個人のお金を残すことは非常に重要ですが、その中でも特に重要になってくる人に投資家がいます。株式投資やFX、仮想通貨などと、投資の対象や立場は異なりますが、投資をすることでお金を得るようにするのです。

そうしたとき、投資家は手持ちの現金が多いほど稼げる金額が大きくなります。そのため、できるだけ取られる税金の金額を少なくして、大きな投資ができるように注力しなければいけません。

そうしたとき、法人化を検討します。なぜ、起業家で多くの人が法人成りしているかというと、そのほうが無駄な税金を少なくできるからです。

それでは、実際に投資家が会社設立をするときは何を考えて実行に移せばいいのでしょうか。また、どのようにして税金を削減すればいいのでしょうか。ここでは、「投資家が考えるべき、法人化での節税手法」について確認していきます。

個人では無理な法人節税を行えるメリット

なぜ稼げるようになると、多くの人は法人成りするようになるのでしょうか。それは、法人によって節税できる幅が非常に大きくなるからです。

サラリーマンや個人事業主だと節税できる方法がほとんどありません。あったとしても、領収書を頑張ってかき集め、経費として計上するくらいです。

それに比べると、法人では節税できる方策が非常に多いです。

  • 出張のたびに10万円以上のお金を無税で個人に移す
  • 法人保険を利用し、利益の繰り延べをする
  • 退職金を利用し、税金を大幅に圧縮して個人資産を増やす

これらは個人事業主ではなく、会社組織にしているからこそ可能になっています。世の中には一人社長についても非常に多いですが、フリーランスに近い状態にも関わらず法人化している理由は、節税策によって納める税金を少なくできるからです。

投資手法に関わらずトレーダーの法人税率は約30%

そうしたとき株式投資やFX、仮想通貨でトレードするときの利益については、どれだけの税金になるのでしょうか。これについては、法人税率は約30%になります。

株式投資やFXで稼いだお金については、個人だと税率が一律で20%です。株式投資やFXからの所得では分離課税が適用され、一般的な累進課税での最高税率55%が課せられることはありません。個人が投資で得たお金についてはかなり優遇されているのです。

仮想通貨だと、個人で稼いだお金は最高税率55%が適用されます。ただ、株やFXだと税率20%だけとなります。

こうした税率を見ると、仮想通貨については法人化のメリットがあるものの、株式投資やFXなどで稼ぐことについて、法人成りするメリットがなく、むしろ税率が高くなるのでデメリットが大きいように感じてしまいます。

これについては、まさにその通りです。株式投資やFXなどで継続的に大きな利益を出している投資家について、正直なところ法人化してすべて会社で運営するメリットはありません。個人事業主・フリーランスとして投資活動をしていれば、個人で20%の税金を納めるだけで済むからです。

もちろん、法人が行えるような高度な節税策は実施できません。しかし、個人での税率が圧倒的に低い以上、投資家にとって一般的な法人化を選択したとき、稼いているほど法人設立するときのデメリットが際立つようになります。

役員報酬だと半分が税金

また、個人で自由に使えるお金(個人資産)を増やすのが節税を行う大原則ですが、法人税率に限らず、個人に課せられる税金で比べるとより不利になります。

法人が稼いだお金を個人(社長)へ渡すためには、役員報酬という形で支給することになります。役員報酬は給料と同じであり、高い税金を課せられることになります。このとき、累進課税によって日本では高額所得者だと半分が税金となります。

以下が実際の税率になります。

課税所得金額税率(所得税・住民税)
195万円以下15%
195万円超、330万円以下20%
330万円超、695万円以下30%
695万円超、990万円以下33%
900万円超、1800万円以下43%
1800万円超、4000万円以下50%
4000万円超55%

法人の形で株式投資などを行う場合、このときの利益を役員報酬として個人(あなた)に支給するとほとんどが税金になるのです。つまり、個人よりも会社組織にしたほうがお金を残しにくくなります。

個人で株やFXで稼ぐ場合は税率20%となるにも関わらず、法人だと個人にお金を移すときに税率が高額になってしまうことに注意が必要です。

法人成りすると維持費が必要になるデメリット

さらにいうと、法人だと維持費がかかるようになります。赤字会社であっても税金を支払わなければいけませんが、これを「法人住民税の均等割」といいます。このとき、最低でも約7万円の税金を支払わなければいけません。

また、顧問税理士に経理事務を依頼する必要も出てきます。決算のときは決算書を作らなければいけませんが、これを個人で行うのは不可能に近いです。必ず税理士に依頼する必要があり、法人だとほぼ100%の確率で税理士へ依頼します。

このときの税理士報酬は月3~5万円が一般的であり、決算月だとより高額な税理士報酬が発生するようになります。

一般的に法人化するときは「年間の粗利が600万円以上になったときに法人成りするといい」といわれています。これは、維持費がかかるからです。ある程度の収益がないと法人化しても意味がなく、節税できたとしても維持費の分だけ損失が出てしまうのです。

資産管理会社として、投資家が法人設立する理由

ここまでの説明だと、投資家が法人を作る意味がゼロのように思えてしまいます。しかし、税金対策について理解している投資家であれば、必ず法人設立しています。それでは、なぜ税率が高く維持費も必要な資産管理会社をわざわざ作るのでしょうか。

確かに、法人成りに伴ってすべての資産運用を法人でやり取りする場合は大幅に損をします。個人が保有する株式などの資産をすべて会社へ移し、資産運用する意味はゼロに等しいです。まったく節税にならないどころか、むしろ損をする可能性が高いです。

