あらゆるビジネスの中でも、副業に適したものにネットビジネスがあります。ネットビジネスで代表的なものがアフィリエイトであり、パソコン一台あれば誰でも気軽に始めることができます。簡単には稼げないものの、努力すれば大きな利益を得られるのです。

ただ、アフィリエイトで大きな収入を得られるようになった場合、考えなければいけないポイントに法人化があります。法人化しなければ税金が大変なことになるからです。

アフィリエイトで努力すれば月100万円以上の収入を得られるのは普通ですが、ネットビジネスで成功すると個人所得から多額の税金を吸い取られるために、お金が手元に残りません。これが、多くの人が法人化を選択する理由です。

ただ、法人化による節税メリットがある一方でデメリットもあります。そこで、ネットビジネスで法人化するときの目安を含め、どのように考えて法人成りを検討すればいいのか解説していきます。

ブログやメルマガ、YouTubeなど大多数がアフィリエイト

知っての通り、ネットビジネスで稼ぐことを考えたとき実現方法の大多数がアフィリエイトになります。例えば、以下のようになります。

  • ブログ運営:Googleアドセンス
  • サイト運営:ASPを介したサイトアフィリエイト
  • メルマガ:情報商材、アプトインのアフィリエイト
  • YouTube:Googleアドセンス

SNSでの情報発信は稼ぐことができないので除外しましたが、ネットビジネスで稼いでいる人の形態をこのように見たとき、どれもアフィリエイトであることに気が付きます。

こうしたアフィリエイトの場合、利益率が非常に大きいので支払う税金が莫大になります。私もアフィリエイトを実施しており、例えば以下のような薬学サイトを運営しています。

全盛期は月300万PV以上あり、Googleアドセンスのアフィリエイト収入だけでも月130万円以上ありました。こうしたブログ・サイトを複数運営していたわけですが、支払うべき税額が大変なことになったので仕方なく法人成りした経緯があります。

法人成りでの節税メリットはどう違うのか

ネットビジネスをしている人が個人事業主・フリーランスから法人成りするときの理由は一つしかありません。それはこれまで述べた通り、節税メリットです。私が法人化したときについても、税金を抑えるためだけに法人化しました。

ただ節税とはいっても、具体的に何をすれば節税できるのか理解していないとアフィリエイト収入に課せられる税金を抑えることはできません。

個人事業主では「経費の金額を増やす」くらいしか節税できないものの、実際のところ法人ではたくさんの節税法が存在します。しかし、それらの方法を理解していないと法人成りしても意味がないです。

そのため、アフィリエイターを含めネットビジネスをしている人は事前に節税法を理解しなければいけません。その中でも、特に重要になるポイントが以下になります。

  • 車代や携帯電話代など、細かい生活代の経費化
  • 役員社宅の活用
  • 出張旅費規程の設定
  • サイト売買による税率20%の分離課税
  • 会社を分け、何度も退職金を出す

これらの中にはWebサービスを提供している会社だからこそ利用できる節税対策も存在します。そこで、何を実践すればいいのか、それぞれの方法を確認していきます。

自営業と違い、細かい生活代を全額経費にできる

個人事業主・フリーランスとの違いとして、「法人成りすれば、事業に関するあらゆる出費を全額経費にできる」ことが挙げられます。自営業の場合、経費にできたとしても半分が限界です。プライベート利用と案分する必要がありますが、このときはザックリと半分が経費化の上限になるのです。

ただ、法人契約にすればプライベート利用の分を含めてすべて経費にできます。

そのため、例えば以下のような出費をすべて経費にできます。

  • 車の購入費やガソリン代
  • 携帯電話代
  • ネット回線代

個人でこれらを経費にできても半分までが基本ですが、法人契約にすれば無条件で経費にできてしまうのです。

ただ、たとえ法人化したとしても個人契約のままではダメです。あくまでも法人で車や携帯を契約し、個人に貸したという建前が必要です。ネット回線についても同様であり、個人契約から法人契約に変えなければいけません。

しかし、これだけで年間にして相当額の経費を作り出すことができるため、簡単に数十万円の無駄な税金を減らすことができます。

役員社宅で損金割合を9割にする

経費の度合いを大きくするという意味では、役員社宅も重要になります。ネットビジネスをしている人では、高確率で作業を自宅ですることになります。つまり、自宅兼事務所です。私もいまでは法人化しているとはいっても、特に事務所は借りず自宅でずっと作業をしています。

