美容系のサロン運営を考えるとき、どれだけ効率的に利益を出すのかが重要です。そのためエステサロンやネイルサロンを運営する経営者は全員、コスト削減を考えなければいけません。
ただ、エステサロンやネイルサロンで経費削減を実施するにしても、どのようすればいいのか理解している人は少ないです。
正しく固定費や変動費を削減すれば、大幅に利益率が向上します。特に複数の美容サロンを経営している場合、簡単に年間にして100万円以上の固定費削減が可能です。しかも、特に労力なしにコスト削減できる方法も存在します。
どのようにすれば、サロン経営者は無駄な固定費・変動費を下落させることができるのでしょうか。ここでは、エステサロンやネイルサロンなどで行うべきコスト削減の考え方を解説していきます。
もくじ
サロンの質に関わる部分を削減してはいけない
多くの経営者は売上の上昇について多くの努力をします。ただ、それと同じくらい頑張らなければいけないのが経費削減です。無駄なコストを抑えることができれば、簡単に利益を上昇させることができるからです。
もちろんコスト削減とはいっても、固定費・変動費削減のときにお客さんの満足度に直結する部分を省こうとしてはいけません。
- 提供する商材の質を落とす
- 無意味に人件費を減らし、少ない人手で何とか対応する
- 消耗品の購入を減らす
- 空調の温度を弱める
これらについては確かにコストカットが可能であるものの、同時にお客さんの満足度が低下し、リピートにつながらなくなって最終的に売上減となります。そうではなく、売り上げは特に変わらないものの、コストだけ下げるのが経費削減です。
そうしたとき、美容サロンであれば以下のコストは非常に分かりやすいです。
- 人件費
- 広告宣伝費
- 商材費
これらの経費について、経営努力によって減らすことはできるのでしょうか。
自動化によって人件費を減らすのは基本
前述のように、無意味に人件費をカットするのは微妙です。美容サロンの場合、エステティシャンなどの人材がいなければ売り上げを作ることはできません。
ただ実際のところ、無駄な人件費を払い続けている美容エステやネイルサロンは多いです。例えば受付について、スタッフがずっと常駐している(またはレジ打ちなどの会計作業をしている)ことはないでしょうか。
いまではレジ打ちをする意味はありません。「事前にカード決済をしてもらう」「施術後にQRコードを読み取ってもらい、その場で決済してもらう」などを導入すれば、特にレジ作業は不要です。
決済代行会社に手数料を支払う必要はあるものの、無駄に受付スタッフを雇うよりもコストは大幅に下がります。また閉店後の売上チェックなど、無駄な作業も減るので会計コストも大幅に減ります。
同じように、予約の受付やキャンセルの電話をゼロにしましょう。すべてWeb上で管理できるようにすれば、あなたにとってもお客さんにとっても便利です。実際、私のビジネスでは電話ゼロで予約やキャンセルはすべてWeb上で済ませてもらいますが、特に困っていません。
IT化すれば、無理なく人件費を削減できます。エステティシャンやネイリストを減らすなど無理な人件費削減は微妙ですが、自動化の仕組みを作った後であれば、受付スタッフの人件費について固定費削減が可能です。
広告宣伝費は経営者の努力でゼロに近づける
また広告宣伝費を出すのはサロン経営で必須です。美容エステやネイルサロンなど、美容系サロンは他の業界と比べて広告宣伝費の比率がどうしても高めになります。
しかし深く考えず広告宣伝費を削ると大幅な売上減につながります。そこで、即効性のあるコスト削減法ではないものの、WebサイトやSNSを利用して無料集客できる仕組みを作るようにしましょう。
当サイトについても、情報提供することによって多くのアクセスを集め、結果として広告宣伝費ゼロにて無料集客しています。同じようにサイトやSNSを利用して勝手にお客さんが店舗にやってくる仕組みを作るのです。
特にサロン経営者だと、Web集客は簡単です。あなたがターゲットとする地名にて集客すればいいからです。例えば美容エステだと以下のようになります。
- 三宮 おでこ 脱毛
- 倉敷 痩身 エステ
- 浜松 美白 エステ
