給料の前借りとして、給料ファクタリングを利用する人はたくさんいます。しかし中には、お金を飛ばす人もいます。要は、「給料ファクタリング業者に返済しない」という選択をするのです。

二重譲渡をしたり、使い込みをしたりすると、物理的に返せない状況に陥ります。そうしてお金が飛ぶことでトラブルになると、どのような取り立てを受ける事態になるのでしょうか。

本当の意味で「お金を返さない」というのは、自己破産などの債務整理か夜逃げくらいしか方法がありません。そのため、どのような取り立てになるのか事前に理解したうえで、お金を飛ばすかどうかを判断する必要があります。また、契約違反をしてしまったときの対処法まで学ばなければいけません。

そこで、「給与債権(給料をもらえる権利)の買い取りをしてもらった後、お金を飛ばすとどうなるのか」について解説し、正しい対処の仕方まで含めて述べていきます。

二重譲渡は重複支払いが必要で、確実にお金が飛ぶ

給料ファクタリングで非常に多いトラブルの一つとして二重譲渡があげられます。二重譲渡とは、一つの給与債権を複数の業者へ売ってしまうことを指します。

例えば、毎月の手取りが20万円だったとします。一つの業者に対して給料買取をしてもらっている場合、給料の振り込みと同時に「早めに買い取りしてもらった給料20万円分」を給料ファクタリング会社へ返すことができます。

一方で二重譲渡をすると、「20万円の給与債権」をいくつもの業者へ買い取りしてもらっていることになります。その結果、その場では多額の現金を入手できるものの、後でいくつもの業者へ重複で返金しなければいけません。つまり、入ってくる20万円のお金(給料)よりも高額な支払いを後でしなければいけなくなります。

こうして返済が滞り、ほぼ確実にお金が飛ぶようになります。

使い込みやウソの申請で飛ばすことも多い

また、こうした二重譲渡をしなかったとしても、使い込みやウソの申請によってお金を飛ばす人も多いです。

給料ファクタリングを利用するとき、先に説明した通り「早期の給料買取をしてもらった分については、勤務先からの給料振り込みと同時に、給料ファクタリング業者へ返さなければいけない」ことになります。

ただ、給料日にお金を返すのではなく、そのままお金の使い込みをしてしまう人もいます。もちろん契約違反になりますが、これによってもお金が飛ぶようになります。

また必要書類を提出するとき、通帳の明細コピーをごまかすことでウソの申請をすれば、通常よりも高額な金額について早期買取されることになります。特にネットバンキングのスクリーンショットであれば、画像を修正することで虚偽の申請が可能になります。

いずれにしても、こうした二重譲渡やお金の使い込み、ウソの申請によってトラブルへと発展するようになると考えましょう。

家や勤務先に来ても取り立てはない

それでは、二重譲渡など重複して給料ファクタリング業者を利用したり、使い込み・ウソの申請をしたりして返せない場合、どのような取り立てになるのでしょうか。

ドラマなどでは、取り立てというと「家に怖いお兄さんがやってくる」などのイメージがあります。ただ、いまは家や勤務先に借金取りがやってきて取り立てをすることはありません。

そもそも、家や勤務先に時間を作って出向くとなると大きなコストがかかるようになります。また法律によって規制があり、「自宅を訪問してはいけない」「夜に連絡してはいけない」などの決まりがあります。そのため、あなたの家や勤務先を訪問することは100%ないと考えましょう。

むしろ訪問してきた場合はその時点で法律違反となり、むしろあなたの立場は良くなります。違法な闇金業者として報告できるようになるからです。

闇金業者の場合は「元本を含めて返済する必要がない」と最高裁判所で判決が出ています。つまり家に訪問した場合、お金は1円たりとも返さなくて問題ありません。こうした現状から、「家や勤務先を訪問することはない」といえます。

勤務先に電話が来るのは基本

そのためお金の取り立てというのは、メールや電話、書類のみで行われるのが基本です。それでは、お金を飛ばしたときに訪問がないからといって安心なわけではありません。これについては、勤務先などに電話が来るのは当然だと考えるようにしましょう。

通常、給料ファクタリングを利用したとしても勤務先に知られることはありません。ただ、二重譲渡や使い込みによって契約違反をすると、勤務先に電話がかかってくるのです。以下のように、これについては業者側の公式サイトにも記載されています。

正当な理由がある場合、法律では自宅や本人以外のその他の場所に電話をかけられるようになっています。正当な理由とは、「携帯や自宅などに電話をかけても、あなたが電話に出ない」などのケースとなります。

お金の支払い催促をするのは業者としては当然のことなので、これについては正当な理由があるといえます。こうして、勤務先の会社に電話がいくことで給料ファクタリングを利用していたことがバレます。

緊急連絡先の家族にも電話が来る

また、同時に給料ファクタリングではほとんどのケースで緊急連絡先を設定することになります。緊急連絡先とは、要は親や配偶者の電話番号がこれに該当します。

あなたの健康にいま問題がなく、給料ファクタリング会社へお金を返す気でいたとしても、急な事故や病気によって物理的に返済できない状態に陥ってしまうことが現実に起こります。そうしたとき、あなたが電話に出られなくても、業者が緊急連絡先に連絡して事故であることを確認できれば、当然ですが業者としては待ってくれます。

ただそうではなく、単に二重譲渡や使い込み、ウソの申請などによってお金を飛ばしてしまった場合、緊急連絡先(家族)へ電話がかかることにより、本人が健在である場合は家族に給料ファクタリングの事実がバレるようになります。

