美容室(ヘアサロン)は日本中に多くの店舗が存在します。コンビニに比べても圧倒的に店舗数が多く、あらゆる地域で競合店舗がひしめき合っています。そうした中で競争に打ち勝つ必要があるため、美容室経営者は戦略を考えなければいけません。

このとき非常に重要な経営戦略の一つがコスト削減です。固定費・変動費を減らすことで、店舗の利益率は大幅に改善されます。

実際のところ、お客さんを増やしたり店舗拡大したりするよりも、圧倒的に簡単に利益を増やせる方法が経費削減です。ただ実際のところ、美容師の多くが正しいコスト削減の方法を理解していないため、多額の経費を支払い続けています。

それでは、店舗経営での利益を増やすためには何を実践すればいいのでしょうか。ここでは、美容室で行うべき経費削減の方法を解説していきます。

コスト削減しないと美容室は利益率が低い

世の中には利益率の低い業種が存在します。美容室経営はこの一つであり、営業利益率は5%あれば一般的といわれています。営業利益率の良い店舗であっても、7~10%ほどです。

飲食店は利益率が平均して約11%なので、こうした店舗よりも利益の残りにくい業態が美容室経営です。このように利益率が低い理由として、人件費が高くなりやすい実態はありますが、大きな理由は「いまであっても多くの無駄な経費を支払い続けている店舗が非常に多い」からです。

コスト削減しなければ、どれだけ売上を増やしたとしても手元にお金は残りません。例えば月10万円のコスト削減であったとしても、利益率5%なら月の売上200万円分に相当します。年間では売上2,400万円分です。

このように具体的な数字でみると、なぜコスト削減が重要なのか理解できます。元々が利益の残りにくい業態だからこそ、美容室経営者はコスト意識をもって店舗運営しなければいけません。そうしたとき、まずは以下の固定費を減らすようにしましょう。

  • 電気代削減
  • 損害保険の見直し
  • 家賃の下落

これらについては、誰でも簡単にいますぐ行える方法です。これだけでも利益率を2~4%押し上げるのはすぐなので、あなたの店舗の収益性は大幅に良くなります。

契約を変えればヘアサロンの電気代が下がる

美容師経営の店舗に限らず、非常に多くの業界で行われている経費削減の方法が電気代削減です。電気代を抑えるとはいっても、空調を弱くするなどの方法ではありません。

一般的に電気代の節約を頑張ると、経営に大きな支障をきたすようになります。お客さんの満足度が減少することで、美容室に来店する人の数が減ります。例えば、夏なのに店内が涼しくないヘアサロンはすべてのお客さんが敬遠します。

そのため電気使用量の節約は実際のところ難しいですが、電気料金自体を下げることは可能です。やり方は簡単であり、電力会社の切り替えをするだけです。発電や送電のコストは削減不可ですが、電力の小売り部分はいくらでも削減でき、このときは中小の電力会社に対して競争入札をかけます。

また契約する電力会社を自ら見つけるのではなく、専門会社に依頼することで最安値にて電力会社と契約できるようになります。

特に美容室経営で複数店舗を有する場合、それぞれの店舗ごとの面倒な電気代見直し作業になるので、こうした経費削減をしていない個人事業主や法人経営者が多いです。これが県をまたがっているケースだとなおさらです。

そこで電気代削減サービスの専門会社に依頼すれば、特にあなたが何かしなくてもすべての店舗で競争入札が行われ、大幅に電気代を減らすことができます。例えば、以下は5店舗を運営する会社について電気代削減をしたときの最終見積もりです。

月に60万7,882円の電気代でしたが、削減依頼をすることで月6万8,287円の下落ができました。削減率は11%であり、一般的な平均削減率の15%よりは低いものの、それでも年間にして約82万円の電気代削減ができました。

利益率5%であれば、年間1,640万円ほどの売上に相当します。つまり電気代削減をするだけでも、大きく美容室の経営状況が改善すると分かります。

損害保険の見直しで経費削減する

また、損害保険も見直しをしましょう。すべての美容室は店舗を有しています。店舗がなければ美容師が接客するのは不可能です。こうした店舗運営では、100%の確率で損害保険を掛けているはずです。

