非常にきつい経営状況になりやすいのがコンビニエンスストアの経営です。コンビニ経営しているオーナーだと、粗利の30%以上がロイヤリティーで消えていきます。営業利益ではなく粗利に対して課せられるため、ほぼ利益が残らない業態がコンビニ経営です。

そうした中でも頑張ってコンビニ経営しなければいけないため、コンビニエンスストアのオーナーは積極的に経費削減する必要があります。

コンビニオーナーが固定費・変動費を減らすための方法はいくつかあります。コンビニは営業利益率が非常に低いため、わずかな経費削減であっても大きな効果を発揮します。

それでは、コンビニオーナーはどのようにしてコスト削減をすればいいのでしょうか。ここでは、コンビニ経営で必須となる経費削減のやり方を解説していきます。

利益の少ないコンビニオーナーはコスト削減が必須

一般的なコンビニエンスストアだと、利益率は2~3%ほどです。何とか頑張っている経営者であっても利益率5%であり、異常なほど低い数値になっています。利益率が低いため、少し売上が減れば簡単に赤字へと転落します。

こうした利益構造になっている理由は単純であり、ロイヤリティー報酬が異常なほど高額だからです。粗利の30~40%以上が自動的に取られ、その後に人件費や光熱費などの必要経費を支払わなければいけないのがコンビニ経営です。

コンビニオーナーにとって経費削減が必須となるのは、このように利益が残りにくいからです。

例えば月10万円のコスト削減であっても、利益率2~3%の場合、月の売上の約400~500万円に相当します。年間では4,800~6,000万円です。わずかなコスト削減が非常に重要となるため、積極的な経費削減を進めなければいけません。

人件費がコンビニ経営で非常に大きい

店舗経営であるため、どうしても外せないのが人件費です。アルバイトを雇うことによって、店を回していかなければいけません。

このとき、アルバイトであったとしてもコンビニ経営で人件費の割合は非常に大きいです。例えば東京だと以下の人件費になります。

  • 時給1000円 × 24時間 × 2人 × 365日 = 1752万円

また、これには深夜バイト料金を考慮していません。深夜だと通常より25%増しに設定しなければいけないと法律で決められているため、かなり少なく見積もってこの金額です。こうした固定費がかかってしまうのがコンビニ経営です。

利用客の時間帯を把握し、深夜の時間帯は店を閉めるべき

ただ、こうした高い人件費になってしまう24時間経営が本当に必要なのでしょうか。実際のところ、深夜の時間帯はほとんど人が来ないにも関わらず高額な人件費がかかるため、赤字となっているケースが非常に多いです。

例えばコンビニでは、深夜0時から早朝5時までの営業をやめたとしても、落ちる売上額は全体の3~5%ほどが一般的です。ただ売上3~5%について、仕入れ原価やロイヤリティーの支払いをするとなると、あなたの手元に残るお金は0.5~0.9%ほどです。

この中から、人件費や水道光熱費、廃棄ロスなどの支出を出さなければいけません。この事実を考えると、大きな幹線道路沿いにある店舗でない限り、ほぼ確実に深夜時間は赤字です。

赤字と分かっているにも関わらず、24時間営業にこだわって店を開け続ける意味はありません。そこで、利用客がどの時間帯にどれだけいるのか把握することから始めましょう。そのうち、利用客のいない時間は店を閉めるべきです。

そうすれば高額な深夜料金のバイト代(人件費)が減るだけでなく、光熱費の削減にもなり、赤字を垂れ流す時間が減ることで経営状況は改善されます。

もちろん本部は反対する可能性が高いです。少しでも売上が減れば、本部はロイヤリティー収益が減るからです。店舗が赤字であっても、本部としては少しでも粗利が増えてロイヤリティーが入ればそれで問題ありません。

ただ、こうした本部の指示は無視しましょう。事実、過去には本部の指示を無視して24時間営業をやめ、赤字から脱却した事例がいくつもあります。また、24時間営業でなくても認められるケースは以下のように増えています。

コンビニによっては、23:00から翌日7:00まで閉めるケースもあります。これであれば無駄が非常に少なくなり、経営状態が安定化します。

そもそも、オーナーの経営を本部が無意味に縛るのは独占禁止法違反です。そのため、オーナーが独自の経営をするのは特に問題ありません。24時間オープンをやめるために支払うべきロイヤリティーが多少、増えることはあるかもしれませんが、それでも無駄な赤字を垂れ流すよりも営業時間帯にメリハリをつけたほうがいいケースは多いです。

