経営者としてビジネスを動かすときは税金を抑え、無駄な支払いを少なくしなければいけません。そうしたとき、自らビジネスを動かす人の多い業界として建築業があります。

中小企業が圧倒的に多く、一人親方として活躍する人もたくさんいるのが建築業です。個人として活躍する人が非常に多い業界であるので、どのようにして節税を実現すればいいのか悩む人も多いです。

方法によっては正しく税金対策を講じることができます。ただ、節税は知識があるかどうかが重要なため、建築業でどのような節税策が可能なのか知らなければいけません。

そこで、建築業に携わる人が何を考えて税金対策を検討すればいいのか確認していきます。

一人親方など、個人事業主は節税できない

自らビジネスを開始するとき、個人事業主と法人の大きく2つに分かれます。このとき、残念ながら個人事業主の状態である以上はほぼ節税できません。節税が可能だったとしても、いろんな領収書をかき集めて経費にするくらいしか方法はないです。

一人親方を含め個人事業主は多いですが、こうした個人事業主の時点で節税は諦めるようにしましょう。「家賃の半分を経費にする」「携帯電話代の半分を経費にする」などは可能でも、より高度な節税は実現できません。

税金対策は法人だからこそ可能になります。そのため一人社長でもいいので、ある程度の利益を出せるような会社組織にならなければいけません。

このとき、個人事業主として600万円以上の利益を出しているのであれば法人化する意味が出てきます。しかし、それ以下の利益では意味がありません。税金対策は稼いでいるからこそ可能なのであり、利益の出ていない段階で考えるものではないのです。

そのため稼いでいないのであれば、税金対策ではなく「どのようにすれば、いまよりも効率的に仕事をして、高単価の案件を受注できるのか」を考えなければいけません。

建築業ならではの節税対策を知る

ただ、一人社長や数人を雇う中小企業でもいいので法人化してしまえば、あらゆる節税対策が可能になります。旅費の日当を支給することにより、非課税(税金ゼロ)で法人から個人にお金を移したり、法人保険を利用することで利益の繰り延べをしたりできるようになるのです。

また、これら一般的な節税対策に限らず、建築業が特に注意するべき節税対策が存在します。これには、以下のような方法があります。

  • 外注費を活用し、消費税や社会保険料を削減する
  • 契約書を電子媒体にして収入印紙(印紙税)を抑える
  • 買い物をホームセンターでまとめる
  • 旅行のたびに不動産を撮影し、非課税のお金を手にする

もちろん、「身近な親族に給料を出し、所得分散する」「法人保険を利用する」など一般的な節税は可能であるものの、このような他の業界でも通じる節税策ではなく、建築業ならではの税金対策についてより深く確認していきます。

外注費を使い、消費税や社会保険料を削減する

実際にビジネスを動かせば分かりますが、消費税の金額は非常に高額になります。しかも、消費税は減らすのが難しい税目です。法人税は経費を増やせば節税できるものの、たとえ赤字であっても消費税の高額な支払いが必要になるケースは多いです。

これは、給料に消費税が含まれていないからです。社長の役員報酬や社員の給料に消費税分が含まれていない以上、給料を支給しても消費税負担は減少しないのです。

そこで社員を雇って給料を支払うのではなく、他の一人親方へ仕事を外注してしまいます。外注費には消費税が含まれているため、お金を支払った分だけ消費税を減らすことができます。

例えば売上が300万円あった場合、社員の給料として100万円を支払ったとしても消費税を減らせず、300万円に対して消費税を課せられます。一方で外注費として100万円を出せば、「300万円(売上) - 100万円(外注費) = 200万円」に消費税を課せられます。

そこで社員を雇って拡大させるのではなく、下請けとして外注費をうまく利用しましょう。これを活用するだけで、消費税を大幅に減らすことができます。

さらにいうと、社員だと社会保険料の負担をしなければいけません。社会保険料の半分を会社がもつことになりますが、外注費だとこうした費用負担がありません。そのため、できるだけ社員を減らして他の一人親方を積極的に活用するほど無駄な税金を減らせることはよくあります。

・社員なのに外注費にしていると否認される

このとき注意点として、「実際には社員と同じように働いているにも関わらず、外注費として経費化している」という状況だと税務調査で否認されます。あくまでも、実態としても外注である必要があるのです。

社員だと、毎月決まった額の給料が支払われるようになります。また、勤務する曜日や時間も決められています。この場合、外注費として計上していても、給与課税されて社会保険料の支払い義務が発生します。また、消費税負担も減りません。。

