不動産投資を個人でするのは一般的ですが、法人でマンション・アパート購入をすることがあります。このとき、ビジネス目的で不動産を購入するため、節税のことを考えなければいけません。どれだけ法人税を抑えられるのかは利回りに大きく影響するようになります。

それでは、個人とは違い会社組織が不動産を購入するときは何を考えて節税対策を実施すればいいのでしょうか。

法人が不動産を買うときは目的によって用途が異なりますし、節税の内容も個人に比べて大きく違ってきます。これらを事前に把握しなければ正しい節税はできません。

そこで「法人経営者が行うべき、不動産の会社購入での節税対策」について解説していきます。

会社の不動産購入は「自社で使う」「賃貸経営で行う」の2つ

まず、会社が不動産を購入するときはどのような場面があるのでしょうか。これには大きく2つに分かれます。それぞれ、以下のようになります。

  • 自社で使う:役員社宅、自社ビルなど
  • 賃貸経営で使う:賃貸用のマンション・アパートの購入

このうち、会社経営者で意外と多いのが「自分で使う」というパターンです。会社のお金で自分のプライベートな家を購入したり、自社ビルを建てたりすることを考えるのです。

ただ、自社で使うために不動産を購入するのはあまりおすすめできません。理由は単純であり、キャッシュフローが圧倒的に悪くなるからです。また、節税になっていないことも理由です。

まず、土地購入の費用は経費にできません。経費にできるにしても建物の購入部分だけになります。また、自分で使う場面だと高確率で新築物件となります。このとき、建物は減価償却期間が非常に長くなっており、新築だと年間で経費計上できる金額が非常に少ないです。

実際の法定耐用年数は以下のようになっています。

  • 鉄筋コンクリート(RC):47年
  • 重量鉄骨:34年
  • 木造:22年

購入初年度に経費化できる金額は少なく、法人税を大幅に減らすことができません。新築物件に伴う減価償却費で節税を考える経営者がゼロなのは、このように減価償却期間が非常に長くなっているからなのです。

節税というのは、無駄遣いとは違います。自分で使うために不動産を購入して法人税を減らすことができても、それ以上のお金を浪費していては意味がないのです。しかも不動産では購入初年度にほとんどを経費にできず、内部留保のお金で支払うことになるので資金繰りがかなり悪くなるというデメリットがあります。

賃貸マンション・アパートへの投資が基本

そのため特別な理由がない限り、節税のために会社が「経営者のために役員社宅を購入する」「自社ビルを作る」ことはしません。世の中に存在するほとんどの企業が賃貸オフィスを活用しており、さらに多くの経営者が賃貸マンション・アパートに住んでいるのは理由があるのです。

同じように、会社が不動産を購入するときは「賃貸マンション・アパートへの投資目的」が基本になります。

ただ注意点として、「不動産を購入すること自体」で法人節税するのは無理です。個人であれば不動産の売買を繰り返すことで節税できますが、法人ではできないようになっているのです。

・個人では5年超の不動産保有で税率20%になる

個人の富裕層の場合、5年ほどで売買を繰り返すことで大幅な節税が可能になります。個人で不動産を売ったとき、売却益は分離課税が適用され、通常の所得税とは分けて税額が計算されます。このとき、5年超を保有している場合だと不動産の売却益の20%に課税されるだけになります。

高額所得者だと課税所得の半分が税金ですが、例えば建物部分が1億円の木造アパートを購入し、すべて減価償却したとします。その場合、1億円の分だけ課税所得を減らすことができます。税金が半分であるため、この場合は「1億円(購入金額) × 50%(所得税+住民税) = 5,000万円」の税金を減らせます。

その後、1億円で不動産を売却したときの売却益20%だけ税金を払えばいいため、「1億円(売却益) × 20%(長期譲渡所得の税率) = 2,000万円」が税金です。5,000万円の税金を少なくして、2,000万円の税金を払うため、差額の3,000万円だけ節税できるようになります。

・法人だと法人税率が約30%

ただ、法人だとこうした節税スキームを利用できません。会社が得た利益はすべて法人税率で計算することになるためです。

個人のような分離課税を法人で用いることはできません。会社で得た利益というのは、本業でのビジネスでも賃貸マンション・アパートでの賃料収入であっても、一律で同じように考えるのです。

