経営者であれば、個人事業主・フリーランスや法人経営者を含めて節税しなければいけません。そうしたとき、プライベートでの経費金額を増やすことで大きな節税が可能になります。
このとき、フィットネスジムに通っている経営者は多いです。こうしたスポーツジムの費用を経費にすることで、税金の金額を抑えるようと考える人は多いです。またビジネスを動かすうえで健康は非常に重要なため、スポーツクラブに通うことは優れているといえます。
しかし、単にスポーツクラブの年会費や利用料を支払ったとしても、何も考えずに経費計上すると税務調査で否認されてしまいます。
そこで正しい方法によって経費化しなければいけません。ここでは、自営業や法人経営者が行うべきスポーツクラブ・ジム代の節税対策について解説していきます。
もくじ
従業員の福利厚生・法人契約でスポーツジム代を経費にする
まず、どのようにすればフィットネスクラブでの費用を経費計上できるのでしょうか。これについては、個人で契約する場合だと否認されます。
ビジネスでの経費とは、あくまでも事業の売上に関わるものでなければいけません。「体が健康でなければ仕事はできない」とはいっても、スポーツジムに通うだけで売上が上昇することはありません。そのため、個人会員として契約している以上、経費化は無理です。
そこで法人経営者であれば、会社とスポーツクラブとの間で法人契約するようにしましょう。個人ではなく、法人契約にしたうえでスポーツジムを利用できるようにすれば問題なく経費にできます。
注意点として、このときの法人契約は「社員の福利厚生目的で利用する」ために締結します。社員の健康増進やモチベーションアップのためにフィットネスクラブと法人契約するのです。
このとき、法人契約したとしても「社長だけしか利用していないなど、個人しか使えない状況になっている」というケースだと経費化できません。福利厚生というのは、すべての従業員を対象にする必要があるからです。
そこで、以下の条件をすべて満たすようにしましょう。
- 全従業員が平等に利用できるようにする
- 個人会員ではなく法人会員にする
- スポーツクラブ利用規程を作成する
- スポーツクラブの利用記録を簡単でもいいので残す
これであれば、福利厚生費として全額を経費にできます。当然、経営者自身がフィットネスクラブを利用し、その代金を福利厚生として経費にしても問題ありません。
なお、このとき従業員が個人会員になっている場合では、経費化は確実に無理です。会社からお金を出しているからこそ、福利厚生が成り立つのです。
スポーツクラブ利用規程のサンプル・雛形
このとき、スポーツクラブの利用規定を作成するとはいっても、どのような形式にしなければいけないのでしょうか。契約書ではないので弁護士などに依頼する必要はないですが、ある程度のフォーマットに従った内容にしなければいけません。
このときのサンプルとしては、以下のようになります。
スポーツクラブ利用規程 (目的) (スポーツクラブの範囲)
(対象者) (費用) (申請) (期間) 付則 |
こうしたスポーツクラブ利用規定の紙を用意し、社内で保存しておくことで正式に福利厚生としてプールや筋トレジムなどの施設利用料を経費にできます。
実際の雛形は「ここからダウンロードできる」ようにしているため、あなたの会社に合わせて内容を変えるようにしましょう。
一人社長や家族経営だと経費化はできない
ただ、法人であればどのような実態であっても「全従業員が平等にスポーツジムへ通えれば経費になるのか」というと、必ずしもそうではありません。
中小企業であると、一人社長だったり家族経営だったりすることはよくあります。同じ会社組織であっても、こうした実態の中小企業だとスポーツクラブ代を経費にすることができなくなります。
福利厚生は社員のためのものであり、基本的には経営者が活用するものではありません。そうしたとき、一人社長が福利厚生としてスポーツクラブと法人契約するとはいっても、実質的な利用者は社長一人だけなので福利厚生費として認められないのです。
これは家族経営の会社も同様です。親族ばかりの会社がスポーツジムと法人契約し、社員である家族が通ったとしても経費としては認められません。あくまでも、家族ではない外部の人間を雇っている会社のみ有効な手法になります。
個人事業主・フリーランスなど自営業は確実に経費化が無理
