事業計画書を作成して、銀行の融資担当者や投資家を説得するとき、どのような商品を顧客に提供するのかが重要になります。市場にはすでに多くの類似商品が流通していることが多く、投資する側はあなたの思いつきの商品が売れるほど世の中は甘くないと判断するからです。
あなたが融資を受けたいのであれば、「なぜその商品が売れるのか?」という理由や根拠を事業計画書の中で示さなければなりません。そこで今回は、顧客がどのような悩みや欲求を持っているのかを理解するために「顕在ニーズと潜在ニーズの違い」と「潜在ニーズを掘り下げる方法」を解説します。
もくじ
商品を開発するうえで理解しておきたい2種類のニーズ
あなたが開発する商品は、顧客のニーズを満たしている必要があります。これは、ビジネスを行う上で必須だといえます。
・顧客はどのようなことで頭を抱えて悩んでいるのか?
・その悩みは、現在どのような商品で解決されているのか?
・その悩みを抱えている人は、日本にどれくらいいるのか?
このような顧客のニーズに応えることによって、あなたの商品が選ばれるようになるのです。
また、顧客のニーズは大きく分けて「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」の2種類に分けられます。商品を企画する前は、この2種類の違いを理解しておく必要があります。
顕在ニーズ
顕在ニーズとは、「すでに目に見えている顧客のニーズ」のことです。
例えば、顧客が職場のPCで表計算ソフトを動かしていたとします。そのPCで表計算ソフトを動かしながら、別のオンライン通話ソフトを動かして会議に参加しようと思ったら、処理が重くなってしまいました。このとき、「もっと高性能なPCが欲しい!」というニーズが、顕在ニーズとなります。
潜在ニーズ
一方、潜在ニーズとは、「顕在ニーズの裏に隠れている、顧客の本質的なニーズ」のことです。
例えば、先ほどの顕在ニーズの例では、顧客は複数のソフトを立ち上げるために高性能なPCが必要だと考えていました。しかし、すべての社員のPCを高性能なPCに買い替えると、多くの予算を必要とします。
しかし、ここで大事なのは「複数のソフトを立ち上げて、円滑に作業すること」です。この本質的な欲求を満たすためには、新たなPCを買うほかにも「携帯電話やタブレットなどにオンライン通話ソフトをインストールして、会議に参加してもらう」という方法が見つかります。
すると、以下のような解決が可能になります。
・1台2万円前後の安価なタブレットを購入して、オンライン通話ソフトはそちらで使用してもらう
・社員の携帯電話に、オンライン通話ソフトをインストールしてもらう
・どのような場所でも携帯電話やタブレットを使用できるように、携帯式大容量バッテリーを購入する
「高性能なPCが欲しい」という顕在化されたニーズには、「複数のソフトを同時に使用したい」という潜在ニーズがあり、PC以外の商品でその潜在ニーズを満たすことができます。
他社より優位に立つために、潜在ニーズを掘り下げる
新しい事業を始めるときは、「潜在ニーズ」が重要になります。もちろん顧客の目の前にある問題を解決することも大事ですが、顧客自身が自分の問題に気がついていないことはよくあります。
例えば、かつて欧米において「車が存在する前に、顧客に何が欲しいかを問えば、もっと早い馬が欲しいと答えただろう」という話はあまりにも有名です。19世紀以前の顧客は「速く移動するときは馬車を使うものだ」と思い込んでいるため、車という代替商品が販売されて初めて、実は車が欲しかったのだと理解するのです。
潜在ニーズの見つけ方
新しい事業を始めるときは、このような「速い馬を見つけるのではなく車を作る」思考によって、他社に対して優位性を持った商品を開発する必要があります。そこでここからは、潜在ニーズの見つけ方を解説します。
顧客にヒアリングする
顧客の本質的な問題を解決するための潜在ニーズを掘り下げるのは、あなたの仕事です。しかし、その前段階として顧客に対してヒアリングを実施することにより、まず「既存顧客の顕在ニーズ」や「潜在ニーズのヒント」を得ることができます。
顧客に対してヒアリングを実施するときは、以下の2点が重要になります。
1.誰にヒアリングするか
第一に、誰にヒアリングするかを意識してください。ここでよくある間違いは、「既存顧客にヒアリングを行い、否定的な意見が返ってきて諦めてしまう」ということです。
既存顧客は、現状のサービスに疑問を抱いていないことが多いです。そのため多くの決議を通さないと仕事の進め方を変えられないような保守的な企業だと、新しい提案を持っていっただけで否定されることがよくあります。
そこで、労力を惜しまずに以下のような「顧客以外の人たち」からもヒアリングを行うようにしてください。
共に商品を開発する協力会社
既存の顧客であれば、商品を購入するかどうかは自分たちで決めます。そこで「このような商品を開発する予定ですが、購入したいと思いますか?」というヒアリングをしても、適当な答えしか返ってこないこともあります。
しかし、共に商品を開発する協力会社であれば、利益や損失を分け合うことも多いため、正直な意見が返ってくる可能性が高まります。
