「サラリーマンを辞めたい」「社長になってみたい」このように宣言して創業を試みる人が多いです。
しかし、ビジネスを始める動機が「楽になりたい」「偉そうにしたい」などのように自分本位だった場合、銀行や投資家たちは資金を提供しないことがほとんどです。彼らは「熱意」「時間」「スキル」などの全てをビジネスに集中することによってしか、創業において成功できないということを知っているからです。
また、いくら自分が熱い思いを抱いて起業しようとしても、それが銀行や投資家たちに伝わらなければ、事業資金を借りることはできません。
そこで今回は事業計画書を書くときの「創業動機の考え方」と「創業動機を具体的な事業理念や事業ビジョンにする方法」を解説します。
もくじ
熱意を伝えるために創業動機(事業の目的)を明確にする
「楽に儲かりそうだったから」「自分にもできそうだったから」などといって事業を始めるのは間違いです。ビジネスを成功させ、その後も事業を継続させたいのであれば、自分に残っている人生の全てをビジネスに費やす覚悟が必要になります。
起業の動機が中途半端なままビジネスを始めてしまうと、困難にぶつかってしまったとき、その壁を乗り越えることができません。そうならないために、「なぜ自分はこのビジネスを始めるのか?」を追求するのです。
このプロセスを経て事業計画書の創業動機(事業の目的)を明確にして、ビジネスの指針にすることによって、困難に備えるのです。
ここからは、「雇われWebライターとして3年間企業で働いた人間が、Webライターのための文章スクールを創業する」という設定で、創業動機を考えるときに気をつけるべき4つのポイントについて解説してきます。
1.なぜこのビジネスを始めるのか?
まず始めに考えることは、「なぜこのビジネスを始めるのか?」という点です。ここを深く考えることによって、事業の目的が明確になります。
例えば、「雇われWebライターとして3年間企業で働いた人間が、Webライターのための文章スクールを創業する」という話では、以下のように考えてはいけません。
3年間のWebライターの経験を経て、世間並みのWebライターを上回る実力が身についた。そこで、自分の文章力をWebライターに教える仕事を始めれば、今より楽に稼げそうだ。 |
これでは、出資する銀行や投資家たちを説得できません。起業の動機が明確になっていないからです。
また、楽して稼ぎたいと思っている社長は「顧客を継続的に確保する難しさ」「事業が赤字になったとき、すぐに投げ出さずに黒字にする執念」などを理解していないと判断されます。
そこで、自分が行うビジネスを前向きにとらえ、以下のように考えます。
3年間のWebライターの経験で、世間並みのWebライターを上回る実力が身についた。この実力を元に、フリーのWebライターとして独立して記事作成の仕事を請け負い、クライアントや読者を喜ばせることもできる。 しかし、一人で書ける文章量には限界があるので、より多くの読者たちを喜ばせるために、多くのWebライターの文章力を高める事業を始めたい。 |
こう考えることによって、事業の目的が明確になるのです。このときの起業理由は「より多くの人々の人生を好転させるために、他のWebライターの文章力を向上させる」となります。
2.このビジネスを始めることで顧客や社会は喜ぶのか?
次に考えることは、「このビジネスを始めることで顧客や社会は喜ぶのか?」という点です。ここを深く考えることによって、事業が自分本位ではなく、顧客目線になっていることを確認できます。
今回の「文章スクールの創業」という話では、以下のようになります。
・顧客は喜ぶのか? Webライターは、文章力を高めることによって、高付加価値な仕事を行うことができるので喜ぶ。 ・社会は喜ぶのか? 社会は、Webライターが書いた素晴らしい記事を読んで、人生を好転させることができるので喜ぶ。 |
このようにして、自分が顧客目線になっているかを確認できます。自分だけではなく、顧客や社会を含めて「あなたがビジネスをすることで全員が得をする」ようなビジネスでなければいけません。
3.このビジネスで成功すると自分は満足できるか?
次に考えることは、「このビジネスで成功すると自分は満足できるか?」という点です。ここを深く考えることによって、事業で困難があったとき、途中であきらめずに最後までやり抜くモチベーションを維持できるかどうかが決まります。
例えば、「雇われWebライターとして3年間企業で働いた人間が、Webライターのための文章スクールを創業する」と決めても、本当に自分がそれを成し遂げたいのかどうかを考える必要があります。
・フリーのWebライターとして活動し、自分の能力を追求していく
・文章能力を生かして集客サイトを作成し、広告ビジネスを行う
・独立せずとも、副業で細々と教育ビジネスを行う
このように、他の選択肢がいくらでもあるからです。一度ビジネスを始めると、ほとんどすべての情熱をビジネスに向ける必要があるので、本当に自分がそのビジネスを行いたいのかを考える必要があります。
要は、これから起業しようとするビジネスを達成することで、「Web上に残る文章を素晴らしいものにしたい」「業界の歴史に名を刻みたい」などの自己実現が可能かどうかを確認していく必要があります。
4.このビジネスを成功させることができるのか?
