法人経営者にとって、非常に大きなコスト削減法としてテレワークの導入があります。社員を在宅勤務させることで、大幅な固定費削減が可能になります。

実際のところ、テレワークを導入したとしても会社の業績に影響することはありません。むしろ社員の満足度向上につながったり、従業員が辞めなかったりなどと、デメリットが非常に少ないという特徴があります。もちろん、テレワークの導入コストはほとんどありません。

さらには、在宅勤務をうまく取り入れることで大幅な節税にもつながります。消費税や社会保険料を削減できるため、簡単に年間にして何百万円・何千万円もの節税効果があります。

なぜ、在宅勤務によって高額な経費削減が可能になるのでしょうか。具体的な中身やテレワークのやり方について解説していきます。

導入コストが格安にて経費削減が可能なテレワーク

テレワークを導入することについては、業態によっては無理なケースがあります。例えば工場・製造業やホテルでは、必ず現場で社員が作業する必要があります。そのため、在宅勤務の導入は難しいです。

ただ、こうした業態であったとしても「経理など事務部門を在宅勤務にする」などによって、一部をテレワークに移行することができます。

実際のところ、毎日出社して事務作業をする意味はありません。自宅で仕事をさせてもパフォーマンスは同じです。製造業やホテルのように、一見すると在宅勤務が無理に思えたとしても、一部は可能なのです。

また実際のところ、多くの業態にてほぼすべての社員のテレワーク化が可能です。

・在宅勤務の導入費用は格安

そうしたとき、在宅勤務を導入するときのコストはほとんど発生しません。新たに備品を購入する必要はほぼなく、単に在宅勤務をスタートさせるだけで問題ありません。支出があったとしても、パソコンをもっていない社員がいる場合、新たに格安のパソコンを支給するくらいです。

また、テレワーク導入ではWeb会議の仕組みを導入するのが一般的です。ただ、こうしたテレビ会議は1対1であれば無料です。複数人とWeb会議をする場合であっても、既存のシステムを利用することで、以下のように年間150ドル(年15,000円)と格安で利用できます。

在宅勤務を導入するとしても、導入コストはほぼありません。すべての業態にて、いますぐテレワーク化することが可能です。

残業代なしが当然なので大幅なコスト削減になる

導入コストがほぼない在宅勤務ですが、費用削減の効果は非常に大きいです。例えば、残業代の支給がゼロになります。

会社に在籍している場合、社内にいれば超過した就業時間について残業代を支給しなければいけません。ただ在宅勤務であれば、当然ながら「社内にいる時間」は存在しません。プライベートと仕事時間の境目はないため、残業という概念はありません。

経営者にとって、残業代は非常に高額なコストです。例えば、月32万円の給料をもらっているサラリーマンの場合、換算した時給は2,000円です。毎日3時間の残業をする場合、月20日働く場合は一人あたり以下の残業代になります。

  • 時給2,000円 × 20日 × 3時間 × 1.25 = 15万円

法定時間(週40時間)を超えた労働については25%増しの賃金にしなければいけないため、上記の計算式になります。

一人あたり残業代は月15万円であり、年間では180万円です。社員が10人いれば、削減できる残業代は1,800万円です。テレワークを導入するだけで、残業代だけでもこれだけ高額な費用削減が可能になります。

通勤手当をカットし、費用削減する

在宅勤務を推し進めることでカットできる経費はそれだけではありません。それまで支出していた通勤手当をカットすることができます。

社員が会社に通勤するため、一般的には通勤手当を支給します。当然ながら、通勤しない社員のために毎日の交通費を出す必要はありません。テレワークに移行すれば、それだけで高額な通勤手当のコストをカットできます。

車通勤なのか電車通勤なのかによって、通勤手当の金額は異なります。例えば電車通勤であれば、通勤手当は平均して月10,000~15,000円ほどです。以下のような定期代を支給することになるため、それなりに高額になるのです。