いずれにしても「地名(あなたの店舗があるエリア)+美容メニュー」にてWebサイトで情報発信すればいいです。ライバル店でこれを実践している人はほぼいないはずなので、簡単に勝ててしまいます。
同じようにSNSでも地域特化で情報を提供していきましょう。美容業界の裏側事情やハプニングなど、日々の出来事を発信すればオリジナルのコンテンツになります。効果が出始めるまでには半年以上の時間がかかるものの、広告宣伝費は大幅に下がります。
美容機器や商材の見直しは重要
また、同時に美容機器や商材の見直しも検討しましょう。前述の通りサービスの質を落とすのは微妙ですが、同じ質だが価格を下げることができるのであれば、積極的に見直しをするべきだといえます。
例えばエステサロンであれば、美顔や脱毛などの美容機器を使うことがよくあります。そうした場合、いまでは美顔や脱毛、痩身などがセットになった美容機器が存在します。こうした機器類であれば、一つを揃えるだけであらゆる種類の施術が可能になり、別々で購入するよりも安上がりです。
また、必ずしも新品である必要はありません。むしろ、新品ばかりを考えるのは経営者として失格であり、コスト削減を考えると中古品のほうが優れています。しかも、3~4年ほど前の機器であってもそこまで性能は変わりません。
既に購入していて、いま必要ない場合は関係ないです。ただ将来に必要になったり、新規出店したりする場合は重要な考え方です。
同様に美容商材についても見直していいです。質はほとんど変わらないものの、値段の安い新興会社の製品があるのなら、そちらを試してもいいです。美容商品は毎月、腐るほど発売されているため探すのはそこまで難しくありません。
エステやネイルサロンで削減可能な固定費
それではエステやネイルサロンの経費削減をするとき、美容施術や商材に関わること以外についてはコストカットできないのでしょうか。
これについては、美容に関わらないほかの方法によって大幅なコスト削減が可能です。運営しているサロンの規模が小さすぎる場合だと利用できないケースもありますが、複数店舗を運営している場合だと確実に高額な固定費削減が可能です。
具体的には、以下の経費削減ができます。
- 電気代の削減
- 損害保険料を減らす
- 賃料を減額する
専門のコスト削減サービス会社を利用する必要はありますが、どのようにするのかについて以下で詳しく解説していきます。
電気代の減らすのは必須
サロン経営者にとって、最も高額な電気代となるのがクーラーや暖房などの空調代です。ただ先に述べた通り、空調を弱くするのは微妙です。お客さんの顧客満足度に直結するため、むやみに電気の使用量を減らすことを考えてはいけません。
それでは、どのようにして電気代削減をすればいいのでしょうか。これについては、電力会社の切り替えをしましょう。
中小を含めると、非常に多くの電力会社が存在します。こうした電力会社に対して競争入札を行い、最安値の会社と契約することで平均して15%ほどの電気代を減らすことができます。
例えば以下は、5店舗を運営する法人にて電気代削減をしたときの最終見積もりです。
この会社の場合、電気代は月60万7882円でした。そこであらゆる電力会社に競争入札させた結果、月53万9595円に下落させることができました。年間にして約82万円のコスト削減であり、特に労力なしにこれだけのコスト削減が可能になります。
火災保険や賠償責任保険のコストを見直す
また損害保険料についても下落させましょう。サロン店舗運営者であれば、全員が火災保険と賠償責任保険に加入しているはずです。
賃貸でサロンオフィスを借りている場合、火災保険に誰もが加入しています。そもそも加入しなければ、賃貸契約できないケースがほとんどです。
また同時に賠償責任保険にも加入するのが基本です。賠償責任保険があるからこそ「施術中にお客さんがやけどをした」「ネイルでお客さんの指を傷つけてしまった」などのとき、補償が下りるようになります。賠償責任保険がなければトラブルに対処できません。
これらの保険料は大幅な下落が可能です。損害保険料は自由に設定できるため、契約会社を変えることで「補償内容は同じだが保険料だけ下げる」ことができるからです。例えば、以下は賠償責任保険について見直しをしたときの事例です。