そうしたとき、賃貸店舗であっても火災保険をかけなければ店舗契約できません。また火災保険に加入しているからこそ、自然災害が起こったときに補償されるようになります。

他には美容室経営だと、賠償責任保険に加入している人も非常に多いです。店内で事故があったとき、補償してくれるのが賠償責任保険です。「カラー剤が合わず、お客さんの皮膚がかぶれた」「ヘアーアイロンでお客さんにやけどをさせてしまった」など、賠償責任保険であればこれらの事故に対応できます。

こうした損害保険については大幅なコストカットが可能です。損害保険料はそれぞれの損害保険会社が自由に設定できるため、切り替えによって「補償内容は同じだが保険料の値段だけ安くする」ことが可能になっています。

例えば以下については、賠償責任保険の見直しをしたときの最終見積もりです。

年間で31万7,260円の保険料支払いについて、年5万4,710円の下落となりました。約17%の価格下落であり、このように現在の保険料を減らすことができます。

美容室であれば火災保険と損害賠償保険の両方を掛けているのは普通なので、両方について同時に見直すとより効果は大きいです。

家賃・賃料は交渉で下落できる

他に重要な要素が賃料です。美容室経営では賃貸にて店舗利用料(毎月の家賃)を支払うのが基本です。こうした家賃について下落させましょう。

日本では建物などの不動産価値が毎年下落するのが普通なので、賃貸契約後2年以上が経っているにも関わらず賃料が下がっていない場合、相場よりも高い家賃になっているケースが多いです。

もちろん、あなた自身が大家や管理会社と交渉しても賃料を減らすのは不可能に近いほど難しいです。そこで、賃料最適化サービスを実施している会社に依頼しましょう。成功確率は100%ではないものの、7割以上の成功確率で賃料を下落できます。交渉による賃料の下落幅は平均11%なので、かなり大きな固定費削減となります。

例えば以下は、13店舗を経営している法人について、実際に賃料削減コンサルの会社に依頼したときの結果です。

運営店舗数が多いため、月672万円以上の家賃を支払っていました。このうち10店舗について賃料交渉が成功し、削減率は4.9%と相場よりも低かったものの、それでも年間で398万4,456円の削減です。

利益率5%だと約8,000万円の売上に相当するため、賃料削減は必ず行うべき美容室の固定費削減の方法といえます。

経営努力によってさらに店舗の利益率を向上させる

ここまで、誰でもいますぐ可能な固定費削減の方法について解説してきました。ただ美容室経営では、これら専門会社に依頼するだけで可能になる簡単な経費削減だけでなく、経営努力が必要となるコスト削減も積極的に実施して店舗の利益率を向上させましょう。

もちろん、コスト削減をするときは顧客満足度を低下させてはいけません。売上に影響を及ぼさない削減項目について、美容室サロンの無駄を省いていきましょう。

そうしたとき簡単な経費削減方法だけでなく、ある程度の経営改革は必要になるものの、効果の大きい項目としては以下があります。

  • 店内の紙をなくす
  • IT化で電話・レジ対応をなくす
  • フリーランス化で節税する
  • 質を低下させずに材料費削減する
  • 広告宣伝費を減らす

これらについて、それぞれ実施するようにしましょう。

店内の紙を全廃するべき

ヘアサロンだと、なぜか他の業態に比べて多くの紙を消費したがる傾向にあります。例えば、入店から退店までをみると以下のようになっています。

  • 入店:顧客カード(スタンプカード)の提示
  • 新規客:カルテを記入
  • 接客時:雑誌の提供
  • 退店:紹介カードを渡される

これについて、すべてゼロにすることはできないでしょうか。ザックリ考えると、一店舗あたり以下のコストです(月600人、新規200人が来店で想定)。

  • 顧客カード30円 × 新規月200人 × 12ヵ月 = 年72,000円
  • カルテ5円 × 新規月200人 × 12ヵ月 = 年12,000円
  • 雑誌600円 × 月20冊 × 12ヵ月 = 年144,000円
  • 紹介カード30円 × 新規月200人 × 12ヵ月 = 年72,000円

これらをすべて足すと、一店舗で年間30万円ほどの出費です。紙代であっても、意外と多くの無駄な費用になっていることが分かります。

いまであれば、顧客カードなどを利用しなくてもメルマガシステムを使えばいいです。しかも、何度もお客さんについてDM(ダイレクトメール)を送ることができます。またカルテについて、顧客管理システムを使えば無料で利用できるシステムが存在します。

