個人事業主であれサラリーマンであれ、ある程度の収入があると節税を考えるようになります。このとき、友人との飲み代を経費にしたり、家賃の半分を損金(経費)にしたりします。

ただ、個人事業主(サラリーマンを含む)の状態であると、残念ながらこれくらいしか経費にできるものがありません。つまり、節税の幅が非常に少ないのです。

一方で法人登記して社長になり、自分の会社を持てばあらゆるものを経費化できるようになります。要は、経費にできるものの幅が広がって圧倒的に節税の幅が広がります。個人事業主で稼ぎがあり、法人にしていない場合はそれだけで大幅な損をしていることになります。

それでは、会社にするとどのような節税法が存在するようになるのでしょうか。ここでは、法人成りすることで可能な節税策について確認していきます。

法人化したとき、会社で可能な節税法

法人成りすることで節税法がかなり増えるようになるのですが、これまで会社設立をしたことがない人であれば、なぜ会社の方が良いのか理解できないことが多いです。

なぜ、会社が優れているのかというと、財布を二つもつことができるからです。このときの財布とは、以下になります。

  • 個人のお金(財布)
  • 会社のお金(財布)

個人のお金については、全員が保有しています。ただ、自分の法人を作ると新たに「あなたの会社」とういう財布ができるようになります。

あなたが社長である以上、会社のお金はあなたの自由に使うことができます。あなたのビジネスに関することならすべて経費にして、あなたの会社のお金を利用できるようになるのです。さらにこのとき、会社のお金だとさまざまな節税策を実施できるようになります。

具体的には、以下のような節税策が存在します。

役員報酬の活用

日本では累進課税制度を採用しており、所得(個人が受け取る給料などの収入から必要経費を除いた額)が多いほど税率が大きくなります。

一般的に富裕層であると、所得の半分が税金でもっていかれるようになります。所得税と住民税を考えると、半分以上が税金になってしまうのです。

一方、法人税は一律30%ほどになっています。つまり、どれだけ会社に利益を残したとしても、税率は30%ほどと一定なのです。そのため、多くの経営者は無駄に役員報酬の額を高くすることはせず、会社と個人で残すお金を分散させます。

例えば、個人事業主で3,000万円の利益が出た場合、税金は約1,110万円になるため、残るお金は1,890万円です。実効税率(所得税+住民税)は37%です。

一方で、法人で3,000万円の利益のうち、1,000万円を役員報酬にしたとします。このとき、個人の税金は約194万円です。法人税については、法人税30%だと役員報酬を差し引いた2,000万円に税金がかかるため、法人税は600万円です。

税金は合計794万円になります。「個人事業主として3,000万円を稼ぐ場合」「法人が3,000万円を稼ぎ、役員報酬を1,000万円にする場合」で比べると、年間で316万円ほどの違いになるのです。厳密にはもっと細かい計算にはなるものの、これだけ手元に残せるお金に違いが出るようになります。

所得を分散することによる節税

また、会社組織だと所得を分散させることができます。集中的にあなたへの役員報酬額を高くするのではなく、家族に所得を分けるのです。これにより、税金の額は少なくなります。

例として、あなたが役員報酬を2,000万円受け取る場面を考えます。この場合、税金(所得税+住民税)は約610万円です。

そこで家族を役員にして、会社から支給する役員報酬を分けるようにしましょう。具体的には、「あなた(社長):1,000万円」「父親:500万円「妻:500万円」のように、3人へ役員報酬を分散させるようにします。

その場合の税額は大まかに以下のようになります。

  • 役員報酬1,000万円:税金は約194万円
  • 役員報酬500万円:税金は約61万円

「194万円(あなたの税金)」と「61万円(他の人の税金) ×2人 = 122万円」が税金となり、税額は合計316万円です。つまり、一人の人間に役員報酬2,000万円を支払うより、分散させることで294万円も税額が少なくなりました。

他人にお金を渡すわけではなく、家族なら同じ財布のようなものです。所得の分散は節税の基本であり、会社経営者であれば全員が行っている手法になります。まったく会社経営に携わっていなかったとしても、家族を役員にすればこうした所得分散による節税が可能になります。

生命保険を利用し、退職金を用いた節税

退職金の節税法も一般的です。生命保険を利用することにより、退職金を用意するのです。

役員報酬としてお金を受け取る場合、役員報酬の金額が高いほど税額も大きくなります。一方で退職金の場合、税金の優遇制度が非常に多く取られています。普通に3,000万円を受け取ると税金は約1,110万円ですが、退職金であれば税金は約100万円です。つまり、退職金になるだけで恐ろしく税額が少なくなるのです。

