会社にとって非常に大きな費用が営業コストです。営業マンを何人も雇っている場合だと、それだけで高額な経費が出ていくようになります。

利益を出すためには、売上を作るだけでなく無駄な経費を減らさなければいけません。特に営業マンでは、経費の意識が低い傾向があるため、経営者が自ら「高額な経費を使わなくても売上を出せる仕組み」を作る必要があります。

そうしたとき営業部門について、正しく行えば大きな経費削減が可能になります。もちろん人員削減ではなく、その他の方法によるものです。

そこで営業活動をするうえでの経費削減について、どのように固定費・変動費削減をすればいいのか解説していきます。

IT化が営業活動コスト削減の基本

最も手っ取り早い営業コストの削減は人員カットです。ただ人件費の削減は効果が大きいものの、無意味なカットは社内のやる気をなくし、将来的に利益を減らすことになるのでやめたほうがいいです。

同じく営業の外注化も微妙です。通常、アウトソーシングはコスト削減をするうえで非常に効果的ですが、例外があります。その例外の一つが営業です。自分の会社の商品を売ることを考えるとき、他社に投げても売れることは基本的になく、売上が徐々に減っていきます。

そのため営業については人件費を削るのが不可能に近く、別の方法でコスト削減を考えなければいけません。そうしたとき最も効果的であり、基本的な経費削減の方法がIT化です。

営業活動をするに当たり、アナログになりがちな人は多いです。そこで、以下を徹底しましょう。

  • 紙の書類をゼロにする
  • オンラインの営業活動や会議をメインにする

これらを取り入れるだけで、営業コストは大幅に下落します。それぞれの内容をさらに細かくみていきましょう。

営業職は紙の書類をゼロにするべき

営業活動では多くの資料を使う傾向にあります。自社商品の説明であったり、契約書類であったり、あらゆる場面で紙の書類を利用するのが営業マンです。

例えば以下は、私が引越しを依頼したとき、見積もりのために家に来た営業マンの様子です。

机の上に何枚もの紙の書類が置かれています。ただ、本当にこうした書類は必要でしょうか。パンフレットを渡されたとしても、正直なところお客さんは読みません。また説明するときは紙でなく、タブレット端末で十分です。

お客さんに見積もりを提示するにしても、その場でお客さんの携帯電話に転送すれば問題ありません。わざわざ紙の書類を作って渡す意味はないです。

ペーパーレスにすれば書類の保管がなくなり、印刷コストや持ち運びの手間がなくなります。また紙の書類をなくせば、中小企業であっても年間で10万円以上のコストを省けるのは普通です。例えば、紙のコストを1枚3円、パンフレットを100円とすると印刷コストを含めて以下のようになります。

  • 紙3円 × 10枚(一人のお客さん) × 月100人 × 12ヵ月 = 3万6,000円
  • パンフレット100円 × 月100人 × 12ヵ月 = 12万円

もちろん、これだけでなく保管管理コストまで含めるとより金額は大きくなります。

また契約書や領収書を作る場合、金額が大きい場合は収入印紙を貼らなければいけません。いわゆる印紙税であり、完全なる無駄な税金が収入印紙代です。ただ印紙税については、紙の書類ではなく電子契約であれば「収入印紙を貼らなくてもいい」と国税庁が公式に認めています。

そこで、以下のような電子契約を積極的に推し進めましょう。

ペーパーレス化をすれば、無駄な紙代を省けるだけでなく、税金を含めてそこから派生するあらゆる無駄をカットできるようになります。管理コストや収入印紙代を含めてコスト削減できるため、営業活動での紙の書類をゼロにしましょう。

オンライン営業・テレビ会議を積極的に導入する

また営業マンが仕事をするとき、必ずお客さんと商談しなければいけません。このとき、積極的にオンライン営業を活用しましょう。実際のところ、見込み客のもとまで出向く必要のないケースが多いからです。

参考までに私の場合、お客さんとの商談ではほぼ対面は行わず、Web上での商談です。ただそれでも成約率は落ちておらず、対面でしていたころに比べて売上の違いはそこまで変わりません。

ただオンライン営業にした結果、大幅なコスト削減となりました。まず移動する必要がないため、交通費は発生しません。また移動時間がなくなるため、商談後はすぐに次の仕事に取り掛かることができます。つまり、無駄がないのです。