そうしたとき自営業では、家賃を損金に計上できても前述の通り半分までが限界です。一方で法人の場合、適切な手順を踏めば家賃の9割を経費にできてしまいます。

このときも大前提として、法人契約にしなければいけません。個人契約の時点で自宅兼事務所の家賃を経費にできても半分までです。

また法人契約すると同時に、建物・土地の固定資産税を調べるといいです。借りた賃貸マンションの部屋について、建物と土地の固定資産税を大家に聞くことで教えてもらうのです。

または、地域の役所に出向いて教えてもらうという方法もあります。市役所や区役所などに出向き、以下のような書類に記入することで「借りている部屋の固定資産税評価額が記載された紙」を発行してくれます。

その後、税理士に依頼して計算してもらうことで、個人負担と法人負担の割合がどうなるのか計算してくれます。

参考までに、私は月19万円の賃貸マンションに住んでいたとき、賃貸マンション家賃の個人の負担割合は11,567円でした。つまり、約6%の個人負担割合(約94%は経費)にできたわけです。半分だけしか経費にしていないのは大きな損であるため、必ず法人契約をすることで経費割合を増やしましょう。

出張旅費規程で非課税の現金を手に入れる

さらに、個人では無理だが法人なら可能な節税法に出張旅費規程の活用があります。出張旅費規程を定めることで、出張時にホテル代(宿泊代)や日当の定額を支給できるようになります。さらには、交通費の定額まで支給可能になります。

例えば、出張旅費規程で以下のように定めておきます。

  • 宿泊代:1泊14,000円
  • 日当:1日6,000円

この場合、実際のホテル代が8,000円だったとしても、1泊14,000円のホテル代に加えて日当6,000円を支給できます。差額のお金については、あなたの懐に入れることができます。

しかも、このときの差額は非課税の現金になります。本来はホテル代として支払っているお金であるため、差額のお金に税金を課せられることがないのです。

・交通費定額の差額も非課税

また、交通費との差額も非課税です。例えば、「東京-シンガポール」は最も安いエコノミークラスで往復約7万円です。

ただ、往復7万円というのは特別料金になります。「予約を変更できない」など、さまざまな制約があるためにこうした金額になっています。

当然、正規料金(定額料金)はもっと高額になります。そこで、まったく同じ条件でエコノミークラスの定額料金を調べると以下のようになります。

まったく同じ路線、同じ日付ですが18~19万円になります。このとき、実際の支払いは約7万円であったとしても、正規料金のお金(今回は184,570円)を支給しても問題ないことになっています。出張旅費規程に従い、正規料金を支給するほうがむしろ普通だからです。

こうして交通費だけで10万円以上の非課税の現金を手にできますが、前述の通りさらにホテル代や日当の定額が加わるようになります。

法人化をすることでの節税を考えるとき、こうした旅費規程は非常に威力が大きいです。ネットビジネスなので基本は家に引きこもることになりますが、それでも旅行する機会はいくつかあります。そうしたとき旅行に行く人であれば、旅費規程だけで年間200~300万円の節税を実現するのは簡単です。

例えば私の場合、アメリカへ出向いたときは「ANAのビジネスクラス定額料金を支給:約100万円」「ホテル代や日当:約50万円」ほどを経費にしました。このとき、実際にかかった飛行機代やホテル代、現地滞在費を差し引いても個人資産を120万円は増やすことができました。

会社に損金を作って法人税を減らし、さらには個人へ非課税で現金を移転できるため、ダブルで得をする手法になります。

ブログ・サイトごとに法人成りし、売買によって税率20%に抑える

また、アフィリエイトに特有のものとしてブログやサイトの売買があります。ネットビジネスによるWebサービスを展開している場合、サイトを売ることがあります。

このとき、一般的には月の売上の24ヵ月(2年分)が売るときの値段相場になります。例えば、サイトアフィリエイトで月300万円の売上(利益)がある場合、「月300万円 × 24ヵ月 = 7,400万円」で売ることができます。

ただ個人で売る場合、所得が高額になれば半分以上が税金です。つまり、手元には3,700万円しか残りません。

一方で法人化していれば、「売る対象のサイト」だけを別法人として切り分け、会社ごと売るようにします。この場合、税率20%で済みます。つまり、「7,400万円(売値) × 20% = 1,480万円」の税金で済むため、手元には5,920万円が残ります。サイト売買をするにしても、売り方によって残るお金がまったく違うのです。

