新しい事業を始めるとき、「消費者の労力を減らす画期的なアイデア商品」「長く愛される健康食品」などの新しい商品のアイデアをひらめき、それらを現実のものにするために起業を行うことが多いです。
そのような動機で起業する人たちの中には、良いモノを作れば商品が売れるはずだと考える人がいます。しかし、どれだけ素晴らしい商品を開発しても、それが消費者に認知されなければ商品は売れません。
そこで大事になってくるのがマーケティングです。マーケティングとは、あなたの開発した商品やサービスを、どのようにして消費者に届けるのかを計画して実行に移す活動のことです。
そこで今回は事業計画書を書くときに使われることが多い「マーケティングミックス(4P)」について解説します。
マーケティングミックス(4P)を理解して、効果的なマーケティング戦略を立てる
「商品やサービスをどのように販売するのか」を事業計画書で説明するとき、マーケティングミックスと呼ばれる4つのPで具体化するのが一般的です。
ここでいう4つのPとは、以下の通りです。
・Product(商品・サービス)
・Price(価格)
・Place(チャネル)
・Promotion(広告・宣伝)
これら4つのことを考えることによって、事業計画書のマーケティングプランが完成します。
ここからは、「雇われWebライターとして3年間企業で働いた人間が、Webライターのための文章スクールを創業する」という設定で4つのPを考えていきます。また、商品・サービスの内容は以下のように設定します。
■取扱商品サービスの内容 ①文章教材(Webライターのための記事の書き方) 自サイトや販売代理サイトで販売 9800円/ユーザ ②文章の指導・相談会(記事の書き方、専門分野の作り方、悩み相談) 中級者対象1回45分ネット電話で指導 8000円/回 ③文章添削 文章添削。メール指導 1000円/回 ④生徒たちを集めた勉強会・交流会(セミナー) 生徒たちが集まって記事の書き方や具体例を学ぶ。仲間を作る 5000円/回 |
Product(商品・サービス)
「Product(商品・サービス)」とは、あなたが販売する商品やサービスのことです。
あなたが商品を販売するとき、やみくもに商品を開発してはいけません。今からお伝えするポイントをおさえて商品を決定してください。
顧客のニーズを満たせているか?
自分にとって良いと思える商品が、顧客にとって良い商品とは限りません。顧客が必要だと思える商品を提供する必要があります。
例えば、今回の文章スクールの例であれば、「高単価で仕事を受注するための文章教室」なら需要があるでしょうが、「低単価で大量の仕事を受注するための文章教室」には需要がないです。そのようなライターはわざわざ文章力を高めなくても、低品質の文章を大量にクライアントに納品するだけでよいからです。
他社の商品と差別化できているか?
同じような商品を販売しているライバルは多数存在しています。そこで、ライバルたちの商品と何が違うのかを明確に差別化しなければなりません。
例えば、今回の文章スクールの例であれば、「1文字5円以上になる文章を書いてきたライターが提供する文章教室」や「文章の書き方だけでなく、高単価な仕事の受注方法を詳細に解説する文章教室」などのようにして、差別化します。
また、文章教室を長く続けるうえで、生徒たちが活躍することも考えられます。そのような生徒と協力することによって、「成果を上げた生徒がいる文章教室」として、差別化することが考えられます。
例えば、「④生徒たちを集めた勉強会・交流会(セミナー)」を行うとき、活躍している元生徒に講演をしてもらいます。セミナーなどで具体的な将来像を生徒たちに示す試みは、他社との差別化につながります。
商品を繰り返し購入したいと思わせることができるか?
