テレビさえ置けば番組を見ることができます。ただ、個人事業主・フリーランスや法人経営者にとって非常に重要なものに放映料・受信料の支払いがあります。NHK受信料の支払いがあったり、有料放送を経費で払ったりするのです。
有料放送の放映料については、自主的に加入するので特に問題ありません。ただ、NHK受信料についてはなぜか強制加入ですし、無駄なお金を支払うことになってしまいます。
こうした費用について、経費にしたいと考えるのは当然です。ただ、そうしたときに損金計上できるかどうかを理解しなければいけません。また、必要ない経費についてはできるだけ支払わないように調節する必要があります。
そうしたとき、「どのように考えて自営業や法人は放映料・受信料について考えていくべきなのか」について解説していきます。
もくじ
事務所・会社オフィスならWOWOWやスカパーも全額損金になる
まず、NHK受信料や有料放送の支払いが経費になるのかどうかについて確認していきます。これについて、店舗や営業所などの事務所で支払っている放映料・受信料については全額経費になります。
損金計上できるかどうかというのは、ビジネスで必要かどうかが判断基準になります。そういう視点でみると、店舗や営業所に設置しているテレビはどう考えてもビジネスでしか利用する機会がありません。そのため、当然ながらすべて経費にして問題ないのです。
通常のプライベート利用では経費にできませんが、ビジネス利用なら問題ありません。例えばテレビについても、自宅のリビングに置いてあれば経費化は無理ですが、事務所に設置してある場合は全額損金なのです。
基本的には、会社オフィスで利用する支払いについてはほぼ無条件で損金化できます。ビジネスで必要なことは明白なので、特に税務調査のときに指摘されることはありません。
・WOWOWやスカパーは福利厚生費
なお、有料放送とはいってもWOWOWやスカパーなどはドラマやスポーツ番組についても見ることができます。そのため、ビジネス利用のために加入しているとは言いにくい側面があります。
しかし、この場合であっても特に問題はありません。個人事業主でも法人でも福利厚生費を利用できるからです。社員のために利用できる経費が福利厚生であり、従業員のモチベーションアップのための支払いだと説明するようにしましょう。
ちなみに、福利厚生は社員がいないと利用できません。一人社長やフリーランスに福利厚生はないのです。その場合、「ビジネスニュースを見るために仕方なく加入した」などの言い訳を作り、何とかして経費にするといいです。
自宅兼事務所や社宅の場合は半分を経費
ただ、これら放映料・受信料を支払う場面は会社事務所だけではありません。自宅についても支払う必要があります。
特に個人事業主・フリーランスであったり、法人経営者であったりすると、社宅を含めいま住んでいる場所を自宅兼事務所にしていることが多いです。たとえ店舗や営業所を他に借りていたとしても、家でも仕事をするのは基本なので自宅兼事務所といえます。
この場合、自宅であることには変わりがないのでさすがに全額を経費にすることはできません。プライベートとビジネスでの使用割合を考え、案分したうえで経費にする必要があります。
ただ、実際のところ使用割合を厳密に出すことはできません。そうしたとき、一般的に自宅兼事務所であれば「半分までなら無条件で経費にしてもいい」という暗黙の了解があります。
そのためNHK受信料や有料放送の料金については、半分を損金計上するようにしましょう。多くの割合で経費にしていると否認されるものの、半分までであれば特に大きな問題にはなりません。
放映料支払いに関する仕訳や勘定科目
なお、自営業者や法人がお金を支払ったとき、確定申告や決算のために適切な仕訳をしなければいけません。このとき、どのような勘定科目を利用することになるのでしょうか。
これについては、「通信費」を利用するようにしましょう。
インターネット接続代やプロバイダ料金などは通信費にしますが、同じようにテレビに関する放映料・受信料についても通信費を用いるようにするのです。例えば、NHK受信料の銀行引落があって月2,000円を支払う場合、以下のような仕訳になります。
勘定科目 | 借方 | 勘定科目 | 貸方 |
通信費 | 2,000 | 普通預金 | 2,000 |
このように、仕訳や勘定科目については特別に難しいことはありません。放映料・受信料の仕訳については、特に悩むことはないはずです。
