素早く個人が現金を手にすることを考えたとき、気になる心配事の一つに「安全なのか?」「危ないことはないのか?」というものがあります。

借金をするにしても、世間一般的には闇金などのイメージから「銀行以外からお金を調達するのは危険」という印象があります。そのため、給料ファクタリングについても「やばいのでは?」と考えてしまう人がどうしても多くなります。

これについて、結論を先にいうと給料ファクタリングは違法ではありません。ただ、金融庁から「貸金業に該当するのでは?」という見解も出されており、完全合法というよりはグレーな方法になります。

ただ、正しく行えば危ない方法ではないですし、ブラックの人でも問題なく給料前借りを可能とする手法になります。そこで給料ファクタリングの現状や金融庁の見解を読み解きながら、安全に利用するにはどうすればいいのかを解説していきます。

完全合法で正式な企業間のファクタリング取引

給料ファクタリングについて、危ないのかどうかを知るためには、まずは「正式な債権売買」について理解しなければいけません。

ファクタリングは通常のケースだと、企業間での取引を指します。企業同士で商品やサービスのやり取りをする場合、売掛金という形で債権(将来にお金を受け取る権利)が蓄積していきます。この売掛金の買取サービスが「正式なファクタリング」になります。

法人は資金繰りに苦しみやすいです。また、売掛金の入金が3ヶ月後など先に延びるのは普通です。そのため、素早く売掛金を現金化するためにファクタリングが広く実施されています。

また企業の資金繰り改善のため、こうした売掛金の売買は国も広く認めています。以下は経済産業省が公式に発表している内容になります。

こうしたことから、企業間で行うファクタリングについては何も問題なく、完全なる合法であることが分かります。

給料ファクタリングはやばい?違法なのか解説

それに対して、給料ファクタリングの場合は「危ないのではないか? 大丈夫なのか?」と考える人が多くなります。これは正式な企業間でのやり取りではなく、個人の給与債権に対する買取になるからです。

労働基準法では、賃金については必ず労働者へ直接支払わなければいけないとされています。以下の通りです。

【労働基準法・第24条】

賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。

つまり、給料ファクタリングを実施するにしても、契約時は100%の確率で「あなた」と「給料ファクタリング会社」の2つで行うことになります。法律の観点からも、あなたの勤務先が関与することは絶対にありません。

正式な企業間でのファクタリング取引だと、得意先も関与することになります。実際、仮にファクタリングで不正があった場合、ファクタリング会社から得意先に対して債権譲渡通知書(売掛金をファクタリング会社へ支払ってほしいという書類)が送られるようになります。

この書類は法的にも効力があり、得意先としては売掛金の支払先をファクタリング会社へ変更しなければいけません。

一方で給料ファクタリングの場合、前述の通り給料は必ず労働者へ支払わなければいけないと明記されています。そのため給料ファクタリングであなたが不正を行い、業者へお金を返さなかったとしても、給料はあなたへ支払われ続けるようになります。そのように法律で明記されているからです。

仮に給料ファクタリング会社から「給料の支払いを給料ファクタリング会社に変更して欲しい」という内容の債権譲渡通知書を勤務先へ送ったとしても、そもそも通知書の内容が違法なので無効です。

そうしたとき、企業間のファクタリングとは異なり、このようにあなたと給料ファクタリング業者の2つしか関与しないことから、「正式なファクタリング取引とは異なり、実質的に貸金業と同じではないか」といわれています。

これが、給料ファクタリングが「大丈夫なのか? 危ないのではないか?」と思われている理由になります。

金融庁は給料ファクタリングに警告している

また上記の仕組みになっていることから、金融庁にしても給料ファクタリングについて警告しています。企業間で行われているファクタリングについては問題ないものの、個人と給料ファクタリング会社間の給料ファクタリング取引は「実質的に貸金業と同じ」という見解を示しているのです。

※出典:朝日新聞

こうした金融庁からの発表についても、給料ファクタリングが大丈夫なのかについて心配する人が多くなった理由になります。

裁判で給料ファクタリングの違法性が明らかになる

そうした中、給料ファクタリングに関する裁判が争われ、司法の判断が下されることになります。このとき、2020年3月24日に東京地方裁判所が「給料ファクタリングは実質的に貸金と同じ」と判断しました。

こうした給料ファクタリング業者の請求を棄却し、正式に給料ファクタリングが闇金と同じだと判定されたわけです。以下は実際のニュースの内容です。

こうした司法の判断が下されるまでは、給料ファクタリングはグレーな存在でした。ただ裁判の判定により、正式に闇金だと言い渡されたわけです。

司法によってこうした判断が下されてからというもの、それまで大手と呼ばれる業者が相次いで廃業し、給料ファクタリング事業から撤退することになりました。こうして、給料ファクタリングが可能な業者は「本当の意味での闇金業者」しか残らなくなったというわけです。