最後に考えることは、「このビジネスを成功させることができるのか?」という点です。いくら「事業の目的」「社会貢献」「自己実現」がはっきりしても、ビジネスを成功させる実力がなければ失敗に終わるからです。
もちろん、100%成功するビジネスは存在しないので、自分の可能性に賭ける必要はあります。しかし、ビジネスを始める前に、実際に成功できそうかどうかを検討し、無理そうであれば起業を断念するのも一つの手段となります。
例えば、今回の文章スクールの例であれば、Webライターとしての自分の能力を客観的に判断できるはずです。後は、顧客を集めるマーケティング能力やスキルを教えるコーチング力が大事になってきます。
また、文章教室なら原価がほとんどかからないので、仮にビジネスが失敗しても大きな痛手とならないでしょう。必要な経費はセミナールーム代ぐらいです。この場合は、ビジネスを開始するときの判断は容易です。
しかし、「飲食店勤務の経験が全くない人間が、1000万円借金してイタリア料理を始める」といえば、危険だということは誰でもわかるはずです。「立地条件」「料理の質」「人材の確保」など、一度お店を始めてしまうと大きな借金を抱えたまま後戻りができないのが飲食店経営ですので、ビジネスを始めないという判断も大事になります。
具体的な事業理念や事業ビジョンにする
事業計画書の創業動機を深く考えることによって、「事業の目的」「顧客目線」「自分が情熱をもって取り組めるか」などが明確になることがわかりました。それを踏まえたうえで、次に行うべきことは「事業理念」「事業ビジョン」の2つを文書化することです。
この2つは、会社を運営するうえで、投資家や従業員などと価値観を共有するために大切なものです。ここからは、「事業理念」「事業ビジョン」とは何か? それらがなぜ必要か? を解説します。
事業理念
事業理念とは、その事業が達成しなければならない使命や、事業を運営するうえで投資家や従業員と共有する価値観を表明するものです。これが事業の軸となり、事業の展開が始まります。
「人間社会を笑顔でいっぱいにしたい」「一生住める快適な住まいを提供したい」など、どのような形で社会に貢献するかを記載します。
例えば、「雇われWebライターとして3年間企業で働いた人間が、Webライターのための文章スクールを創業する」という人が、事業理念を考えるなら以下のようになります。
・言葉の力で人々の人生を好転させる
・文章を仕事にする人が誇りをもって人生を送れる社会にする
事業理念は、一度決めると頻繁に変更するものではないので、長く愛されるような普遍的な言葉で文書化します。
また、どうしても事業理念を思いつかないときは、「自分はなぜこの事業をやるのか?」を考えてください。そこを追求すると、「人々に幸せになってもらいたい」「人々に自己成長してもらいたい」など、自分本来の欲求がみえてきます。
事業ビジョン
事業ビジョンとは、事業理念を元に考える事業の将来像のことです。理念はあくまで漠然とした方向性なので、その理念をどのような形で実現していくかを考えます。
事業ビジョンを考えるとき、これからお伝えする2点を意識すると、簡単に事業ビジョンを設定することができます。
事業が将来どのようになっていくか一言で表す
まず始めに意識することは、「事業が将来どのようになっていくか一言で表す」ということです。これを考えることによって、将来像が明確になります。
例えば、「言葉の力で人々の人生を好転させる」という事業理念を設定した場合、以下のような事業ビジョンが考えられます。
・高付加価値Webライターを目指す人のための駆け込み寺
・人を幸せにする文章が生み出される、文章教室のリーディングカンパニー
このような言葉で事業ビジョンを設定すれば、会社の向かうべき方向が明確になります。
実現したい具体的な目標を設定する
次に意識することは、「実現したい具体的な目標を設定する」ということです。これを考えることによって、「どのような規模の会社にするのか?」「目標を達成するために何が必要か?」が明確になります。
例えば、「言葉の力で人々の人生を好転させる」という事業理念を、具体的な目標にすると、以下のようになります。
・5年間で、年収1000万円Webライターを500人育成する
・10年後に、売上高5000万円
漠然と「多くのライターが稼げるようになる」と設定するのではなく、「年収1000万円Webライターを500人育成する」のように、より具体的な数値で事業ビジョンを設定するのです。すると、「どのような規模の会社にするのか?」「目標を達成するために何が必要か?」が明確になります。
新たに事業を始めようとすると「なぜその事業を行うのか?」「その事業で社会は豊かになるのか?」「自分は本当にその事業を行いたいのか?」を意識し始めることになります。
その疑問から目を背けず、創業の動機や事業理念・事業ビジョンを考えることによって、あなたの中でビジネスを達成する使命が明確になります。
これを事業計画書に落とし込むことにより、銀行や投資家たちを説得する自信につながるのです。
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