多くの会社で事務所オフィスを有しています。本社や営業所を含めて、賃貸によってテナントに入ってビジネスをしている法人が大半です。
ただ、こうしたテナントを借りてビジネスをするとなると、必ず発生するのが経費です。わりと高額な固定費・変動費が発生するため、経営者はできるだけコスト削減によってビジネスでの無駄を省かなければいけません。
それでは本社オフィスや営業所を含めて、テナントの固定費削減や変動費削減をするためにはどうすればいいのでしょうか。
むやみにコスト削減するとモチベーション低下につながり、むしろ利益が減ります。そこで正しい経費削減をしなければいけません。やり方によっては超高額な経費削減が可能なので、どのように会社オフィスのコスト削減をすればいいのか解説していきます。
もくじ
IT化によるペーパーレス化、事務作業軽減は必須
会社オフィスの経費削減を考えるとき、「紙を節約する」「消耗品を少なくする」など細かい方法はありますが、より効果的な方法を考えなければいけません。
そうしたとき、本社や営業所のコストカットで大原則となるのがIT化です。実際のところ、事業所では多くの紙が利用されているものの、これを積極的にペーパーレス化することで紙の使用量をゼロにすることを意識しましょう。そうすれば、そもそも紙は使われないですし、インクの利用もほぼありません。
それと同時に、本社スタッフや営業事務を含めてあらゆる業務負担が軽減されます。
例えば、会社で以下のような有給休暇の申請書をわざわざ印刷させ、上司のハンコをもらう仕組みになってはいないでしょうか。
これについて、完全に無駄です。紙や印刷コストがかかるだけでなく、上司の時間を取らせることになりますし、人事や経理がこれらの紙の書類を確認してパソコンにデータを入力しなければいけません。
一方でWeb上で申請させればどうでしょうか。上司は5秒の確認で問題なく「承認」のボタンを押すだけです。また管理部門としても、既に情報が入力されているので新規にデータを入れなおす必要がありません。こうして、あらゆる作業の無駄がなくなります。
IT化によるペーパーレス化というのは、単に消耗品費を削るだけではありません。IT化は社員の無駄な仕事を減らすことにもつながります。
本社や営業所の仕事をよく確認すると、無駄な仕事は非常に多いです。そこでIT化することで、社内や社外のやり取りですべての書類を全廃すれば、業務改善によって大幅な経費削減が可能になります。
オンライン会議で営業所の出張費・コストを下げる
またこれらIT化によるコスト削減は営業事務や管理部門だけに影響するわけではありません。あらゆることをオンラインで完結させることによって、すべての社員について無駄なコストを下げることができます。
例えば会議をするとき、対面で行う意味はまったくありません。以下のような会議について、対面にこだわっているのであればいますぐやめましょう。
その代わりとしてオンライン会議の仕組みを取り入れれば、本社まで出向かなくても支店にいながら会議に参加できます。そうすれば往復の交通費を削減できるだけでなく、移動時間がなくなるので移動コストもゼロにできます。
移動するとなると、それだけで1日を潰すのはよくあります。社員の給料を考えると移動コストは非常に高く、その間は他の仕事をすることができないため、営業所のコスト削減では非常に重要な要素です。
またオンライン会議の仕組み自体は既に開発されており、誰でも利用できます。月の利用料は1,200円ほどなので、簡単に元を取れるのがこうしたIT化を利用した効率化です。
テレワークの推進で人件費を下げる
またIT化を積極的に推し進めると同時に、テレワークについても積極的に取り入れるようにしましょう。
中にはテレワークが不可能な業態が存在します。ただ本社や営業所の事務部門については、実際のところ会社で仕事をしたとしても、家で仕事をしたとしても、そこまで変わらないケースがよくあります。それなら、テレワークにしたほうがいいです。
在宅勤務に切り替えれば、企業としては交通費の支給が必要ありません。例えば東京や大阪の会社であれば、以下のような社員への定期代の支払いが発生するものの、これがゼロです。
もちろん地方にある会社であっても、燃料代の支給をカットできます。
それだけでなく、残業代の支払いがありません。多くの会社では社員の残業代が非常に高額になりやすいです。ただ在宅勤務にした瞬間から、高額な残業代の支払いがなくなって高額な人件費をカットできます。
