学校法人や大学を運営している経営者はそれなりにいます。このとき問題になりやすいのがコストです。教育に関わる事業であり、大きな施設が必要であるため、毎月の経費額は非常に高額になりやすいです。

そこで費用を削れば、すべての学校法人でいますぐにでも高額な利益が出るようになります。ただ学校や大学の経営者では、一般企業に比べると節税やコスト削減などの知識がないケースは多く、うまく経費削減できていない場合が多いです。

学校法人の場合、施設が大きいために特に努力することなく大幅なコストカットも可能です。ただ積極的に削減してもいい部分があれば、コストカットするべきではない部分もあります。

そこでどのようにして、私立学校(幼稚園、小学校、中学校、高校など)や大学のコスト削減をすればいいのか解説していきます。

施設のコスト削減は金額が大きい

学校法人の場合、一般企業とは異なる特徴があります。それは、施設が大きいことです。例外的に幼稚園は施設規模が小さいものの、小学校や中学校、高校、大学、専門学校など施設が大きいケースがほとんどです。

こうした場合、非常に簡単に経費削減することができます。例えば大きな不動産(固定資産)があると、発生する毎月の経費額はそれだけ高くなり、削減できる幅が大きいからです。しかも、デメリットがほぼ存在しない方法にていますぐ固定費削減できてしまいます。

例えば、以下のような方法があります。

  • 電気代の大幅削減
  • 損害保険費用の値下げ

他にも行えることはありますが、例えばこれらを実施することによって1~2ヵ月ほどで年間にして数百万円・数千万円レベルでの経費削減が可能になります。

電気代を大幅カットする

施設が大きければ、その分だけ必然的に電気代の使用量が増えてしまいます。電気代が非常に高額になりやすいからこそ、大幅なコスト削減が可能です。

もちろん、生徒や教職員に電気代の節電依頼をしても効果はゼロです。生徒が学校の経費削減に協力してくれるわけがありません。そこで、節電とは異なる方法によって電気代をカットします。具体的には、電力業者の見直しをします。

電力業者は非常にたくさんあります。そこであなたの学校・大学がある地域にて、電力業者50~100社ほどに対して一気に競争入札させます。これにより、10~30%(平均15%)ほどすぐに電気代が減ります。

例えば、以下は6階分まである建物について電気代削減の見直しを検討したときの最終見積もりです。

この法人では、電気代は年間1629万5172円でした。そこで見直しを行うことで、年間で約249万円の削減に成功しました。

電気の場合は同じ電線を利用しますし、発電所も同じなので、電力だと質の低下がありません。これだけの経費がそのまま減ったため、利益額を大幅に押し上げられるようになります。

損害保険をいますぐ値下げする

また私立学校(幼稚園、小学校、中学校、高校)や専門学校、大学などであれば、損害保険を利用しているはずです。

火災保険について加入しているのは当然ですし、賠償責任保険についても利用しなければいけません。火災保険があるからこそ、火事や台風被害などで施設が破損したとしても補償されます。また賠償責任保険があるからこそ、学校施設内での事故で補償が下ります。

ただ施設規模が大きくなるほど、火災保険や賠償責任保険の金額は大きくなります。ただ、損害保険の補償内容は同じだが、契約会社の見直しによって値段だけ下げることができます。例えば、以下は賠償責任保険について見直しをした事例です。

今回の場合であれば、年間で109万5,840円の賠償責任保険について、年37万680円の減額をすることができました。

あなたの学校でいくらの損害保険料を支払っているのかは分かりません。ただ、損害保険については一般的に以下の金額の下落が可能です。

  • 火災保険:10~30%を削減
  • 賠償責任保険:30~60%を削減
  • 火災保険と賠償責任保険の両方:50~60%を削減

高額なお金を支払っている学校法人であるほど、損害保険料の削減規模は大きくなります。電気代と同じように、デメリットのない方法なので必ず行うようにしましょう。

教育への直接経費以外を削減する

このように施設関連経費については、「メリットばかりであり、デメリットがほぼ存在しない」という経費削減の方法があります。学校法人の経営者は、まずはこうした固定費削減に着手するようにしましょう。

ただ、施設に関する固定費削減だけでは不十分です。それ以外の経費削減を実施することによって、より大きなコスト削減が可能になります。

このときコスト削減とはいっても、「教育に対する投資」以外の経費に着目しましょう。学校・大学などの教育機関である以上、教育に対する満足度が下がると学校法人の経営は立ちいかなくなります。生徒数が減り、コスト削減すればするほど授業料や入学金などの収入が減るからです。

学校法人の経営を維持するためには、優れた教育への投資は欠かせません。そうしたとき、教育以外の項目であったとしても、学校・大学ではコスト削減できる内容がたくさんあります。例えば以下になります。

