ビジネスや投資で大きな利益を得ている場合、海外移住によって無税にすることができます。税金の安い国(タックスヘイブン)を利用することにより、無駄な税金を大幅に削減できるのです。

このとき、海外移住節税をするとはいってもタックスヘイブンに住む人はほとんどいません。そうではなくタックスヘイブンの仕組みを利用し、オフショア法人を設立することによって無税にします。

つまり海外移住節税では、必ずしも税金の安い国に住むわけではありません。タックスヘイブンの仕組みを利用することにより、日本にも居住している国にも合法的に税金を払わないようにするのです。

ただ国によって法律が異なるため、海外移住節税が可能な国に住む必要があります。そこで、どのような国がおすすめであり、または微妙なのか解説していきます。

税金なしの国に住むのが海外移住節税ではない

世界には税金がほとんどない国(タックスヘイブン)が存在します。例えばアジアであれば、香港やシンガポールは有名なタックスヘイブンです。

ただ税金が安い国ではあっても、海外移住節税でこれらの国に住む人はほぼいません。そうではなく、これらの国の制度を利用して日本の非居住者になり、節税するのです。

例えばタイやフィリピンでは、海外で稼いだお金に対して課税されません。そのためタックスヘイブンでオフショア法人を設立すれば、稼いだお金は国外源泉所得になり、課税対象外になります。また日本の非居住者であるため、日本への納税義務もありません。こうして、合法的に無税となります。

注意点として、オフショア法人なしの場合は国内源泉所得となり、タイやフィリピンなど、現地(住んでいる国)への納税義務が発生します。この事実について、例えばタイでは政府機関が公式サイトで述べていますし、ほかの国でも多くの法律事務所が解説しています。

そのためオフショア法人の利用は必要であるものの、国外源泉所得が無税の国に住めば、完全合法での無税が可能です。そこで、合法的な海外移住節税が可能なおすすめの国を理解しましょう。

タイは海外移住節税で最も人気の国

日本人が海外移住節税をするとき、最も人気の国がタイです。私についても海外移住節税のお手伝いをさせてもらっていますが、タイに住む人が圧倒的に多いです。これは、独身でも家族でも同様です。また起業家や投資家(株、仮想通貨)など、あらゆる事業形態の人がタイへ移住します。

タイでは、国外源泉所得への課税がありません。より正確にいうと、利益を得た年にタイ国内へ送金しなければ国外源泉所得に対して課税されず、年をまたげばタイ国内であっても無税で送金できます。

注意点として、前述の通りオフショア法人がなければタイ国内での課税になります。以下のように、タイの政府機関が公式サイトで明記しています。

※出典:Personal Incom Tax for Foreigner by Bangkok Mmetropolitan Administration

もちろんタイに限らず、フィリピンなどほかの国もすべて同じであるため、いずれにしても海外移住節税でオフショア法人は必須です。

なおタイに住む場合、候補となる都市はバンコク、パタヤ、チェンマイ、プーケットです。ほとんどの人はバンコクに住みますが、第二の都市チェンマイを選んだり、リゾート地であるパタヤやプーケットを選んだりする人もいます。

バンコクであれば、シーロムやスクンビット、トンローなどが日本人の多く住んでいるエリアになります。海外移住の初心者であれば、こうした地域に住むのは問題ありません。

ちなみにタイに住む場合、以下のビザが有効です。

  • タイランドエリート:お金を出せばだれでも取得可能
  • リタイアメントビザ:50歳以上で取得可能
  • 学生ビザ・保護者ビザ:子供がいる場合は有効

基本はタイランドエリートの利用になりますが、50歳以上の場合は例外的にリタイアメントビザが最適です。

また家族での移住で子供がいる場合、学生ビザと保護者ビザを利用する人も多いです。なお保護者ビザは親のうち一人だけに発行できるため、夫婦での移住ではタイランドエリートと保護者ビザを組み合わせるといいです。

フィリピンではマニラまたはセブに住む

タイの次に海外移住節税で人気の国がフィリピンです。フィリピンはアジアで非常に治安が悪いことで知られていますが、これは首都マニラの話です。マニラの場合、ストリートチルドレンがあらゆる場所にいます。

