一般的なサラリーマンとは違う世界で活躍する人としては、会社経営者やプロスポーツ選手などさまざまです。そうした範疇の中には芸能人も該当します。

芸能人だと、基本的には貧乏な人が非常に多いです。テレビや雑誌、イベントなどに出演して有名だったとしても、ギャラの低い人が一般的なのです。

一方で、売れている芸人や俳優(女優)、ミュージシャンをはじめとして知名度のある人であれば、それなりに収入が多くなります。芸能人として売れて収入を得られること自体は素晴らしいですが、同時に高額な税金に悩まされるようになります。

そこで節税対策を実施しなければいけません。このときは自分の個人事務所を立ち上げるなどの法人化が基本です。ただ、どのように考えて会社設立すればいいのか最初は見当がつきません。そこで、芸能人が行うべき法人化の基本を解説していきます。

個人事業主のため、事業所得で確定申告が必要な芸能人

一般的なサラリーマンとは違い、芸能人は個人事業主に該当します。たとえ芸能プロダクションに所属していたとしても、毎月決まった給料が支払われるわけではありません。個人の活躍度合いに応じて、完全成果報酬で支払われます。

つまり一般的な給与所得ではなく、事業所得に該当します。芸能プロダクションにとって、芸能人は外注先でもあるのです。

一般企業が仕事を受注し、下請けの会社に仕事を依頼して仲介料を取るビジネスは一般的です。当然、芸能プロダクションが仕事を受注し、それを外注先である芸能人に仕事を依頼し、仲介料をもらうのは普通です。

こうした事業形態の場合、成果報酬なのでどこかの芸能プロダクションに所属しているとはいっても、芸能人は個人事業主・フリーランスと同じような形態になるのです。

タレントや俳優(女優)、声優、ミュージシャン・歌手、芸人、アイドル、モデル、フリーアナウンサーを含め、ほぼすべての人がこうした形態です。当然、確定申告は必要になります。

芸能人が設立する支配芸能法人・個人事務所

このとき、それまで活躍していた個人事業主が法人成りすることで、マネジメント会社や個人事務所を立ち上げることはよくあります。ただ、会社を作るとはいっても「所属しているタレントが設立した、芸能人(社長)が一人だけの法人」となります。

要は、ギャラを受け取るためだけの自分の会社を作ると考えましょう。

こうした芸能人一人だけが所属する会社を専門用語で支配芸能法人といいます。ちなみに、「スポーツ選手が立ち上げた、一人だけプロ選手が所属する会社」についても同様に支配芸能法人と呼ばれます。

一般的な芸能プロダクションの場合、いろんなタレントを管理しているので会社として機能しています。ただ、一人社長の個人事務所の場合だと、節税目的のために会社が作られており、会社の役員は芸能人本人または親族だけとなっています。

また、実際に会社が行う仕事とはいっても芸能人本人のスケジュール管理くらいです。本来は個人が受け取るべきギャラを法人口座に振り込んでもらうという特殊な形態なため、支配芸能法人と呼ばれているのです。

ただ、特殊であったとしても法人である以上、ギャラを会社で受け取るのは何も問題ありません。また、法人を用いて節税することも完全合法です。そのため、多くの芸能人が個人の会社を設立して節税を実現しています。

会社設立によって可能な税金対策とは

所属事務所から独立するのではなく、あくまでも税金対策のために芸能人は会社設立します。これは、売れるようになって個人所得が大きくなるほど、所得税が莫大になるからです。

例えば、個人事業主・フリーランスとして活動してギャラを受け取り、一年で5,000万円の利益だったとします。この場合、所得税や住民税、健康保険料などを含めてザックリと手取りは約2,600万円になります。つまり、半分ほどは税金で取られてしまいます。

日本ではたくさん稼ぐと圧倒的に税額が高くなり、半分も税金となってしまうのです。つまり、半年はタダ働きをしなければいけません。

ただ、タレント活動をしている人はいつ仕事が無くなるか分からず、サラリーマンのように安定しているわけではありません。そのため無駄な税金支払いを抑えることで、個人で自由に使えるお金を増やすことを考える必要があります。

しかし、個人だと節税できることは限られるので、ほとんどの芸能人が法人化を選択します。法人化することによって、非常に多くの節税対策が可能になるのです。

家賃や車代金など、あらゆるものが経費になる

芸能人だと、一般人のように家を購入することは稀です。都内キー局を拠点に活躍することがあれば、地方を拠点に移すこともあります。そのときに応じて活動場所を変える必要があるため、芸能人として活躍することを考えた場合、賃貸マンションに住むのが優れているといえます。