一方で外注だと、勤務場所の指定はあったとしても出勤時間は自由です。また決められた給料が支払われることはなく、「建物が完成した」「リフォーム工事が終わった」など特定の成果物に対して報酬が支払われます。

建築会社が職人に工事を依頼するにしても、報酬支払いがどのような体系になっているのかによって給与になるのか外注費になるのかが違ってきます。

何でもいいから外注費にできるわけではありません。実態としても、社員ではなく「職人へ外注している」と明確に説明できる状態でなければ節税できないことは理解しましょう。

契約書を電子媒体にして収入印紙(印紙税)を抑える

工事・建設業界だと大きな工事を請け負うようになり、契約書を結ぶことが非常に多いです。そうしたときに必要なのが収入印紙です。工事金額に応じて、以下のような収入印紙を契約書に貼り付けるのです。

印紙税とも呼ばれていますが、郵便局などでこうした収入印紙を購入するようにします。100万円以上の工事だと、契約書でこうした印紙税の支払い義務が発生します。

ただ、当然ながら印紙税は何もお金を生み出さない無駄なものになります。印紙税は意外と高く、例えば400万円の工事であれば印紙税は2,000円です(本則税率)。もし、50件の工事をする場合、それだけで「2,000円 × 50件 = 10万円」が税金で消えます。

しかし、紙の書類ではなく電子媒体でのやり取りであれば、印紙税の支払い義務はありません。これについては、国税庁の公式サイトにも明記されています。

電子データのやり取りに変えるだけで印紙税の支払いがなくなります。そこで、契約書を紙ではなく電子データのみにしてみましょう。これだけでも、収入印紙代を浮かせることで税金が少なくなります。

買い物をホームセンターでまとめる

このとき、同時に個人のプライベート費用をできるだけ経費にして、会社のお金で生活費を出してもらうようにしましょう。

大工や塗装職人など、職人だと工事に必要な工具を購入して全額経費になるのは誰でも想像できると思います。こうした工具をどこで買うのかは個人の自由ですが、当然ながらホームセンターで購入する機会は多いです。そのため、「仕事で必要だった」という理由でホームセンターでの支払いは全額経費にできます。

ただ、実際のところホームセンターでは非常に多くの製品を取り扱っており、生活用具や日用品、家具についても販売しています。そこで、ホームセンターでの生活用品の購入費用を「間違えて」すべて経費にするのは問題ありません。

また、必ずしもホームセンターである必要はありません。ディスカウントショップでも大丈夫です。以下のように、何でも揃っているディスカウントショップでの買い物を経費にするのです。

ディスカウントショップでも工事に必要な用具を広く取り揃えています。そこで、こうした店で購入した商品はすべて経費になります。

もちろん、明らかに不自然だと税務調査で否認されます。例えば食品を毎日、少額だけ購入したとします。そうしたとき、「同じ店で2,000円ほどの少額経費が毎日上がっている」となると微妙です。

そうではなく、「月に2~3回ほど、数千円から数万円の購入費用が経費計上されている」ようにしましょう。これであれば、ホームセンターやディスカウントショップでの費用を経費にして、問題なく節税できます。

旅行のたびに不動産を撮影し、非課税のお金を手にする

また、法人だと出張旅費規程を使うことができます。出張のとき、旅費規程を定めておけば「ホテル一泊につき1万5,000円を一律で支給する」などのように定めることができます。もちろん、実際の宿泊費が5,000円であっても差額のお金はあなたの懐に入れて問題ありません。

重要なのは、出張旅費規程に基づいて支給されるお金は非課税という点です。つまり、個人では、支給された旅費に対して所得税や住民税を支払う必要がありません。税金ゼロで会社から個人にお金を移動させることができるのです。

このとき、必ずしも仕事での出張である必要はなく、個人旅行でも問題ありません。ただ、本当の意味でのプライベート旅行では税務調査で否認されるため、「仕事の一環として出向いた」という証拠を残す必要があります。

そこで、旅行先で不動産の写真を撮るようにしましょう。建築業として建設会社を経営していたり、一人の法人として大きく稼いだりしているのであれば、仕事のために出張し、自分が住んでいる地域以外の建物がどのようにな現状なっているのか調査するのは普通です。

そこで、旅行のついでに建物の写真を数枚ほど撮影し、パソコンなどに保管しておくようにしましょう。そうして「調査のために出張した」という証拠さえ残せば、中身はプライベート旅行でも仕事のために出向いたと主張できます。

旅行費用を経費にするだけでは満足してはいけません。旅行費用を経費化するのは当然として、出張旅費規程に基づいた旅費支給など、会社から個人に非課税の現金を移すことまで考えてこそ節税といえます。

