海外節税を成功させれば、非常に高額で無駄な税金を抑えられるようになります。そうしたタックスヘイブン(オフショア)の一つにBVI(イギリス領ヴァージン諸島)があります。

BVI法人を設立することによって、ほぼ無税の状態が可能です。法人税ゼロの国がBVIであり、節税という意味では効果が大きいのです。事実、かつてオフショア法人での節税といえば、ほぼBVI法人の利用でした。

ただ、いまはどうかというとBVI法人の利用は微妙です。知識なしにオフショア法人を作ると失敗しますが、その一つがBVI法人になります。

なぜBVI法人はメリットが少なく、デメリットが多いのでしょうか。ここではBVI法人の実情について解説していきます。

BVI法人とは?イギリス領ヴァージン諸島の会社

まず、BVI法人とは何なのでしょうか。BVIはイギリス領ヴァージン諸島(British Virgin Islands)を指します。カリブ海はタックスヘイブンが非常に多いことで知られていますが、イギリス領ヴァージン諸島はカリブ海に位置しています。

イギリスの海上領土であり、イギリスは世界中に独自の領土を有しています。その一つがイギリス領ヴァージン諸島です。以下がBVIになります。

非常に小さい島国ですがオフショア地域であるため、多くの法人が登記されています。

法人税ゼロのタックスヘイブン

海外節税でイギリス領ヴァージン諸島が着目されやすいのは、単なるタックスヘイブンではないからです。オフショア法人の中でも、非常に有利な制度を採用しています。

BVIでビジネスをする場合だと、法人税率20%になります。ただ、BVI内でのビジネスではなく他の国から得る利益であれば、法人税率はゼロです。つまり、まったく税金がかからないようになっています。

より正確にいうと、BVIでは維持費が必要です。年間50~60万円ほどの維持費になり、こうしたお金を毎年BVIの政府に支払うことになります。これが実質的な法人税であり、それ以外に無駄な税金を課せられることはありません。

また、以下のような優れた特徴もあります。

  • 会計監査・税務申告の義務がない
  • 取締役会の開催義務がない
  • 登記内容の機密性が高い
  • 法人設立・登記が容易

法人税がゼロであり、維持費の支払いだけをすればいいため、政府に対して税務申告をする必要がありません。通常だと顧問税理士を雇って決算書を作り、会計監査を受ける必要があるものの、そうしたことが一切不要なのです。

また外資のみでの設立が可能であり、特に取締役会の開催義務はありません。また登記内容の機密性が高く、勝手にあなたの会社の内容が外部にバレることはありません。

それでいて、法人設立は簡単です。専門のエージェントに依頼することによって、お金さえ支払えば法人登記をすることでBVI法人を保有できるようになります。

日本の非居住者でなければ節税不可能

ただオフショア法人を利用して海外節税をする場合、絶対条件があります。それは、「日本の非居住者にならなければいけない」ことです。

日本にはタックスヘイブン対策税制があります。BVI法人のようなオフショア地域に法人をもっており、そうした会社に送金したり、オフショア法人で利益が出たりしたとしても、日本の本社とBVI法人の利益を合算して日本にて課税されてしまいます。

こうしたルールになっているため、日本に住んでいる人がタックスヘイブンの会社を利用して節税を検討しても意味がありません。すべての利益について、日本で納税する必要があるからです。海外節税を実現するためには、必ず外国へ移住しなければいけません。

逆にいえば、海外移住して非居住者にさえなれば日本への納税義務はありません。オフショア法人を利用することによって、高額な節税対策が可能になります。

法人口座開設できず、香港やその他の場所でも無理

それではオフショア法人の中でBVI法人を利用するのが優れているかというと、残念ながらそうではありません。むしろ、BVI法人を利用するのはやめたほうがいいです。デメリットが大きいからです。

法人税ゼロであり、必要なのは更新料だけというメリットを考えると、非常に優れているように思えてしまいます。ただBVI法人には致命的なデメリットがあります。それは、法人口座開設がいまはほぼ無理という事実です。

BVI法人の口座は全世界どこでも開くことができるといわれています。そのため、以前は香港やシンガポールなどでBVI法人の口座開設を行い、そこでお金のやり取りをすることができました。ただ、いまは香港を含めて全世界で新規の口座開設が実質的に無理になっています。

こうした現状のため、新規でBVI法人設立・登記をするのはやめておいたほうがいいです。香港やシンガポールを含め、あらゆる地域で法人口座をもてない以上、設立するメリットがありません。ネット上では「香港でBVI法人の口座開設が可能」という内容の情報を目にするかもしれませんが、かなり古い情報だといえます。

かつてメインだったBVI法人設立・登記

実際のところ、法人税がゼロで会計監査が不要であり、さらにはかなり有名なタックスヘイブンがイギリス領ヴァージン諸島だったことから、かつてBVI法人はオフショア法人設立でメインでした。

ただタックスヘイブンについては取り締まりが厳しくなっており、香港を含めてBVI法人の口座開設はできません。法人登記はいまでも問題なく簡単に行えるものの、法人口座の開設が無理なのがBVI法人というわけです。

そこで、オフショア法人では以下のような他の法人を考えなければいけません。

  • ラブアン法人
  • BVI法人
  • パナマ法人
  • ベリーズ法人

タックスヘイブンを利用して登記できるオフショア法人はいくつも種類があります。その中でBVI法人の設立メリットはなく、口座開設できないためデメリットが非常に大きいことを理解しましょう。

いまは法人設立のメリットがないBVI法人

オフショア法人の登記によって海外での高額節税を考える人は多いです。そうしたとき、有名なタックスヘイブンとしてBVI(イギリス領ヴァージン諸島)が知られています。

非常に有名なオフショア地域ですし、法人税ゼロで会計監査もなく、BVIにて法人設立&登記することによって高額な海外節税が可能になるのではと考えてしまいます。こうしたメリットがあるのは本当ですが、現状では香港を含めてあらゆる地域でBVI法人の新規口座開設ができなくなっています。

法人口座を保有できない以上、法人として登記はされていたとしても、お金を受け取れないので法人としての機能を果たすことができません。このデメリットのため、かつてはメインではありましたが、いまではBVI法人を新規で設立する人はほぼいません。

オフショア法人によって海外節税を検討するにしても、タックスヘイブンの特徴を理解したうえで、設立する法人を正しく選ぶ必要があります。オフショア法人設立を考える場合、少なくともBVI法人は候補から外すようにしましょう。

海外移住に加えて、オフショア法人を利用すれば、完全合法にて無税になります。オフショア法人なしに移住し、どこにも納税しないと脱税であるものの、適切な手順を踏めばどこにも税金を納める必要がありません。

なお海外移住節税では、「ネットや電話だけでビジネスが完結する」「外注先のみで仕事が回る(社員がいない)」などの条件は必要です。ただ、これを満たす場合は無税にできます。また年の半分以上を特定の国で過ごせば問題なく、日本が恋しいならもう半分を日本で生活するのも可能です。

このとき、仮に個人事業主をしているとして、年600万円以上の利益であればオフショア法人を利用して海外移住するメリットが大きいです。具体的な移住先の候補はフィリピンやマレーシア、ドバイ、ジョージアなどがメインです。

日本は異常なほど税金が高いです。そこで海外移住&オフショア法人により、合法的にビジネスや投資(仮想通貨など)の利益を無税にしましょう。