株式を売ることによって儲けたお金は分離課税の適用となり、通常の所得税とは別に考えて税金を計算します。このときの税率が一律20%なのです。

ちなみに、ブログやサイトを売る直前に法人化すると「租税回避目的の法人成り」と判断されて否認されるリスクが非常に高まります。あくまでも、早い段階で法人化しているからこそ意味があるのです。

アフィリエイターは退職金を何度も出せる

また、このとき会社を売ることで可能な節税メリットはそれだけではありません。会社ごと売るということは、同時に社長を退任することを意味します。

そうなると、退職金を支給できます。退職金は非常に優遇されており、所得税や住民税が非常に安くなっています。

例えば、年間2,000万円を役員報酬(給料)で受け取ると税金は約750万円であるため、手元には1,250万円ほどしか残りません。ただ、勤務年数にもよりますが退職金で同じく2,000万円を受け取ると、税額は100万円以下なのでほとんどが手元に残ります。

ネットビジネスをしているブロガーの場合、ブログやサイトごとに会社を作ったあと、それらのブログやサイトを売るごとに退職金を支給できます。これにより、会社を売るときの売却益以外にも、多くのお金を退職金という形で個人に移せるようになります。

なお、退職金を作るには生命保険を用いた節税対策を行う必要はありますが、このようにブロガーだと退職金という優れた税制を何度も利用できるメリットがあるのです。

会計処理が簡単になるメリットは大きい

また、個人事業主のときに比べて法人化すると、会計処理が圧倒的に楽になることもメリットといえます。

多くの人は「自営業から法人化したら会計処理が大変になるのでは?」と考えがちです。ただ、実際にやってみれば分かりますが逆です。法人成りしたほうが会計処理の負担が非常に楽になります。

理由は単純であり、顧問税理士に依頼するからです。副業としてフリーランスで活動しているときだと、自分で領収書をまとめ、記帳管理しなければいけません。こうした面倒な記帳作業については、法人成りすれば顧問税理士がすべて代行してくれるようになります。

決算書の作成や試算表による毎月の利益の把握など、税理士がすべて書類を作ってくれるのでネットビジネスに費やす時間を増やすことができるのです。

税理士への報酬支払いはデメリット

ただ、「顧問税理士に会計処理を依頼することによって、それだけ毎月の費用が発生する」というデメリットもあります。法人の会計処理を素人が行うのは100%無理であり、顧問税理士に依頼する必要があります。こうした固定の費用負担が法人化する一番のデメリットだといえます。

もちろん、先ほど紹介した節税手法をそのまま実施するだけでも年間300~400万円以上は簡単に節税できます。

一部の方法の実践だけでも大幅に無駄な税金を減らせるため、顧問税理士への支払金額を考えても圧倒的に法人化したほうが得です。反面、個人事業主のときにはなかった固定費がかかることを念頭に置かなければいけません。

このとき、顧問税理士への費用は一般的に月3~5万円です。また決算月では、12~15万円ほどの金額になると考えましょう。

社会保険料が高くなるため節税が必要

また他には、社会保険料が高くなってしまうデメリットもあります。自営業では国民年金・国民健康保険で問題ありませんが、法人の場合は社会保険(厚生年金・健康保険)に加入しなければいけません。これは、一人社長でも同様です。

そうしたとき社会保険料は非常に高額であり、ザックリと「給料の30%以上になる」と考えましょう。サラリーマンは半分が会社負担ですが、一人社長で会社を経営している場合は会社負担のお金も個人負担と変わりません。そのため、圧倒的に高額な負担額になるのです。

例えば年収1,000万円の場合、「1,000万円 × 30% = 300万円」の社会保険料が発生するようになります。個人事業主時代の国民年金・国民健康保険料に比べると、同じ年収1,000万円であっても200万円ほど上昇するようになります。

ただ、厚生年金として支払った金額の分だけ将来は年金として返ってくる制度になっています。しかし、それでも負担が高額なことには変わりがないため、多くの経営者は法人化した後に社会保険料の削減を行います。

社会保険料の削減も節税の一つであり、正しく行えば社会保険料を年間100万円ほど削減するのは簡単です。例えば生命保険を利用しますが、現金ではなく生命保険として受け取れば社会保険料を支払わなくても問題ないことになっています。