※数億円もの豪邸を建てられる有名芸能人は別です。

そうなると、必ず家賃が発生します。このときの家賃については、個人事業主だと経費にするのが難しくなります。テレビ局や雑誌、撮影スタジオなど外で活動するのがタレントの基本であるため、自宅兼事務所として「家を職場にしている」と主張することが難しくなるからです。

また、もし頑張って家賃を経費にできる言い訳を考えたとして、最大で家賃半分しか経費にできません。個人事業主というのは、世間一般的に「家賃の経費化は半分が基本」となっているからです。

ただ、これが法人だと9割を経費にできます。個人で支払うお金は1割ほどで問題なく、後は法人の経費で支払うことで節税できます。

同じことは携帯電話代や車代などでもいえます。個人払いだと半分経費が基本ですが、法人であれば全額経費になります。個人事業主ではなく、法人にした瞬間に経費化できる金額の範囲が圧倒的に大きくなるのです。

もちろん、飲み代や通勤費用など個人事業主であっても全額経費にできる項目は存在します。ただ、会社設立したほうが経費金額は大きくなると考えましょう。

出張旅費で非課税のお金を合法的に増やせる

また、非課税で法人から個人にお金を移動させることもできます。これについては、出張旅費を活用すれば可能です。

大企業や中小企業を含め、社員が出張したときに交通費やホテル代をわざわざ計算して清算するのは非常に面倒です。そこで、「ホテル代は1泊につき8,000円」などのように出張旅費規程を作成することができます。このとき、同時に日当も付けることも可能です。日当を「1日3,000円」などのように制定して、その中で食事代などを出してもらうのです。

当然、一人社長であったとしても出張旅費は認められています。そこでマネジメント会社・個人事務所として支配芸能法人を立ち上げ、出張旅費規程を定めるようにします。例えば、以下のように定めます。

  • 宿泊費:20,000円
  • 宿泊日当:10,000円

社長なので高めの金額を設定できますが、たとえホテル代が5,000円ほどだったとしても、差額の「20,000円(宿泊費) - 5,000円(実際のホテル代) = 15,000円」は懐に入れて問題ありません。これに加えて、宿泊日当を会社から個人に支給できます。

重要なのは、旅費規程に基づいて個人に支給したお金は非課税になることです。所得税や住民税を課せられることなく、丸ごと個人のお金を増やすことができるため、地方出張などが多い芸能人であるほど大幅な節税を期待できます。

退職金を支給して個人所得を増やす

また、会社から個人に対して役員報酬として給料を支払うのではなく、将来の退職金を作る方法も広く行われています。

芸能人とはいっても、ずっと芸能界で頑張り続けている人もいますが、どちらかというと別の方向性での人生を目指して芸能界を引退する人のほうが多いです。そうしたとき、設立した会社については休眠会社にする(または会社清算する)などをして、同時に退職金を支給する節税法は優れています。

会社から役員報酬(給料)を支払う場合、高額な所得税を課せられるようになります。一方で退職金であれば、税金を大幅に減額できるようになります。

例えば年収2,000万円の場合、税金が700万円ほどになるため、手取りは約1,300万円です。ただ、会社の在籍年数にもよりますが、退職金として2,000万円を支給すれば税額は100万円以下です。芸能界から足を洗うとき、退職金という形で支出するだけで大幅にお金を残せるのです。

自営業ではほぼ無理ですが、法人であれば利益の繰り延べ策がたくさんあります。これらをうまく利用すれば、退職金を構築できるようになるのです。

所得分散での節税は基本

また、節税の基本にはなりますが所得分散を実施することで節税できます。一人の人間に所得を集中させるよりも、親族のうち複数の人間に給料を分けたほうが税金の総額を抑えることができるのです。

年収が2,000万円の場合だと、前述の通り税金は約700万円です。一方で年収1,000万円だと、一人当たりの税金は約280万円です。そのため2,000万円を半分に分けて「年収1,000万円 × 2人」だと税金総額は約560万円になります。

この場合、年間で「700万円(役員報酬2,000万円での税金) - 560万円(年収1,000万円 × 2人での税金総額) = 140万円」も税金が少なくなります。

