海外移住節税をすることによって税金を無税にすることができます。タックスヘイブンの制度を利用すれば、税金を払わなくてもいいのです。

ジョージアには、タックスヘイブンの仕組みが存在します。こうしたジョージア法人にIT Virtual Zone法人があります。IT Virtual Zone法人は法人税が0%のオフショア法人です。また、日本人は観光ビザで1年間の長期滞在が可能です。

そのためヨーロッパにて移住節税したい人にとって、ジョージアは選択肢の一つになります。また、ヨーロッパにも関わらず物価の安い国がジョージアです。

ただ実際にジョージアで海外移住節税をする場合、注意点がいくつもあります。ネット上には古い情報が多く、当てにならないことが多いです。そこで、ジョージア法人を利用する節税は実際のところどうなのかを解説していきます。

ジョージア(旧グルジア)は観光ビザで1年の滞在が可能

東ヨーロッパに位置しているのがジョージア(旧グルジア)です。以下がジョージアの位置になります。

ヨーロッパの国ではありますが、西ヨーロッパからは距離が遠く、どちらかというと中東アジアに近いとわかります。ただ、ひとまずはヨーロッパにある国の一つというわけです。

ジョージアは旧ソ連の国ではありますが、民主主義国家でもあります。そのため、住むという点では大きな問題はありません。

このとき、ジョージア移住で一番の特徴はビザなし(観光ビザのみ)で1年間の滞在が可能という点です。観光ビザで1年が経過しそうになったら、一度国外へ出て、数日後に再びジョージアへ戻れば問題ありません。これを繰り返すことによって、ジョージアへ住むことができます。

現状、日本人だとResidency Passの取得は不要

日本人のパスポートは世界最強であり、あらゆる国へビザなしで観光できます。これがジョージアであれば、1年間もビザなしで滞在できるというわけです。

そのため日本人の場合、ジョージアで取得できるフリーランス向けのResidency Pass(Remotely from Georgia)を取得する必要はありません。

他の国の人であれば、ビザの申請をしないとジョージアに滞在できません。この場合、Residency Pass(Remotely from Georgia)を申請する必要があります。一方で日本人では、前述の通りビザなしで1年の滞在が可能なので、Residency Passを申請する意味がないのです。

海外移住節税でビザを取得する場合、ビザの取得代金が高くなりがちです。ただジョージアを利用する場合、少なくともビザについて悩む必要はありません。

オフショア法人を作り、現地で納税しないと脱税

なお多くの人が勘違いすることとして、「ジョージアへ移住すれば無税」という点があります。ただ、これは大きな間違いです。

ジョージアに住み、日本の顧客から収入を得ていたり、投資で儲けていたりする場合、ジョージア国内にある物理的な施設(賃貸で住んでいる居住場所や事務所など)で収入を得ていることになります。

この場合はジョージア国内で発生した収益であり、ジョージアへ納税しなければいけません(または、日本への納税でも問題ない)。もしジョージア(または日本)へ納税していない場合、それは脱税を意味します。

個人でジョージアへ住む場合、脱税を回避するためには、「ジョージアへ納税する」または「日本へ納税する」のどちらかになります。いずれにしても、お金を稼いだら必ずどこかの国に納税しなければいけないことを理解しましょう。

・オフショア法人を利用し、税金を少なくする

なお日本よりは税率がマシであるものの、ジョージアの税率は高いです。そのため、ジョージアへの移住を考えている人の中で、ジョージアや日本へ正規の税率にて納税を考える人はいません。理由としては、海外移住をしているにも関わらず節税できていないからです。

そこでジョージアに住むにしても、必ずオフショア法人を設立しましょう。税金がほとんどかからない地域をタックスヘイブンといいます。タックスヘイブンでオフショア法人を設立すれば、低税率に抑えることができます。

つまりジョージアに住むことで海外居住者になり、日本での納税義務をなくします。それに加えてオフショア法人を利用し、低税率ではあるもののきちんと納税をするのです。そうすれば、海外移住による節税メリットが大きくなります。