そこで例えばカルテであれば、タブレット端末を利用して、その場でお客さんに情報を入力してもらえばいいです。

同じことは雑誌についてもいえます。カット時の暇つぶしやヘアスタイルの確認のため、美容室には大量の雑誌が置かれているケースが多いです。

ただ、これらの雑誌について本当にすべて揃える必要はあるでしょうか。例えば電子マガジンサービスに加入すれば、年間3,600円ほどであらゆる雑誌が読み放題です。タブレット端末を購入するにしても1万円もかかりません。

しかもこうした電子マガジンであれば、お客さんが勝手に読みたい内容を選んでくれます。電子マガジンで読める雑誌数は無数に存在するため、経費削減をしながらむしろ顧客満足度が上昇します。電子化をすることによって、美容室で利用する紙をゼロにしましょう。

IT化によって電話やレジ業務をなくせば人件費が減る

またこうした電子化というのは、要はIT化と意味は同じです。IT化を推し進めることによって、美容室では紙の書類がなくなるだけでなく、無駄な作業が減ることで人件費を減らすことができます。

美容室の中では、小さい店舗でない限りはレジ業務の人がいます。常にレジにいなかったとしても、見習いの美容師がレジで接客したり、電話をとったりすることがよくあります。

ただ、本当に電話は必要でしょうか。いまはどのような人であっても、携帯電話やパソコンを利用して予約&キャンセルをするのに慣れています。それなら、無料の予約管理システムを使えばいいです。こうした管理システムはたくさんあるため、いますぐ無料で導入できます。

またレジ業務について、ほぼゼロにできないでしょうか。美容室サロンでは「レジを打たなければいけない」というルールがいまでも根強いですが、お客さんの希望メニューが既に決まっているのであれば事前決済してもらってもいいです。または、退店時にQRコードで決済してもらってもいいです。

決済手数料はかかるものの、こうして無駄な作業を減らしていけば、高額な人件費を削ることができます。また閉店後にお金を数え、数字を合わせる作業がほぼなくなります。

特に人件費については、予約管理やレジのために一人雇うと以下のコストがかかります。

  • 給料:月18万円 × 12ヵ月 = 年216万円
  • その他の経費:年216万円

一人の社員を雇うには「給料と同額の経費がかかる」と一般的にいわれます。そのためアシスタント美容師の給料が年216万円の場合、これら派生するその他の経費を合計すると年間で約464万円の固定費です。

こうした人件費を考えると、作業効率化によって無駄な事務作業を減らし、一人分の人件費を削減するのは優れた戦略だといえます。接客要員のスタイリストを減らすのは無理です。ただ、接客とは関係ない予約やレジなどの業務については積極的に減らしましょう。

社員でなく、フリーランス化での節税効果は大きい

また節税を考えてもいいです。無駄な税金を減らすことは大きなコスト削減でもあります。このとき美容室であれば、社員ではなく一部でもいいのでフリーランス化をするといいです。

社員雇用だと非常に高額な税金を課せられます。社会保険料として給料の約15%が会社負担となります。法人なのであれば会社負担分から逃れることはできません。

さらに、給料として支払った分については消費税を差し引くことができません。言いかえると、給料支払いのうち10%(消費税)だけ税金が増えます。

こうして、社員に給料を支払うと高額な税金支払いが発生します。そこで、社員ではなくフリーランスとして外注化すれば、こうした税金支払いはなくなります。

外注化は節税&コスト削減の王道となる方法です。それまでの金額よりも高額な報酬(外注費)を支払ったとしても、無駄な税金を抑える効果を考えれば、トータルではコスト削減を実現できます。そのため、美容室は外注化による経費削減が可能かどうか考えましょう。

質を低下させずに材料費削減する

また美容室では多くの材料を利用します。例えばカラー剤、パーマ剤、トリートメント剤、処理剤など種類は非常に多いです。これについて、材料費削減を検討しましょう。

前述の通り、単に安いだけで質の悪い材料に変えるのは微妙です。お客さんの満足度を低下させる行為をしてはいけません。

ただ、美容室をターゲットにした商材は非常にたくさん存在します。同じ商材で相見積もりを取るだけでなく、その他の新興会社の商品を含めて検討しましょう。質はほとんど同じであるものの、値段は安いケースがよくあるため、そうした商品を積極的に探せば大幅な材料費削減が可能です。