これが、法人が不動産を購入するだけでは節税にならない理由です。そうではなく、純粋に賃貸経営で収益を出すことを目的に不動産を購入するのが大原則になります。

個人より優れる法人での賃貸経営

なお、個人で不動産の売買を繰り返す節税法というのは、年収2,000~3,000万円以上の富裕層に限られます。収入が低い場合、税率が低く効果がないからです。

また、この手法は賃貸経営で稼ぐことを目的としません。「個人へ課せられる高額な所得税・住民税(最高税率55%)」と「不動産の売却益に課せられる税金(分離課税による長期譲渡所得の税率20%)」の差による節税を期待しています。

そのため賃貸経営で稼ぐ必要はなく、極端にいうと賃料収入ゼロでも問題ありません。大家として稼げなくても、それ以上の節税効果によって大きくお金を残せるからです。

ただ、法人で不動産を保有する場合は必ず賃料収入で稼ぐことを考えなければいけません。賃貸経営の場合だと、不動産を個人所有ではなく法人所有にすると節税効果が大きくなります。

よくいわれるのは税率の違いです。個人だと累進課税となり、これまで説明した通り所得税と住民税での最高税率は55%です。

一方で法人の場合、法人税率は約30%です。個人が不動産を所有して高額な収益を得ると半分が税金ですが、法人だと大きく稼いでも税率を約30%で抑えることができるのです。より詳しくいうと利益額800万円を境として、法人税率は以下のようになります。

  • 800万円以下:約23%
  • 800万円超:約33%

利益を800万円以下に抑えれば法人税率が約23%なので、富裕層の個人に比べてはるかに少ない税金で済みます。さらにいうと、個人よりも法人のほうが行える節税対策は多くなります。

  • 家族へ給料を分散し、家族全体としての所得税を少なくする
  • 法人保険を利用し、利益の繰り延べをする
  • 出張旅費規程などにより、非課税で法人から個人へお金を移動させる

これらは会社組織だからこそ可能になります。法人のほうが自由に節税できるため、個人で不動産をもっている人の多くは、稼げるようになったら法人化するようになります。

「富裕層で売買を繰り返し、高額な所得税を避ける」という意味での「個人による不動産投資」を除けば、不動産は個人ではなく法人所有にしたほうが圧倒的にお金を残せるようになるのです。

土地購入費用は無理だが、中古不動産で建物を素早く減価償却

ただ、会社での賃貸経営で稼ぐとはいっても、できるだけ大きな減価償却費を損金計上し、法人税を少なくしたいと考える経営者は多いです。そうしたとき、できるだけ中古の物件を選ぶといいです。

前述の通り、建物の法定耐用年数は決まっています。鉄筋コンクリートなら47年が耐用年数ですし、木造なら22年が耐用年数です。ただ、中古不動産では年数に応じて耐用年数が低くなります。例えば木造住宅の場合、新築から23年が経過している場合は4年で減価償却できます。

例えば1億円の木造建物であっても、新築だと一年で経費にできる金額は約455万円です。

  • 1億円 ÷ 22年(耐用年数) = 約455万円

ただ、築年数23年以上だと減価償却期間は4年になるため、この場合は年間2,500万円の減価償却が可能です。

  • 1億円 ÷ 4年(耐用年数) = 2,500万円

収益物件を購入することで利益を出さなければいけないのは共通しています。ただ、同じように不動産を購入するにしても、ある程度の中古物件を購入するほうが法人税を抑えられるようになっています。

・土地購入費用の経費にできない

このとき、既に述べましたが土地購入の費用は経費計上できないことに注意しましょう。これは、土地は経年劣化しないからです。

もちろん、土地であってもその年によって値段(評価額)は変化します。しかし、建物のように経年劣化することはなく、価値としては一定といえます。土地の購入費用を減価償却できない以上、不動産購入で法人税を抑えるときは土地ではなく、建物の購入費用を確認するようにしましょう。

こうした性質のため、法人が不動産を買うとき土地と建物は分けて経理処理するといいです。土地と建物は性質がまったく異なるため、完全に分けてしまうことで経理処理がスムーズになります。

