美容室・ヘアサロンは独立して起業する人が非常に多い業界となっています。コンビニの数に比べて、何倍もの店舗数がある特殊な業界だといえます。

そうしたとき、数店舗を運営するようになって法人化を検討する美容師もいます。個人事業主から法人成りすることにより、社長として会社経営の道を踏み出すようにするのです。

ただ、このとき気になるのは会社設立するタイミングです。ある程度、店舗運営が順調に推移するようになった段階で個人事業主から法人組織に変えるようにします。ただ、このときは最適なタイミングがあるので事前に理解しなければいけません。

それでは、「どのような手順に従って法人化すればいいのか」について確認していきます。

起業する美容師は全員、自営業から入る

美容師で起業・独立する人は圧倒的に多く、個人経営や数店舗運営の美容師が何人もいます。実際、私の中学生や高校時代の同級生について、美容師として開業した人はたくさんいます。

このとき、私も実際の店舗に出向いてお祝いをしました。

美容師が独立起業するとき、最初から法人化するメリットはゼロです。売上の少ないときから会社設立しても無駄に経費が出ていくだけであるため、できるだけリスクを減らすために必ず自営業でスタートしなければいけません。

最初から法人化する時点で、ビジネスとして失敗するため、美容師だとほぼ全員が自営業としてビジネスを始めるのです。

個人事業主から法人成り・会社設立するタイミング

しかし、ビジネスを継続していると順調に売上や利益が伸びていくようになります。そうしたとき、ようやく会社設立を検討する段階に入ります。

それでは、どのタイミングで法人化を考えればいいのでしょうか。これについては、美容師に限らずすべての業界で共通しており、月50万円以上の利益が出ている場合は法人成りしたほうがいいです。つまり、年間利益600万円です。

美容師として活躍すれば、当然ながら売上が伸びてくるようになります。こうした売上からテナント料や人件費、広告費、在庫(シャンプー、カラー剤など)の仕入れ料金を差し引き、残ったお金が月50万円であると法人化するメリットがあります。

粗利ではなく、人件費や広告費などの費用を差し引いた利益で考えることが重要です。もっと分かりやすくいえば、「あなたが確定申告している事業所得が600万円以上かどうか」で判断しましょう。個人事業主の場合、他に副収入がない場合は「その年の事業所得 ≒ 美容室での営業利益」となるからです。

年間1,000万超の売上ではなく、年間利益600万円が目安

なお、中には「売上1,000万円超の場合は法人成りしたほうがいい」と解説している人がいるものの、この通りにすると確実に後悔します。まだ法人化する段階ではないからです。

売上1,000万円超というのは、消費税を課せられるかどうかの境目になります。年間売上が1,000万円を超える場合、個人事業主は消費税を支払わなければいけません。そのため、年間売上が1,000万円を超えるようになったら法人成りするという理論です。

ただ、これにはかなり無理があります。まず、法人化すると固定費がかかります。

自営業とは異なり、法人では顧問税理士を雇わなければいけません。一般的には月額3~5万円であり、決算月だと12~20万円ほどの金額になります。

また法人では赤字でも払わなければいけない税金(年間で約7万円)があり、これを法人住民税の均等割といいます。

自営業よりも固定費がかかる以上、わずか年間1,000万円ほどの売上で法人化を考えるのはかなり愚かな行為です。無駄に固定費がかさみ、個人事業主のときよりも多くの支出が必要になるため、後悔するようになるのです。

・売上4,000~6,000万円以上で法人化するべき

それでは、どれくらいの売上規模が法人化の目安かというと、売上4,000~6,000万円になります。

美容室の場合、テナント料や人件費、材料費などの費用を差し引いた場合、利益率は10~15%ほどになります。そのため年間600万円の利益を出すためには、数店舗運営することで売上4,000~6,000万円が必要になるのです。

もちろん、利益率の良い美容室ならもっと売上が少なくても問題ありません。ただ、これだけの規模にならなければ会社設立する意味がないと考えましょう。年間売上が1,000万円しかないのに法人成りを考えてはいけません。

法人化のメリットは節税・税金対策が可能なこと

それでは、どのような目的で法人化すればいいのかというと、目的は一つしかありません。それは、税金対策です。

会社設立する理由は人によって異なると思いますが、中には以下のような目的の人もいます。

  • 資金調達のとき、金融機関(銀行)の信頼を得たい
  • 社員を雇うときの信頼を得たい

ただ、これについて本当に会社設立が必要かというと、すべて不要です。個人事業主であっても、利益さえ出ていれば金融機関から信用を得て借入金を得ることは問題なく可能です。法人だから信用があるわけではなく、会社であっても赤字だと金融機関からの信用度は低いです。

