銀行から融資を受けている場合、融資担当者から決算書の提出が求められます。決算書とは、損益計算書と貸借対照表のことを指します。

損益計算書とは、「1年間の売上金額や獲得した利益額」といった会社の業績を示す表です。一方、貸借対照表とは、決算日時点での「現金預金残高や金融機関からの借入金残高」など、会社の財産額が記載されている表です。

しかし、決算書は過去の結果であるため、「今後、その会社が融資した金額を返済してくれるかどうか」を融資担当者が判断するのには不十分です。来期以降の業績しだいで、その会社の返済能力が違ってくるためです。

例えば、パソコンを販売している商社があったとして、現時点では最新版のパソコンでも、将来は旧式になるかもしれません。

旧式のパソコンとなれば、販売単価は減少せざるを得なくなり、売上金額や獲得する利益額も減少してしまいます。そうすると、業績の悪化を招く可能性が高くなります。

業績が悪化すると決算書を分析する会社に対して、融資担当者は「融資した金額をこの会社から返済してもらえないのでは」と不安になり、新たに融資するときに二の足を踏みます。

そのため、決算書以外の資料を銀行は重視しています。そこで、用意すべき決算書以外の資料について解説します。

定期的に銀行へ提出すべき資料

ここでいう「定期的に銀行へ提出すべき資料」とは、決算書以外で会社の状況が変化したときに提出する資料のことを指します。

例えば、飲食店が新たに会議用の仕出し弁当を提供するとき、宣伝用のパンフレット(仕出し弁当の集客をするためのパンフレット)を作成するのが普通です。

このとき、宣伝効果を高めるため、会社案内のパンフレットにも「会議用の仕出し弁当を新たに提供している」ことについて盛り込むのが普通です。

銀行は、この会社が仕出し弁当の販売を始めたことを注視します。売上高が増加して借入金の返済能力が向上するか、あるいは仕出し弁当の販売が売れずに業績悪化を招くことがあり得るためです。

このように、融資担当者は決算書で表示される業績以外の要素で、会社の状況が変化したことについて気にしています。そこで、融資担当者に対しては決算書以外の書類についても提出するようにしましょう。

会社案内のパンフレット

会社案内のパンフレットとは、自社のことについて取引先などに配布する資料のことを指します。パンフレットは自社が取り扱っている商品やサービスなど取引先へアピールする役割を果たします。

そのため、自社のことを紹介するのに会社案内のパンフレットは有効なツールです。決算書などには載っていない情報が盛りこまれているためです。融資先の事業内容に精通していない融資担当者は、会社案内のパンフレットを重視します。

・提出するタイミング

新規に作成したときはもちろん、新商品の開発などによりリニューアルした場合にも会社案内のパンフレットを銀行へ提出しましょう。特にリニューアルした会社案内のパンフレットを銀行へ提出するメリットは、リニューアル前の内容と比較できる点にあります。

例えば、ある製造業の会社が産業器具の製造販売をしていると仮定します。

この製造業の会社が新規に産業器具の修理業を開始した場合、業務内容を会社案内のパンフレットに載せることで、「産業器具修理の案件を受注することにより、この会社の収入源が増える」と融資担当者は判断できます。

したがって、会社案内のパンフレットをリニューアルさせたら、こまめに銀行へ提出する必要があります。

・融資担当者がチェックするポイント

融資担当者が会社案内のパンフレットをチェックするポイントは、経営者からヒヤリングした内容とパンフレットの内容が一致しているかどうかです。

会社案内のパンフレットは取引先に対する広告宣伝であると銀行は考えているためです。そのため、掲載されている内容を融資担当者は鵜呑みにしません。

例えば、会社案内のパンフレットで、「仕事が楽しい」など社員のことが紹介されていると仮定します。しかし、経営者が融資担当者に対して社員からの愚痴をこぼせば、掲載されている内容と矛盾していると銀行から判断されてしまいます。