私の場合、いまでは以下のようなオンラインでの商談ばかりとなっています。

もちろん、場合によってはオンライン営業では微妙なケースもあります。例えば、先ほどの引越し業者はお客さんの家に出向いて見積もりを取る必要があり、この場合は移動を避けることはできません。

・会議を対面で行う意味はゼロ

また、同じように会議についても対面で行う意味はないため、テレビ会議を積極的に導入するようにしましょう。

異なる支店がある場合、対象の社員を一ヵ所に集めるとなると非常にコストが大きくなります。例えば、以下のコストがかかります。

  • 交通費:往復の移動代
  • 移動コスト:移動時間中は他の仕事を行えない
  • 日当:出張のための手当て

通常、出張があると1日すべてを潰してしまうことになります。これが遠方であるほどコストは大きくなるため、必ずWeb会議に留めましょう。会議を対面で行う会社ほど無駄が多く、無駄な経費額が積みあがるため、これをゼロにするといいです。

営業事務の経費削減など副次効果も大きい

なおこのような改革をしていれば、営業マンだけでなくその他のコストも含めて削減できます。代表的なのは営業事務です。

IT化によって無駄な紙の書類がなくなれば、営業マンが商品の受注をしたとき、すべてWeb上で発注してくれます。IT化が進めば、「営業事務担当者に発注作業を電話にて依頼する」などは起こりません。

こうして、営業事務の担当者としては電話対応の作業が減ります。また聞き間違いによる発注ミスは減少し、無駄な事務作業は軽減されます。こうした業務効率化が進めば、営業事務の仕事がほとんどなくなって人員を一人減らすことも可能になるかもしれません。

営業コストの削減はペーパーレス化が基本ですが、できるだけ紙をなくしてWeb上での作業に切り替えましょう。そうすれば、営業事務の負担も減るようになります。

営業車があるなら自動車保険を削るべき

また営業コストは他にもあり、それが車です。営業マンを雇っている会社であれば、多くのケースで営業車を保有していると思います。こうした社用車についてコスト削減を考えましょう。

車のコストを省く方法はいくつかあり、その中でも効果的な手法の一つに自動車保険の見直しがあります。割引率は一般的に5~6%ほどになりますが、こうした固定費を削減できます。

例えば以下は、31台の車を保有している会社について自動車保険の見直しをしたときの結果です。

この場合は割引率が5%であり、これだけの固定費削減ができました。社用車を合計で10台以上保有している場合、保険会社の切り替えによる固定費削減が可能です。補償内容は同じであるものの、保険料の値段だけ下げることができるため、社用車がある場合は必ず行いましょう。

社用車が多い場合はカーリースで経費削減できる

また、保有している営業車が多く、20~30台以上を社用車としてもっているのであれば、カーリースを検討してもいいです。

リース契約では、自社保有よりも支払総額が高額になります。そのため通常だと、リース契約しないほうがコスト削減になります。ただ車の場合は例外であり、保有台数が多い場合はカーリースにするほうが経費削減できます。

この理由としては、車は以下のような細かいメンテナンスや支払いがたくさん発生するからです。

  • 自動車保険(車両保険)
  • 重量税、自動車税
  • 車検・点検
  • 消耗品(タイヤ、パッドなど)

社用車が多い場合、車の管理のためだけに人手が必要であったり、それぞれの営業マンが車のメンテナンスに時間を取られたりします。こうした関連費用まで考えると、車に関するすべての作業をカーリース会社に丸投げしてしまった方が安上がりになります。

面倒な車の維持・メンテナンスをリース会社に外注すれば、営業マンは本業に集中できます。こうして、全体のコストが下がります。

代理店の仕組みを作るのは効果的

なお営業コストについて削減することを考えるとき、人員削減によって企業としての活動量を弱めることは前述の通り微妙ですが、自ら何も営業しなくても勝手に売上を生み出せる仕組みを作ることは非常に優れているといえます。

その代表例が代理店制度です。例えば生命保険会社では、自社で社員をほとんど雇っていないことがあります。その代わりとして、完全成果報酬にて営業活動してくれる代理店と契約しています。

代理店が勝手に営業社員を雇い、全国各地で営業活動をしてくれて、保険商品が売れたらその対価として報酬を支払うという制度です。この場合は商品が売れたらお金として報酬を支払えばいいため、リスクがまったくありません。