個人事業主であれば、退職金を作ることができません。ただ、法人成りしてしまえば可能です。このときの退職金は生命保険を利用します。

生命保険の多くは半分を損金にできます。例えば、毎月10万円の生命保険であれば、毎月5万円を経費にできます。

このとき、生命保険とはいっても貯蓄のような形になり、解約するときに9割ほどのお金が戻ってくるようになります。そこで、生命保険の解約時に支給されるお金をあなたの退職金に充てます。

「生命保険に入っても半分しか損金にできない」「解約時に全額が戻るわけではなく、9割ほどしか返ってこない」と考えると、大きな損をしているように思えます。ただ、返ってくるときのお金を退職金にすれば、ほぼ税金なしに個人資産へ移すことができるため、生命保険を利用する方が圧倒的にお得なのです。

出張旅費規程の利用

個人事業主だと無理ですが、サラリーマンであっても自分の会社をもつことで、自らの会社から出張旅費を受け取ることができます。

経費の簡素化を実現するものとして出張旅費の制度があります。出張旅費規程を作れば、例えば「実際は4,000円のホテルに宿泊しているが、自分の会社から後で10,000円を支給してもらう」などのことが可能になります。このとき、差額の6,000円については無税です。

つまり、規程を作成し出張旅費制度をうまく活用すれば非課税のお金をあなたの会社から個人口座へ合法的に移せるようになります。

例えば、年収2,000万円の人の場合、追加で役員報酬100万円を取ると半分の約50万円が税金です。ただ、出張旅費規程を定めておけば、規定に基づいて100万円を会社から支給する場合、100万円は丸々あなたが自由に利用できる個人のお金になります。

出張とはいっても、少し外出するだけでも出張として取り扱うことができます。外出する機会が多い場合、法人で出張旅費規程を活用するだけで年間にして何百万円も節税できます。

家賃の9割以上を経費化する

会社であれば、家賃の9割以上を経費算入することも可能です。個人事業主の場合であると、自宅兼事務所については、家賃の半分が経費算入の限界です。ただ、法人というだけで家賃のほとんどが経費になります。

もちろん、無条件で家賃の多くを経費にできるわけではありません。顧問税理士に協力してもらい、賃貸不動産の計算をしてもらう必要があります。このとき、役員社宅として借りる賃貸マンションの「建物・土地の固定資産税」を調べ、顧問税理士に伝えるだけで問題ありません。

以下のような書類を用意する手間は必要ですが、これによって家賃の9割以上を経費化できます。参考までに、私の場合は家賃の個人負担は全体の約6%であり、残り94%を会社の経費にしています。

注意点としては、税理士の多くがこの手法を自ら教えないことがあります。そのため、自ら節税について理解したうえで節税に強い税理士を顧問税理士として迎え入れる必要があります。

相続でのメリット

相続をする場面であっても、会社組織は大きなメリットがあります。会社にすることで、大幅に相続税が低くなるからです。

個人の場合、所有財産に対してそのまま相続税がかかるようになります。例えば1億円の不動産を所有している場合、これに対して相続税が計算されてしまいます。

一方で会社であれば、株式の評価額が相続の対象になります。どれだけ会社が儲かっていたとしても、会社が保有する不動産の評価額が10億円だったとしても、会社の株式が100万円という評価額であれば、100万円で株式を譲渡できるようになっています。

もちろん実際にはより複雑になるものの、ザックリとこのように相続上のメリットが大きいことを理解できれば問題ありません。

法人成りするときの境目

このように述べてきましたが、他にも会社設立したからこそ可能な節税法はたくさん存在します。社会保険料を一瞬にして100万円以上削減したり、海外口座を用いて1,000万円以上の税金を合法的に少なくしたりすることも可能です。

以前は大企業ばかりが行っていた手法であっても、現在では中小企業も問題なく活用できる方法は多いです。脱税ではなく、完全合法な節税策を実施することで大幅な減税が可能になります。

ある程度の利益が出ている人が会社を作らない理由はありません。法人化しないだけで、年間にして何百万円も損をしているからです。税金を支払うのが大好きなのであればそれでいいですが、税額を少しでも減らしたいと考えるのであれば、必ず法人成りが必要です。

会社では顧問税理士を付けるなどの出費があるものの、節税による費用対効果などを考えると、月50万円(年間600万円)以上の利益が出ている場合は法人化を考えるのが適切です。