一方でリゾート地であり、フィリピン第二の都市であるセブは治安が良く、治安のレベルはバンコクと同じです。そのため独身移住であればマニラでも特に問題ないものの、家族移住ではほとんどのケースでセブとなります。

なおマニラの場合、BGC(フォート・ボニファシオ)やレガスピは発展していて比較的治安がいいため、こうしたエリアに住む人が多いです。またセブ島の場合、アヤラモール周辺、ITパーク、バニラッドに日本人が多く住んでいます。

参考までに、私の場合は家族でセブ島・バニラッドに住んでいます。サブディビジョン(入口に銃をもった警備員がいて簡単には入れないビレッジ)という区画にて、一軒家の賃貸を借りており、3LDKと非常に広い家であるものの月6万円ほどの賃料と安いです。

また高級ビレッジ内なので物乞いや野犬はおらず、さらには静かです。以下は実際に私が住んでいるビレッジ内の様子です。

私の家族がタイではなく、フィリピンを選んだ理由としては、子供の教育が関係しています。フィリピンは英語が公用語なので、タイ語よりも英語を話せたほうがいいのではと考えたのです。

またフィリピンでは、地元では最高クラスの私立学校であっても、私たち日本人からすると学費が安いです。参考までに、娘が4歳のときに私はフィリピンへ移住し、セブ島で有名な私立学校へ入学させましたが、学費は年20万円ほどでした。

家族移住だったので治安の悪いマニラは選択肢になく、セブ島へ移住したというわけです(独身の人では、マニラ移住も多いです)。

なおフィリピンについても、タイと同様にビザを取得しやすいです。またフィリピン居住の外国人については、国外源泉所得が無税です。オフショア法人がない場合、ビジネスや仮想通貨などの投資利益はフィリピン国内での課税です(国内源泉所得となるため)。ただオフショア法人があれば無税にできるのです。

アメリカへ移住し、デラウェア法人と組み合わせる

日本人が海外移住節税を考えるとき、ほぼタイまたはフィリピンの二択です。ただ場合によっては、アメリカへの移住を考える人もいます。

タイやフィリピンに比べると、アメリカのビザ取得は難しいです。そのため現地で起業するなど、何らかの方法によってアメリカに住めるビザを取得する必要があります。ただビザを取得できれば、合法的に無税にできるのです。

アメリカは世界最大のタックスヘイブンで知られており、富裕層が税金を払っていないことは有名です。これは、アメリカ国内にタックスヘイブンの州(デラウェア州)が存在するからです。デラウェア法人を利用することで無税が可能です。

デラウェア法人では、州法人税や州所得税が無税です。またアメリカの法律に従うと、海外子会社(デラウェア法人の子会社)が稼いだお金はアメリカで課税されません。そのため、デラウェア法人の海外子会社としてオフショア法人を作れば、オフショア法人が得た利益は無税です。

注意点として、アメリカ国内で稼いだお金を無税にすることはできません。アメリカ国内での利益について、州税は無税であっても、連邦税を逃れることはできないのです。ただアメリカ国外で得た利益については合法的に無税というわけです。

米国企業のほとんどはアメリカ国外で稼いだお金をアメリカに支払っていません。そこで、こうした企業がしていることを真似すれば、合法的に米国への納税義務を逃れることができます。

ジョージアはヨーロッパへの移住で最適

場合によっては、ヨーロッパへの移住を考える人がいるかもしれません。ただヨーロッパでは、ほとんどの国で日本と同様に「居住者は海外で稼いだ利益を含めて、本国で納税する必要がある」という法律になっています。つまり、オフショア法人を作っても合法的な節税ができません。

ただヨーロッパにもタックスヘイブンがたくさん存在します。その中で「国外源泉所得が無税」「日本人が容易に移住できる」という2つの条件を満たしている国がジョージアです。東ヨーロッパに位置する国がジョージアです。

通常、ヨーロッパは異常なほど物価が高いです。ただジョージアは貧しい国であるため、例外的に物価が低いです。そのためタイやフィリピンへの移住と同様に、物価面ではわりと気軽です。