手数料が非常に高いのが問題

それでは、なぜ給料ファクタリングが「闇金で危ない」といわれるのでしょうか。これに関しては、「通常の融資(借金)に比べて手数料が非常に高額」なことが理由として挙げられます。

給料ファクタリングの場合、通常は1ヶ月後に振り込みされる給与債権を買い取りすることになります。給料というのは、例えば「月末締め、翌月20日払い」などのようになります。働いた分については、残業代などを計算して翌月に支払われるのです。

このときの給与債権の買い取りをすることになるのですが、一般的に給料ファクタリングの手数料率は15~20%です。仮に手数料率15%とすると、一ヵ月でこの手数料率になるため、年利換算では以下の金利に相当します。

  • 15%(一ヵ月での手数料率) × 12ヵ月 = 180%

このように、非常に高額になります。借金での金利については、利息制限法によって上限が決められています。基本的には、15~18%が上限金利です。

こうした借金での上限金利に比べると、給料ファクタリングの手数料は異常なほど高額だといえます。これが、闇金といわれる理由です。

ただ「給与債権の買い取りである以上、利息制限法の適用を受けないので闇金とは異なる」というのがそれまでの言い分でした。しかし、給料は本人以外にしか渡すことができないと法律で明記されています。そうした給料の早期買取をするため、実質的に貸金と同じと判定されたわけです。

公的制度の給付金とは関係なく違法と判断された

ちなみに給料とは異なり、世の中には他の方法によってお金を受け取っている人もいます。その一つに、公的制度の給付金があります。具体的には、以下がこれに該当します。

  • 年金
  • 失業保険
  • 子ども手当

ただ、これら公的制度の給付金については買い取りが法律で禁止されています。給与債権の買い取りとは異なり、第三者に譲渡できなくなっているのです。そのため、以前に給料ファクタリングが盛んだったときでも、以下のように買取不可と明記されていました。

給料ファクタリング会社も最初から違法行為と分かっていることはしたくありません。そのために公的制度による収入の買取は分けていましたが、給料の買取行為そのものが違法だと判断されてしまったわけです。

利用は大丈夫?いまはかなり微妙

そうしたとき、心配になるのは「実際のところ給料ファクタリングを利用しても大丈夫なのか? 危険な事態に遭遇することはないのか?」という点です。

これについては、やめることをおすすめします。違法と判断される前については、真っ当な業者が非常に多かったです。ただ司法によって違法と判断され、危ない行為と世間に広まってからも営業している業者というのは、本当の意味でかなりヤバい会社だといえます。

人によっては、「個人信用情報に傷を付けたくない(借金歴を残したくない)」「ブラックだがお金が欲しい」という状況で、どうしてもお金が足りないというケースもあるでしょう。ただ、現在は真っ当な会社が一つも存在しない実態を理解しましょう。

仮に利用歴がある場合は法律事務所へ相談

しかし中には、既に給料ファクタリングを利用してしまったという人もいるでしょう。その場合、法律事務所へ相談するようにしましょう。

過去の裁判では、「闇金で利用したお金については、元本を含めて返済不要」と最高裁判所で明らかになっています。つまり利息部分だけでなく、給料ファクタリングを利用して受け取ったお金についても返済しなくていいわけです。

また当然ながら、過去に返済履歴がある場合、そうしたお金についても過払い金請求できるようになっています。

法定利息を大きく超えた場合は過払い金請求が可能です。給料ファクタリングが実質的に貸金と同じと判断された以上、法律事務所を利用するだけで高額なお金を取り戻せるようになっています。

いまは法定利息を超えた違法行為となっている

ここでは給料ファクタリングの現状について、中立的に記してきました。企業間取引のファクタリングだと、合法のやり方になります。一方で同じファクタリングでも、対象が給料になると違法になります。

これについて、金融庁は貸金業に該当すると発表しています。また、裁判でも違法だという判定が下されています。

これには高額すぎる手数料が理由としてあったわけですが、仮に現在または過去に利用している場合、すぐに法律事務所へ相談するようにしましょう。元本を含めて返済不要であり、過払い金請求も可能になっているからです。

なお、法律事務所は自ら探すのをおすすめします。ただファクタリングは専門性が高いため、特化している法律事務所でなければいけません。そうしたとき、ファクタリングに特化した専門事務所を知らない場合は平栁司法書士事務所がおすすめです。この司法書士事務所へ相談すると確実に給料ファクタリングの問題から解放されるようになります。