これは社員採用の場面でも同じであり、「会社組織の美容室なので、無条件で美容師が採用に応募してくる」ことはないです。また、個人事業主であっても社員のための福利厚生は問題なく整備できます。

そうではなく、法人の最大の魅力は節税にあります。例えば、以下のようなポイントがあります。

  • 法人契約により、携帯代や車代を全額経費にする
  • 役員社宅を利用し、自宅家賃の9割以上を経費化する
  • 出張旅費規程を使い、個人に非課税でお金を移す
  • 法人保険を使い、将来の退職金を作る

これらはすべて、会社組織でなければ実現できません。分かりやすい例であれば、個人事業主だと携帯電話を契約しても最大半分までしか経費にできません。ただ、法人契約にすれば99%プライベート利用だとしても、全額経費に計上できます。

一例を述べましたが、自営業では無理だった節税法をたくさん駆使できるようになります。これによって税金対策を行い、無駄な税金を省きながら個人資産を増やせることに法人成りする意義があります。

年間600万円の利益を超えると法人化したほうがいいのは、たとえ税理士報酬の支払いなどの固定費がかかったとしても、節税メリットがあるためです。節税するためには、手元に現金がなければ実施できません。ある程度の利益の確保が必須なのは、利益が出ていないと節税が不可能になるからなのです。

社会保険料の支払いは大きなデメリット

なお、節税メリットは非常に大きいものの、法人化するときにデメリットもあります。法人成りでの一番のデメリットとしては、「社会保険料の支払いが必要になる」ことがあげられます。

従業員の社会保険料は会社が半分を負担しなければいけません。具体的には、給料の約15%を会社が負担することになります。

例えば、月20万円の給料を支払っている社員がいるとします。この場合、年間で以下の社会保険料が発生します。

  • 月20万円 × 12ヵ月 × 15% = 36万円

もし、社員が5人いるなら5倍となり、180万円ほどの社会保険料になります。個人事業主のときに比べて、美容室の経営者が法人成りするときにこうした社会保険料負担のデメリットが非常に大きくなります。

しかし、こうした社会保険料の支払いがあったとしても、法人化すれば節税方法がたくさんあるため、社会保険料のデメリットを考慮してもトータルでは会社設立によるメリットが上回るようになります。利益が出ていないと損の多い法人化ですが、利益が出ているのであれば法人成りするべきだといえます。

特に個人事業主として活躍していて年間利益1,000万円を超えてきており、個人の税金が大きくなりすぎている人はいますぐ法人化したほうがいいです。法人を利用し、正しく運営すれば多くのお金を残せるようになります。

会社設立の手続きは税理士・司法書士に依頼するだけ

なお、このとき美容師が会社設立するときは最初に税理士を探すようにしましょう。法人の決算書を個人が作るのは不可能であるため、自営業のときとは違って顧問税理士に依頼する必要があります。

また同時に、法人登記をするときは司法書士に依頼することになります。株式会社にするのか合同会社にするのかは事前に決めておくべきですが、司法書士に依頼すればあとはすべての段取りを準備してくれます。印鑑を押すだけで法人を作れるのです。

そのため、会社設立の手続き自体は非常に簡単です。専門家に任して、その通りに動けば問題ありません。

なお、美容室の場合は許可が必要であり、保健所関係での名義変更が必要になります。これについても、司法書士が書類や手続きをしてくれるので特に面倒なことは起こりません。

美容師の法人化は利益を出すべき

儲かっている状態でなければ、会社設立する意味がありません。むしろ、売上1,000万円ほどしかないのに法人化してしまうと確実に後悔します。

法人成りすると固定費が発生します。税理士への支払いや税金など、支払う費用があるのです。また、社員については社会保険に加入する必要があるため、個人事業主のときに比べてそれだけ負担が大きくなります。

ただ多くの利益が出ている場合、法人成りすれば節税策がたくさんあるため、こうした税金対策を実行に移すことでのメリットが大きくなります。

自営業か法人かについては、単純に「どっちのほうがお金を残すことができるのか」で考えましょう。この指標の一つに年間600万円の利益があります。個人事業主として活躍している美容室オーナーでは、どれだけの年間利益があるのかで法人化するべきかどうかを検討するといいです。


年間350万円以上を節税

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