飲食店として、店舗運営している人はたくさんいます。レストランやラーメン店など業態は異なりますが、飲食店として利益を出さなければいけません。
ただ飲食店の中でも、利益が出ている人がいればそうでない人もいます。この違いの原因はさまざまですが、大きな要因の一つに経費削減があります。どれだけお客さんが多かったとしても、コスト削減ができていなければ無駄な固定費・変動費が多くなって経営を圧迫します。
そこで、店舗運営者は積極的にコスト削減を進めなければいけません。店内の無駄な費用については、人件費や厨房コストを含めて削減するべきです。
もちろん、売上減につながる経費削減では微妙です。売上に影響を及ぼすことなくコスト削減を行い、業務効率化をしなければいけません。そこで、どのように飲食店経営者がコスト削減を考えればいいのか解説していきます。
もくじ
利益率を上げる素早い方法がコスト削減
すべての飲食店経営者はコスト削減を積極的に行わなければいけません。レストランなどの飲食店は一般的に利益率が低いといわれています。そのため、固定費・変動費削減を図るかどうかによって利益がまったく違うものになります。
参考までに、中小企業の飲食店だと利益率は11.4%ほどです。これは、経済産業省が以下のように発表しています。
出典:売上高営業利益率(経済産業省)
分かりやすく利益率10%だとすると、一店舗で月300万円の売上がある場合、月の利益は30万円です。
ただコスト削減をすれば、こうした店舗で月10万円ほどのコスト削減を実現するのは一瞬で可能です。また、少し時間はかかりますが月20~30万円の経費削減をするのもそこまで難しくありません。月30万円のコスト削減を実施できれば、月の利益は60万円になって利益率は20%です。
高利益体質の飲食店では、利益率20~30%の会社は普通に存在します。なぜ、店舗経営でこれだけの利益を出せるかというと、それだけ無駄を省いているからです。もちろん一つの対策ではなく複数のアイディアを試す必要はありますが、利益率を大幅に改善させることは可能です。
店内や調理場の電気代を削減する
飲食店であれば、全員が店舗を有しています。こうした店舗経営者の場合、必ず問題になってくるのが電気代です。電気代については、いますぐ削減することができます。
電気代について、大きく電力を消費するのは空調(クーラーや暖房)です。ただ、こうした空調を調節するのは無理です。店内でお客さんに快適に食事をしてもらうためには、最適な温度に調節しなければいけません。また、調理場の空調が適切でなければ仕事になりません。
ただ、そうした状況であったとしても電気代削減は簡単です。電力会社の見直しをするだけだからです。
大手の電力会社は元々存在するものの、そうした大手に限らず中小の多くの電力会社が存在します。こうした中小の電力会社を利用すれば、小売価格を大幅に圧縮できます。発電や送電のコストをカットするのは無理ですが、電力の小売価格について最安値で契約することで、平均15%ほど全体の電気代をいますぐ削減できます。
例えば以下は、3店舗を経営する飲食店について電気代削減の依頼があったとき、最終見積もりの内容です。
この飲食店では、3店舗で月36万2077円の電気代でした。そこで電気代の見直しをしたところ、月に約3万8000円の電気代削減が可能になりました。
年間だと46万円ほどであり、利益率10%の飲食店だと売上460万円に相当します。電力会社変更による電気代削減は特に労力が必要ないものの、店舗経営者にとって非常に効果の高いコスト削減法です。
店舗の損害保険料は大幅カットできる
同じように、特に労力なく簡単にコスト削減できる項目に損害保険料があります。損害保険は保険料を各社が自由に設定できるため、保険会社を切り替えることによって、「補償内容はまったく同じだが、保険料を大幅に削減する」ことが可能になっています。
飲食店であれば、全員が火災保険と賠償責任保険に加入しているはずです。
火災保険に入っているからこそ、火事や台風被害のときに高額な保険金が下ります。また賠償責任保険に入っていれば、「店内で提供した飲食物で食中毒が発生した」「ラーメンを店員が顧客にこぼし、ヤケドを負わせた」などのときであっても安心です。
こうした損害保険については、保険内容の見直しによって以下の固定費削減が可能です。
- 火災保険:10~30%を削減
- 賠償責任保険:30~60%を削減
- 火災保険と賠償責任保険の両方:50~60%を削減
例えば以下は、年間売上5,000万円ほどの法人について、賠償責任保険の保険会社見直しをしたときの結果です。
元々は年64万円ほどの保険料でしたが、保険会社の切り替えによって年51万円ほどに下落させることができました。
今回の場合について、一般的な賠償責任保険の削減率から考えるとコストカットできた金額は少なめです。ただ、それでもこうした金額についてコスト削減することができます。
家賃が高いなら賃料の削減サービスを使う