年間にして、通勤手当は一人10万円以上のコストです。社員10人分の通勤手当をカットすれば、年間100万円以上の費用削減です。

残業代に比べると威力は劣りますが、それでも年間100万円以上の経費削減が可能になるのが通勤手当のコスト削減です。

事務所オフィスを小さくして固定費削減する

また会社内にいる人が少なくなれば、大きなオフィスを借りる必要がありません。製造業など自社の不動産を保有している場合、オフィスを小さくすることはできません。ただ、賃貸オフィスの場合は事務所を小さくできます。

店舗運営をしている会社であったとしても、店舗を縮小することはできなくても、本社の人員を積極的にテレワーク化することで、本社オフィスを小さくすることは可能です。

賃貸オフィスは高額になりやすいです。ただ毎日出社する社員が減った結果、家賃を半分以下にできるのは普通です。また出社する社員が少なくなった場合、交通の便が良い中心部ではなく、少し郊外に本社機能を移しても問題ありません。

そうすれば、それまで月50万円ほどの家賃を月15万円ほどに減らせるのは普通です。会社規模やテレワーク化の推進度合いにもよりますが、年間にして事務所オフィスの賃料を年300~500万円以上を削減できるのは珍しくありません。

・支店自体がなくても問題ない

ちなみに大手企業の中には、営業所・支店自体を廃止しているケースもあります。例えば、以下は大手製薬会社で知られている企業が「国内にあった76の支店すべてを廃止した」という内容の記事です。

全国展開している大手会社ですが、営業所がないのでほとんどの社員がテレワークです。事務員も営業もすべて自宅で仕事をすることになります(営業は直行直帰になる)。

この場合、残業代や通勤手当を省けるだけでなく、営業所を保有するためのコストもなくなります。事務所を小さくするだけでなく、在宅勤務の推奨に伴って「そもそも事務所オフィスは不要なのでは?」という考えをもつこともコスト削減で重要です。

水道代・電気代を大幅削減可能

こうしてオフィス規模を小さくしたり、賃貸オフィスを廃止したりすれば、その分だけ水道代や電気代などの水道光熱費を削減できるようになります。

オフィスでガス代を使うことはなかったとしても、どうしても水道代や電気代は高くなります。特に空調や照明が関わる電気代は高くなりやすく、一般的に以下の電気代となります。

  • 10坪(社員5人ほど):月2万円
  • 30坪(社員15人ほど):月4万円
  • 50坪(社員30人ほど):月6~7万円

ただ出社する社員が少なくなり、オフィスの規模を縮小させれば、これらの費用を削減できるようになります。これだけでも、年間のコストを大幅に減らすことができます。

従業員にもメリットの多いリモートワーク

なお、こうしたテレワークは従業員にとってもメリットが大きいです。社員の満足度が非常に高くなるのです。

当然ですが、毎日決まった時間に出社しなければいけないのは苦痛です。「満員電車に毎日乗らなければいけない」「交通渋滞の中、出社しなければいけない」のは大変です。ただテレワークであれば、朝早くに起きる必要はありませんし、移動時間を省くこともできます。

また出社したからには、従業員にとって定時退社は難しいです。多くの会社では、定時退社が無理な雰囲気だからです。ただリモートワークであれば、そもそも自宅勤務なので退社時間は関係ありません。自由に時間を調整して使うことができます。

もちろん夕方になれば、好きな時間にジムに行くことができます。他には子供の送り迎えがあったとしても、社内の周囲の目を気にしながら早期帰宅する必要もありません。旅行先にて、仕事をしながら過ごすことも可能になります。

自由な時間に自由に働けるというのは、社員の満足度を圧倒的に向上させる要因にもなります。一つの場所で働かなければいけないという制約がなくなるからです。

育児や介護があっても社員が辞めない:男性もメリット

そのため、当然ながら社員は会社を辞めにくくなります。会社で働いても、自宅で働いても問題ないため、会社をわざわざ辞める必要がないからです。

例えば女性社員であれば、結婚や出産を機に退職する人が非常に多いです。ただ収入の心配もありますし、できれば会社を辞めたくないでしょう。そうしたとき、旦那がどこに転勤したとしても仕事することができ、出産したとしても家で問題なく勤務できるとなればどうでしょうか。