ジョージアに存在するIT Virtual Zone法人

このとき、ジョージアには国内にオフショア法人があります。つまりジョージアの仕組みを利用することによって、法人税0%のジョージア法人を設立できるのです。こうしたジョージア法人にIT Virtual Zone法人があります。

ジョージアには一般法人とIT Virtual Zone法人の2種類があります。それぞれの概要を記すと、以下のようになります。

一般法人IT Virtual Zone法人
法人税15%海外からの収益:0%

ジョージア国内での収益:15%

配当課税5%5%
付加価値税(VAT)18%0%
個人所得税20%20%
雇用可能可能
居住要件なしなし

このように一般法人に比べて圧倒的に優遇されており、法人税率0%であることからオフショア法人であるとわかります。

IT Virtual Zone法人という名前からわかる通り、ITに関わるビジネスである必要があります。そのためジョージア国外で収入を得ている人であれば、ジョージア法人としてIT Virtual Zone法人の設立を考えるというわけです。

ジョージア法人の設立はソフトウェア開発法人のみ可能

ただ実際のところ、現在ではIT Virtual Zone法人の設立はほぼ無理となっています。インターネット上で調べると「ジョージア法人はいまでも有効」のように思ってしまいます。ただ、現在ではIT Virtual Zone法人はオワコン化しています。

以前はITコンサルティング、インターネットマーケティング、eコマース、株・仮想通貨投資、その他のIT関連サービスも問題なくIT Virtual Zone法人を作れていました。

しかし2021年や2022年にIT Virtual Zone法人の設立に関する変更があり、現在ではジョージア国外に向けてソフトウェア開発をしている法人のみ設立が許可されています。SaaSを含むソフトウェア開発関連の会社のみ、Virtual Zoneの資格を得られるというわけです。それ以外の会社については、法人税0%、VAT0%にはなりません。

Virtual Zoneステータスの取得では事務所を借り、ジョージア人を雇用する必要がある

それだけでなく、Virtual Zoneステータスを取得するためには、必ずIT分野の資格をもつ現地スタッフ(ジョージア人)を雇用しなければいけません。つまり、あなたがフリーランスとして一人で仕事をしていたり、ほかの外注スタッフを活用していたりするだけでは不十分です。

Virtual Zoneの資格取得には事務所を借り、現地の人の雇用が必要なため、当然ながら高額な固定費がかかります。また日本人と同じように、ジョージア人は英語が得意ではなく、さらにはGDPの低いマイナーな国に住んでいるエンジニアになります。

そのためインド人やフィリピン人に仕事を依頼するときのようにスムーズにビジネスは進まず、言葉は悪いですが、使い勝手の悪い社員を雇うことを強制されます。

なお、雇用するスタッフは必ずIT関係の人材である必要があり、ほかの分野の従業員(会計士、アシスタントなど)ではVirtual Zoneステータスを得られません。さらに、このときは従業員の給料から所得税を源泉徴収し(20%)、年金基金への強制拠出分として4%を支払う必要があります。

なおジョージア国内に物理的な施設がなく、前述のようにIT関係の現地スタッフを雇っていない場合、Virtual Zoneステータスを得ることはできません。また、ソフトウェア開発が主要でない事業の場合も許可が下りないことを認識しましょう。

法人税は0%だが、配当や個人所得には課税される

なお法人税が0%なので、IT Virtual Zone法人はタックスヘイブンの仕組みの一つになります。ただ、完全無税にできるわけではないことに注意しましょう。

前述の通り、海外源泉の売上(ジョージア国外の売上)については法人税率が0%です。ただ先ほどの表に記した通り、IT Virtual Zone法人であっても配当に対して5%の納税が必要になります。また個人所得税として、20%の税金支払いが必要になります。