廃棄ロスを減らすため、見切り品を値引きする

また、コンビニの店内には非常に多くの商品が存在します。お弁当やパン、お菓子、ドリングなど種類はさまざまです。

これがペットボトル類などであれば賞味期限に余裕があるためまだいいですが、弁当であれば消費期限が非常に短いです。そのためコンビニでは、毎日非常に多くの廃棄ロスが出てしまいます。

もちろん在庫管理ツールの検証など細かい努力は必要ですが、在庫を完全に把握するのは無理です。また在庫数が少ないと、お客さんは「あの店舗は商品が少ないので利用する価値がない」と考えてしまいます。

そこで、見切り品販売を積極的に行いましょう。なぜかコンビニでは、スーパーのように見切り品販売をしているケースが非常に少ないです。ただ廃棄ロスが減れば、利益には貢献にしないものの赤字を出さなくて済みます。簡単な方法ではありますが、いますぐチャレンジしましょう。

フランチャイズ加盟店の値引き禁止は独占禁止法で違法

なお、本部は自分たちの利益のみを考えるのが基本なので、24時間営業をやめる場合と同じように値引き行為を禁止してくるかもしれません。

ただ本部の影響が強いとはいっても、これは完全なる違法です。例えば以下は、商品の廃棄ロスを減らすために実施した値引きについて、セブンイレブンが禁止しましたが、これが独占禁止法に違反するとして処分された実際の例です。

2009年6月22日とかなり古い排除措置命令ですが、以前からフランチャイズ本部は不利な条件を加盟店に強いてきました。ただ完全なる違法であることがこのように明らかなので、本部がいくら文句をいってきたとしても、あなたの店舗が独自に見切り品販売をするのは特に問題ありません。

これらの店舗は「本部の指示が違法であるかどうかあいまいだったころ」から本部に反抗し、見切り品販売を行い、独自の権利を勝ち取ってきたわけです。それに対して、いまは見切り品販売の禁止は完全に違法と明らかなので、いくら本部が強く迫ってきても無視すればいいです。

フランチャイズの契約更新で乗り換えは問題ない

ただ実際には、表立って24時間営業の停止や見切り品の販売について忠告できないとしても、裏で本部が強く迫ってくることはよくあります。

例えばコンビニではATMがどの店舗でも設置されているため、利益にはほとんどならないものの、深夜にATMを利用できないとなるとコンビニブランドに傷がつきます。こうした事態を本部は恐れているのです。

しかし、あなたがビジネスをしている理由は「自ら商売をすることで利益を残すことであり、本部にロイヤリティーを送金するためではない」と思います。それなら、いっそのこと契約更新のときに更新せず、他のフランチャイズに加盟しても問題ありません。

店の看板は変わりますが、実際のところ自分の工夫次第で店舗の利益を改善できる本部と契約したほうが圧倒的に手元にお金が残るようになります。すべて一律のルールで縛り、独占禁止法に違反している本部よりは、柔軟な経営をできるほうが優れているといえます。

固定費の見直しでコスト削減する

このように本部に反抗しつつも、経営改革を進めていかなければコンビニ経営は圧倒的にきついです。高額すぎるロイヤリティーによって、そもそも利益の残らない仕組みになっているため、無駄な部分は何かを考えて固定費・変動費を減らしていかなければいけません。

また、それだけでなくコンビニ経営者の努力なしに削減可能な項目についても同時に固定費削減しましょう。

誰でも簡単に行える経費削減の方法が存在するため、これについては本部の顔色をうかがう必要がなく、いますぐ取り組むことができます。それでいて効果は非常に高いため、いますぐ以下の項目を実施しましょう。

電気代削減はコンビニ経営で必須

コンビニで電気使用量の節約は不可能です。電気代を最も消費するのは空調ですが、クーラーや暖房の効き目が弱い店舗を利用するお客さんはいません。もちろん24時間営業をやめることでの消費電力の削減は可能ですが、空調を弱めるなどの節電は無理です。

ただ、電力会社を切り替えるのであれば可能です。電力について、発電と送電についてはコストを減らせません。ただ、電気の小売り部分についてはいくらでも削減できます。

いまは中小含めると何百もの電力会社が存在します。こうした会社の中で、あなたの地域に対応している電力会社50~100社について一気に競争入札させます。これにより、電気代の底値で契約できます。

例えば以下は、3店舗を経営する店舗について電気代削減をしたときの最終見積もりです。

この法人では月36万2077円の電気代でした。そこで見直しをした結果、月に約3万8000円の電気代の下落に成功しました。

年間では約46万円のコスト削減です。利益率2%の店舗であれば、2,300万円の売上に相当します。このように考えると、電気代削減は非常に効果的な経費削減法といえます。

損害保険を見直して固定費削減する

見直しによってコンビニエンスストアの固定費を下げられる方法としては損害保険料も存在します。損害保険では各社が自由に保険料金額を設定できます。そのため会社を切り替える場合であれば、見直しによって大幅に保険料を下げられます。