会社の役員として、活躍している芸能人本人が就任するのはもちろんのこと、親族を入れることもできます。そこで、親族へうまく給料を分散して分けることで、家族全体での所得を増やせるようになります。

なお、会社役員のメリットとしては、実質的に何も仕事をしていなくても問題なく役員報酬を出せることがあげられます。

社員だと、勤務の実態がなければいけません。ただ、会社の経営に対するアドバイスが役員の仕事なので、何も仕事をしていなかったとしても問題ないのです。当然、役員報酬の金額は好きに決めて大丈夫です。

また、一人あたり年間110万円までなら非課税で贈与できるルールがあります。そのため、家族へ110万円ほどの役員報酬を支払った後、あなたの個人口座に振り込んでもらうようにしても問題ありません。そうすれば、ほぼ非課税で現金を手にできるようになります。

年収1,000万円以上なら節税会社を作るべき

このとき、芸能人としてどれくらいの収入があれば自分の節税会社を作ればいいかというと、世間一般的には月50万円(年収600万円)を超えた個人事業主が節税対策で法人化するべきといわれています。

ただ、タレントや女優、モデル、ミュージシャンなどの芸能人だと収入はどうしても不安定になります。それでも、年収1,000万円以上になったのであれば会社にしたほうがいいです。年収2,000万円などを目指す意味はなく、年収1,000万円以上の場合は必ず法人成りしましょう。

なお、中には一発屋と呼ばれる芸人だったり、ヒット曲が一つだけ当たったミュージシャンだったり、特定の時期だけ大きな収入を得るケースもあります。

このような一瞬だけ稼ぐ人については、節税会社を作る意味はないかもしれません。毎年、ある程度の収入(前述の通り、一般的には年間600万円以上)を見込めるときに法人化のメリットが大きくなるためです。

もちろん、このときは芸能人としての売上に限らず飲食店経営や不動産などの副業収入を法人売上に含めても問題ないため、副業収入がそれなりに多い人の場合はできるだけ早めに法人化する必要があります。また、その後の地方営業などで収益を確保できる場合についても、すぐ法人成りしておくといいです。

しかし、毎年コンスタントに年収600万円以上(理想は年収1,000万円以上)とならない場合は法人成りを見送っても問題ありません。ただ、それ以外の芸能人は全員が節税会社を作るべきだといえます。

タレントや俳優、モデル、ミュージシャンと法人成りで節税するべき

一般的なサラリーマンとは異なり、非常に不安定な職業の一つが芸能人です。タレントや俳優(女優)、声優、ミュージシャン・歌手、芸人、アイドル、モデル、フリーアナウンサーなど、あらゆる人が芸能人に該当します。

しかし、一見すると華やかに見える芸能人ではあっても、いつ仕事がなくなるか分からないリスクがあります。実際、あなたの周囲を見渡しても「数年前は売れていたものの、最近はまったく見かけなくなった」という芸能人は多いのではないかと思います。

そうしたとき、事前に節税をしてお金を残していれば、仕事が減ったとしても生きていくことができます。順調なときにお金をたくさん残してかなければ将来は必ず困るようになるからです。

稼いでいる人であるほど節税会社は大きな威力は発揮します。事前にマネジメント会社・個人事務所を作っておくことで、お金を残せるように調整しましょう。


年間350万円以上を節税

ビジネスの継続を考えるとき、最も重要なのは節税です。節税策を一つ実施するだけで100万円以上の無駄な税金が減るのは普通ですが、何も対策をしなければ会社経営者や相続額が多い人は無駄に税金を支払い続けることになります。

ただ、私は優秀な節税の専門家(税理士やファイナンシャルプランナー)に依頼したことで「家賃の個人負担が家賃総額のわずか6%」「出張に行くたびに30万円以上の非課税の現金を手にできる」「社会保険料を年間130万円削除」など、何も対策をしなかったときに比べて一瞬で年間350万円以上も節税できています。

現在では、海外法人(タックスヘイブン)の活用や再保険(キャプティブ)の利用など、あらゆる節税策によって年間にして何千万円もの節税を実現しています。

高額な財産を相続する人や会社経営者は節税に精通した専門家が必須です。そこで、実際に節税に強い税理士やファイナンシャルプランナーを紹介します。節税コンサルを受けるだけで、あなたの会社の財務状況は一変するようになります。

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