ペーパーレス化・クラウド化の推進

学校に特徴的なこととして、特に意識していない場合、大量の書類を消費してしまうことがあります。プリンターを利用することでトナー代や紙代が増えていくのです。また教職員で資料や書類を印刷する必要が何度もあると、そのために長い時間を取られます。

ただ、これでは非効率です。そこで、資料や書類の作成をできるだけ省くことを意識しましょう。

そもそも、いま時代に紙の書類を渡すほど意味のないことはありません。もちろんテストでは紙を使えばいいですが、授業用のプリントや連絡事項、通知表を含めて電子データで問題ないはずです。また電子データで連絡すれば、親に対して瞬時に知らせることができます。

このとき、例えば「入学時にタブレットの購入が必須」と事前にアナウンスしておけば、問題なく学生は従ってくれます。いきなりシステムを変えると既存の親からクレームが出るものの、徐々に変えていけばクレームは出ません。すべての学校法人で可能な高額な経費削減がペーパーレス化です。

また、同時にクラウド化しましょう。どこからでも学習履歴や連絡事項にアクセスできれば、資料をなくすことはありません。また生徒としては、いつでも学習に必要な資料にアクセスできるようになります。

書類を使うのは無駄でしかありません。紙を学校の中から全廃するように意識すれば、それだけでコスト削減になります。

独自の取り組みをWebで伝えるべき

また学校法人に特徴的な取り組みとして、生徒を集めることがあげられます。ただ、多くの学校・大学はマーケティングが下手です。効果のない広告宣伝費を出し、それでいて生徒集めに苦労します。

そこで、WebサイトやSNSを利用して積極的に情報発信するようにしましょう。進学率や就職率、生徒が取得した資格などを積極的にアピールするのです。

実際のところ、これだけインターネットが発達しているにも関わらず、Webサイトが圧倒的にショボい学校が99%以上です。大学のサイトであってもほぼダメであり、見た目はキレイではあるが中身(コンテンツ)はスカスカであるケースがほとんどです。

これがSNSとなると、高確率でどの学校法人も十分な情報発信をしていません。

ただ実際のところ、ライバルの学校法人がこうした状況のため、情報発信によって広告費ゼロで生徒を集めるのは圧倒的に簡単です。教育における独自の方針や特徴を作り出し、情報発信を始めれば「将来は生徒になってくれる子供」にたくさんリーチできます。

例えば、日本の英語教育制度で英語を話せるようになることは100%ありません。ほとんどの日本人で英語がダメな現状を見れば、この事実は簡単に理解できます。

ただ私の場合、他の人と同じように最初は英語力ゼロでしたが、いまは問題なく外国人と英語で意思疎通できます。私の場合は社会人になって英語を学んだのですが、利用したのはオンライン英会話だけです。月1万円ほどなので非常に安いです。

また私の周囲で英語を話せる人に勉強法を聞くと、全員が「実際に外国人と話して実地経験で勉強した」と全員がいいます。机に向かって勉強し、英語をマスターした人はゼロです。

そこで学校法人として、こうしたオンライン英会話で格安契約を結び、積極的に授業で取り入れれば生徒の英語力は飛躍的に伸びます。特に高校の場合、大学受験などでは教科書以外の問題が出されますし、こうした勉強法のほうが実際のところ生の英語を学べます。

さらには学習をしている様子や、英語力が向上した生徒へのインタビューをSNSに載せるだけで大きな反響を得られます。

他には、奨学金支援を積極的にしても問題ありません。能力はあるが、お金がない家庭について、国の制度への申請を積極的に支援してあげるのです。

当然、こうした支援を学校自ら積極的に推進しているケースはほぼありません。そうした中、実際に支援してあげてSNSに事例を掲載したり、許可を得たうえでインタビュー動画を載せたりすれば、多くの親または生徒から反応を得られます。

非常に簡単であり、すべての学校法人がいますぐ行える学校の差別化ですが、こうした方法であっても問題ありません。他のライバル学校法人が実施していない以上、これらの支援をありがたく思ってくれる親はたくさんいます。

あなたの学校が提供できることの中で、独自の取り組みはないでしょうか。また、いますぐ行える独自内容であり、多くの生徒や親が興味をもってくれるプログラムを作れないでしょうか。これらを行い、積極的にサイトやSNSで情報発信すれば、広告宣伝費なしに大きな効果を得られるようになります。

人事評価は生徒アンケートによる実力主義に変更させる

これらを実施したうえで、次に人件費の適正化を考えるようにしましょう。学校法人だと、非常に高額な経費になるのが人件費です。そこで、まずは評価制度を変えましょう。

日本でダメな制度の一つが「年齢だけで評価される給与制度」です。これは意味ないのでいますぐ全廃しましょう。そうではなく、どれだけ生徒に優れた教育を提供できたかで評価しなければいけません。