個人所得税20%というのは、タックスヘイブンの中ではかなりの高税率に分類されます。

もちろん日本に比べると、配当課税が5%であり、個人所得税20%で済むのは圧倒的に優れています。ただオフショア法人の中でも、IT Virtual Zone法人はものすごく税金が低いわけではなく、オフショア法人の中では税率が高めです。

他のオフショア法人を利用し、ジョージアに住むべき

こうしたデメリットがあるため、現状ではジョージア法人を利用する人はほぼゼロです。それでは、ジョージアへの移住を諦めるしかないのでしょうか。方法によっては、ジョージアに住みながら完全無税にすることができます。

まず、ジョージア法人(IT Virtual Zone法人)を作るのではなく、ほかの国でオフショア法人を設立しましょう。世界には腐るほどタックスヘイブンの国が存在し、「法人税率0%、会計監査なしのオフショア法人」を作れるようになっています。

そこでビザなしでジョージアへ住み、それに加えてジョージア以外のオフショア法人を利用しましょう。つまりジョージアへ長期滞在することによって、日本での納税義務を回避します。ただどこにも税金を納めていない状態では脱税になるため、オフショア法人(ジョージア法人ではない)を設立することで納税するのです。

オフショア法人は年間の更新費用を支払う必要があります。法人税率は0%であるものの、年間の更新費用(35~45万円ほど)が実質的な法人税になります。つまりオフショア法人をもてば、きちんと納税していることになります。

・一般的なオフショア法人は完全無税

また一般的なオフショア法人では、ジョージア法人(IT Virtual Zone法人)とは異なり、配当課税がなければ、個人所得税への課税もありません。つまり、本当の意味での完全無税になります。

もちろん、無駄に事務所を構える必要があったり、社員を雇ったりする必要もありません。そのためジョージアへの移住節税をしたい場合、以下のようにしましょう。

  • ジョージア移住(ビザなし1年滞在を繰り返す) + オフショア法人(ジョージア法人以外)

この方法により、東ヨーロッパの国に滞在しながら海外移住節税を行えるようになります。

国外源泉所得だとジョージアでは課税ゼロ

なおオフショア法人で稼いだお金については、ジョージア国外の国外源泉所得とみなされます。ジョージア居住者の場合、国外源泉所得については無税です。これについては、四大会計事務所も明記しています。

つまりジョージアへ住み、オフショア法人を利用することによって合法的に無税にできます。

注意点として、先に述べた通りオフショア法人なしにジョージアへ移住し、どこにも税金を払わないのは脱税であり、犯罪となるのでやめましょう。またバレた場合は高額課税リスクが高く、逮捕されることもあるので避けなければいけません。

オフショア法人がない場合、ジョージア国内の不動産で仕事・投資をして収入やキャピタルゲインを得ていることになります。この場合は「ジョージア国内の不動産で収入が発生している」とみなされます。

ジョージアへの移住だけでは不十分であり、合法的に無税にするためにはオフショア法人が必須であることを理解しましょう。

タックスヘイブンで節税し、ジョージアで生活する

日本人の場合、観光ビザを利用することでジョージアに滞在し、1年間を過ごすことができます。ジョージア国外へ出ればリセットされ、再び1年滞在が可能なため、ヨーロッパ移住を考えている人では、ジョージアでの海外移住節税を検討する人は多いです。

このとき移住するだけでは脱税になるため、必ずオフショア法人の設立が必要です。ただジョージア法人(IT Virtual Zone法人)は既にオワコン化しています。Virtual Zoneステータスの条件が厳しく、ほとんどの人で取得できません。また現地人の雇用要件もありますし、ほかのオフショア法人に比べると税率が高いです。

そのため実際のところ、ジョージア法人を設立する人はいません。そこでジョージアに移住するものの、その他のオフショア法人を利用しましょう。世界には法人税率0%のオフショア法人がいくつもあるため、この仕組みを利用するのです。

ジョージアでの海外移住節税ではコツがあります。ジョージア法人の設立を多くの人は考えるものの、実際のところいまでは利用できない仕組みになっています。この事実を理解して、正しく税金を無税にしましょう。


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