また社員としても、オフィスに毎日通うよりも在宅勤務を好む人のほうが割合としては多いです。女性社員も会社を辞めにくくなり、ずっと働いてくれるので企業経営者としてはメリットが大きいです。
オフィス移転で安い事務所家賃に変える
こうして在宅勤務を推奨していけば、いまの本社や営業所について賃料を下げることを考えましょう。大きな事務所を借りて、毎月高額な家賃を支払い続ける意味がなくなるからです。
テナントで働く人が減ったのであれば、オフィス移転によって安い事務所家賃に変えるようにしましょう。
また、都市部ではなく敢えて郊外にオフィス移転してもいいです。実際のところ、店舗運営でない限り、主要駅の周辺に本社や営業所を構える意味はありません。そうした見栄ではなく、経営者は無駄なコスト削減によって利益を出すほうを優先するべきなので、オフィス移転によって事務所代をできるだけ低くさせましょう。
・営業所はなくても問題ない
ちなみに、そもそもオフィス移転ではなく事務所を廃止してもいいです。本社の廃止までは難しかったとしても、複数の事務所があるのであれば、それらを廃止しても特に問題ありません。
これについては大手企業も実践しています。例えば、以下は外資系の製薬企業大手が実施した営業所の廃止に関するニュースです。
全国に76ほどあった支店について、この会社はそのほとんどを廃止しました。そのため、東京や大阪などの主要エリア以外で働いている従業員は全員、在宅勤務となります。
このように「そもそも支店は必要か?」を考えてもいいです。実際には、オフィスそのものが不要であることは多く、これに気づけば家賃の支払い自体を大幅にカットできます。
最終的には外注に形態を変え、節税まで考えるべき
こうしてテレワークを積極的に推し進めていった後、最終的には社員の外注化をするといいです。従業員ではなく外注としてお金を支払うとなると、雇用形態を大きく変えなければいけないので面倒です。ただ、節税面で大きな威力を発揮します。
給料を支払うと、それに応じて高額な税金が発生します。具体的には以下が上乗せされます。
- 社会保険料:会社負担分が約15%
- 消費税:10%上乗せ(給料支払い分は消費税を減額できない)
要は、社員に給料やボーナスを支払うと「社会保険料(会社負担) + 消費税」の分だけ負担が増えると理解しましょう。
そこで社員としての給料ではなく、外注契約に変えます。外注としての支払いであれば、社会保険料の負担はありません。また会社にとって、消費税の負担もありません。その結果、高額な税金を削減できるようになります。
このときは給与課税(実質的に給料として支払っている)と認められないように、支払い形態を調節する必要はあるものの、正しく外注化に切り替えることによって節税すれば、大幅な税金カットが可能になります。
外注化するにあたり社員は反対するかもしれませんが、このときは従業員として働いていたときよりも5~10%ほど高い報酬を出しても問題ありません。外注化であればそれ以上に節税メリットが圧倒的に大きいため、無駄な税金を省ける効果を考えると、在宅勤務化と共に外注でのコスト削減を考えるのは有効です。
賃料交渉によって支店の固定費削減を行う
ただ会社によっては、本社や営業所の人員削減ができなかったり、オフィス移転をしたくなかったりすることもあります。その場合、賃料について固定費削減することはできるのでしょうか。
家賃を下落させるとき、必ずしもオフィス移転をする必要はありません。いま契約しているテナントについて、交渉することで家賃を下げることが可能です。
もちろん家賃交渉とはいっても、あなたが大家や管理会社と交渉してもほぼ確実に失敗します。そうではなく、賃料最適化サービスを広く実施している専門会社があるため、そうした会社に依頼しましょう。そうすれば、交渉成立すれば3~6ヵ月に自動的に家賃が低くなります。
例えば以下は、法人オフィスについて家賃交渉したときの最終見積もりです。
この会社では本社と支店の家賃を合計して、月に290万4,068円の賃料を支払っていました。そこで削減交渉サービスを利用した結果、年間で379万6,272円の減額に成功しました。削減率は10.8%なので、それなりに高額な削減金額となりました。
このように家賃を下げられる理由としては、日本の不動産は建物価値が毎年下落するからです。それにも関わらず更新のときに家賃が下がっていない場合、相場よりも高い賃料を支払っている可能性が高くなります。そのため、こうした交渉が可能というわけです。
