ビジネスを動かすとき、節税をしなければいけません。費用を必要経費にすることで節税できますが、個人事業主や会社経営者が経費で落とせるものとして資格取得費用があります。ビジネスで必要となる資格取得費用については、問題なく経費にすることが可能です。
また、ビジネスで必要になるものは資格に限りません。スキルアップも必要です。そのため、英会話学校に通うための費用も経費にすることができます。
ただ、どのような場合であっても経費化できるわけではありません。経費にするためには条件があります。ここでは、資格取得費用や英会話学習代などを経費計上して節税する方法について確認していきます。
もくじ
資格取得費用が経費になる理由
ビジネスとしてより大きな売り上げを出したり、新規ビジネスに参入したりするために資格が必要になることが多いです。例えば不動産業をしている人であれば、宅地建物取引士の資格があると他の社長と会話するときに対等の立場で話をすることができます。
また、ファイナンシャルプランナー(FP)として活躍している人であれば、ファイナンシャルプランナーとしての資格以外にも、簿記一級の資格取得を目指すことでさらなるスキルアップを目指す人がいるかもしれません。
他にもプログラマーであれば、パソコンスキルに関わる資格をもつことが有利になります。こうした資格をもつことにより、ビジネスでの売り上げアップや新規ビジネスの発展につながります。
経費になるかどうかの判断基準は「事業の売り上げに結び付くかどうか」です。これらの資格はビジネスでしか役に立たず、当然ながら事業での売り上げに直結しているので経費にすることができます。
福利厚生として社員に資格を取らせてもいい
社長自らが資格を取る場合は当然ながら経費化できますが、これは社員が資格取得を目指す場合も同様です。社員が資格を新たに取ることにより、業務の幅が広がるからです。
一般的な大企業であっても、社員に対して資格取得を促し、資格取得に必要な教材代や受験料を会社で負担することがあります。これらは福利厚生費として経費にできますが、社長だけでなく従業員の資格取得であっても問題ありません。
社員が資格を取ることで、それまで実践できなかった業務の幅が広がります。これらは売上アップに直結するため、経費にして問題ありません。
英会話代も経費にできる
それでは、英語教室やスカイプ英会話など語学に関わるスキルアップについては経費にしてもいいのでしょうか。
結論をいえば、英会話学習代についても全額を経費にできます。英語は特別な資格がないものの、いまの時代、ビジネスで英語を必要としない職業は存在しません。たとえ田舎のへき地で農業をしていたとしても、海外へ輸出するために英語を勉強するのは普通です。
ただし、特に理由もなく英語教室に支払ったお金を経費にしてはいけません。英会話代を経費にして節税するためには、適切な理由が必要です。
このときの理由としては、例えば以下のようなものがあります。
- 海外の会社とやり取りするため、英語を学ばないといけない
- 海外輸出の事業をするため、英語が必要
- 外国での商談で語学を学ばないといけない
英会話を学ぶ理由としては、この程度で問題ありません。年に一回の割合で海外出張がある場合、「海外で商談するときに英語が必要」ということであれば問題なく英会話費用が経費として認められます。
ちなみに、社員のスキルアップのために英会話学校を受講させた場合、勘定科目は研修費になります。
セミナー代を含め、スキルアップ費用は何でも経費化が可能
それでは、どのようなお金が経費になるのでしょうか。これについては、「スキルアップに必要な費用は全額が経費になる」と考えてください。
資格取得も英会話学習もすべてスキルアップに関わるものです。これらのお金はビジネスでの売り上げアップに直結するため、経費化が可能になるのです。
スキルアップという観点でいえば、ビジネスセミナーへの参加費はすべて経費になります。さすがに婚活セミナーなどは経費にできませんが、株式投資や不動産、マーケティング、健康系などあらゆるセミナー代の領収書を経費にすることができます。これは、社員が参加した場合も同様です。
他にもMBA(経営学修士)の授業代なども経費になります。サイト作成のため、パソコン教室に通う費用についても研修費として経費化できます。スキルアップに必要な費用は経費になります。
これらの費用を自費で出してはいけません。経営者であるなら経費として出し、節税するようにしましょう。
福利厚生費、研修費にできないケースが存在する
基本的にスキルアップ代は経費にすることができるものの、中には経費化できないものがあります。これは、あなたが行うビジネスと関係ないものが該当します。客観的に見て、事業と関係ないものは領収書があっても経費にできません。
例えば、あなたがプログラマーとして活躍していたとします。このとき、宅地建物取引士講座に申込したとしても経費で認められるのは難しいです。「将来は不動産事務所を経営する予定」と説明したとしても税務調査で否認されます。
これが簿記の資格であれば、「決算書を読むために必要」などの理由をつけて経費にできます。ただ、宅地建物取引士がプログラマー業務に関わるとは考えにくいのです。