パートに比べると圧倒的に条件がよく、在宅勤務が可能であればそれまで培った仕事のスキルを活かすことができます。仕事場所がオフィスではなく自宅になるだけなので、結婚や育児、介護などのライフイベントがあったとしても社員が辞めることはありません。

当然、女性だけでなく男性についてもメリットが大きいです。例えば私の場合、経営者として自宅にて仕事をする機会が非常に多いです。そのため、以下のように隣で子供が遊びながら仕事をするケースが頻繁にあります。

多くの男性は育児に関与しませんが、私の場合はおむつ替えのプロフェッショナルであり、長い時間を子供と過ごすことができています。女性だけでなく、男性にとってもメリットが大きいのです。

働いているかどうかは結果を見ればいい

なお、このようにリモートワークを推奨するとなると、社員が本当に働いているかどうか心配に考える経営者は多いです。これについては、当然ながら会社に出勤しているときと同じように働いていることは100%ありません。

朝寝坊や昼間に映画を見たりする社員が続出するのは当然だといえます。

ただ、これについては特に問題ありません。会社に出社していたとしても、よく観察すると社員は「特に仕事をせずに過ごしている時間」が非常に多いからです。それらの時間が映画を見る時間に変わっただけです。

またビジネスのために従業員を雇っているわけなので、結果で判断すればいいです。つまり、「どれだけ優れた仕事をしたのか」という結果だけに着目して評価します。営業の社員なら、営業成績だけで判断しましょう。社内SEなら、成果物がきちんと完成されているかどうかで判断します。

結果だけに着目すれば、働いているかどうかを判断できます。ビジネスである以上、仕事を完了するまでの過程は関係なく、重要なのは結果の質です。結果を出していれば、リモートワーク中に社員が旅行していたりジムに行っていたりしても良いとするのです。

社員を外注化すれば消費税と社会保険料を削れる

なお、このようにテレワーク化によって在宅勤務でビジネスが回る仕組みを作れたのであれば、次のステップとして社員の外注化を考えましょう。

既に従業員として働いている人を強制的に外注化するのは大変です。ただ、これから雇う人については、社員ではなく最初から外注要員として仕事を依頼しましょう。会社に出社する必要がないのであれば、雇用契約を結ばなくても、外注で問題ないはずです。

社員とは違って、外注の場合だと会社は社会保険料を支払う必要がありません。社員であれば社会保険料として会社が給料の約15%を負担するため、この費用の支払いがなくなります。

また、給料として支払ったお金については、消費税の支払いを減らすことができません。一方で外注費としての支払いであれば、お金を払った分だけ消費税を減らすことができます。これら社会保険料と消費税を考えると、非常に高額な節税が可能です。

一人の社員を外注化すれば、その社員の給料にもよりますが年間で一人当たり100万円以上の社会保険料と消費税を減らすことができます。そのため、かなり効果の高い節税法になります。

・給与課税にならないように注意する

なお、リモートワーク化に伴う外注化で注意しなければいけないのは、給与課税されないように注意することです。「実質的に社員と同じ」と判断されると、外注化による節税を否認されてしまいます。そこで、社員と外注の判断基準を理解しましょう。

社員の場合、毎月の給与額が決まっています。また勤務する曜日や時間も決まっています。一方で外注の場合、そうした制約が一切ありません。

在宅勤務にしている場合、勤務する曜日や時間は自由です。ただ、同じ給料を支払っている場合だと、実質的に社員と同じだといえます。そこで外注の場合、成果物や仕事の進み具合に応じて報酬を支払うようにするなど、報酬体系を変えなければいけません。

ただリモートワークに伴う社員の外注化を実践するだけで、毎年発生する無駄な高額の税金支払いを削減できます。リモートワークの導入は単純なコスト削減だけでなく、節税という意味でも優れています。

優秀な人材を積極的に外注として採用するべき

ちなみに私自身が経営者としてオフィスに出社する機会はほぼなく、テレワークにて勤務しています。そのため社員というよりも、外注として働いてもらっている人をたくさん雇っています。