したがって、「会社案内のパンフレットに掲載されている内容」と「経営者が融資担当者へ話す内容」を一致させるのが銀行に対する信用を得るためのポイントとなります。

会社の登記簿謄本

会社の登記簿謄本とは、法務局へ登録されている自社の情報が掲載されている資料のことを指します。法務局とは、会社の情報などを正式に登録する機関です。

登記簿謄本の特徴は、会社を設立してから現在までの情報が時系列に掲載されている点です。例えば、「平成28年3月26日にAが取締役(役員)に就任して、平成29年4月25日にBが監査役(役員)を退任した」など、設立してからの役員の動きが登記簿謄本から分かります。

・提出するタイミング

自社の情報が更新された場合には、速やかに銀行へ提出しましょう。この更新のことを「変更登記」といいます。

例えば、出版業が「新規事業として文章講座の学校を始めた」ときは、登記簿謄本に事業目的を加える必要があります。法務局へ事業目的に加える手続きを実施すると、登記簿謄本の内容は更新されます。

この更新されたタイミングで速やかに銀行へ会社の登記簿謄本を提出するのがポイントとなります。

・融資担当者がチェックするポイント

融資担当者が会社の登記簿謄本をチェックするポイントは2つに大別できます。

  • 今後も経営が安定するかどうか
  • 融資の対象とする事業内容が登記簿謄本に掲載されているかどうか

それぞれについて、より詳しく確認していきます。

1.経営が安定しているかどうか

会社の登記簿謄本から「今後も経営が安定するかどうか」を見るポイントは、役員の入れ替わり(就任と退任)が頻繁かどうかです。特別な事情がない限り、「会社の役員を変更しないのが普通である」と融資担当者は考えるためです。

そのため、1~2年の間に役員が入れ替わると、「会社に何か問題がある」と融資担当者は疑います。

例えば、社長に問題があるためにD役員が就任後1年で辞任したと仮定します。辞任がきっかけで、その会社の得意先がD役員に奪われるケースはよくあります。そうすると、得意先を失った会社の収入減は避けられません。

つまり、役員の入れ替わり自体が会社の業績を悪化させる要因であると融資担当者は分析します。

したがって、役員を変更したときは、会社の経営にデメリットがないことを銀行に説明する必要があります。

2.融資の対象とする事業内容が登記簿謄本に掲載されているかどうか

新規事業を開始する場合には法務局への手続きが必要となります。手続きをすると登記簿謄本に新規事業の内容が掲載されます。

例えば、前述の出版業をしている会社が新規事業で「文章講座の学校を開始するために融資を申し込む」と仮定します。このとき、登記簿謄本の事業目的の欄に新規事業の内容が記載されていなければ、融資担当者は不信感を持ちます。

「この出版社は文章講座の学校をしておらず、融資したお金が別の目的で使われるのではないのか」と銀行は不安になってしまいます。

したがって、「会社の事業内容=自社の情報」については漏れなく、法務局へ更新する手続きをする必要があります。

銀行別借入金残高推移表

銀行別借入金残高推移表とは、会社の銀行別借入金残高を示す表です。例えば、E銀行の借入金残高1,000万円、F銀行の借入金残高1,500万円、G信用金庫の借入金残高2,500万円、借入金の合計額5,000万円などの明細を月別で管理します。

・提出するタイミング

銀行別借入金残高推移表は、決算書や今期の業績など途中経過を示す試算表と同じタイミングで提出するのがポイントとなります。そのため、いつでも提出できるようにする必要があります。

例えば、銀行融資を申し込むとき、融資先の業績について最新の情報を把握したいために、融資担当者は試算表の提出を求める場合があります。そのときに、試算表とセットで銀行別借入金残高推移表を提出しましょう。

・融資担当者がチェックするポイント

融資担当者が銀行別借入金推移表をチェックするポイントは、「全体の借入金うち自分の銀行が融資している金額の割合」です。この割合の違いと融資先の業績によって、銀行の考え方は次のように違ってきます。

  • 他行より融資している金額の割合が少ない:借入金の割合を増やすために融資したい
  • 他行より融資している金額の割合が多い:メインバンク(維持する)にするために融資したい