オフィス移転や閉鎖をしなくても、こうした方法によって会社オフィスのコスト削減が可能です。
電気代削減は事務所オフィスの削減メリットが大きい
他にも、企業経営者が行うべき本店・支店のコスト削減があります。それが電気代削減です。すべての会社でエネルギーコストが発生するため、その中でも特に高額になりやすい電気代を減らしましょう。
このとき最も高額な電気代は空調なので、クーラーや暖房の温度を弱くすることを考えがちです。もちろんこうした方法によって電気使用量を下げるのは問題ありません。ただ、それだと社員の作業効率が落ちてしまう恐れがあります。
そこで、こうした一般的な方法(節電によるエネルギーコストの削減)だけでなく、より根本的な電気代削減を考えましょう。具体的には、電気会社の切り替えをするといいです。
日本には非常に多くの電力会社が存在しており、このときはあなたのオフィスに対応している50社以上の電力会社に対して一気に競争入札をかけさせます。もちろん、本社や支店が複数の都道府県にまたがっていたとしても問題ありません。
そうして電気代の底値を出させて契約すれば、平均して電気代が15%ほど安くなります。例えば以下は、3つの本店・支店をもつ会社について電気代削減をしたときの結果になります。
月の電気代は36万2077円です。ここから競争入札させることによって、約3万8000円のコスト削減ができました。削減率は約11%であり、年間では約46万円の削減になります。もちろん電気代の使用量が多い場合、より削減金額は大きくなります。
会社オフィスの経費削減アイディアの中では、電気代削減はメリットのみであり、デメリットがありません。そこでオフィス移転や家賃の値下げだけでなく、電気代の見直しも同時に行いましょう。
会社経営で本社や支店の固定費削減・変動費削減を行う
フリーランスで自宅でビジネスをしている人でない限り、全員がオフィスをもっています。中には本社だけでなく、営業所として複数拠点を有する会社もあります。そうなると、必要になるのが本社や支店の経費です。
こうした経費については大幅な削減が可能です。IT化による作業効率化は当然として、在宅勤務化や社員の外注化、オフィス移転まで含めると、中小企業であっても1年以内に年間1,000万円以上の経費削減になるのは普通です。
またオフィス移転しなかったとしても、家賃交渉によって固定費削減できます。電気代についても、デメリットなしに料金を低くできます。
事務所オフィスについては、意外と高額な経費を削減できる項目でもあります。テナントで発生するコストについて、積極的に減らすことで利益を確保していきましょう。
法人コスト削減法の中でも、損害保険(自動車保険、賠責・工事保険、取引信用保険、火災保険)の削減を考えるのは重要です。そこで、専門業者を利用することで損害保険の一括見積をしましょう。
新規加入は当然として、既に法人用の損害保険に加入している場合であっても、こうした見積もりによって大幅に損害保険の金額を下落できます。
もちろん、法人によって加入している保険や必要な保険は異なります。そこで必要な損害保険の値下げを考えましょう。損害保険は内容を同じにしつつ、さらなる値下げが可能であるため、いますぐ大幅なコスト削減が可能です。
【自動車保険】
車を法人所有している場合、法人自動車保険の契約・乗り換えをしましょう。自動車保険は高額であるため、コスト削減の威力は大きいです。
【火災保険】
店舗経営者やオフィスを利用している法人であれば、ほとんどの人で火災保険に加入しています。そこで一括見積をすれば、一瞬で保険料の減額が可能です。
【賠償責任保険・工事保険・労災上乗せ保険】
賠償責任保険や工事保険、労災上乗せ保険など、損害賠償に備えるための保険は多くの会社で必須です。ただ賠償額が大きいと保険金額も高くなります。そこで、これら賠償責任保険や工事保険、労災上乗せ保険の見直しをして無駄な経費を抑えましょう。
【貨物保険】
貨物自動車の運送事業者について、お客さんから預かった荷物が輸送中に破損してしまうリスクがあります。そこで、物流に関わる事業をしている会社にとって貨物保険は必須です。
【取引信用保険】
法人経営でよくあるリスクが取引先の倒産や一定期間の支払遅延などの債務不履行です。これによって連鎖倒産してしまいますが、取引信用保険を利用すれば貸倒損失リスクを軽減できます。特に売掛金が多い場合、取引信用保険を活用しましょう。