同じお客様に繰り返し商品を購入して頂くことによって、ビジネスが安定します。いかにしてリピート客を捕まえるかが、マーケティング戦略のカギといえます。
例えば、今回の文章スクールの例であれば、「③文章添削」「④生徒たちを集めた勉強会・交流会(セミナー)」がリピート商品になります。
「③文章添削」では、自分では欠点がわからない文章を添削してもらうことによって、自分の文章の問題点が理解できる商品となります。常に学ぶ姿勢を忘れないお客様にとって、リピートしたくなる商品となるのです。
「④生徒たちを集めた勉強会・交流会(セミナー)」は、ライター仲間と交流する手段として、最適な商品です。毎回違ったテーマを決めて何かに取り組むことによって、セミナー参加者同士の交流を深めると、何度も参加したいと思わせることが可能です。
このように、お客様に繰り返し商品を購入して頂くことを考えてください。そのためには「商品のラインナップを充実させる」という意識が大事です。
Price(価格)
「Price(価格)」とは、あなたが販売する商品やサービスの価格のことです。
商品を販売するためには「仕入れ・製造コスト」「流通コスト」「販売管理費」などのコストが存在します。そこで、コストを正しく把握して赤字にならないような値段設定にすることが大事です。
しかし、赤字にならないからといって、どのような値段でもつけてよいわけではありません。商品の値段は、「ライバル商品との比較」と「その商品によって顧客が得られるメリット」の2つで決定します。
ライバル商品との比較
あなたが商品を販売するとき、すでに市場には類似の商品が販売されていることが多いです。そのとき、すでに市場には商品価格の相場が出来上がっています。
あなたの商品がいかに優れていようとも、同様の商品を扱っているライバルと比較してあまりにも高すぎる値段だと、顧客はその商品を購入しません。もしライバルより高い値段の商品を販売するのであれば、「なぜ、ライバル商品より高いのか?」を示す必要があります。
例えば、今回の文章スクールの例であれば、「②文章の指導・相談会(記事の書き方、専門分野の作り方、悩み相談)」を、45分8000円で販売しています。
これが相場より高い価格だとすると「指導したWebライターの生徒たちを年収1000万円以上にしてきた」などの実績を示すことによって、相場よりも値段が高い理由を示し、相対的には格安で相談を行っていることを説明するのです。
その商品によって顧客が得られるメリット
あなたの商品が顧客に対してどれほどの価値を提供できるのかについても、商品の値段を決める要因となります。
仮に、類似商品が市場に存在しなくても、顧客があなたの商品にメリットを感じない場合、商品は売れません。反対に、顧客があなたの商品にメリットを感じているのなら、商品の価格を上げることも可能です。
例えば、今回の文章スクールの例であれば、「④生徒たちを集めた勉強会・交流会(セミナー)」を参加費5000円で開催しています。セミナーでは人数に限りがありますので、30人のセミナーに100人の応募があることもあり得ます。
この場合、5000円以上の価値があると考えている顧客が多いからこそ、応募が殺到しています。そこで、次回のセミナーは5000円以上の価格で開催することを検討するのです。
しかし、「ライバル商品が存在しない」「顧客が商品にメリットを感じている」という2つの要因を満たしていても、あまりに値段が高いと顧客の支払い能力の限界を超えてしまいます。そこで商品を普及させたいのであれば、顧客がどれぐらいなら商品にお金を払えるか価格を検討する必要があります。
今回のセミナーの例でいうと、セミナー開催後に「セミナーの金額が妥当だと思うか?」「ひと月あたりいくらぐらい自己開発にお金を使っているか?」などのアンケートを取ることによって適正な値段を探る方法があります。このとき、顧客の心証が悪くならないように、値上げをしたいことは前面に出さないほうがよいです。
Place(チャネル)
「Place(チャネル)」とは、あなたが販売する商品やサービスを流通させるルートのことです。このチャネルは「直接チャネル」と「間接チャネル」の2つに分かれています。
直接チャネル
直接チャネルとは、顧客に直接、商品を販売するルートのことです。「インターネット通販サイトで販売する」「自社のウェブサイトから販売する」などで販売する方法が直接チャネルに当たります。