そこで投資家だと、「会社を作り、そこで資産の一部だけを運用する」ようにします。

つまり、資産の大多数は個人が保有して運用するものの、会社設立後に少しだけ会社に資産をもたせ、そこでもトレードさせるのです。

トレーダーや資産家の場合、会社とはいっても実際に投資をしている人は社長一人だけなので「設立した会社=社長個人」となります。そのため、個人でトレードした内容とまったく同じことを法人アカウントでも実施すればいいだけなので、そこまで手間ではありません。

こうした大部分の利益は個人として生み出すものの、法人でも少しだけ稼いでくれれば自由に経費を使えるようになります。会社から個人へ非課税でお金を移したり、法人保険を活用したりできるようになるのです。

個人的なプライベートの生活費を会社経費で出してもらうことも可能であり、そうなると生活費がほとんどかからなくなります。会社から役員報酬を出す必要はなく、あくまでも「会社の経費を使い、個人の生活費をほぼゼロにするツール」として用いるといいです。

法人で所得分散し、贈与税を圧縮する

また、法人であれば役員にあなた以外を据えることもできます。このときは配偶者や子供、孫など好きなように親族を役員に配置すれば問題ありません。その後、役員報酬を支給します。

個人トレーダーだと、稼いだお金は個人のみに属します。ただ、法人であれば役員へ好きなように役員報酬を出せます。たとえまったく働いていなかったとしても、「経営へのアドバイスをするのが役員の仕事」である以上、勤務時間ゼロでも役員報酬を出すことができるのです。

そうすれば、合法的に所得分散できます。個人からお金を親族に渡す場合、高額な贈与税を課せられるようになります。しかし、法人で役員報酬を支給すればこれを回避できます。

所得分散は節税の基本ですが、投資家も同じように身近な親族へ給料を支給することで税金を抑えることを考えましょう。

タックスヘイブンへの海外移住でほぼ無税にする

また、こうした株式投資やFX、仮想通貨の投資家が法人化で節税する究極形態が存在します。それは、海外のオフショア地域に移住することです。

海外には税金がほとんどかからない地域が存在し、これをタックスヘイブンといいます。タックスヘイブンはオフショアとも呼ばれており、アジアだとシンガポールや香港が有名です。税金がほとんどかからないため金融の中心地となっており、世界中からお金が集まるようになっています。

そこで、こうした地域に住むようにします。日本に住んでいるから所得税や法人税が高額なのであり、これらタックスヘイブンに住んでいればほとんど税金を納めなくて済みます。これにより、個人資産が圧倒的に増えます。

なぜ、節税について考えなければいけないのかというと、それは日本に住んでいるからです。そこでオフショアへ移住すれば、税金のことをまったく考えなくて済むようになります。

ただシンガポールや香港のビザを取得して移住するには2億円などの現金を用意する必要があり、現実的ではありません。そのため、ほとんどの人はマレーシアが第一選択肢になります。

オフショアであまり有名でないマレーシアですが、マレーシアにはラブアン島というタックスヘイブンがあります。法人税率は3%であり、個人の所得税も12万円ほどです。シンガポールや香港に比べても、圧倒的に低い税率となっているのがマレーシアであり、さらには就労ビザが簡単に下ります。

こうした特徴があるため、オフショア地域へ投資家が移住するときはマレーシアとなります。会社設立による究極の節税対策になりますが、場所に捉われずにパフォーマンスを発揮できる投資家だからこそ可能なやり方だといえます。

法人利益の金額から逆算し、会社設立のタイミングをみる

投資家が法人成りするとなると、「あらゆる利益を損益通算できる」「FXでのレバレッジが高くなる」「赤字を10年以上も繰り越せる」などはありますが、正直なところこれらはそこまで重要ではありません。

実際、きちんと調べずに会社を作ると高確率で失敗します。通常のビジネスとは異なり、個人としての投資家だと投資からの所得は分離課税となって税率が20%で済むからです(仮想通貨を除く)。

そこで前述の通り「大部分は個人資産のままでトレードを続けるものの、資産の一部を会社に移して運用する」ことが適切です。このとき会社の粗利益額が毎年600万円以上にできるのであれば、会社設立する意義があります。個人の生活費を会社から出してもらったり、個人に非課税でお金を移したりするのです。

こうしたことを理解すると、「かなり稼いでいてお金に余裕のある本業の投資家」が法人化の対象になります。少なくとも、サラリーマンが副業で少し利益を出したくらいでは法人成りする意味がありません。

投資家は分離課税によって税金面では圧倒的に優遇されています。そのため法人化するとき、「本当に会社にするのが必要なのかどうか」を考えたうえで法人設立するようにしましょう。


年間350万円以上を節税

ビジネスの継続を考えるとき、最も重要なのは節税です。節税策を一つ実施するだけで100万円以上の無駄な税金が減るのは普通ですが、何も対策をしなければ会社経営者や相続額が多い人は無駄に税金を支払い続けることになります。

ただ、私は優秀な節税の専門家(税理士やファイナンシャルプランナー)に依頼したことで「家賃の個人負担が家賃総額のわずか6%」「出張に行くたびに30万円以上の非課税の現金を手にできる」「社会保険料を年間130万円削除」など、何も対策をしなかったときに比べて一瞬で年間350万円以上も節税できています。

現在では、海外法人(タックスヘイブン)の活用や再保険(キャプティブ)の利用など、あらゆる節税策によって年間にして何千万円もの節税を実現しています。

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