会社を経営していく上で、「資金繰り」や「キャッシュフロー」といったお金に関する事項を学ぶのは必須です。お金があってはじめて、会社を経営することができるようになります。

ただ、経営の勉強をする際に、似たような言葉が出てくることに戸惑っている人は多いはずです。何事でも同じですが、言葉が意味することの違いを理解しておかなければ、その分野に関して学ぶことは難しくなります。そして、特に経営に関わる言葉には、そうした紛らわしい言葉が多いのです。

その中でも、「利益」と「キャッシュ(資金)」の違いは、経営の学び始めに疑問に思う人が多いです。そして、こうした基本的な2つの違いを正確に理解しておかなければ、その他に関しても誤った解釈をしかねません。

そこで今回は、「利益とキャッシュの違いとキャッシュフロー経営」について解説します。

利益とキャッシュの違い

利益とキャッシュというと、どちらも「会社にお金が入ってくる」というイメージを持っている人が多いです。確かに、どちらも会社を経営していく上では欠かせないものです。ただ、これら2つの言葉には明確な違いがあります。

経営について学ぶ上で、まずは利益とキャッシュの違いについて正確に把握しておくことが大切です。

利益とは

利益とは、一般的にイメージされているように「会社の営業活動によって生み出されたプラス」のお金です。収益が売上や配当金などの、会社に入ってくる全てのお金を指すのに対して、利益は純粋に会社のプラスとなったお金になります。つまり、利益とは会社が儲けたお金です。

例えば、店舗を経営しており、月に200万円の売上があったとします。配当金やその他の事業などによる収益がない場合は、売上がそのまま収益となります。

ただ、この売上はそのまま会社の利益にはなりません。それは、販売する商品を仕入れたり、店員に給料を支払ったりしなければいけないためです。このように、商品を売って売上を得るためには、さまざまな「経費」が必要になるため、会社の利益は売上から必要経費を引いた額になるということです。

会社を運営していくためには、利益が必要になります。利益がマイナスということは、赤字ということです。当然、赤字の状態が続けば、結果的に会社を運転していくお金がなくなるため、会社は潰れることになります。

また、利益がなく赤字が続いていると、金融機関などからお金を借りることは難しいです。つまり、利益がないと資金調達もできなくなります。

このように、会社を運営していく上で、利益を管理することは重要です。ただ、それだけでは経営していくには不十分なのです。

キャッシュ(資金)とは

利益と似た言葉に「キャッシュ(資金)」があります。資金とは、事業などを行う元手となるお金です。

例えば、「開業資金」といえば、事業を始めるために必要なお金のことを指します。また「運転資金」であれば、事業を継続して運転していくお金になります。

既に述べたように、利益は「会社が儲かっているかどうか?」を表す一方で、資金は「会社を運転していくお金があるか?」の指標です。そのため、利益がどれだけ多くて儲かっていても、資金が不足すると会社を運営していくことができなくなる可能性があります

また、こうした資金の流れを「キャッシュフロー」といいます。キャッシュフローは、簡単にいうと「会社内でどのようにしてお金が出入りしており、実際にどれくらいの資金が残っているのか?」ということを示すものです。

つまり、会社を経営していく上では、利益の管理だけでなくキャッシュフローを管理していくことも重要になるのです。

利益管理だけ行うことで生じる黒字倒産

ここまで述べたように、会社を運営していく上では、利益管理だけでなくキャッシュフローを管理していくことが大切です。それでは、利益管理だけで会社を運営していくとどのようなデメリットを生じるのでしょうか。

利益管理とは、「費用・収益・損益」の管理であり、キャッシュフロー管理(資金管理)は「収支・資金」の管理になります。そして既に述べたように、利益がプラスであっても、キャッシュフローがマイナスとなれば、資金が不足して会社が潰れてしまう可能性があるのです。

例えば、クレジットカード決済で商品を販売した場合、実際に商品代金がクレジットカード会社から振り込まれるのは早くて1ヶ月後です。ただ、商品は売れているため、現金が入っていなくても会社の収益はプラスになります。

つまり、販売時点において利益管理という視点では、会社にはプラスとなっています。

このように、代金の受け取りを実現していないにも関わらず、収益として計算することを「収益の見越し」といいます。収益の見越しとは、「将来的には現金として入ってくるもの」と考えて事前に収益として計上するということです。ただこの状態では、収益は増えるため利益は上がるものの、現金は受け取っていないため資金は増えません。

そのため、儲かっているにも関わらず、会社を運転していくお金が不足するのです。つまり、キャッシュフロー管理という視点で見ると、マイナスとなっています。

こうした利益と資金の剥離が、わずかな額であれば会社を運転していくために大きな支障は出ません。しかし、利益と資金の差が大きくなれば「儲かってはいるけど、資金がないために会社が潰れてしまう」ということになりかねないのです。

このように、利益管理ではプラスで黒字であるにも関わらず、キャッシュフロー管理でマイナスであるために会社が倒産することを「黒字倒産」といいます。

利益管理とキャッシュフロー管理には、こうした関係性があります。

キャッシュフロー経営

ここまで述べたように、利益管理だけでは会社を健全に運転していくことはできません。そのため、利益管理だけでなく実際のお金の流れを示すキャッシュフローを管理していくことが重要です。こうした、利益管理とキャッシュフロー管理を統合させた経営を「キャッシュフロー経営」といいます。

つまり、会社を運営していく上では、キャッシュフロー経営を行っていくことが大切になるのです。

経営はキャッシュフローで判断される

基本的に、会社の経営状態は利益ではなくキャッシュフローで判断されます。既に述べたように、会社を経営していくためには資金が必要です。そうした資金は、株主や投資家などから調達することになります。

そのため、資金調達を行うためには、株主や投資家などからの信頼を得ることが重要です。そして、投資家などが会社の経営状態を判断しやすいのは、利益だけはなくキャッシュフローになります。

つまり、キャッシュフロー管理が上手くいっていない状態だと、資金調達を行うことが困難となるのです。

もちろん、決算書からだけでも経営状態は判断できます。そのため、金融機関から資金調達をする際に重視されるのは決算書です。ただ、経営の実態を把握しやすいのはキャッシュフローであるため、株主や投資家などからはキャッシュフローが重視される傾向にあります。

このように、会社の経営状態は、キャッシュフローで判断されます。こうしたことからも、会社を経営していく上ではキャッシュフロー管理が欠かせないのです。

国によって違うキャッシュフローの考え方

キャッシュフローを管理することは、会社を経営していく上で欠かせません。ただ、キャッシュフローに対する考え方は、日本と世界(特にアメリカ)では違っているのが現状です。

日本では、キャッシュフローは事業規模の拡大と雇用維持のために重要だと考えられています。つまり、日本におけるキャッシュフロー経営とは、キャッシュフローをやり繰りする経営だと考えられているのです。

そのため、日本では資金を融資してもらうメインバンクとの関係性が重視されてきました。

その一方で世界におけるキャッシュフロー経営とは、投資家が投資した資金を「経営努力によってどれだけ増やすことができるか」ということが重視されています。つまり、キャッシュフローを維持することが重要視されている日本とは違い、国際的な経営では新たなキャッシュフローを作り出すことが求められているのです。

このように、キャッシュフロー経営といっても、国によって捉え方が大きく異なるのです。

今回述べたように、経営について勉強する上で、利益とキャッシュ(資金)の違いを認識しておくことは大切です。そうすることで、キャッシュフロー経営について理解できるようになります。


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