コンビニオーナーだと、必ず損害保険に加入しています。例えば火災保険に加入しなければ、そもそも店舗の賃貸契約はできません。

また賠償責任保険に加入している店舗が多く、こうした保険があるからこそ「提供した弁当で食中毒が発生した」「店内が濡れており、お客さんが転倒した」などのときに補償されます。

そこで、これらの損害保険を見直ししましょう。例えば以下は、賠償責任保険について見直しをした事例です。

この会社では年間31万7,260円の保険料でした。これを切り替えによって年5万4,710円の値引きに成功しました。

たった年間で5万円ほどの削減かと思うかもしれませんが、利益率2%であれば売上250万円に相当します。「250万円の売上を作ることは非常に大変」と理解していると思いますが、一瞬にしてこれだけの効果を生み出すことができます。

賃料を下げて経営を改善させる

さらに、賃貸店舗の賃料を下げることも考えましょう。土地や建物なしに店舗運営しているオーナーはたくさんいます。すべて自分で不動産をもっている場合は関係ないですが、そうでない場合は大家と賃料交渉するようにしましょう。

当然ながら、大家や管理会社と交渉するとはいっても、あなた自ら行うわけではありません。その場合だと、ほぼ100%の確率で断られます。そこで、賃料最適化サービスを実施している会社に依頼しましょう。

日本の不動産だと、建物価値は経過年数と共に下落します。また土地についても、地価が上がることはあるかもしれませんが、下がる場合も多いです。そのため、賃貸物件で2年以上のビジネスを継続しているにも関わらず賃料が変わっていない場合、高確率で家賃が下がるというわけです。

コンビニの家賃はどうしても高くなりやすく、それだけ経営を圧迫します。そこで専門会社に依頼し、3~6ヵ月ほど待てば、それだけで平均11%ほど家賃が下がります。特に労力は必要なく、簡単にコスト削減できるため、これだけでもコンビニ経営はかなり改善されます。

コンビニ経営の成功で経費削減は必須

多くの個人事業主や法人経営者は売上を上げることに着目しがちです。ただ、どれだけ大きな売上があっても利益が残らなければ意味がありません。

売上が大きければ、フランチャイズ本部はロイヤリティー収入が増えるので喜びます。ただ経費が大きければ、売上が大きくてもあなたの手元にはまったくお金が残らず、これではビジネスをしている意味がないといえます。

そこで本部に対して反抗しながらも、人件費や廃棄ロスを含めて店舗の無駄を積極的に排除していきましょう。また、いますぐ簡単に行える固定費削減の方法もあるため、これらは必ず実施しなければいけません。

こうした正しい経費削減をした後、次に売上の上昇を考えなければいけません。利益が残る戦略を考えるからこそ、コンビニ経営でようやく成功できるようになります。


法人コスト削減法の中でも、損害保険(自動車保険、賠責・工事保険、取引信用保険、火災保険)の削減を考えるのは重要です。そこで、専門業者を利用することで損害保険の一括見積をしましょう。

新規加入は当然として、既に法人用の損害保険に加入している場合であっても、こうした見積もりによって大幅に損害保険の金額を下落できます。

もちろん、法人によって加入している保険や必要な保険は異なります。そこで必要な損害保険の値下げを考えましょう。損害保険は内容を同じにしつつ、さらなる値下げが可能であるため、いますぐ大幅なコスト削減が可能です。

【自動車保険】

車を法人所有している場合、法人自動車保険の契約・乗り換えをしましょう。自動車保険は高額であるため、コスト削減の威力は大きいです。

【火災保険】

店舗経営者やオフィスを利用している法人であれば、ほとんどの人で火災保険に加入しています。そこで一括見積をすれば、一瞬で保険料の減額が可能です。

【賠償責任保険・工事保険・労災上乗せ保険】

賠償責任保険や工事保険、労災上乗せ保険など、損害賠償に備えるための保険は多くの会社で必須です。ただ賠償額が大きいと保険金額も高くなります。そこで、これら賠償責任保険や工事保険、労災上乗せ保険の見直しをして無駄な経費を抑えましょう。

【貨物保険】

貨物自動車の運送事業者について、お客さんから預かった荷物が輸送中に破損してしまうリスクがあります。そこで、物流に関わる事業をしている会社にとって貨物保険は必須です。

【取引信用保険】

法人経営でよくあるリスクが取引先の倒産や一定期間の支払遅延などの債務不履行です。これによって連鎖倒産してしまいますが、取引信用保険を利用すれば貸倒損失リスクを軽減できます。特に売掛金が多い場合、取引信用保険を活用しましょう。