経費をどのように計上するのかは、節税を考えるうえで重要です。その中でも、身近な経費として駐車場代があります。
多くの人は車に乗ります。そうしたとき、持ち家(自宅)の駐車場ではなく別の場所に車を止めることはよくあります。「出張先のコインパーキングを利用した」「月極で駐車場を借りている」などです。こうしたとき、お金を払うことになります。
ただ、このとき正しく経費精算しなければいけません。また、駐車場代については「経費にできるのに損金計上していない」という人も多く、適切に経費化することで節税しなければいけません。
そこで、「どのように考えて駐車場代を損金化すればいいのか」について解説していきます。
もくじ
ビジネス目的の駐車場代は経費にできる
事業をするためには経費を使わなければいけません。このとき、ビジネス目的での支出については問題なく損金計上することができます。
まず、ビジネスでは出張することがよくあります。そうした出張のとき、コインパーキングで駐車場を利用することはよくあります。また、社用車を止めるために月極駐車場を契約することはよくあります。
こうした支出については、全額が経費になります。個人事業主や法人を含め、支払った駐車場代がビジネスで必要な支出だった場合、経費にできてしまうのです。
ただ、このとき経費を払ったら仕訳をしなければいけません。実際の仕訳では、出張先のコインパーキングか月極駐車場かによって勘定科目を分けるようにしましょう。
出張先のコインパーキング代は旅費交通費
ビジネスで出張するとき、旅費交通費が必ず出てくるようになります。このとき、車を使って相手先に出向いたり、レンタカーを借りたりしたとき、コインパーキングを利用することはよくあります。
このときのコインパーキング代については、出張時に支払った費用になるので旅費交通費になります。
車での出張では、高速道路代やガソリン代を含めて旅費交通費の勘定科目を利用することになります。そのため、このときのコインパーキング代も旅費交通費に含めるようにするのです。社長や役員などの経営者に限らず、社員が利用したときも旅費交通費で処理しましょう。
・領収書が出ない場合はメモを残す
当然ながら、コインパーキングを利用したときの駐車料金については領収書を残すのが基本です。そうしないと、本当に駐車場を利用してお金を支払ったかどうか不明だからです。
ただ、中には領収書を発行してくれない駐車場もあります。そうしたとき、仕方ないのでメモだけ残すようにしましょう。領収書やレシートがなかったとしても、経費精算のときに損金計上できることは多いからです。
例えば、電車や新幹線に乗っても切符は回収されるので乗車した証拠が残らないことがあります。この場合でも、メモを残せば損金計上できます。これと同じように、メモさえ残せば駐車料金は経費にして問題ありません。
もちろんメモ書きの連発はできず、可能な限り領収書を残さなければ明らかにおかしいです。どうしても領収書を取れないときだけメモ書きによる経費精算をしましょう。
月極駐車場代の仕訳・勘定科目を理解する
ただ、駐車場代を支払うのは出張時だけではありません。月極によって毎月支払いのある駐車場代も存在します。こうした月極駐車場代については、出張ではないので旅費交通費で経費にするわけではありません。
これらの駐車場代は賃貸不動産を借りているときと同じように、地代家賃の勘定科目を利用することになります。例えば駐車場代を毎月3万円払っている場合、以下のような仕訳になります。
勘定科目 | 借方 | 勘定科目 | 貸方 |
地代家賃 | 30,000 | 現金 | 30,000 |
駐車場とはいっても、土地なので不動産の一種です。この契約をしている以上、地代家賃になることを理解しましょう。
社用車・法人名義なら自宅周辺の駐車場代も全額損金
なお、このときどれくらいの割合で経費として認められるのかを考えなければいけません。通常、プライベート利用の支出については損金にできないからです。また、仕事利用であってもプライベート利用と個人利用の割合を考えたうえで経費化するのが基本です。
特に問題になりやすいのが月極駐車場代です。出張でのコインパーキングであれば、100%ビジネス利用だと誰でも分かるため、支払ったお金は無条件で全額損金にできます。ただ、月極駐車場代についてのお金は経費化に注意が必要なのです。
・法人契約だと全額経費
このとき、会社組織だと車を社用車にしていることがよくあります。実際には社長が毎日使う車であったとしても、社用車ということにして全額を会社のお金から出してもらうことはよくあります。たとえ仕事利用が1割であっても、社用車の時点で全額が経費になります。
これと同じように、社用車を自宅(または社宅マンション)の近くにある駐車場に止めるにしても、法人契約で駐車場を借りる場合はすべて損金化できるようになっています。会社が駐車場を借り、そこに社用車を止めるのは普通です。たまたま、それが自宅近くだったというだけです。
注意点として、個人契約だと全額損金にできません。あくまでも会社がお金を支払い、そこに社用車を止めたことにする必要があります。
個人事業主は半分を損金
それに対して、個人事業主だと法人契約できないため、プライベート利用と案分したうえで経費にするのが基本になります。このとき事務所周辺の駐車場代については、ビジネス目的でしか利用しないため、個人事業主であっても100%損金計上できます。
一方で自宅周辺の駐車場代についてはどうでしょうか。この場合、個人利用のために駐車場を利用することが多いです。そのため全額を経費にすることはできません。
ただ、個人事業主・フリーランスであっても半分であれば経費にして問題ありません。たとえプライベート利用が9割だったとしても、半分までなら経費化しても自然なのです。
個人契約だと、法人契約のように全額損金はできず半分くらいまでしか経費にできません。ただ、半分は損金計上しても自然なので、確定申告の前に確実に経費に入れましょう。
・自宅兼事務所でも半分損金
なお、個人事業主であっても「事務所周辺の駐車場であれば全額損金にできる」ことを解説しました。お金の支払いにプライベート部分がないからです。たとえ通勤利用であっても、仕事のために駐車しているのですべてビジネス利用だといえます。
ただこれには、「自宅と事務所が離れている」という大前提があります。そうではなくフリーランスで自宅と事務所が非常に近かったり、自宅兼事務所だったりする場合、家の周辺にある駐車場なのでプライベート利用が必ず出てしまいます。
こうした現状を考えると、個人契約で月極駐車場代を払うとき「自宅兼事務所の周辺だった場合は、経費化できても半分になる」と理解しましょう。
駐車場での損金計上の方法を理解して節税する
経費に計上することでの節税については、正しく行わなければいけません。このときサラリーマンでは無理ですが、自営業者や会社経営者であれば駐車場代を積極的に経費にしましょう。
当然ながら、出張のときの費用については無条件ですべて経費にできます。場合によっては領収書が発行されないことがあるものの、これについてはメモを残して損金化してしまいましょう。
一方で月極駐車場については、法人と個人で取り扱い方が変わります。会社の場合、法人契約で社用車を止める場合、全額損金です。あくまでも法人契約でなければならず、社長やその他役員が個人契約した駐車場代だと全額経費にできないため、会社で契約をしましょう。
また個人事業主・フリーランスであれば、「事務所周辺の駐車場代はすべて経費」「自宅近くの駐車場代は半分損金」で考えるといいです。確定申告の前に確実に経費にしましょう。
経費計上するにしても、正しいルールがあります。こうしたルールに従って駐車場代を経費にして、無駄な税金を抑えながら節税するように心がけましょう。
ビジネスの継続を考えるとき、最も重要なのは節税です。節税策を一つ実施するだけで100万円以上の無駄な税金が減るのは普通ですが、何も対策をしなければ会社経営者や相続額が多い人は無駄に税金を支払い続けることになります。
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