節税する方法はいくつかあり、その中でも最も強力な節税方法が海外移住節税です。この場合、適切な手順を踏むことによって合法的に無税になります。

ただ中には、パーマネントトラベラー(永遠の旅行者)として活動する人もいます。つまり、ビザなしにてどこかの国を転々とし、日本を含め、どこにも納税しないというわけです。ただこの場合は脱税となり、違法なので金額が大きいと逮捕リスクもあります。

パーマネントトラベラーは単に長期旅行をしているだけなので、日本で納税義務があります。また中には、半年以上を特定の国で住めない人もいます。それでは、どのように対策するべきなのか解説していきます。

永遠の旅行者は単なる長期旅行

日本のパスポートは優れており、ほとんどの国へ申請なしで過ごせます。またビザの申請が必要であっても、現地の空港で申請すれば問題なく数か月の滞在が可能になるのも普通です。以下の状態が一般的なパーマネントトラベラーです。

  • 数か月おきに国を転々としている
  • どこかの国に滞在できる有効なビザはない

このとき、「パーマネントトラベラーとして日本にずっといないのであれば、どこにも納税しなくてもいい」という都市伝説があります。ただ、パーマネントトラベラーは日本で納税義務があります。理由としては、単なる長期旅行と同じだからです。

本当の意味で無税になるためには、「税務上の非居住者」になる必要があります。この判定はそれなりに厳しく、例えば以下を見られます。

  • 特定の国に半年以上、滞在している
  • 有効な滞在許可証(ビザ)を保有している
  • 家族(配偶者、未成年の子供)と一緒に移住
  • 現地で賃貸を借りている
  • 日本に賃貸を借りていない
  • どこかに納税している

必ずしも、これらすべてを満たす必要はありません。ただ、「どこかに納税している」というのは非常に重要です。

利益を得ている以上、必ずどこかに納税している必要があります。現地の税制に従って合法的に無税であれば、特に問題ありません。ただ、どの国にも属しておらず、どこにも納税していないというのは、「単なる長期旅行なので日本で納税義務がある」ことを意味しています。

住民票の場所は関係ない

なお、パーマネントトラベラーになるときに「住民票を抜けばいいのでは?」と考える人が多いです。ただ実際のところ、税務上の非居住者で住民票の場所は重要ではありません。

住民票を日本に残したままであっても、例えばフィリピンに物理的に住んでいる場合、「税務上の居住地はフィリピン」と認定されます。

一方、たとえ住民票を抜いていたとしても、どの国にも納税しておらず、居住地の判定もない場合、日本国籍を有する人は日本で納税となります。合法的に長期滞在できる国が日本だけであり、前述の通り長期旅行をしているだけとみなすことができるからです。

パーマネントトラベラーで節税は不可能です。長期旅行である以上、納税しない場合は違法状態となってしまいます。

ビザを取得し、国外源泉所得が無税の国に住む

合法的に無税にしたい場合は必ずパーマネントトラベラーの状態を脱しなければいけません。そこで、ビザを取得して合法的に特定の国に長期滞在できるようにしましょう。

このとき、海外移住節税では「国外源泉所得が無税の国」に住む必要があります。日本と同様に全世界課税の国に住む場合、どこから得た収益であっても、住んでいる国に納税しなければいけないからです。

一方、国外源泉所得が無税であれば、「住んでいる国以外から稼いだお金」は無税です。国外源泉所得が無税の国であり、ビザを取得できる国としては例えば以下があります。

  • フィリピン
  • マレーシア
  • ドバイ

長期滞在可能なビザがあり、その国に半年以上を賃貸にて住めば、少なくとも長期旅行者ではありません。そのため、いずれにしても物理的にどこかの国に住まなければいけません。

オフショア法人を設立し、どこかの国に納税する

また同時にオフショア法人の設立が必須です。タックスヘイブンにて登記でき、法人税率0%の会社がオフショア法人です。

国外源泉所得が無税の国に住む場合、オフショア法人で得た利益は国外源泉所得に該当するため、無税になります。こうして、現地の税制に従って合法的に完全無税になります。

またオフショア法人が無税とはいっても、実際には法人税を支払っています。オフショア法人では定額ライセンス料が毎年発生し、必ず支払わなければいけません。要は、法人税率は0%であるものの、定額の法人税が存在するというわけです。

・オフショア法人がない場合は国内源泉所得

注意点として、オフショア法人なしで現地に住む場合、「国内源泉所得となり、居住している国で所得税の支払いが必要」になります。これは、あらゆる政府機関や会計事務所が公式サイトで公表している内容です。

ただ国内源泉所得となる場合、節税できません。日本ほど税率は高くないにしても、無駄な税金は避けるべきです。そこで、オフショア法人を利用することで国外源泉所得に変え、合法的に無税にするのです。

特定の国に年の半年以上を住めない場合の対策

ただ中には、事情があって特定の国に半年以上を住めないケースがあります。この場合、仕方ないので以下の状態にします。

  • ビザを取得
  • 現地で賃貸を借りる(日本の賃貸などはゼロ)
  • 現地の滞在期間を日本よりも長くする

実際のところ、海外をメインにビジネスをしている経営者では、特定の国に半年以上を滞在していないケースがあります。そこで、この場合は「日本の税務上の非居住者」であることを明確にするため、可能な限り日本の非居住者としての証拠を作る必要があります。