また飲食店の場合、複数店舗を賃貸していたり、一つの店舗の賃料が高かったりする場合、賃料削減によって月の家賃を引き下げることが可能です。
大きな固定費が家賃です。この引き下げについて大家と交渉をするとなると不可能なように思えてしまいます。もちろん、あなたが交渉する場合だと無理です。ただ、世の中には賃料削減の交渉サービスを無料(成果報酬)で実施してくれる会社が存在し、こうしたサービスを利用することで賃料を減らすことができます。
利用条件としては、店舗合計で月30万円以上の家賃を支払っていることです。そのため「狭い店舗で運営しており、店舗数も少なく、そこまで毎月の支払い家賃が高くない会社」だと利用できません。ただ、ある程度の支払いがあると賃料削減が可能です。
賃料削減の場合、平均して11%(5~20%ほど)の削減が可能です。賃料負担は高額になりやすいため、代わりに交渉してもらうことによって大幅な固定費削減が可能になります。
自動注文&決済で人件費のカットが可能
ここまでの内容については、特に努力することなく誰でもいますぐ簡単に実践できる方法です。それでは、他に削減できる項目はないのでしょうか。このとき経営改革は必要になりますが、人件費のカットを考えましょう。
人件費を抑えるとはいっても、無駄に給料(または時給)を低く抑えるわけではありません。これをすると、確実に社員やアルバイトの反発を招きます。そうではなく、人がいなくても回る仕組みを考えることで、結果として人件費をカットするのです。
例えば、いまの時代にレジは必要でしょうか。もちろん完全ゼロにはできないかもしれませんが、レジ業務をほぼゼロにすることは可能です。
例えばタブレットで注文してもらえば、ホールスタッフが注文を取りにいく時間を省けるようになります。注文は自動的に記録・計算されるのでミスもありません。また、追加注文の自動販売やおすすめの表示も勝手にしてくれます。
ここまでは導入している店舗がそれなりにあるものの、レジ打ちの作業についても全廃し、自動化を考えてもいいです。
決済の場所がレジである必要はありません。例えば会計時、タブレットのQRコードをスキャンしてもらい、カウンターやテーブルなど食事の場でカード決済できるようにすればいいです。そうすればレジ打ちをする作業はなくなり、ホールスタッフの仕事は食事の運搬や片付けだけになります。
レジに張り付く人を減らせば、大幅な人件費削減になります。1人のアルバイト代を削ることで1日1万円を浮かせれば、毎日稼働している店舗の場合、月30万円のコスト削減が可能です。
いまあなたが運営している飲食店について、人がしなければいけない作業は意外と少ないです。可能な限り自動化の導入によって、店舗運営の効率化を目指すようにしましょう。
レストランの厨房(調理場)の無駄を省く
また飲食店であれば、必ず厨房(調理場)があります。厨房がなければ料理を提供できないものの、厨房コストは努力次第でカットすることができます。
厨房コストで最も高額なのは、当然ながら機器代です。既に購入している場合は無理ですが、新たに買い替えするとき、新品ではなく中古品を積極的に用いるようにしましょう。実際のところ、新品でも中古品でも使用電力やメンテナンス費用はそこまで大きな違いがないからです。
また飲食店は経営の難しさから、多くの店舗が開業しては潰れていきます。そのため厨房機器の中古品はそれなりに種類が多く、こうした製品を安く導入できます。製氷機や食器洗浄機など、高価な厨房機器を中古品で買えば、購入コストを大幅に下げられます。
他には、厨房内に利用していない機器や器具が置かれているケースはよくあります。これについては、積極的に廃棄しなければいけません。
毎日動き回る調理場で不要な什器類があると、必要なものを取り出すときに手間がかかるなど、弊害が大きいです。そこで不要なものは中古品として売るといいです。必要なものは中古品で買い、調理場で不要なものは中古品として売ることでコストカットを図れます。
メニューを絞ることで食材ロスを減らし、変動費削減する
なお飲食店経営で陥りやすい罠として、「時が経つにしたがって無駄にメニュー数が多くなってしまう」ことがあります。
ただ、メニュー数が無駄に多いと確実に飲食店経営を圧迫してしまいます。メニューが多いと仕入れに必要な食材が多くなり、結果として廃棄が多くなるなど利益を圧迫するようになるからです。
一方で儲かっている会社はどうかというと、大企業を含めて基本的に特定のメニューしか提供していません。例えば、大手牛丼チェーンは何を提供しているでしょうか。牛丼や豚丼など、多少の違いはあるものの、牛丼メニューしか提供していません。
これによって、牛丼チェーンは「牛丼のネタとご飯だけ用意すればいい」という状況にできます。そのため注文から品出しまでの時間が非常に短く、お客さんの回転率もいいです。
同じことは、あなたの店舗でも可能なはずです。例えば私は以前、京都にある飲食店に出向いたことがあります。以下は実際の店内ですが、京都であることもあり風情ある内観でした。