なお、これが個人事業主・フリーランスなどの自営業者になると、よりフィットネスジム費用を経費にするのが不可能になります。
個人事業主の場合、法人契約することはできません。会社組織ではないからです。ただ、個人事業主であっても社員がいる場合、福利厚生が認められています。そのため、社員のスポーツジム代をあなたが代わりに払っているケースについては経費になります。
しかし自営業では、たとえ社員の福利厚生としてスポーツジム代を負担していたとしても、経営者分の費用は認められません。
社員は良くても経営者はダメなため、自営業でスポーツジムに関する福利厚生を整備するのは正直意味がありません。当然、一人でビジネスを動かすフリーランスは100%に近い確率で経費化できません。
年会費や利用料が否認されると給与所得になる
それでは、実際に税務調査で否認されてしまうとどのようになるのでしょうか。これについては、現物支給(現金ではなく物で給料を支払った)と認定されてしまい、フィットネスジムの費用は給与所得とされてしまいます。
例えばスポーツジム代が年間10万円だった場合、「会社から社長個人に10万円の給料を支払った」ことになるのです。
役員報酬は事前に金額が明確に決められており、これよりも多く社長に支払ったとしても損金計上できません。つまり、給与所得として認定された分だけ法人税が増えます。
さらにいうと、給料だとその分だけ所得税や住民税、社会保険料などの支払い義務が発生します。つまり、個人の納税額が多くなってしまうのです。法人税と個人の税金が両方とも増えるため、給与所得に認定されると税額が大きくなってしまいます。
そのため、どのようなケースだと問題なく経費化できるのかを理解したうえで税金対策をしなければいけません。
ビジネス目的での利用なら役員の代金を経費計上できる
ただ、こうした福利厚生のことなど考えずに社長(または、その他の役員)の分だけ損金計上したいと考えるのは当然です。また、個人事業主・フリーランスであってもスポーツクラブ代を経費にして無駄な税金を少なくしたいです。
そこで、ビジネスのために仕方なくスポーツジムへ通っていることを証明できるようにしましょう。例えば、以下のようになります。
- 筋トレサイトを運営しているため、ジムに通う必要がある
- フィットネスジムが得意先であり、付き合いのために年会費・利用料を払っている
こうした理由がある場合、社長個人だけが利用している場合であっても問題なく経費化できます。当然、一人社長や家族経営の中小企業、個人事業主を含めて損金にできるようになっています。
そのため何とかしてフィットネスクラブの会費を経費にしたい場合、「ビジネスで必要である理由」を事前に考えるようにしましょう。
プールや筋トレジムなど、健康促進費用で税金対策をする
経営者が健康でなければ、ビジネスを継続することはできません。そうしたとき、プールや筋トレジムを含め、フィットネスクラブの年会費(入会金)や利用料を経費にすることで節税したいと考える経営者は多いです。プライベートの利用料金を経費にして税金を少なくするのです。
これについては、一般的な方法として福利厚生があります。一人社長や家族経営の中小企業は無理ですし、個人事業主・フリーランスなどの自営業でも社長個人のジム代は経費にできません。ただ、親族以外の社員を雇っている会社であれば福利厚生費によって問題なく経費にできます。
このときは従業員全員が利用できるようにして、スポーツクラブ利用規定を定めるなど制度整備を実施しておくといいです。
ただ、そうした整備作業は面倒ですし、可能なら経営者個人だけの会費を経費にしたいです。その場合、ビジネスで必要であることを税務調査のときに説明できるように準備しておきましょう。
いずれにしても、無条件でスポーツジム代を経費にすることはできません。戦略なしに経費にすると税務調査で否認され、給与所得に認定されてしまいます。そこで、「どうすれば経費にして節税できるのか」を理解したうえで、フィットネスジム費用を経費計上しましょう。
ビジネスの継続を考えるとき、最も重要なのは節税です。節税策を一つ実施するだけで100万円以上の無駄な税金が減るのは普通ですが、何も対策をしなければ会社経営者や相続額が多い人は無駄に税金を支払い続けることになります。
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