脱税や不正会計を疑われないようにする

なお、いろんな業種の中でも建築会社は脱税や不正会計が起こりやすくなっています。真面目にビジネスをしている人はいるものの、どうしても売上の除外や架空外注費を計上したりする会社が後を絶たないのが現状です。

しかし、こうした明らかな脱税ではなかったとしても「会計処理があいまいになっているのではないか」と税務調査のときに思われると、入念に調査されるようになりやすいです。

例えば工事の売上について、いつ計上するのか把握することは重要です。工事については、売上を計上するタイミングは以下の2つがあります。

  • 完成工事基準
  • 工事進行基準

完成工事基準では、工事が完成して引き渡しを完了した日にようやく売上を計上することになります。一方の工事進行基準では、工事の進行度合いに応じて売上を計上していきます。

このうち、「どの工事が終わっていて、どの売上計上がまだ残っているのか」などを税務調査のときに正確に報告できるようになっているでしょうか。もし、できない場合は「前期に売上を計上するべきものを、この会社は来期に回して利益の繰り延べをしているかもしれない」と勘繰られるようになります。

もちろんこれは一例ですが、売上の計上などを正しく処理していないと無駄にペナルティの税金を課せられます。そのため、正しく経理処理をすることで無駄な税金支払いを生み出さないことも節税対策となります。

工事業界の粉飾決算に税務職員は興味がない

参考までに、粉飾決算についても理解しておきましょう。脱税と同様に、工事業界で多いものが粉飾決算です。税金を少なくする脱税とは真逆であり、売上(利益)を多くする不正会計が粉飾決算です。

大きな工事を受注する場合、経営状態が良くなければ入札条件を満たすことができません。そのため、通常よりも稼いでいるように見せるのです。

もちろん不正会計は違法なので、やってはいけません。特に粉飾決算が銀行にバレると、お金を貸してくれなくなる可能性が高くなります。また、無条件で入札に参加できなくなる恐れもあります。

ただ税務調査だけで考えると、粉飾決算が判明すると税務職員が急にやる気を失います。税務職員にとって興味があるのは「どれだけ税金を取れるか」です。粉飾決算の場合、正しい会計報告をされることで払いすぎた税金を業者側に返さなければいけません。

税金を取るどころか、税務調査によってむしろ税金を返す可能性が高くなるため、何のための税務調査か分かりません。実際のところ、税務職員が興味があるのは、以下の項目を指摘することで税金を取ることだけなのです。

  • 売上を低く見積もっていないか
  • 経費を多く計上していないか

税金を取れないとなると、税務職員はさっさと退散します。しかもこれが粉飾決算だと、お金を返すことになるのでより落胆してしまうのです。もちろん粉飾決算はダメですが、税務調査だけに限定すると実はあまり怖くありません。

建築業として積極的に節税対策をする

節税をすることで多くのお金を残せるようになります。ただ、税金対策は稼いでいなければ意味がないため、個人事業主の状態で「個人の年間収入(経費を差し引いた粗利)が600万円以上ない場合」は法人化しても損をします。

一人親方を含め、そこまで収益を出せていない場合は節税など考えず、ビジネスでの利益を増やすことだけを考えましょう。

ただ、ある程度の利益が出ている場合は法人化し、節税するのは必須だといえます。このとき建築会社であれば、一般的な法人が行える税金対策はすべて可能です。それに加えて、外注費の活用やホームセンターでの支出の経費化、出張旅費規程の活用などまで考えるといいです。

節税するだけで年間の手取り額が一瞬で100万円以上も増えるのは普通です。そこで税金対策を行い、お金を残すようにしましょう。


年間350万円以上を節税

ビジネスの継続を考えるとき、最も重要なのは節税です。節税策を一つ実施するだけで100万円以上の無駄な税金が減るのは普通ですが、何も対策をしなければ会社経営者や相続額が多い人は無駄に税金を支払い続けることになります。

ただ、私は優秀な節税の専門家(税理士やファイナンシャルプランナー)に依頼したことで「家賃の個人負担が家賃総額のわずか6%」「出張に行くたびに30万円以上の非課税の現金を手にできる」「社会保険料を年間130万円削除」など、何も対策をしなかったときに比べて一瞬で年間350万円以上も節税できています。

現在では、海外法人(タックスヘイブン)の活用や再保険(キャプティブ)の利用など、あらゆる節税策によって年間にして何千万円もの節税を実現しています。

高額な財産を相続する人や会社経営者は節税に精通した専門家が必須です。そこで、実際に節税に強い税理士やファイナンシャルプランナーを紹介します。節税コンサルを受けるだけで、あなたの会社の財務状況は一変するようになります。

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