WebサイトやSNSで無料集客し、広告宣伝費をなくす

無駄な広告宣伝費を減らすことも重要です。実際のところ、タウン情報誌の利用やチラシ広告を出さなかったとしても、美容室であれば集客が圧倒的に簡単だからです。

美容室を探すとき、お客さんはどのような行動を取るでしょうか。タウン情報誌などを参考にすることはあるかもしれませんが、多くは「自分の家の近く(半径1km以内)で最適な美容室はないか?」と考えるのが普通です。

そこで、地名で検索します。例えば以下のようになります。

  • 東京大学周辺 美容室
  • 武蔵小杉駅 パーマ
  • 神戸市西区〇〇町 カット

一般的な業界だと、集客では広めの範囲をターゲットとします。例えば「神戸に住んでいる人がターゲット顧客」などになります。ただ美容室だと商圏が非常に狭いため、「神戸市西区〇〇町」と半径1kmのエリアまで絞らなければいけません。

そこで、こうした地名や目印となる建物・駅などで検索したとき、あなたの店舗が検索結果の上位に出てくるようにすればいいです。

また同時にSNSで情報発信しましょう。その日に美容室で起こった出来事や接客内容を情報提供すれば、それはオリジナルコンテンツです。ライバル店でこれを実践しているケースはほぼゼロなので、ヘアサロンはWeb集客が非常に簡単な業態です。こうして、広告宣伝費をカットしましょう。

美容室経営を安定化させるコツは経費削減

なぜ美容室で利益率が非常に悪いかというと、その理由は「美容師としてサロン経営するとき、多くの人が集客やスキルアップ、顧客&スタッフのマネジメントだけで完結している」からです。また美容師の業界は資格で守られているため、非常に店舗数が多いもののほとんどのケースで店舗経営の最適化が進んでいません。

そこで、あなたの店舗については積極的に経費削減を推進していきましょう。ここまで解説したポイントを実践すれば、利益率が10%超になるのは当然です。それだけで、一般的なライバル店に比べて圧倒的に高い利益を出していることになります。

売上を伸ばすためには顧客を増やし、スタッフを雇い、店舗を拡大させるなど行うべきことがたくさんあります。一方でコスト削減であれば、売上アップよりも簡単に可能です。

もちろんお客さんの満足度は落とさず、固定費・変動費のみ減らすことは可能です。光熱費削減や家賃交渉、人件費削減、材料費削減、広告宣伝費削減など行えることは多いため、これらを一つずつ実施していきましょう。


法人コスト削減法の中でも、損害保険(自動車保険、賠責・工事保険、取引信用保険、火災保険)の削減を考えるのは重要です。そこで、専門業者を利用することで損害保険の一括見積をしましょう。

新規加入は当然として、既に法人用の損害保険に加入している場合であっても、こうした見積もりによって大幅に損害保険の金額を下落できます。

もちろん、法人によって加入している保険や必要な保険は異なります。そこで必要な損害保険の値下げを考えましょう。損害保険は内容を同じにしつつ、さらなる値下げが可能であるため、いますぐ大幅なコスト削減が可能です。

【自動車保険】

車を法人所有している場合、法人自動車保険の契約・乗り換えをしましょう。自動車保険は高額であるため、コスト削減の威力は大きいです。

【火災保険】

店舗経営者やオフィスを利用している法人であれば、ほとんどの人で火災保険に加入しています。そこで一括見積をすれば、一瞬で保険料の減額が可能です。

【賠償責任保険・工事保険・労災上乗せ保険】

賠償責任保険や工事保険、労災上乗せ保険など、損害賠償に備えるための保険は多くの会社で必須です。ただ賠償額が大きいと保険金額も高くなります。そこで、これら賠償責任保険や工事保険、労災上乗せ保険の見直しをして無駄な経費を抑えましょう。

【貨物保険】

貨物自動車の運送事業者について、お客さんから預かった荷物が輸送中に破損してしまうリスクがあります。そこで、物流に関わる事業をしている会社にとって貨物保険は必須です。

【取引信用保険】

法人経営でよくあるリスクが取引先の倒産や一定期間の支払遅延などの債務不履行です。これによって連鎖倒産してしまいますが、取引信用保険を利用すれば貸倒損失リスクを軽減できます。特に売掛金が多い場合、取引信用保険を活用しましょう。