしょうか。印刷機を利用しなければいけないでしょうか。実際のところ、なくても困らないものは非常に多いです。
代表例としてはFAXです。あなたの会社にFAXがある場合、いますぐストップしましょう。そもそもFAXを使って送受信をしなくても、いまでは送付物の写真をその場で撮り、メール添付で送ればいいはずです。そのほうが画像は鮮明ですし、無駄な通信費や印刷物の発生はありません。
参考までに私の会社の場合、何十年もFAXなしでビジネスをしていますが何も困っていません。
同時に、印刷物をなくすために社内で広く出回っている書類を全廃しましょう。例えば、以下のような無駄な書類を社員に提出させてはいないでしょうか。
こうした書類を印刷して申請させれば、それだけ印刷物が増えるようになります。また社員としては、無駄な労力が増えます。上司や管理部門の職員としても、無駄な書類チェックをしなければいけません。
これらの申請を紙利用で行わせる意味はゼロです。Web上で申請させればいいだけです。そうすれば印鑑を押す手間はなくなり、上司は10秒以内にチェックが終わります。さらには、Web上に管理に必要となる情報が自動的に記録されるので、管理部門としての新たな入力作業は必要ありません。
紙の書類を全廃すると、印刷コストがなくなるだけでなく、他にも多くの優れた経費削減効果を得られます。
ペーパーレス化でプリンターコストや人件費をカットする
ここまでの内容はつまり、ペーパーレス化をしているのと意味は同じです。積極的なIT化によって事務作業をペーパーレス化して、紙の書類をなくすようにしましょう。
例えば、経理精算を紙で行わせている会社は多いものの、これらの行為は完全に無駄です。その場で領収書(または請求書)の写真を撮らせ、Web上で申請させれば問題ありません。そうすれば上司のチェック時間は短く、経理部門としては数字が既に打ち込まれているため改めての入力作業が不要となり、あらゆる無駄を省けます。
またこれらあらゆる作業をペーパーレス化すれば、管理部門を縮小させることも可能です。例えば最低限の機能だけ残して、経理や総務の大部分を外注化するのです。私の会社はいまでは完全IT化しており、すべての領収書はその場で電子化しての申請のため、自社で経理部門の人員を雇う必要はありません。
最も高いコストは人件費です。そのためペーパーレス化によって、人件費までカットすることで年間にして何千万円もの経費削減効果を得ています。
ペーパーレス化で可能なのはプリンターコストの削減だけではありません。人件費という、最も高額な経費を減らすことで大きな利益を作ることにも貢献します。
チラシや名刺は安い印刷会社を利用する
ただ、普段はほぼ印刷物がなく安いプリンターで問題ないにしても、複合機でなければ実現できない印刷もあります。例えばチラシや名刺の印刷はどのようにすればいいのでしょうか。
これについては、格安の印刷会社に依頼すれば問題ありません。私の場合、特殊な印刷はすべて安い印刷会社に依頼しています。また実際のところ、こうした印刷会社を利用したほうが値段は安くなります。例えば、以下は格安の印刷会社を利用してチラシを依頼するときの値段です。
このように、両面印刷で4色を利用するにしても、1万部で16,828円です。私が実際に利用している印刷会社ですが、1枚1.7円ほどの金額であり、トナー代や紙代を考えると、むしろこうした業者に依頼する方が安いです。
チラシや名刺など、特殊な印刷はこれら印刷会社にすべて外注すれば問題ありません。ビジネスでは可能な限り外注するほど、大幅なコスト削減が可能です。これは印刷会社の活用も同じです。
印刷物の見直しによって根本的な経費削減が可能
これらを理解して、印刷機に関わる経費削減をしましょう。コピー機・複合機のコスト削減をする方法としては、純正品を利用しないことがあげられます。またいまでは、ネット上から簡単にインク・トナーを注文できるため、相互品・互換品のトナーカートリッジを利用しましょう。
ただ、それ以外の方法となるとコピー機・複合機の経費削減は効果が薄いです。場合によっては、むしろコスト高になることもあります。
そうしたとき、そもそも印刷物が必要かどうかを見直しましょう。実際のところ、印刷物をほぼゼロにしても困ることはありません。電子データのやり取りで問題ありませんし、そのほうが印刷コストや通信費をほぼゼロにできます。また外注化によってさらなる経費削減も可能です。
印刷コストの削減では、プリンターの使い方に着目する人がほとんどです。そこで相互品・互換品を利用しつつも、印刷機をほぼ利用しなくても問題ない社内体制を整えるようにしましょう。そうすれば、より高度な経費削減が可能になります。
法人コスト削減法の中でも、損害保険(自動車保険、賠責・工事保険、取引信用保険、火災保険)の削減を考えるのは重要です。そこで、専門業者を利用することで損害保険の一括見積をしましょう。
新規加入は当然として、既に法人用の損害保険に加入している場合であっても、こうした見積もりによって大幅に損害保険の金額を下落できます。
もちろん、法人によって加入している保険や必要な保険は異なります。そこで必要な損害保険の値下げを考えましょう。損害保険は内容を同じにしつつ、さらなる値下げが可能であるため、いますぐ大幅なコスト削減が可能です。
【自動車保険】
車を法人所有している場合、法人自動車保険の契約・乗り換えをしましょう。自動車保険は高額であるため、コスト削減の威力は大きいです。
【火災保険】
店舗経営者やオフィスを利用している法人であれば、ほとんどの人で火災保険に加入しています。そこで一括見積をすれば、一瞬で保険料の減額が可能です。
【賠償責任保険・工事保険・労災上乗せ保険】
賠償責任保険や工事保険、労災上乗せ保険など、損害賠償に備えるための保険は多くの会社で必須です。ただ賠償額が大きいと保険金額も高くなります。そこで、これら賠償責任保険や工事保険、労災上乗せ保険の見直しをして無駄な経費を抑えましょう。
【貨物保険】
貨物自動車の運送事業者について、お客さんから預かった荷物が輸送中に破損してしまうリスクがあります。そこで、物流に関わる事業をしている会社にとって貨物保険は必須です。
【取引信用保険】
法人経営でよくあるリスクが取引先の倒産や一定期間の支払遅延などの債務不履行です。これによって連鎖倒産してしまいますが、取引信用保険を利用すれば貸倒損失リスクを軽減できます。特に売掛金が多い場合、取引信用保険を活用しましょう。