なおジョージアへ入国する場合、ビザの取得は不要です。日本人の場合、観光ビザでジョージアに1年の滞在が可能です。またジョージア国外へ出国し、再び戻れば、リセットされて1年間の滞在が可能です。

ちなみに、ジョージアにはIT Virtual Zone法人というオフショア法人が存在します。ただIT Virtual Zone法人はすでにオワコン化しているため、利用価値がありません。そのため、ジョージア以外の国でオフショア法人を作りましょう。

前述の通り、ジョージアは国外源泉所得が無税です。そのためジョージアで過ごし、オフショア法人で得た利益は無税です。ヨーロッパで気軽に滞在でき、さらには無税の条件を満たせる国はほぼ存在しませんが、ジョージアはこの条件を満たしています。

マレーシアは移住節税のリスクが高い

以前、海外移住節税で人気だった国がマレーシアです。特に家族移住の場合、マレーシアは第一選択肢でした。しかし、現在はマレーシアを海外移住節税で選ぶ人はほとんどいません。これは、マレーシア政府によるリスクが圧倒的に高いからです。

これについて、ラブアン法人やMM2H(リタイアメントビザ)に起こった事件を学べば、なぜマレーシア移住がハイリスクなのかわかります。

マレーシアにはラブアン法人というオフショア法人が存在し、以前は法人税3%でした。しかし、現在は法人税24%とまったく節税できません。私も以前はラブアン法人を利用してマレーシアに住んでいましたが、いまは利用していません。

2021年1月、マレーシア政府はラブアン法人に対して急に「法人税率3%は認めない。法人税率24%を支払え」と通知しました。しかも最悪なのは、過去2年にわたってさかのぼっての適用でした。つまり、法の可塑性という世界共通の常識を破り、税法を捻じ曲げようとしたのです。

後になって法律を過去にさかのぼって適用させ、何百万円・何千万円ものお金を搾取しようとマレーシア政府は試みました(利益の多い人では何億円・何十億円もの追加課税です)。

そのため当時、私は秘書会社を通してマレーシアの税務署に対して集団訴訟をしました。以下は実際のメールのやり取りです。

マレーシアというのは、ほかにも法の可塑性を適用させた事例が何度もあります。また、官公庁の公式サイトに掲載されていた内容が勝手に消され、なかったことになるケースも普通です。日本ではありえませんが、マレーシアでは普通です。

同じような事件はMM2Hにも起こっています。MM2Hはリタイアメントビザとして以前は有効でしたが、審査に1年ほどかかるビザでした。ただ2019年末、理由なしに申請者の全員が拒否を食らいました。つまり1年間も待たされ、理由なしに却下されたのです。

そうしているいうちに2020年になり、コロナウイルスによるパンデミックが起こって国境が閉鎖されます。その後、マレーシア政府は「MM2Hを全員拒否したのは、コロナによる影響」という声明を出しました。

ただコロナパンデミックが起こったのは2020年であり、全員に申請却下をした2019年には起こっていません。そのため、誰がどう考えても意味不明な釈明でした。そうしているうちにMM2Hは2021年に復活しましたが、圧倒的に条件が厳しくなり、実質的にオワコン化しました。

しかも、以前にMM2Hを取得した人にも新たな要件が適用されるため、ビザの期限が切れた人はマレーシアから去らなければいけません。このように、マレーシアでは政府リスクが非常に大きいです。タイやフィリピンの場合、こうしたゴミ対応はこれまでないものの、マレーシアでは何度もあります。

なお、こうした圧倒的なリスクを受け入れてもマレーシアに移住したい場合、デジタルノマドビザが有効です。デジタルノマドビザは取得要件が低く、マレーシアへの移住節税を考えるときは第一選択となります。またオフショア法人を利用し、さらにはマレーシア国内に送金しない場合、国外源泉所得は無税です。

マレーシア政府の場合、「マレーシアの国外源泉所得にも課税する。しかも、2年前にさかのぼって適用する」と急に言い始めるリスクはあるものの、このリスクを受け入れることができる場合、デジタルノマドビザとオフショア法人を組み合わせて移住することはできます。

シンガポール・ドバイは年間利益1億円以上で住むべき

なお先ほど、タックスヘイブンの国に住むわけではないと解説しました。これは、低税率で知られるタックスヘイブンは居住費が異常に高く、むしろ高額なお金が出ていくからです。