そこで、生命保険をうまく活用して個人資産を増やすようにしましょう。社会保険料の削減まで含めて節税するのが正しい法人成りのやり方になります。

・赤字でも発生する法人住民税

なお、ブログやサイト、メルマガ、YouTubeなどのネットビジネスでは固定費がほとんど発生しないため、事業での赤字の心配は基本的にないですが、法人の場合は赤字でも発生する税金があるのは有名です。

これを法人住民税の均等割といいますが、赤字でも年間7万円ほどの法人住民税が発生します。こうした税金を必ず取られることも理解しましょう。

Webサービスの法人成りの目安は月50万円の利益

このとき、どれくらいの利益が出たら法人成りしたほうがいいのかというと、一般的に月50万円といわれています。つまり、年間600万円の利益です。

中には「年収1,000万円以上が適切」という意見もありますが、これは単に消費税のみで考えた指標になります。アフィリエイトで年間1,000万円以下の売上(利益)の場合、消費税の支払いを免除されます。

ただ、ここまで述べた節税効果を考慮すると、月50万円以上の利益で法人化するほうが全体の税額は低くなります。たとえ顧問税理士への支払いや社会保険料を考慮したとしてもです。

そのため、節税メリットを考えるのであれば年間600万円以上の副業収入を得られるようになった段階で検討するといいです。

ブロガーやYouTuberだと海外オフショア法人を設立してもいい

なお、かなり裏技の方法にはなりますがブログやサイトなどのWebサービスを提供していたり、YouTuberとして活躍していたりする場合、日本ではなく海外法人を設立するという方法もあります。

日本だと異常なほど税率が高いです。実際のところ、日本で稼いだとしても社会保険料や所得税、住民税を入れると年収1,000万円ほどでも半分ほどが税金となります。

よくいわれる「半分が税金」というのは、「所得税 + 住民税 = 最高税率55%」だけで判断した指標です。ここに社会保険料が加わると、税率はさらにあり得ないものになります。

ただ、海外には税金がほとんどかからない地域があります。これをオフショアといいますが、海外オフショア法人を設立することでほぼ無税になります。

例えばマレーシアのラブアン法人であれば、法人税率3%です。しかも、役員報酬に課税される所得税はゼロです。住民税や消費税もありません。正確には年間で約12万円の所得税は必要になりますが、それでも圧倒的に少ないです。

非常に低い税金にて多くのお金を残すことが可能であり、アフィリエイト収入を得ている人の多くがマレーシアに移住している実態があります。

香港やシンガポールに法人を作っても就労ビザがほぼ下りないので無理ですが、マレーシアであれば比較的容易です。

注意点として、日本ではなく実際に現地に住まなければいけません。ただ、この注意点さえ守れば法人を立ち上げ、ほぼ無税にてビジネスをすることができます。

Webサービスの提供者が法人化しないのはもったいない

結論からいうと、Webサービスを展開して稼いでいる人が法人化しないのは税金面でのデメリットが大きく、圧倒的に損をしているといえます。

確かに社会保険料の支払いが多くなり、顧問税理士の料金も毎月必要になります。ただ、正しく行えばそれ以上に節税メリットを受けることができます。逆にいうと、節税対策を正しく行わなければ法人成りによって税金やその他の固定費が高くなるという側面があるため、事前にどのような節税策が可能なのか理解しなければいけません。

そこで、どのように法人成りをして節税を実現すればいいのか事前に確認するようにしましょう。ネットビジネスをしている人がどのような法人節税を実行に移しているのか理解すれば、大幅にお金を残せるようになります。

アフィリエイトは利益額が大きい分、税金金額が高額になりやすいデメリットもあります。そこで節税対策を考え、無駄な税金を排除しながらできるだけ多くのお金を残し、個人資産を増やすようにしましょう。


年間350万円以上を節税

ビジネスの継続を考えるとき、最も重要なのは節税です。節税策を一つ実施するだけで100万円以上の無駄な税金が減るのは普通ですが、何も対策をしなければ会社経営者や相続額が多い人は無駄に税金を支払い続けることになります。

ただ、私は優秀な節税の専門家(税理士やファイナンシャルプランナー)に依頼したことで「家賃の個人負担が家賃総額のわずか6%」「出張に行くたびに30万円以上の非課税の現金を手にできる」「社会保険料を年間130万円削除」など、何も対策をしなかったときに比べて一瞬で年間350万円以上も節税できています。

現在では、海外法人(タックスヘイブン)の活用や再保険(キャプティブ)の利用など、あらゆる節税策によって年間にして何千万円もの節税を実現しています。

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