好きに減価償却費を計上できる法人の性質

なお、個人では不可能であるが法人だからこそ可能な減価償却費の活用方法があります。それは、「減価償却費の上限金額までなら、好きな金額だけ減価償却してもいい」という内容です。

個人が不動産を所有する場合、発生した減価償却費は必ず全額を計上しなければいけません。これを強制償却といいます。ただ、法人だと任意償却が可能になります。この場合だと、その年の減価償却費を0円にしてもいいし、中途半端な金額に設定しても問題ありません。

例えば不動産の減価償却費を300万円ほど損金計上できるとします。この場合、一般的には300万円の経費を作ります。

ただ「利益が200万円であり、300万円の減価償却費をすべて計上すると赤字になる」というケースはよくあります。その場合、銀行融資を受けやすくするために「今期は190万円だけ減価償却費を計上し、黒字10万円にする」などが可能です。

もちろん銀行融資は考えず、法人税をできるだけ少なくしたい場合は関係ありません。法人だと赤字を10年以上も繰り越せますし、累積赤字が存在したとしても経営では特に問題はありません。節税対策とは少し違いますが、このように減価償却費の上限までなら好きなように利益調整できるのが法人だといえます。

売却時のゴール(出口戦略)も見据える

いずれにしても、賃貸経営で稼ぐときは個人ではなく法人所有にしたほうが節税面では有利です。そのため、稼げるようになった不動産オーナーのほとんどが法人化するのです。

ただ、会社が不動産を保有したときは同時に売却時のことも考えるようにしましょう。ずっと土地や建物の不動産を保有する会社は稀です。不動産の中身が工場や倉庫なら保有し続けることになりますが、賃貸マンション・アパートだとずっと保有するのではなく、どこかで売るのが基本です。

そうしたとき、不動産では売るときに売却損が出ることもありますが、多くで売却益が出るようになります。これは、それまでの減価償却費の計上分を含めて売却益を計算するからです。

例えば不動産を8,000万円で取得し、6,000万円で売ったとします。この場合、2,000万円の売却損となるように思います。

  • 6,000万円(売却額) - 8,000万円(買値) = -2,000万円

ただ、ここに減価償却費の計上額を加えます。例えば5年ほど運営してそれまでに減価償却費3,000万円を計上している場合、以下のように売却益がでます。

  • 6,000万円(売却額) + 3,000万円(減価償却費の合計) - 8,000万円(買値) = 1,000万円

この場合、売却益は1,000万円になります。そのため、法人税を課せられるようになります。

それまでの減価償却費が多いほど法人税を減額できるのは確かです。ただ、売却時は減価償却の分をプラスして利益を算出するため、減価償却費の合計計上額が大きいほど不動産売却時に利益が出やすくなっているのです。

いつかはマンション・アパートを売ることを考えると、そうした土地や建物の売却までを見据えるようにしましょう。不動産を売るときのゴールまで考え、出口戦略を考えるのです。

会社組織の場合、不動産を売ることまで考えて賃貸不動産を購入すると、無駄な税金を払わなくて済むようになります。

収益不動産で稼ぎながら税金対策をする

個人で不動産を保有するときに比べると、法人所有のほうが節税できるケースが多くなり、税金対策の面では有利です。稼いでいる不動産オーナーがほぼ会社組織にしているのは、法人登記したほうが税金面で有利になり、結果として利回りを改善できるからです。

ただ、不動産を所有すること自体で節税することはできません。減価償却費を計上して法人税を少なくできても、売却時には「それまで計上した減価償却費を加えて売却益を出す」ようになります。また、個人のように税額が不動産売却益の20%で一律になるわけではありません。

そのため会社が不動産を保有する目的としては、「お金を生み出す不動産を所有することで儲けるため」である必要があります。それ以外の不動産投資だと、お金だけ減っていって単なる無駄遣いになってしまいます。

こうしたことを理解したうえで会社として不動産を購入しましょう。不動産を売るときの出口戦略まで見据えれば、多くのお金を残せるようになります。


年間350万円以上を節税

ビジネスの継続を考えるとき、最も重要なのは節税です。節税策を一つ実施するだけで100万円以上の無駄な税金が減るのは普通ですが、何も対策を講じなければ会社経営者や相続額が多い人は無駄に税金を支払い続けることになります。

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