大学であれば、論文発表などの研究成果が関わることもあるため、学生への教育効果だけで必ずしも評価できるわけではありません。ただ、少なくとも高校、専門学校などであれば、生徒への教育内容だけで評価できます。

若くても授業内容が優れている教職員がいれば、教えるのが下手な年寄りの職員もいます。このとき職員を評価する方法は簡単であり、生徒に投票させるだけです。

例えばアメリカの大学では、講義内容が優れているかどうか、学生に投票させるのが普通です。また、大学のように研究内容が重視される機関であったとしても、もし学生への講義内容がダメだとわりと簡単にクビになります。

もちろん日本とアメリカは国が異なるため、制度や価値観は変わります。また日本では、正職員をすぐにクビにすることはできません。

ただ、「生徒によって先生の人事評価を決める」のは非常に理にかなっているといえます。「優れた授業を提供している」「資格取得の率が高い」「指導している部活・クラブで全国上位に入賞した」など、客観的な事実だけで評価し、実力主義を取り入れることで教員間での競争が起き、より優れた教育内容になります。

優れた教育を提供する学校・大学であれば、当然ながら生徒の満足度が高まり、それが口コミで勝手に広がるようになります。もちろん、学生・生徒や親からのクレームも減ります。

同時に無駄な教職員への人件費が減ります。また、評価が低いとダメな先生から順に勝手に辞めてくれます。その代わりとして有能な教職員への給料は高くなりますが、これについては多くの生徒を集めるために必要な投資と割り切れば問題ありません。

日本ではなぜか、全員が一律の評価です。これが多くの学校法人で改革が起こらず、教育の質が高まらず、生徒が集まらない理由です。そこで無駄な教員への人件費を削り、有能な職員へ還元できる人事制度に変えましょう。

この対策については、トータルの人件費は変わっていません。ただ、教える側の人間の質が高くなることによって「広告宣伝コスト」「クレーム対応へのコスト」など、あらゆるコストを間接的に引き下げることができます。

学校法人で行える対策は多い

一般企業であれば、多くの経営者が経費削減などあらゆる対策をします。ただ同じ法人であっても、学校法人だと経営者によるビジネス的な観点が薄く、あまり対策を行えていないケースがほとんどです。

ただ学校・大学の場合だと施設が大きくなりがちなので、1~2ヵ月以内に労力なしに高額なコスト削減を行うことが可能です。またペーパーレスにすることで、教育に直接関わること以外の経費削減を徹底しましょう。

それだけでなく、ライバル学校でも同じようにビジネス的な観点がゼロなので、少しの対策をするだけで大幅なコスト削減が可能です。広告宣伝費を減らす代わりにWeb上で情報発信したり、人事制度を変えたりすることで、簡単に教育の質を高めながら多くの生徒を集められるようになります。

アイディア次第で学校法人は多くのコスト削減が可能であり、同時にたくさんの生徒を集めることで高収益体質に変えることができます。そこで学校法人が行える対策を一つずつ実施していきましょう。


法人コスト削減法の中でも、損害保険(自動車保険、賠責・工事保険、取引信用保険、火災保険)の削減を考えるのは重要です。そこで、専門業者を利用することで損害保険の一括見積をしましょう。

新規加入は当然として、既に法人用の損害保険に加入している場合であっても、こうした見積もりによって大幅に損害保険の金額を下落できます。

もちろん、法人によって加入している保険や必要な保険は異なります。そこで必要な損害保険の値下げを考えましょう。損害保険は内容を同じにしつつ、さらなる値下げが可能であるため、いますぐ大幅なコスト削減が可能です。

【自動車保険】

車を法人所有している場合、法人自動車保険の契約・乗り換えをしましょう。自動車保険は高額であるため、コスト削減の威力は大きいです。

【火災保険】

店舗経営者やオフィスを利用している法人であれば、ほとんどの人で火災保険に加入しています。そこで一括見積をすれば、一瞬で保険料の減額が可能です。

【賠償責任保険・工事保険・労災上乗せ保険】

賠償責任保険や工事保険、労災上乗せ保険など、損害賠償に備えるための保険は多くの会社で必須です。ただ賠償額が大きいと保険金額も高くなります。そこで、これら賠償責任保険や工事保険、労災上乗せ保険の見直しをして無駄な経費を抑えましょう。

【貨物保険】

貨物自動車の運送事業者について、お客さんから預かった荷物が輸送中に破損してしまうリスクがあります。そこで、物流に関わる事業をしている会社にとって貨物保険は必須です。

【取引信用保険】

法人経営でよくあるリスクが取引先の倒産や一定期間の支払遅延などの債務不履行です。これによって連鎖倒産してしまいますが、取引信用保険を利用すれば貸倒損失リスクを軽減できます。特に売掛金が多い場合、取引信用保険を活用しましょう。