法人化に伴う支出やデメリット

法人成りによって節税額は大きくなりますが、デメリットもあります。これについても理解しなければいけません。

会社設立するとき、おそらく最もデメリットに感じるものとして顧問税理士に依頼することがあげられます。個人事業主なら税理士に依頼することなく、自ら確定申告すれば問題ありません。一方、法人化している人で自ら税務作業をしている人はほぼいません。必ず顧問税理士に依頼します。

法人では決算があったり、税務申告が厳密に決められていたりするため、これを個人で行うのは現実的ではありません。そこで、顧問税理士が必要になります。

税理士報酬は月3~5万円が一般的です。年間50万円以上のお金が出ていくようになります。

ただ、月50万円以上の利益がある状態なら、顧問税理士への報酬が必要であったとしても、節税額の方が圧倒的に大きくなります。そのため、法人成りをすると顧問税理士を雇うというデメリットはあっても、稼げるようになれば多くの人が法人登記をするようになるのです。

法人の形態は株式会社でも合同会社でもいい

実際に会社設立する場合、悩むことの一つとして「株式会社と合同会社の選択」があります。これについては、どちらが適切なのでしょうか。

株式会社と合同会社については、実際のところどちらでも問題ありません。要は、あなたの趣味によります。

株式会社でも合同会社でも、まったく同じ節税策を実施することができます。また、会社の設立費用については合同会社の方が安いです。

ただ、世間一般的には株式会社が主です。株式会社だと「代表取締役」になりますが、合同会社では「代表社員」という肩書になり、なんだかしっくりこなくなります。そのため、名前を気にする人は株式会社にすればいいし、そうした肩書にこだわりがない場合は合同会社にするといいです。

特に一人社長であり、今後も社員を雇う可能性がゼロの場合は合同会社にする人が多いです。

そうはいっても、世の中では株式会社が大多数です。いまは社員ゼロの一人社長であっても、将来は家族以外の従業員や増やすことになるかもしれません。そのため、特別な理由がない場合は合同会社ではなく、株式会社で法人設立をする人が大半です。

会社を作り、節税をするべき

月50万円以上の利益が出るようになった場合、必ず会社設立をするようにしましょう。理由は単純であり、節税策の幅が広がって無駄な税金を大幅に減らせるようになるからです。

個人事業主の立場で可能な節税方法は非常に少ないです。飲み代の領収書を軽費用に保存したり、家賃の半分を経費にしたりするだけです。

一方で法人であれば、役員社宅であれば半分どころか9割以上を経費算入できます。家族を役員に入れれば、所得を分散できます。生命保険を利用して退職金を用意することも可能です。出張ごとに、非課税のお金を受け取ることもできます。

さらに高度な方法になれば、海外の銀行口座を活用して合法的に税金を逃れる手法も存在します。個人事業主やサラリーマンでは無理でも、あなたの会社を作ればこれらが実現できるようになります。

もちろん、これらを実施するには税理士の協力が必要です。節税に強い顧問税理士に依頼する必要があるのです。ほとんどの税理士は節税に協力してくれませんが、きちんと節税策を実施すれば一瞬で年間300万円以上も税額を少なくできるのは普通です。

法人成りのとき、必ず顧問税理士に依頼しなければいけないのはデメリットですが、だからこそ顧問税理士については節税に精通した有能な人へ依頼するようにしましょう。会社を作り、多くのお金を手元に残せるようにすることが経営者にとって非常に重要です。


年間350万円以上を節税

ビジネスの継続を考えるとき、最も重要なのは節税です。節税策を一つ実施するだけで100万円以上の無駄な税金が減るのは普通ですが、何も対策をしなければ会社経営者や相続額が多い人は無駄に税金を支払い続けることになります。

ただ、私は優秀な節税の専門家(税理士やファイナンシャルプランナー)に依頼したことで「家賃の個人負担が家賃総額のわずか6%」「出張に行くたびに30万円以上の非課税の現金を手にできる」「社会保険料を年間130万円削除」など、何も対策をしなかったときに比べて一瞬で年間350万円以上も節税できています。

現在では、海外法人(タックスヘイブン)の活用や再保険(キャプティブ)の利用など、あらゆる節税策によって年間にして何千万円もの節税を実現しています。

高額な財産を相続する人や会社経営者は節税に精通した専門家が必須です。そこで、実際に節税に強い税理士やファイナンシャルプランナーを紹介します。節税コンサルを受けるだけで、あなたの会社の財務状況は一変するようになります。

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