そのため、「日本に住める場所(賃貸など)はないが、現地にはある」「家族(配偶者や未成年の子供)も現地に住んでいる」「日本よりも現地の滞在期間が長い」などの状況は重要です。

節税というのは、「これさえ満たしていれば必ずOK」という基準が存在しません。そのため、「半年以上を特定の国に住む」という基準を満たせないのであれば、その他の基準を可能な限り満たすようにする必要があります。

なお、一般的なパーマネントトラベラーの場合、ここまで述べた基準をすべて満たしません。そのため、日本で納税になります。

過去のパーマネントトラベラーの判例を確認する

それでは、実際のパーマネントトラベラーの判例としては何があるのでしょうか。世間一般的なパーマネントトラベラー(永遠の旅行者)とは異なるものの、「現地の滞在期間よりも、日本での滞在期間のほうが長い」として、税務署に裁判を起こされた例が過去にあります。実際の内容は以下になります。

  • 日本、シンガポール、アメリカ、インドネシア、中国で会社経営
  • 日本に持ち家、アメリカにコンドミニアム、シンガポールに賃貸住宅
  • 妻や子供が日本に居住
  • 4年間の平均滞在日数:日本102日、アメリカ91日、シンガポール75日
  • 日本国内の病院へ定期的に通院

こうした状況により、この社長は税務署から「日本の居住者であり、海外法人からの所得税を日本で納税するべき」と訴えられました。

・この裁判では社長が勝訴した

結論をいうと、この裁判では税務署が負け、社長側が勝訴しました。この人の場合、実際にシンガポール現地にオフィスや社員がいて、海外にて営業や工場の管理をしていました。当然、シンガポールに滞在する有効なビザを保有し、賃貸も借りています。

そのため、日本に住民票があり、家族が住んでおり、日本の医療機関に毎月通っていたものの、日本の非居住者として認められました。

ビザを有し、現地にオフィスがあれば問題ない

適切なビザを保有し、シンガポールにはオフィスや社員がいるため、明確にシンガポールで活動しているとわかります。ただシンガポールでの滞在日数が半年以内であり、さらには日本よりも短かったため、海外法人からの役員報酬について「所得税を日本で納税するべき」と税務署に訴えられました。

ただ今回の判例より、有効なビザを有して現地でオフィスがあり、きちんと現地でビジネス活動をしていれば、たとえ現地での滞在日数が半年以上でなくても問題ないというわけです。

海外移住節税では、「特定の国に半年以上を滞在している」のは非常に重要な要素になります。ただ、今回のように例外もあるのです。

本来、居住実態をより明確にするため、この人は日本に住める家がない状態にして、日本よりもシンガポールの滞在日数を長くし、さらには家族と一緒に海外移住するべきでした。ただ、今回については、こうした悪い状況であっても「日本の税務上の非居住者が認められた」というわけです。

なおオフィスなしにビジネスをする人の場合、現地で借りる賃貸物件(住む場所)がオフィス代わりとなります。有効なビザを保有し、そうしたオフィスで仕事をしていれば、たとえ特定の国に半年以上を住めなくても問題ないというわけです。

ちなみに、裁判の中で「住民票は必ずしも生活場所を反映するものではない」として、日本に住民票があっても日本の非居住者として認定されています。他にもさまざまな判例はありますが、いずれにしても住民票の場所はあまり重要ではありません。

これらの判例を理解したうえで、一般的なパーマネントトラベラーでは「特定の場所でビジネスをしていない」「ビザがない」「賃貸契約がない」「どこにも納税していない」という状態です。あらゆる非居住者の要件を満たしておらず、ほぼ確実に日本の居住者に認定されるというわけです。

パーマネントトラベラーの節税は違法

節税というのは、あくまでも合法的に行わなければ意味がありません。違法・脱税の状態では、税務署に指摘されることで高額な納税義務を生じるようになります。脱税額が大きくなると、逮捕リスクもあります。

そこで、パーマネントトラベラー(永遠の旅行者)でどこにも納税しないのはやめましょう。きちんとビザを取得し、オフショア法人を設立し、国外源泉所得が無税の国に住むことで、あくまでも合法的に節税するといいです。

なお人によっては、仕事の関係で特定の国に半年以上を住めない人もいます。この場合は仕方ないので、「ビザを取得する」「家族と一緒に移住する」「日本よりも現地での滞在期間を長くする」「現地で賃貸を借りる」など、可能な限り税務上の非居住者になる条件を満たしましょう。

脱税をしては意味がなく、合法的な節税をしなければいけません。そこでパーマネントトラベラーではなく、適切な手順に従って海外移住節税を行うといいです。

海外移住に加えて、オフショア法人を利用すれば、完全合法にて無税になります。オフショア法人なしに移住し、どこにも納税しないと脱税であるものの、適切な手順を踏めばどこにも税金を納める必要がありません。

なお海外移住節税では、「ネットや電話だけでビジネスが完結する」「外注先のみで仕事が回る(社員がいない)」などの条件は必要です。ただ、これを満たす場合は無税にできます。また年の半分以上を特定の国で過ごせば問題なく、日本が恋しいならもう半分を日本で生活するのも可能です。

このとき、仮に個人事業主をしているとして、年600万円以上の利益であればオフショア法人を利用して海外移住するメリットが大きいです。具体的な移住先の候補はフィリピンやマレーシア、ドバイ、ジョージアなどがメインです。

日本は異常なほど税金が高いです。そこで海外移住&オフショア法人により、合法的にビジネスや投資(仮想通貨など)の利益を無税にしましょう。