上場企業を含め、大企業で代理店制度を採用している会社は非常に多いです。これと同じように、あなたが自社で頑張って営業活動しなくても勝手に売上が発生する仕組みを作りましょう。これはつまり、営業コストが大幅に引き下がることを意味しています。

お客さんから問い合わせが来る仕組みをWebで作る

また自動的に売上を作る仕組みは他にも存在します。いまではインターネットが発達しているため、WebサイトやSNSを通じて情報発信することができます。こうした媒体を利用すれば、無料にて見込み客を大量に獲得できます。

例えば私についても、当サイトのように有益な情報提供することによって、多くの無料集客に成功しています。これと同じことをすれば問題ありません。

もちろんWeb集客では注意点があります。それは、「個人の集客しかできない」ことです。つまり個人客または中小企業の社長(会社であっても社長個人がターゲット)しか集客できないというわけです。

大企業や地方自治体の集客をWeb上でするのは無理です。ただあなたの会社の顧客が大企業や地方自治体でないのであれば、WebサイトやSNSを用いた無料集客が可能です。これによって営業活動費用が大幅に少なくなるだけでなく、広告宣伝費もカットできます。

・自ら行くのではなく、お客さんに営業所に来てもらう

なお、営業コストを減らすことを考えるのであれば、営業マンがお客さんのところへ出向くのではなく、お客さんがあなたの会社に出向くようにさせましょう。

お客さんの家に行かなければ見積もりが不可能な業態については無理かもしれませんが、それ以外はお客さんに来てもらえばいいです。そうすれば交通費はかかりませんし、移動コストも発生しません。

特に自社媒体で集客しているのであれば、お客さんに来てもらうのは普通です。営業費用の削減では、できるだけ移動を減らすことを意識しましょう。

営業コストを下げ、利益が残る仕組みに変える

会社内で営業マンを雇うのは普通です。ただどのように営業活動をするのかによって、利用する経費額がまったく違うものになります。

多くの場合、営業マンは会社の外に出て自社の商品やサービスを提案するケースが多いです。もちろん、そのような方法でなければ売上を作れないケースもあります。しかしほとんどの場合、対面でなくてもオンラインで十分です。これであれば、交通費や移動コストを含めて節約できます。

またIT化をすれば会議を対面で行う必要がないと気づきますし、同時に営業事務のコスト削減にもつながります。

これに加えて営業車の固定費削減をしたり、集客を自動化させたりして仕組みづくりをしましょう。これら営業活動での経費削減をしていくことで、利益額がより大きくなります。


法人コスト削減法の中でも、損害保険(自動車保険、賠責・工事保険、取引信用保険、火災保険)の削減を考えるのは重要です。そこで、専門業者を利用することで損害保険の一括見積をしましょう。

新規加入は当然として、既に法人用の損害保険に加入している場合であっても、こうした見積もりによって大幅に損害保険の金額を下落できます。

もちろん、法人によって加入している保険や必要な保険は異なります。そこで必要な損害保険の値下げを考えましょう。損害保険は内容を同じにしつつ、さらなる値下げが可能であるため、いますぐ大幅なコスト削減が可能です。

【自動車保険】

車を法人所有している場合、法人自動車保険の契約・乗り換えをしましょう。自動車保険は高額であるため、コスト削減の威力は大きいです。

【火災保険】

店舗経営者やオフィスを利用している法人であれば、ほとんどの人で火災保険に加入しています。そこで一括見積をすれば、一瞬で保険料の減額が可能です。

【賠償責任保険・工事保険・労災上乗せ保険】

賠償責任保険や工事保険、労災上乗せ保険など、損害賠償に備えるための保険は多くの会社で必須です。ただ賠償額が大きいと保険金額も高くなります。そこで、これら賠償責任保険や工事保険、労災上乗せ保険の見直しをして無駄な経費を抑えましょう。

【貨物保険】

貨物自動車の運送事業者について、お客さんから預かった荷物が輸送中に破損してしまうリスクがあります。そこで、物流に関わる事業をしている会社にとって貨物保険は必須です。

【取引信用保険】

法人経営でよくあるリスクが取引先の倒産や一定期間の支払遅延などの債務不履行です。これによって連鎖倒産してしまいますが、取引信用保険を利用すれば貸倒損失リスクを軽減できます。特に売掛金が多い場合、取引信用保険を活用しましょう。