特にシンガポールに移住する意味はゼロです。シンガポールは無税ではなく、海外で得た利益についても課税されます。個人所得税の支払いも必要です。日本に比べて税率が低いことに変わりはありませんが、無税ではありません。

さらには会計監査も必要であるため、帳簿をつけるなど無駄な作業だけでなく、会計事務所へ支払う費用も発生します。そのため上場企業を目指したり、多くのベンチャーキャピタルから多額の資金調達をして世界的な会社作りを考えていたりする人以外、シンガポール法人を利用する価値はありません。

・ドバイは法人税率9%

なおシンガポール法人よりも圧倒的にビザを出しやすいため、シンガポールよりもドバイへ移住する人のほうが多いです。ただドバイ法人もシンガポール法人と同様に無税ではありません。法人税率9%です。

それに加えてドバイ法人は設立費用が高額であり、200万円以上かかります。また法人の年間維持費は100~150万以上です。

さらに重要なのは居住費です。ドバイはシンガポールや香港並みに物価が高く、独身であっても軽く年間1000万円以上は必要です。家族移住の場合、年1500~2000万円以上になります。

こうした支出に耐える必要があるため、「年1億円以上の利益がある」「仮想通貨で数十億円の資産を作った」という人であり、さらには「年間1500~2000万円の支出は誤差」「法人税率9%があっても問題ない」と思える人のみドバイ移住に適しています。

少なくとも、「年間3000~5000万円ほどしか利益を出せていない」「仮想通貨で2~3億円の資産をようやく作れた」という人がドバイに住むべきではありません。住んでもいいですが、出費(生活費)が大きすぎて後悔します。

なお本来、海外移住節税は「無税の仕組みを使い、さらには生活費の安い国に住むことで個人資産を急速に増やす」のが正しい方法です。そのため富裕層の起業家や投資家であっても、ドバイではなく、タイやフィリピンに住む人が大半です。

タックスヘイブンの仕組みを利用して移住節税を行う

海外移住によって税金の安い国に住むことを考えるとき、必ずタックスヘイブンの仕組みを利用しなければいけません。ただタックスヘイブンに住むのではなく、これはオフショア法人を利用することを意味します。日本の非居住者になり、さらにはオフショア法人を利用するからこそ、日本にも現地にも納税義務がなくなります。

このとき、必須となるのが「国外源泉所得がゼロの国に住む」ことです。タイやフィリピンであればこの条件を満たしているため、オフショア法人の利用で完全無税です。また、ビザも取得しやすいです。

場合によっては、アメリカやジョージアに住むことを考える人もいます。一方、マレーシアは以前、家族移住で圧倒的人気であったものの、政府リスクが非常に高いのでいまはほとんど選択されません。

またシンガポールは上場を目指す起業家以外は価値がなく、ドバイは年1億円以上の利益を常に出せて法人税率9%に納得できる人のみ有効です。海外移住によって日本の非居住者となり、節税するにしても、これらの特徴を理解したうえで移住先の国を決めましょう。


年間350万円以上を節税

ビジネスの継続を考えるとき、最も重要なのは節税です。節税策を一つ実施するだけで100万円以上の無駄な税金が減るのは普通ですが、何も対策をしなければ会社経営者や相続額が多い人は無駄に税金を支払い続けることになります。

ただ、私は優秀な節税の専門家(税理士やファイナンシャルプランナー)に依頼したことで「家賃の個人負担が家賃総額のわずか6%」「出張に行くたびに30万円以上の非課税の現金を手にできる」「社会保険料を年間130万円削除」など、何も対策をしなかったときに比べて一瞬で年間350万円以上も節税できています。

現在では、海外法人(タックスヘイブン)の活用や再保険(キャプティブ)の利用など、あらゆる節税策によって年間にして何千万円もの節税を実現しています。

高額な財産を相続する人や会社経営者は節税に精通した専門家が必須です。そこで、実際に節税に強い税理士やファイナンシャルプランナーを紹介します。節税コンサルを受けるだけで、あなたの会社の財務状況は一変するようになります。

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