この会社の場合、一年で総額31万7,260円の保険料でした。そこで損害保険会社の切り替えをした結果、26万2,550円に減らすことができました。全体で約17%のコスト削減です。もちろん火災保険や賠償責任保険の金額が高額な場合、より経費削減額は大きくなります。
2年以上、賃貸しているなら家賃交渉
またいまの場所で開業して2年以上が経過しているのであれば、家賃交渉によって経費削減することを検討しましょう。
賃料を下げるとはいっても、あなた自身が大家や管理会社と交渉してもほぼ確実に失敗します。そうではなく、家賃交渉の専門会社に依頼するのです。世の中には家賃適正化サービスを専門でしている会社が存在するため、依頼するだけで問題ありません。
修繕工事をしない限り、日本では建物の不動産価値が下落し続けるのが基本です。そのため賃料が変わっていない場合、相場より高額になっている可能性が高く、家賃交渉によって毎月の固定費を削減できるようになります。
このとき賃料削減サービスの利用については、以下の2つの条件を両方満たしている人が対象です。
- 月30万円以上の家賃(複数店舗を合計可能)
- 2年以上、継続して賃料を支払っている
小さい店舗を一つだけ運営しているだけだと利用は無理です。ただ、サロンの規模が大きかったり、複数店舗を運営していたりする場合、月30万円以上の家賃になるのは普通です。
そこで家賃交渉サービスを利用すれば、平均して11%ほどの家賃削減が可能です。3%の削減だったり、20%ほど削減できたり、店舗の状況によって削減率は大きく異なります。ただ平均11%なので、これだけ毎月の賃料支払いが減ればサロン店の利益は大幅に改善されます。
エステ・ネイルなど美容サロン経営のコストを見直す
すべての美容サロン経営者で重要なのがコストの見直しです。無駄な経費を支払っていることは多いため、不必要な支出を減らすようにしましょう。
当然ながら、ダメなコスト削減をしてはいけません。美容エステやネイルなどのサロン経営者はお客さんの満足度が低下しないような経費削減をしていく必要があります。
そのためには、サロン経営での人件費や広告宣伝費、商材費の適切な見直しをしましょう。また個人事業主や法人では、それだけでなく電気代や損害保険、賃料まで含めてコスト削減していくといいです。
これらをすべて実践していけば、利益率を5〜10%以上押し上げるのは特に難しくありません。コスト削減では、ここで説明した電気代削減のように特に努力しなくても経費削減できる項目もあります。そこで、積極的に固定費や変動費を見直すことで経営状況を改善させていきましょう。
法人コスト削減法の中でも、損害保険(自動車保険、賠責・工事保険、取引信用保険、火災保険)の削減を考えるのは重要です。そこで、専門業者を利用することで損害保険の一括見積をしましょう。
新規加入は当然として、既に法人用の損害保険に加入している場合であっても、こうした見積もりによって大幅に損害保険の金額を下落できます。
もちろん、法人によって加入している保険や必要な保険は異なります。そこで必要な損害保険の値下げを考えましょう。損害保険は内容を同じにしつつ、さらなる値下げが可能であるため、いますぐ大幅なコスト削減が可能です。
【自動車保険】
車を法人所有している場合、法人自動車保険の契約・乗り換えをしましょう。自動車保険は高額であるため、コスト削減の威力は大きいです。
【火災保険】
店舗経営者やオフィスを利用している法人であれば、ほとんどの人で火災保険に加入しています。そこで一括見積をすれば、一瞬で保険料の減額が可能です。
【賠償責任保険・工事保険・労災上乗せ保険】
賠償責任保険や工事保険、労災上乗せ保険など、損害賠償に備えるための保険は多くの会社で必須です。ただ賠償額が大きいと保険金額も高くなります。そこで、これら賠償責任保険や工事保険、労災上乗せ保険の見直しをして無駄な経費を抑えましょう。
【貨物保険】
貨物自動車の運送事業者について、お客さんから預かった荷物が輸送中に破損してしまうリスクがあります。そこで、物流に関わる事業をしている会社にとって貨物保険は必須です。
【取引信用保険】
法人経営でよくあるリスクが取引先の倒産や一定期間の支払遅延などの債務不履行です。これによって連鎖倒産してしまいますが、取引信用保険を利用すれば貸倒損失リスクを軽減できます。特に売掛金が多い場合、取引信用保険を活用しましょう。