例えば、今回の文章スクールの例であれば、「自分でウェブサイトを立ち上げて、そこから見込み顧客を集める」「インターネット通販サイトで商品を販売する」などのようにして、商品を販売します。
間接チャネル
間接チャネルとは、卸や販売店(代理店)を経由して商品を販売するルートのことです。「スーパーに自分の商品を陳列してもらい、売り上げの一部をスーパーに支払う」「問屋に商品を卸し、小売店に振り分けてもらう」などで販売する方法が間接チャネルに当たります。
自分の商品を直接顧客に販売するのではなく、地元のスーパーや土産物屋に販売してもらう場合、間接チャネルで商品を販売しているといえます。
Promotion(広告・宣伝)
「Promotion(広告・宣伝)」とは、あなたが販売する商品やサービスをどのように知ってもらうかという広告・宣伝のことです。
自分が販売する商品に適した広告戦略を取ることによって、商品の売り上げが決まります。ここからは、どのような広告・宣伝媒体があるかを解説します。
インターネット
パソコンや携帯電話を通じて、国民全体がインターネットにつながっている現在、インターネットによる広告・宣伝が一般的になりました。「検索エンジンの上部に有料で広告を載せてもらう」「読者数の多いメルマガで自社の商品を紹介してもらう」などの戦略で商品を宣伝することが可能です。
また、自社メディアを立ち上げることによって、継続的に見込み顧客を集めるような宣伝が可能なのがインターネットの特徴です。このような戦略を取った場合、一時的な広告効果だけではなく、数十年に渡って広告効果が持続するメリットがあります。
新聞
新聞に商品の広告を出すことによって、宣伝を行う手法があります。新聞はインターネットのウェブサイトのように誰でも運営できる媒体ではないので、社会的な信頼が高いです。
このような信頼度の高い媒体で宣伝を行うことによって、自分たちが信頼できる販売者だということを証明することができます。また、全国紙や地方紙、業界紙までさまざまな新聞社があるため、自分たちが商品を届けたい人たちを狙って広告を出すことも可能です。
雑誌
雑誌に商品の広告を出すことによって、宣伝を行う手法があります。雑誌に広告を出すことによって、「趣味」「年齢」「性別」などを細かく絞って、宣伝活動を行うことができます。
例えば、あなたが育毛剤を販売したいとします。このとき、商品の認知度向上ではなく商品の販売が目的であれば、40~50代以上の年齢層の男性が読む雑誌に広告を出すべきです。テレビのような不特定多数の人たちが視聴する媒体より、より狙ったターゲット層に効率よく宣伝を行うことができます。
テレビ
テレビに商品の広告を出すことによって、宣伝を行う手法があります。テレビは番組ごとに視聴者層が異なりますので、雑誌と同じようにある程度ターゲットを絞ることも可能です。
さらに、紙媒体と比較すると、「映像」「音」などの表現方法が多彩なので、商品を販売するだけではなく商品の認知度向上やブランディングにも効果的です。
ダイレクトメール(DM)
ダイレクトメール(DM)で商品の広告を出すことによって、宣伝を行う手法があります。要は、紙媒体のチラシを家に送るのです。現在では、同様のことをインターネットを用いて行うビジネスも増えましたが、紙という形でダイレクトメールを送る手法は現在でも根強く残っています。
あなたがすでに顧客情報を取得している場合、「年齢」「性別」「地域」などの属性ごとに異なったダイレクトメールを送ることが可能です。また、文章の一部分だけを変更し、どのような言い回しで商品を紹介すれば、より顧客に商品を訴求できるのかをテストする場合、ダイレクトメールを用いた広告が効果的です。
新たにビジネスを始めようとすると「何を販売するのか?」「いくらで販売するのか?」「どのように販売するのか?」を考えることになります。
そこで、マーケティングミックス(4P)を意識して事業計画書を作ることによって、あなたのビジネスのマーケティング戦略が明確になります。すると、その戦略が実現可能かどうかを投資家や銀行家たちと議論することができるのです。
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