自分自身が保有している給与債権について、早期の給料買取をしてもらう方法が給料ファクタリングです。そのため、多くの人が利用しています。

ただ、実際に給料ファクタリングを利用するに当たって困るのが「高額な手数料」です。通常の借金に比べて、手数料がかなり高くなってしまうのです。

そうしたとき、弁護士や司法書士を活用して過払い金請求ができないのかと考える人は多いです。払い過ぎてしまったお金について、法律事務所を通じてお金を取り返すのです。これについては、問題なく過払い金請求が可能になっています。

それでは、どのように考えて法律事務所を活用することで過払い金請求をすればいいのでしょうか。ここでは、「弁護士・司法書士を利用しながら給料ファクタリングで払い過ぎたお金を取り戻す方法や考え方」について解説していきます。

給料ファクタリングの手数料は高い

一般的な借金であれば、利息制限法などによって金利の上限が決められています。このときの上限金利は15~18%になります。

場合によっては20%もあるものの、通常だと金利が15~18%になるのです。以下のように、借りる額に応じて上限金利が変わるようになります。

ただ給料ファクタリングのケースだと、手数料率を年利換算した場合、こうした上限金利よりもはるかに高くなります。

給料ファクタリングを実施する場合、「1ヶ月後に支払われる給料の早期買取を行い、手数料率が10~20%になる」などとなります。この場合、仮に手数料率10%だとすると、年利換算すると相当する金利は以下のようになります。

  • 10%(1ヵ月の手数料率) × 12ヵ月 = 120%

個人が行える資金調達法の中でも、給料ファクタリングは非常に手数料が高額な部類に入ります。そのため、一時的な利用に留めるのが大原則です。ただ、何度も利用していると明らかに高額な手数料にてお金を支払い続けることになります。

2社間ファクタリングが給料買取の実態

このとき、なぜ給料ファクタリングを実施すると弁護士や司法書士を活用しての過払い金請求が可能になるのでしょうか。これは、2社間ファクタリングになるからです。

ファクタリングとはいっても、いくつか種類があります。その中でも、正式な方法として3社間ファクタリングがあります。給与債権でいうと、3社間ファクタリングでは以下のような流れになります。

  1. 勤務先に対して給与債権が発生する
  2. 手数料を差し引き、給料ファクタリング会社から給料の前払い
  3. 勤務先から給料ファクタリング会社へ、給料分を支払う

ただ実際には、こうした3社間ファクタリングを実施することはありません。個人が給料ファクタリングを利用するとき、勤務先の会社を巻き込むケースはあり得ませんし、会社としても給料の支払い先を給料ファクタリング会社に変更することを承諾することはありません。

そのため実際には、2社間ファクタリングを実施することになります。給料ファクタリングでの2社間ファクタリングでは、以下のような流れになります。

  1. 手数料を差し引き、給料ファクタリングから先にお金が支払われる
  2. 約1ヶ月後、勤務先から給料があなたに支払われる
  3. 給料買取してもらった分について、給料ファクタリング会社へ返す

こうしたお金の流れになるため、勤務先が関与することはありません。給料ファクタリング会社だけとの契約になり、「あなたが勤務先からお金を受け取り、給料ファクタリング会社へそのまま送金する」ようになります。

ただ、2社間ファクタリングは正式な方法ではありません。3社間ファクタリングだと、どうやっても過払い金請求は無理ですが、2社間ファクタリングなら可能なのです。

実質的に貸金に当たると金融庁が警告

こうした2社間ファクタリングによって給与債権の買い取りをするのは、特に違法ではありません。ただ、貸金業法や利息制限法を受けないとはいっても、正式な方法ではないやり方でファクタリングを実施しているため、グレーな手法といえます。

また金融庁にしても、「2社間ファクタリングが前提となる給料ファクタリングについては、実質的に貸金業に当たる」と公式に発表しています。

※出典:朝日新聞

給料ファクタリングによって過払い金請求が可能なのは、こうした金融庁による発表からも分かります。実質的に貸金業と同じ形態になっているものの、給料ファクタリングという形を取ることで、利息制限法よりも高い金利にてお金を取っているといえます。

給料買取によって過払い金請求が可能なのは、「給料ファクタリングという言葉は使っているものの、中身は融資(借金)と似た構造になっているから」という理由からなのです。

給料は本人へ渡すのが原則

このとき、給料ファクタリングを利用したとしても、給料ファクタリング会社としてはあなたの給料に対して手出しをすることができません。これは、労働基準法に「給料は労働者へ直接、支払わなければいけない」と明記されているからです。

【労働基準法・第24条】

賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。

そのため給料ファクタリング会社としては、あなたの勤務先へ給与債権の請求をすることはできません。請求したとしても、勤務先にとってあなた以外の人へ給料を支払うことは違法であり、完全無視することができます。