つまり給料ファクタリングでの不正があった場合、勤務先だけではなく家族にも連絡がいくようになるのです。

債権譲渡通知書は無効なので無視で問題ない

ちなみに給料ファクタリング業者によっては、債権譲渡通知書を勤務先へ発送することがあります。「法人向けのファクタリング」で頻繁に利用されるのが債権譲渡通知書であり、以下は実際に法人間のファクタリングで利用される債権譲渡通知書になります。

債権譲渡通知書とは、文字通り「債権(お金を受け取る権利)を譲渡してもらうための通知書」になります。個人の給料に関していうと、「給料ファクタリングによって給与債権の買い取りをしているため、給料分の支払いについて、給料ファクタリング会社に払って欲しい」という内容の債権譲渡通知書になります。

ただ法人向けのファクタリングなら有効であるものの、個人向けの給料ファクタリングについては債権譲渡通知書そのものが違法であり、無効になります。

給料というのは、労働基準法に「通貨で」「直接に」「本人へ支払う」と明記されています。つまり、勤務先の会社は他の第三者へ給料を支払うことはできず、あなたにしか給料を支払うことができません。これが、個人の給料ファクタリングに関する債権譲渡通知書が無効な理由です。

そのため、仮に給料ファクタリング会社から債権譲渡通知書が送られてきたとしても、勤務先には「闇金業者に騙された」などのように言い訳して、「労働基準法によって本人しか給料の受け取りができない」と人事担当部署に説明し、給料ファクタリング会社からの債権譲渡通知書は無視するといいです。

元本は一括で返さなければいけない

ただ、給料買取を実施してもらった分については、もちろん返済しなければいけません。元本については、お金を返すのが当然だといえます。

トラブル時の取り立てで訪問がなく、債権譲渡通知書を無視しても問題ないとはいっても、早期買取してもらった給料分については返すのが基本であり、当たり前です。このとき、返済方法としては一括のみになります。分割での返済はできません。

一般的なカードローンなどの融資(借金)と比べて、給料ファクタリングは年間換算での金利が高いです。借金の場合は上限金利が15~18%と決められていますが、これよりも高い利率となるのです。

そうしたとき、分割での返済を認めると「お金を貸している」ことを業者側から認めたことになります。お金を貸していると認められる場合、給料ファクタリング業者としては払い過ぎた手数料を返さなければいけません。これが、分割払いが無理な理由です。

当然ですが、給料を分割で受け取ることなどあり得ません。労働基準法に違反することになるからです。給料は一括で通貨にて受け取るのが大原則です。そうしたとき、給与債権の買い取りである以上は一括返済しか無理なのです。

参考までに、もし業者側から分割払いを承諾してくれたり、支払いの遅延によってさらなる手数料を要求してきたりした場合、メールや音声として証拠を残せば闇金業者として認定され、「元本の返済をしなくてもいい」ことになります。そのため、むしろこちら側にとって有利になります。

放置すると裁判となる

ただ闇金業者ではなく、正しく給料ファクタリングを実施している会社だと、激しい取り立てをしない代わりに裁判を起こしてお金の催促をしてくるようになります。

激しい取り立てにより、闇金業者のような行動を取ってくる業者のほうがむしろやりやすいです。無視をすればいいだけでなく、証拠を残しておけば闇金と認定させることができ、元本返済を含めて免除されるからです。

一方で真っ当な給料ファクタリング会社だと、無言で裁判を起こしてくるため、こちらのほうが恐ろしいといえます。

利用金額が少なかったとしても、少額訴訟という方法が存在します。また給料ファクタリング業者としては、少額訴訟の案件は多いためノウハウがあり、訴訟を起こすこと自体は特に苦ではありません。

こうして訴訟を起こされ、放置していると資産の差し押さえを食らうなどの状況に陥るようになります。

トラブルで警察は動かず、法律事務所利用が基本

それでは、重複の譲渡や使い込み、ウソの申請によって現実的にお金を返すことができず、トラブルになっている人はどうすればいいのでしょうか。

このとき、警察に相談したとしても確実に動いてくれません。警察は刑事事件のときに動くものの、個人の金銭トラブルに関与することはないからです。そこで警察ではなく、法律事務所に相談するようにしましょう。

法人向けのファクタリングについては広く実施されていて国としても資金調達の方法として広く認めています。ただ法人とは異なり、個人向けの給料ファクタリングについては、金融庁が「実質的に貸金業と同じ」と発表しています。

そこで法律事務所へ相談し、給料ファクタリング会社に対抗することで、あらゆる手段を実行できるようになります。特に給料ファクタリングについては、いまは違法だと裁判でも明らかになっています。以下の通りです。

出典:朝日新聞

そのため債務整理などをする必要はなく、法律事務所へ相談するだけで、むしろ過払い金請求によって払いすぎたお金が返ってくるようになります。これが、給料ファクタリングを利用して問題が起こった人の全員が法律事務所へ相談するべき理由です。

取り立てを理解し、飛ばしたときの対処法を知る

当然ですが、二重譲渡によって給料ファクタリング会社を重複利用したり、使い込み・虚偽申請によってお金を飛ばしたりするのは契約違反であり、悪いことになります。その後は確実にトラブルへと発展し、勤務先にも電話がかかってくるようになります。

このとき激しい取り立てをしてくれば、闇金業者として扱えるため、かえって対処しやすいです。それどころか、いま給料ファクタリング自体が違法だと裁判でも明確になっている実態があり、一般的な給料ファクタリングであっても闇金業者と認定してもらえるようになっています。

そこでお金を飛ばした場合は警察ではなく、法律事務所に頼るようにしましょう。これにより、過払い金請求などによってお金を取り返すことができます。

このとき、法律事務所は自分で探すのが基本です。ただ、ファクタリング問題に詳しい専門家だとより優れるようになります。そうした法律事務所としてイーライフ司法書士法人があります。こうした専門家を頼ることで、給料ファクタリングのトラブルから解放されます。