重要なのは、その飲食店では親子丼しか提供しておらず、1つのメニューしかありませんでした。しかし圧倒的なおいしさから、多くのお客さんが店内にいました。
もちろん1メニューだけというのは極端な例かもしれません。ただ、ここまでいかなかったとしても、いまのメニューを半分以下に減らすのはすぐにでも行えるはずです。
例えば、高級レストランであれば「3パターンのコースメニューだけのプランにする」であれば可能です。そうすれば食品の廃棄は減り、仕入れの量も減り、売上予測を立てやすくなります。
売れ筋商品だけに絞れば問題ないため、無駄なメニューを削ることで食品ロスを減少させ、変動費削減しましょう。
SNSやサイトを使って無料集客を行う
さらには、集客を無料で行うことも重要です。タウン情報誌や口コミサイトに対して、高額なお金を費やして掲載している飲食店は多いですが、これについては早めにやめたほうがいいです。無駄に広告費を出しており、経営を大きく圧迫しているからです。
いまの時代、集客は誰でも無料で可能です。SNSやWebサイトを使えば、それを見たお客さんが来てくれるのです。
もちろん、何の戦略もなしにWeb集客を考えても失敗します。そうではなく、「どのような価値をお客さんに提供できるのか」を考えなければいけません。
例えばアットホームなレストランを売りにしている場合、「誕生日の演出を含めてすべて相談に乗ります」とWebサイトやSNSに記載し、店を訪れた実際のお客さんの様子まで含めて公開していればどうでしょうか。お客さんとしては、「自分も同じようにサプライズで恋人(または友人)を驚かせたい」と考えて予約してくれます。
こうしたSNSやWebサイトを用いて、無料集客できるようになるまでには時間がかかります。ただ、きちんとWebサイトを更新していれば無料で高品質のお客さんを集客することができ、少なくともタウン情報誌や口コミサイトに高額な広告料を支払うことはなくなります。
コスト削減では、努力なしで可能なものがあれば、努力して達成できる経費削減もあります。こうした努力を積み重ねれば、利益率15~20%超の達成はそこまで難しいわけではありません。ライバル店でここまで実践している店舗はほぼ存在しないからです。そこで、飲食店のコスト削減によって高い利益率を目指しましょう。
レストラン・飲食店で大幅な固定費・変動費削減を行う
どうしても利益率が悪くなりがちなのが飲食店経営です。ただレストランなどの店舗を運営していて利益率が10%ほどに留まるのには理由があります。店舗運営するにしても、ほとんどのケースでコスト削減について何も考えずにビジネスをしているからです。
ただ、飲食店経営では積極的に固定費・変動費削減をしなければいけません。経費削減するだけで、大幅な利益を残せるようになります。
なお、レストランなどの飲食店では「電気代削減」「賃料カット」など専門業者に依頼することで努力なしにコスト削減できることがあります。また、あなたの店舗システムを大きく変えることで努力して経費削減しなければいけないこともあります。
重要なのは、店舗運営では大幅なコスト削減が可能という事実です。店内のホールやキッチン(調理場)を含めて経費削減が可能です。具体的なアイディアや事例を提示したため、すべて試すことで利益率を15~20%超に改善しましょう。
法人コスト削減法の中でも、損害保険(自動車保険、賠責・工事保険、取引信用保険、火災保険)の削減を考えるのは重要です。そこで、専門業者を利用することで損害保険の一括見積をしましょう。
新規加入は当然として、既に法人用の損害保険に加入している場合であっても、こうした見積もりによって大幅に損害保険の金額を下落できます。
もちろん、法人によって加入している保険や必要な保険は異なります。そこで必要な損害保険の値下げを考えましょう。損害保険は内容を同じにしつつ、さらなる値下げが可能であるため、いますぐ大幅なコスト削減が可能です。
【自動車保険】
車を法人所有している場合、法人自動車保険の契約・乗り換えをしましょう。自動車保険は高額であるため、コスト削減の威力は大きいです。
【火災保険】
店舗経営者やオフィスを利用している法人であれば、ほとんどの人で火災保険に加入しています。そこで一括見積をすれば、一瞬で保険料の減額が可能です。
【賠償責任保険・工事保険・労災上乗せ保険】
賠償責任保険や工事保険、労災上乗せ保険など、損害賠償に備えるための保険は多くの会社で必須です。ただ賠償額が大きいと保険金額も高くなります。そこで、これら賠償責任保険や工事保険、労災上乗せ保険の見直しをして無駄な経費を抑えましょう。
【貨物保険】
貨物自動車の運送事業者について、お客さんから預かった荷物が輸送中に破損してしまうリスクがあります。そこで、物流に関わる事業をしている会社にとって貨物保険は必須です。
【取引信用保険】
法人経営でよくあるリスクが取引先の倒産や一定期間の支払遅延などの債務不履行です。これによって連鎖倒産してしまいますが、取引信用保険を利用すれば貸倒損失リスクを軽減できます。特に売掛金が多い場合、取引信用保険を活用しましょう。