また、こうした労働基準法の文言から「給料ファクタリングというのは、勤務先の会社が関与することが一切なく、個人と給料ファクタリング会社だけで完結する仕組みになっている」といえます。こうしたことも、金融庁が「給料ファクタリングは実質的に貸金業と同じ」と発表した理由になります。

連帯保証や担保設定だと確実に違法

なお、実際に過払い金請求を考える場合、貸金業としてより認めてもらいやすくなるケースもあります。これについては、連帯保証や担保設定などがあるケースです。

借金をするときであれば、連帯保証や担保設定をするのが一般的です。お金の返済が滞ったとき、連帯保証人が借入者の代わりにお金の返済をすることになります。または、保有している不動産などを担保に入れることになります。

このとき違法な給料ファクタリング業者であると、給料ファクタリングであるにも関わらず、連帯保証や担保設定を実施していることがあります。

ただ、給料ファクタリングはあくまでも、「あなた自身の給与債権の買い取りをする」ことが基本です。あなたの給料を売買するだけなのに、そこに連帯保証人や担保を付けるのはどう考えてもおかしいです。

そのため、こうした連帯保証や担保設定が契約書などで提示されている場合、確実に「実質的な融資」とみなされて払い過ぎた手数料を取り戻せるようになります。

過去の裁判例・判例から過払い金請求を考える

それでは、こうした給料ファクタリングによる過去の裁判や判例はあるのでしょうか。これについては、当然ながらいくつも裁判例が存在します。これについては、給料ファクタリングは違法であると明確に裁判で明らかになっています。

以下は実際の裁判例であり、朝日新聞にも掲載されました。

出典:朝日新聞

給料ファクタリングについては、その構造自体が融資による貸付と似ているため、ほぼ過払い金請求が認められるようになっています。こうして金融庁に限らず、裁判についても違法だと明らかになったため、過払い金請求が可能になったというわけです。

依頼・相談は弁護士と司法書士がある

それでは、何度も給料ファクタリングを利用しているために手数料総額が高額になっており、過払い金請求をしたいと考えるときはどのように行動すればいいのでしょうか。このとき、法律事務所へ相談するしか方法がありません。

ただ法律事務所には、弁護士と司法書士があります。このうち、司法書士と弁護士では少しだけ性質が異なるようになります。

「過払い金=司法書士へ相談するもの」というイメージがあります。これは、司法書士のほうが利用料金が安いからです。当然ですが、これは給料ファクタリングも同様です。そのため個人が申し込みをする場合、給料ファクタリングの過払い金も多くが司法書士となります。

一方で司法書士だと、「元金140万円を超える過払い金を取り扱うことができない」などの制約があります。一方で弁護士であれば、こうしたさまざまな制約はありません。そのため、金額が非常に高額な場合は弁護士へ依頼することになります。

特化している法律事務所でなければ厳しい

ただ給料ファクタリングの対応弁護士や司法書士を探すにしても、ファクタリングの内容や仕組みについて熟知しており、過去の裁判経験や判例を含めて理解している弁護士・司法書士でなければいけません。

ファクタリングというのは、カードローンなどの融資(借金)に比べると、圧倒的に取り扱い件数は少なくなります。また内容は難しく、裁判を起こすにしても特殊です。

そうした実情から、普通の弁護士や司法書士に依頼したとしても断られるケースすらあるほどです。

そこで、給料ファクタリングに精通した法律事務所へ依頼するようにしましょう。対応弁護士・司法書士を探すとき、弁護士・司法書士であれば誰でもいいわけではなく、給料ファクタリングを理解した専門家でなければ過払い金請求したとしてもうまくいかないのです。

また給料ファクタリングで過払い金請求をする場合、同時に「勤務先への通知を阻止する」などの対応も実施しなければいけません。こうしたとき、対応する弁護士・司法書士が給料ファクタリングについて精通していれば、そうした周辺の対策まで講じてくれるようになります。

対応弁護士・司法書士を探し、払い過ぎたお金を取り戻す

利息制限法よりも高い利息(給料ファクタリングにおいては手数料)を支払っている場合、過払い金請求をすることで、払い過ぎたお金(手数料)を取り戻すことができます。

こうした過払い金請求については、給料ファクタリングであれば可能です。金融庁としても、給料ファクタリングは貸金業と同じという見解を示しています。そのため、きちんとした対応弁護士・司法書士へ依頼すれば、問題なく払い過ぎたお金を取り戻せます。

ただ、前述の通り給料ファクタリングに精通した専門家である必要があります。このとき自分で法律事務所を探してもいいですが、おすすめとしてはイーライフ司法書士法人があります。こうした法律事務所を活用し、払い過ぎたお金を取り戻すといいです。