このような自由な働き方を採用しているため、日本全国に限らず、全世界に存在する優秀な人を雇えるようになっています。例えば、外注先の人には「オランダ在住の日本人主婦」がいます。彼女に私のビジネスを手伝ってもらっています。

私が長くリモートワークによるビジネスを継続して思うのは、「特に日本人の主婦の場合、事務系の外注スタッフとして有能である確率が非常に高い」という事実です。

学歴やスキルがあるものの育児などの事情があって、「オフィスで働くのではなく、在宅勤務したい」と考えている人の大多数は主婦です。また実際のところ、どこに住んでいたとしても問題なく仕事を与えてくれる会社は少ないです。そのため、有能な主婦の外注スタッフを確保できます。

もちろん、これが営業やSEとなると主婦では対応できません。ただ、いずれにしても自由な働き方を望んでいる有能な人材について、住んでいる場所に捉われず仕事を依頼できるようになります。海外在住の人でも採用できるため、人材活用の点でもリモートワーク化は効果的だといえます。

非常に影響力の大きい固定費削減法がリモートワーク化

いくらコスト削減の努力を重ねたとしても、効果が限定的になってしまうケースは多いです。ただ、一つの仕組みを変えるだけで、年間にして数百万円・数千万円の固定費削減が可能になることがあります。

その一つがテレワーク化です。社員の在宅勤務を推奨することで、「残業代をなしにできる」「通勤手当が不要になる」「オフィスを縮小できる」など、あらゆる経費削減が可能になります。

それでいて社員の満足度は大幅に向上し、従業員は会社を辞めにくくなります。また仕事の過程ではなく、結果だけで仕事具合の完成度を判断できるようになります。さらにリモートワーク化により、外注化することで世界中の有能な人材を採用しつつ、高額な社会保険料と消費税をカットすることもできます。

リモートワーク化を実践するとなると、勇気が必要になると思えます。ただ、実際に行うと圧倒的な固定費削減ができ、社員満足度も上がるため、「いままで、なぜやらなかったのだろう」と思うようになります。いま現在まで在宅勤務体制(リモートワーク)による費用削減を検討していなかった場合、積極的にテレワークを実施するようにしましょう。


法人コスト削減法の中でも、損害保険(自動車保険、賠責・工事保険、取引信用保険、火災保険)の削減を考えるのは重要です。そこで、専門業者を利用することで損害保険の一括見積をしましょう。

新規加入は当然として、既に法人用の損害保険に加入している場合であっても、こうした見積もりによって大幅に損害保険の金額を下落できます。

もちろん、法人によって加入している保険や必要な保険は異なります。そこで必要な損害保険の値下げを考えましょう。損害保険は内容を同じにしつつ、さらなる値下げが可能であるため、いますぐ大幅なコスト削減が可能です。

【自動車保険】

車を法人所有している場合、法人自動車保険の契約・乗り換えをしましょう。自動車保険は高額であるため、コスト削減の威力は大きいです。

【火災保険】

店舗経営者やオフィスを利用している法人であれば、ほとんどの人で火災保険に加入しています。そこで一括見積をすれば、一瞬で保険料の減額が可能です。

【賠償責任保険・工事保険・労災上乗せ保険】

賠償責任保険や工事保険、労災上乗せ保険など、損害賠償に備えるための保険は多くの会社で必須です。ただ賠償額が大きいと保険金額も高くなります。そこで、これら賠償責任保険や工事保険、労災上乗せ保険の見直しをして無駄な経費を抑えましょう。

【貨物保険】

貨物自動車の運送事業者について、お客さんから預かった荷物が輸送中に破損してしまうリスクがあります。そこで、物流に関わる事業をしている会社にとって貨物保険は必須です。

【取引信用保険】

法人経営でよくあるリスクが取引先の倒産や一定期間の支払遅延などの債務不履行です。これによって連鎖倒産してしまいますが、取引信用保険を利用すれば貸倒損失リスクを軽減できます。特に売掛金が多い場合、取引信用保険を活用しましょう。