商品のターゲットになることが予想される見込み顧客
他にも、商品のターゲットになることが予想される見込み顧客に対してヒアリングすると、現状あなたとの取引がないため、率直な意見を聞ける機会が増えます。
マーケティングの世界では、「新しい商品やサービスに利用メリットがあると分かれば、それらを積極的に活用するユーザが存在する」ことは広く知られています。このような見込み顧客層は、既存大企業ではなくベンチャー企業などのお客様に多いので、そのようなベンチャー企業とのつながりを持つことが大切です。
2.どのようにヒアリングするか
実際に顧客(協力会社や見込み顧客を含む)にヒアリングを行うとき、すでに商品のアイデアが固まっているなら、その商品についての率直な意見を聞けばよいです。しかし、ヒアリングの段階ではあまり固定観念を持たずに「顧客の不満や愚痴などを聞き出すこと」を意識することをおすすめします。
特に、社内で事務的な話をするだけでなく、顧客の本音を聞き出すことを意識すると、顧客は本音を吐露してくれることがあります。このような愚痴や不満を解消することが、新しい商品のアイデアとなるのです。
例えば、「グローバル企業で世界中に出張することが多い会社」が存在するとします。そこで、「会議のために定期的に海外に出張するのは体が辛い。家族とも会えなくなる」という不満が出たとします。
インターネットがない時代には、飛行機のような「船よりもスピードが速い移動手段の開発」が顧客の不満を解消していました。しかし、インターネットを利用したオンライン会議システムがあれば、海外に出張せずとも多くの会議や商談を行うことができます。
「より速い移動手段が欲しい」という顕在ニーズの裏には、「体への負担を軽減したい」「家族と過ごす時間を増やしたい」などの潜在的な不満があります。
そこで「外国にいる人とあたかも出会っているように議論できる、オンライン会議システム」という新しい商品を導入すると、「出張費を抑えられる」「社員の負担が軽減する」などのメリットを与えることができ、顧客は商品を購入します。
商品のプロトタイプを作り、繰り返し仮説を検証する
潜在ニーズを掘り下げるときには、「商品のプロトタイプ(試作品)を作って、繰り返し仮説を検証する」ことも大事です。
自分では潜在ニーズに気がついたと考えていたとしても、検証していないと実際のところ正しいかどうかわかりません。
例えば、「海外出張の代わりになる、オンライン会議システム」の話が、企画段階では素晴らしいと考えられていたとします。しかし、いざ開発が終わって顧客に提示したときに「このような小さい画面では、会議と同じように話せない。考えていたような製品ではない」と判断されたら、今までの努力が無駄に終わります。
そこで、本格的な商品開発を始める前に、簡単なプロトタイプを完成させて、実際の使い心地や商品のイメージなどを顧客に提示して検証するのです。
例えば、「海外出張の代わりになる、オンライン会議システム」の画面イメージを顧客に提示したとき、「パソコンの画面では、実際の会議と同じように議論することができない」という意見が多数派だったとします。
すると、顧客が実際に欲しかったのは、「複数の大画面にお互いの顔やテーブルが映し出されるオンライン会議システム」であり、会議のためのソフトウェアだけではなく、「全世界で統一された専用のオンライン会議室を設計してくれるサービスを欲しているかもしれない」という新しい仮説が生まれます。その仮説をさらに検証することによって、顧客の潜在ニーズを満たす商品に近づくのです。
仮説段階では「具体的イメージ」と「コスト・時間」を意識する
このような仮説段階では、「商品の具体的イメージ」「プロトタイプ(試作品)を作るコストや時間」を意識してください。
文字で商品を説明して顧客にアンケートを取っても、顧客ごとに頭の中に思い浮かべるイメージは違いますので、正確な検証を行うことはできません。そこで、画像や動画などのイメージを駆使して、商品の具体像を共通認識にすることによって、より正確な検証が行えます。
また、プロトタイプを作る段階では、詳細な設計よりも「コストや時間」が重要視されます。仮説と検証を繰り返す回数が多いほど、顧客のヒアリングを反映した商品開発を行うことができます。その結果、コストや時間を抑えることで、失敗のダメージを最小限に留めることができるのです。
このように、顕在ニーズの裏に隠れている潜在ニーズを掘り下げることによって、ライバルよりも優位に立つ商品開発を実現することが可能です。また、ヒアリングから潜在ニーズを見つけ出しても、検証しない限りは仮説となります。この仮説を繰り返し検証することによって、銀行の融資担当者や投資家たちが納得する事業計画書が完成するのです。
事業計画書で理想だけ述べても意味がありません。そうではなく、「なぜビジネスが上手くいくのか」について顧客の潜在ニーズまで考えることで、素晴らしい事業計画書になるのです。
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