ただ、WOWOWやスカパーなどの有料放送を福利厚生で処理する場合、福利厚生費の勘定科目で経費にするようにしましょう。
店舗や営業所の集金を断る経費削減
なお、有料放送については自ら加入するので特に大きな問題にはなりません。一方のNHK受信料については、非常に多くの個人事業主・フリーランスや法人経営者が不満をもっています。テレビを設置してあるというだけで、NHKの集金人が来て取り立てをしようとするからです。
当然ながら、ビジネスである以上は無駄な経費を支払うべきではありません。そうしたとき、既に契約して支払ってしまっている場合はどうしようもないですが、開業したばかりなど理由があってまだ契約していない段階の人も多いです。
そうしたとき、支払いを拒否することはできるのでしょうか。
例えば飲食店にテレビが設置されてあったとしてもNHKのチャンネルをつけることはまずありません。見ることのないのに受信料を支払っていると無駄に経営を圧迫して苦しくなります。
ただ店舗だと、自宅のように「テレビを置いていません」などの言い訳は通用しません。飲食店など、店内の目立つ場所に大きくテレビが置かれている場合、店内に入ればテレビが確実にあることが分かるからです。
その場合、どのようにして無駄な経費支払いを抑えればいいのでしょうか。
契約がなければ払わなくても問題ない
まず、NHKの集金人がよく言う「テレビを設置していると、NHKとの契約は義務と放送法に記されている」という理屈は本当です。また、実際に契約してしまった場合、NHK受信料を支払わないと訴えられたときに確実に負けてしまいます。
しかし重要なのは、テレビ設置にともなってNHKと契約するのは義務であるものの、この義務を怠ったとしても特に罰則は存在しません。つまり、契約さえしなければ受信料の支払い義務は発生しません。
そのためNHK受信料を拒否するのは非常に簡単であり、単に「契約しません」と突っぱねるだけで十分です。
一度でも契約してしまえば最後です。前述の通り契約後、受信料を払わないで訴えられたら確実に敗訴します。ただ、契約しなければそうした事態に陥ることはありません。当たり前ではありますが、契約さえしなければ支払い義務は発生しないのです。
そもそも、民法では双方の合意があって契約が成立するとあります。これはビジネスをするうえで当然のことですし、すべての起業家が合意のうえで契約書を取り交わしています。そのため、NHK側が一方的に契約の申し込みをしたとしても、その契約が成立することはないのです。
そのため集金人が来たとしても、「払いません。帰ってください」の一点張りで突っぱねれば問題ないです。
店舗や営業所に集金人が来て「帰ってください」と伝えて帰らない場合、「刑法130条:不退去罪」に問われることになります。また、当然ながら営業妨害にもなります。契約は義務ではあっても、契約さえしなければ支払い拒否することが可能なので、この事実を認識したうえでビジネスをするようにしましょう。
もちろん、一応は義務になっているので放映料を支払っても問題ない人は契約してもいいです。これについては、経営者によって判断が分かれます。
NHK受信料や有料放送の経費を理解する
テレビの購入費用について経費化にやり方があるのと同じように、NHK受信料やWOWOW・スカパーなどの有料放送に関する支払いについても損金計上のポイントがあります。
これについて、事務所であればほぼ経費にして問題ないと考えましょう。自宅兼事務所だと半分損金が限界ですが、ビジネス利用なのであればすべて損金化することができるのです。
ただ、既に契約している場合は無理であるものの、まだ契約前の段階であれば「受信料拒否ができないか」を考えるといいです。WOWOWやスカパーなどの有料放送なら関係ないですが、NHKについては集金人が勝手にやってきて契約を迫ろうとします。
しかし、特に契約しなくても大きな問題になることはありません。「帰ってください」の一点張りで撃退できます。
もちろん受信料を自主的に払いたいならそれでもいいです。ただ、無駄な経費の削減は経営をするうえで必須です。そのため経費計上による節税というよりも、「そもそも支払う必要のある経費なのか」を考えるようにするといいです。
ビジネスの継続を考えるとき、最も重要なのは節税です。節税策を一つ実施するだけで100万円以上の無駄な税金が減るのは普通ですが、何も対策をしなければ会社経営者や相続額が多い人は無駄に税金を支払い続けることになります。
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