富裕層が海外移住し、タックスヘイブン(税金がほとんどかからない地域:オフショア地域)で会社を作ることで無税にする方法が一般的に知られています。

こうした富裕層の海外移住による租税回避に違法性はありません。つまり脱税ではなく、犯罪ではありません。タックスヘイブンというと、かつてはマネーロンダリングなどの犯罪で利用されていたものの、いまでは脱税を含めてそうした犯罪は基本的にできません。

なお日本に住みながらタックスヘイブンでオフショア法人を設立し、お金をオフショア法人に逃がす場合は脱税になります。ただこの場合は簡単に判明するため、重い追徴課税を課せられることになります。またたとえ海外にずっと住んでいても、「税務上の非居住者の要件」を満たしていない場合は日本で高額課税されます。

タックスヘイブンを利用すること自体は合法であり、違法性はありません。ただ知識がない状態でオフショア法人を利用すると脱税になります。そこでどのような状況のときに脱税となり、合法的にタックスヘイブンを利用するためにはどうすればいいのか解説していきます。

タックスヘイブンでの節税は完全合法で悪くない

前述の通り、タックスヘイブンを利用しての節税は完全合法であり、租税回避することは何も悪くありません。

例えば会社の命令によって海外で働いている駐在員については、当然ながら日本で納税をしていません。これは彼らが海外に住んでおり、海外でお金を稼いでいるからです。同じように富裕層が海外移住することで、海外でお金を稼いでいるのであれば、日本で納税義務がないのは当然です。

それでは、「日本でお金を稼いでいるのか、それとも海外でお金を稼いでいるのか」を判断する基準として何があるのでしょうか。基準として重要なのは不動産です。難しい言葉では恒久的施設(PE)と呼ばれますが、要は日本国内の不動産でお金が生まれているかどうかが判断ポイントになります。

つまり日本に賃貸契約がなく、すべて海外で仕事が完結している場合、たとえお客さんが日本人であったとしても、収益が生まれているのが海外であれば日本への納税義務はありません。

反対に日本に賃貸契約があったり、日本に法人を保有していたりする場合、日本への納税義務があります。日本に賃貸契約があるというのは、日本で収益が発生していると解釈できるからです。ただタックスヘイブンを利用して、海外移住による租税回避をすること自体は違法ではなく、完全合法です。

パナマ文書で逮捕された人はゼロ

事実、過去にタックスヘイブンを利用して投資をしたり、租税回避をしたりして逮捕された人はいません。明らかな脱税だと逮捕されるものの、合法的な租税回避法であれば、当然ながら違法ではないため逮捕されることはないのです。

例えば過去には、タックスヘイブンに関わる事件としてパナマ文書があります。2016年4月、パナマにある法律事務所から「タックスヘイブンを利用した租税回避に関する文書」が流出しました。そこには、あらゆる政治家や富裕層、有名企業の名前が記載されており、多くの人が租税回避をしていたのです。

ただ、パナマ文書が理由で逮捕された人はゼロです。

アイスランドのグンロイグソン元首相やパキスタンのナワズ・シャリフ元首相など、タックスヘイブンで投資していたり、オフショア地域に会社をもっていたりしたことが判明したため、辞任に追い込まれたケースはあります。

ただこれは、政治家としての責任を追及されたため自ら辞任したにすぎません。タックスヘイブンで投資をしたり、会社を保有したりすること自体は合法であるため、逮捕者はいないというわけです。

以前はマネーロンダリングなどの犯罪で利用されていた

それでは、なぜ「タックスヘイブンが犯罪に関与している」と思う人が多いのでしょうか。それは、かつてマネーロンダリング(資金洗浄)などの犯罪に利用されていた事実があるからです。

タックスヘイブンでは国の法律によって、会社の匿名性が高くなっています。そのためお金がタックスヘイブンに流れると、会社や銀行口座の情報開示が難しくなります。そのため犯罪資金や脱税などに関わるお金のマネーロンダリングでオフショア地域が頻繁に利用されていたのです。

ただ現在では、タックスヘイブンがマネーロンダリングで利用されるケースは少ないです。オフショア地域は多くの国と租税条約を結んでいるため、脱税をすることはできません。また先進国からの圧力により、いまでは要求があれば会社や銀行口座の情報を開示しなければいけません。

それどころか、タックスヘイブンに籍を置く銀行や投資会社はマネーロンダリングを嫌っており、昔のように犯罪でタックスヘイブンが利用されることはほぼありません。

日本に住みながらのオフショア法人利用は脱税

ただ完全合法のタックスヘイブンであるものの、人によっては脱税目的で利用することもあります。わかりやすい例としては、「日本に住みながらオフショア法人を設立し、タックスヘイブンにあるペーパーカンパニーにお金を流す」ことが挙げられます。