このような考え方を利用して、融資の引き出すための銀行交渉のやり方が違ってきます。

例えば、前述のE銀行から融資を引き出すと仮定します。借入金割合は「E銀行からの借入金残高1,000万円÷会社全体の借入金残高5,000万円=20%」と他の銀行よりも少ないです。そのため、E銀行は融資割合を増やしたいと考えます。

そこで、銀行交渉するときは「G信用金庫の借入金割合は50%(G信用金庫からの借入金残高2,500万円÷会社全体の借入金残高5,000万円=50%)だから貸してほしい」というように、他行の借入金割合を用いて借入金割合の少ない点をアピールするのがポイントとなります。

また、G信用金庫から融資を引き出すポイントは、「メインバンクにしたい(メインバンクを維持する)」ことをアピールするのがポイントとなります。G信用金庫とって「メインバンク=上得意先」であり、融資担当者はその会社との関係をさらに良くしたいと考えるためです。

このように借入金割合の大小によって、銀行交渉のやり方が違ってくるのです。

融資を受けるために銀行へ提出すべき資料

会社が実際に融資を申し込むときは、決算書や上記の資料だけでは不十分です。融資担当者は「融資した金額を本当に返済してくれるのかどうか」の裏づけとなる資料がほしいためです。

例えば、上記の銀行別借入金推移表を用いて、前述のE銀行に対して「借入金割合が少ないから融資してほしい」と融資を申し込んでも、返済能力がない会社にお金を貸してくれるはずはありません。

そこで、融資担当者に対して返済能力があることを説得するために、銀行へ提出すべき資料について解説します。

予定資金繰り表と事業計画書

銀行に対して、融資した金額を返済できることを説得する資料が「予定資金繰り表」と「事業計画書」です。

予定資金繰り表とは、「将来、現金預金がいくら入って、どのぐらい支払いに充てられるのか」という会社の現金収支の予定を示す表です。

例えば、予定資金繰り表では「商品の購入代金を1,000万円支払い、その支払日から2ヶ月後に1,200万円の売上代金が入金される」という情報が資金繰り表に盛り込まれます。

一方、事業計画書は1,200万円の売上を実現できるかどうかを裏付ける資料です。そのため、売上代金などの金額以外にも、ビジネスモデルなど販売することが実現できる根拠を記載します。

このように予定資金繰り表と事業計画書は密接に関係しています。

・提出が必要なとき

予定資金繰り表と事業計画書は、商品を大量に購入する場合などの運転資金を調達するときに必要な資料となります。例えば、アパレル業界が8月に冬物の衣類など季節商品を購入して、冬の商戦に備える場合が当てはまります。

・融資担当者がチェックするポイント

融資した金額について、売上代金から計算して返済できるかどうかを融資担当者は確認します。

そのため、予定資金繰り表では返済できることを金額で示します。例えば、「入金される予定額1,200万円の売上代金から仕入代金や諸経費の支払い、1,000万円を差し引いた残り200万円から返済してもらえる」などのように融資担当者は考えます。

事業計画書では、入金される予定額1,200万円の根拠を示します。実際に1,200万円の売上代金が入金される保証はないためです。そこで、ビジネスモデルや商品の品質など入金の実現について客観的な根拠を示す必要があります。そうすれば、融資担当者を説得することができます。

このように予定資金繰り表と事業計画書はセットで提示することで、「融資した金額をきちんと返済できること」を融資担当者に対して説得することができるのです。

まとめ

銀行融資を引き出すポイントは「この会社は融資した金額を本当に返済できる」ことを融資担当者に対して説得することにあります。それには、決算書だけでは不十分です。銀行の知りたい情報が網羅されていないためです。

融資担当者が本当に知りたい情報は「融資先の将来性」と「他行(他の銀行)の動向」との2つに大別できます。

そこで、決算書以外の方法で「会社の将来性をアピールする」「他行(他の銀行)の動向を気にする融資担当者の心理を銀行交渉で活用する」ことの2つが銀行融資を引き出すポイントとなります。


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