しかし、プログラマーの人が不動産について勉強し、実際に不動産物件を購入して大家として第二のビジネスを開始した場合、宅地建物取引士資格取得に関する費用を経費にしても問題ありません。不動産業を営んでいる人であれば、宅地建物取引士をもつのは普通だからです。
要は、「その人のビジネス形態がどのようになっているのか」によって、資格取得や研修代を経費にできるかどうかが変わってくるのです。
・従業員が取得する個人的な資格や英会話費用は経費にならない
社長(経営者)であれば、「この資格がビジネスの必要」「英会話が売上アップにつながる」という理由をこじつけでもいいので考えることは容易です。ただ、社員の場合はその幅が狭まります。
例えば、日本国内だけの顧客を相手にしている営業マンであれば、英会話学習費用は経費になりません。経営者なら「海外出張で必要」という説明ができるものの、日本人しか客がいないのに「社員は英会話学習費用が必要だ」という説明ができないのです。
そのため、従業員については明らかにビジネスに直結する資格取得費や研修費でない限り、たとえ領収書をもらったとしても経費にはできません。
自動車学校の費用(運転免許証)はどうか
資格取得の話をすると、必ず出てくるものとして運転免許証があります。ビジネスで必要な資格や英会話、セミナー代などの研修費が経費になるので、同様に自動車運転が必要なビジネスをしている会社であれば運転免許証の取得費用も問題なく会社負担にできる気がします。
例えば、家族経営の会社であれば「息子(従業員)が営業するために車が必要になるため、自動車免許の代金を経費にして節税したい」と考えるのは普通です。
実は運転免許証の取得代金についても、問題なく経費化することができます。「会社への通勤で車が必要」という理由では確実に否認されますが、「車を使って営業したり配送したりするため、免許証が必要(=売り上げにつながる)」のであれば問題ないのです。
もちろん、これは毎日のように車を使ってビジネス活動している人に限られます。経理担当など、月に数回程度しか車に乗らないにも関わらず、「ビジネスのために免許証が必要」という理由は通りません。
税務調査のとき、あまり車を利用していないのに運転免許証の取得代金を経費にしていた場合、必要経費に認められないので注意しましょう。
他にも、例えば投資家が運転免許証の取得費を経費計上していると確実に税務調査で指摘されます。どう考えてもビジネスのために車が必要だという説明ができないからです。自動車学校の領収書を経費にするためには、あなたが行っているビジネス形態が重要になるのです。
特殊免許であれば確実に経費にできる
自動車の普通免許は個人所有の意味合いが強い資格です。そのため、資格の中でも「必ずビジネスに必要なため、仕方なく会社側で負担した」という理由が必要になります。
一方で特殊車両運転免許、第二種運転免許など、特定の車種でしか利用されない運転免許証の場合、明らかにビジネスで必要なものだとわかります。この場合、無条件で自動車学校の代金を経費にすることができます。
例えばタクシー会社の場合、求人に応募してきた人に対しては無償でタクシドライバーの免許(第二種運転免許)を取らせるようにしている会社が多いです。この免許がないとビジネスにならないため、当然ながら社員の免許取得費用は全額が経費です。
運転免許についても、ビジネスに直結するかどうかで経費にできるかを考えるといいです。
資格取得費や研修費用を経費化するべき
ビジネスでは資格取得が必要になることがあれば、英会話を学ぶことでスキルアップを図ることもあります。セミナーに出席して学ぶこともあるでしょう。
こうした費用はすべて経費にすることができます。もちろん無条件に経費にできるわけではなく、あなたのビジネスの売り上げに直結することを説明できるようにしましょう。個人事業主(自営業・フリーランス)や会社経営者であれば、いくらでも説明できるはずです。
ただ、社員がこれらの費用を経費化するとき、少しでもビジネスからズレると経費化できないことは理解しましょう。
また、同じ資格の中でも自動車の普通運転免許についてはプライベートでの要素が非常に強いため、通常は経費化できません。ただ、毎日の車運転でどうしてもビジネスで必要な場合のみ経費計上して節税できます。
資格取得費用や研修費用の多くは経費にできます。自腹でお金を出すのではなく、会社負担にして節税していくようにしましょう。
ビジネスの継続を考えるとき、最も重要なのは節税です。節税策を一つ実施するだけで100万円以上の無駄な税金が減るのは普通ですが、何も対策をしなければ会社経営者や相続額が多い人は無駄に税金を支払い続けることになります。
ただ、私は優秀な節税の専門家(税理士やファイナンシャルプランナー)に依頼したことで「家賃の個人負担が家賃総額のわずか6%」「出張に行くたびに30万円以上の非課税の現金を手にできる」「社会保険料を年間130万円削除」など、何も対策をしなかったときに比べて一瞬で年間350万円以上も節税できています。
現在では、海外法人(タックスヘイブン)の活用や再保険(キャプティブ)の利用など、あらゆる節税策によって年間にして何千万円もの節税を実現しています。
高額な財産を相続する人や会社経営者は節税に精通した専門家が必須です。そこで、実際に節税に強い税理士やファイナンシャルプランナーを紹介します。節税コンサルを受けるだけで、あなたの会社の財務状況は一変するようになります。