つまり日本にある本社から、オフショア地域のペーパーカンパニーに送金するのです。

その後、オフショア法人から経営者に対して役員報酬を支払います。オフショア法人は無税の会社であるため、オフショア法人にお金を流せば、社長は無税のお金を手にすることができます。こうして脱税をするのです。

海外に住んでビジネスをする場合、完全合法です。ただ日本に住んでいる人がオフショア法人を使う場合、脱税になるのです。

前述の通り、ほとんどのタックスヘイブンは日本と租税条約を結んでいます。そのため簡単にばれてしまい、脱税で逮捕されるというわけです。

タックスヘイブン対策税制により、海外移住は必須

オフショア法人を利用するとき、脱税ではなく節税をしなければいけません。海外移住をしており、海外が生活拠点の場合、収益が発生している不動産は海外にあります。そのため日本への納税義務はなく、合法的に節税することができます。

一方で海外に住んでおらず、日本に住みながらオフショア法人(ペーパーカンパニー)を利用する場合、前述の通り脱税になります。日本にはタックスヘイブン対策税制が存在し、たとえタックスヘイブンの会社へ送金したとしても、日本にある会社の売上とみなして日本で納税しなければいけません。

こうしたルールになっているため、オフショア法人を利用するにしても、日本居住者がタックスヘイブンにある会社にお金を流すと脱税になるのです。

「違法な脱税になるのか、それとも合法的な節税になるのか」については、節税したい経営者がどこに住んでいるのかが最も重要になります。これを知らずにオフショア法人で租税回避をすると、脱税によって逮捕されます。

税務上の非居住者の要件を満たさない場合も違法性が高い

ちなみに、海外移住すれば租税回避できるわけではありません。オフショア法人を利用して節税をするためには、「税務上の非居住者」の要件を満たす必要があります。つまり、実質的に海外に住んでいると判断できる状態でなければいけません。

事実、過去には年のほとんどを海外で過ごしていたにも関わらず、日本で高額課税された事例がいくつもあります。例えば、以下のようなケースです。

  • ビザを保有していなかった
  • 日本国内に個人名義の賃貸契約があった
  • 家族(配偶者や子供)が日本に住んでいた
  • 日本の証券会社に資産のほとんどがあり、そこからの配当で生活をしていた

他にも事例はあり、「たとえ海外に住んでいたとしても、実際のところ日本で収益が発生しており、そのお金で家族が生活をしている場合は日本で課税される」ようになります。

海外に住めば、無条件で無税になるわけではありません。オフショア法人を利用するとき、正しい手順を踏むことによってようやく合法的に租税回避できるのです。オフショア法人の利用は悪いことではないものの、知識のない状態で利用すると日本で高額課税されます。

オフショア法人は合法的に正しく利用するべき

タックスヘイブンを利用して投資をしたり、富裕層がオフショア法人を利用して租税回避したりするのは悪くありません。違法性はまったくなく、完全合法の手法だからです。

匿名性の高さから、かつてはタックスヘイブンでマネーロンダリングが頻繁に行われており、犯罪資金や脱税のお金が大量に流れていたのは事実です。ただいまは多くのタックスヘイブンで日本と租税条約を結んでいるので脱税はほぼ無理ですし、マネーロンダリングをするのも難しいです。

なおオフショア法人を利用するとき、海外移住している場合は問題ないものの、日本国内に住んでいる状態でオフショア法人を利用するのは脱税行為です。また海外移住をしていても、税務上の非居住者の要件を満たさなければ日本で高額課税されます。

タックスヘイブンを利用するとき、違法性のある脱税と合法的な利用法の境目を理解しましょう。多くの人がタックスヘイブンで投資を行い、オフショア法人を利用して資産を増やしています。正しく利用すれば、高額なお金を残せるのがタックスヘイブンです。


年間350万円以上を節税

ビジネスの継続を考えるとき、最も重要なのは節税です。節税策を一つ実施するだけで100万円以上の無駄な税金が減るのは普通ですが、何も対策をしなければ会社経営者や相続額が多い人は無駄に税金を支払い続けることになります。

ただ、私は優秀な節税の専門家(税理士やファイナンシャルプランナー)に依頼したことで「家賃の個人負担が家賃総額のわずか6%」「出張に行くたびに30万円以上の非課税の現金を手にできる」「社会保険料を年間130万円削除」など、何も対策をしなかったときに比べて一瞬で年間350万円以上も節税できています。

現在では、海外法人(タックスヘイブン)の活用や再保険(キャプティブ)の利用など、あらゆる節税策によって年間にして何千万円もの節税を実現しています。

高額な財産を相続する人や会社経営者は節税に精通した専門家が必須です。そこで、実際に節税に強い税理士やファイナンシャルプランナーを紹介します。節税コンサルを受けるだけで、あなたの会社の財務状況は一変するようになります。

節税コンサルの応募ページへ


YouTubeでの節税情報

Twitterでフォローする