ビジネスを開始するとき、すべての個人事業主・法人経営者で必要なのがビジネス口座です。法人口座開設をすることで、ようやく事業に必要なお金を受け取ることができ、さらには得意先へのお金の支払いが可能になります。
このとき、どの銀行にて法人口座開設をするべきか迷う人が多いです。そうしたとき、よくある間違いが「メガバンクで口座開設をする」ことです。ただ、これを選択すると個人事業主や会社は確実に後悔することになります。
将来の融資を考えるにしてもリアル店舗を有する銀行ではメガバンクではなく、必ず地方銀行・信用金庫でなければいけません。また、同時にネット銀行を活用するのは必須です。
銀行というのは、あなたが個人事業主や会社経営者として活躍している以上、ずっと付き合うことになります。そのため、どの銀行でなければいけないのかビジネス開始の当初から見極めるようにしましょう。
もくじ
メガバンクは審査基準が非常に高く通らない
多くの経営者で考えるのがメガバンクでの銀行口座開設です。日本にあるメガバンクとしては、以下の銀行が知られています。
- 三菱UFJ銀行
- 三井住友銀行
- みずほ銀行
ただ、よほどのことがない限り、個人事業主や法人経営者はこうした銀行での法人口座開設を避けなければいけません。理由は単純であり審査基準が非常に高く、高確率で審査落ちになるからです。以下のような書類が届くだけとなります。
銀行というのは、犯罪資金などのマネーロンダリング(資金洗浄)を防ぐため、自主的に法人口座開設の審査基準を高くしています。その中でも、トップクラスで審査が難しいのがメガバンクというわけです。
また、口座開設までの時間が最も長いのもメガバンクです。これは、法人口座開設の申し込みをすぐには受け付けてくれず、事前の予約が必要になるからです。予約の来店で1~2週間後を指定されることも普通です。また審査落ちになると振り出しに戻り、他の銀行へ口座開設を再び依頼しなければいけません。
法人口座開設が難しいのが、メガバンクを避けるべき一番の理由です。
メインの個人口座なら審査落ちを防げる
もちろん、メガバンクでの法人口座開設が絶対に無理というわけではありません。中には起業直後でも問題なく口座開設できている人もいます。
どのような人かというと、これには条件があります。それは、対象のメガバンクで個人口座を保有し、現在まで長く活用していた人になります。個人にてメインバンクとして利用していた人だと、例外的に法人口座開設が可能になります。
そのため、メガバンクをメイン口座として利用している人であれば、メガバンクにて法人口座開設を依頼しても問題ありません。
融資を含め、柔軟な対応が可能なのは地方銀行・信用金庫
ただ、それでもメガバンクの利用は基本的に避けるのが大原則です。理由としては、融資が厳しいからです。法人口座開設できたとしても、個人事業主や会社として融資を受けるには敷居が高いです。したがって、活用できないのであればリアル店舗を有する銀行を利用する意味はありません。
メガバンクというのは、一般的に大企業が融資で利用します。個人事業主や中小企業が活用するのではありません。
一方で地方銀行や信用金庫であれば、融資のときはかなり親身になって相談に乗ってくれるようになります。特に現在までメインで個人口座を使っていたのであれば、法人口座開設で審査落ちになることはまずありませんし、融資の相談にも問題なく対応してくれます。
例えば以下は、私が利用している岡山の地方銀行(中国銀行)です。
もちろん、過去に取引がなかったとしても地元に根付いてビジネスをしているのであれば、地方銀行の利用によって法人口座開設から融資まですべてに対応してくれます。
地方銀行の支店を訪問・面談をして法人口座開設をする
そのため銀行融資を考えているのであれば、あなたの地元に根付いている銀行の支店を訪問するようにしましょう。
やり方は簡単です。登記簿謄本や法人の印鑑証明書、実印など「必要だと思われるもの」をすべて持参して最寄りの支店へ出向くだけです。メガバンクのように、特に予約をする必要はありません。いきなり銀行窓口へ行き、「法人口座開設(個人事業主なら屋号口座)をしたいがどうすればいい?」と聞くだけです。
その後、法人担当の銀行員と面談することになります。法人口座開設については、面談することで問題なく開設許可が下りるケースが多いです(確実に審査に通過するという意味ではありません)。
そうして、法人担当の銀行員と融資の相談をするようにしましょう。参考までに私の場合、先ほどの地方銀行にて融資をしてもらったことがあります。以下が実際の契約書です。
このように年利1.5%にて借入をしました。融資を受けることを考えたとき、メガバンクよりもこうした地方銀行・信用金庫を活用するほうが圧倒的にスムーズです。
日々の振り込みはネット銀行が優れる
一方で個人事業主や中小企業は必ずネット銀行にて法人口座開設するようにしましょう。リアル店舗を有する銀行に比較して、振込手数料が圧倒的に安いからです。振込手数料については、ネット銀行だと3分の1以下に抑えることができます。
例えば、以下はネット銀行やメガバンク、地方銀行での振込手数料を比べたときの様子です。
自行宛 (3万円未満) | 自行宛 (3万円以上) | 他行宛 (3万円未満) | 他行宛 (3万円以上) | |
GMOあおぞらネット銀行 | 無料 | 無料 | 145円 | 145円 |
住信SBIネット銀行 | 無料 | 無料 | 145円 | 145円 |
PayPay銀行 | 55円 | 55円 | 160円 | 160円 |
三菱UFJ銀行 | 110円 | 330円 | 484円 | 660円 |
三井住友銀行 | 110円 | 220円 | 550円 | 770円 |
みずほ銀行 | 220円 | 440円 | 490円 | 660円 |
横浜銀行 | 110円 | 330円 | 385円 | 550円 |
関西みらい銀行 | 330円 | 330円 | 605円 | 605円 |
この中で「GMOあおぞらネット銀行」「住信SBIネット銀行」がネット銀行になります。
仮に月40件(3万円以上)の振り込みをする場合、メガバンクからネット銀行に変更するだけで年間20万円以上の無駄な経費を削減できます。これが、すべての個人事業主や中小企業でネット銀行での法人口座開設をするべき理由となります。
またネット銀行は一般的にメガバンクに比べ、かなり審査基準が低いといわれています。そのため、以下のように使い分けましょう。
- 融資が必要ない:ネット銀行のみで口座開設
- 融資が必要:ネット銀行と地方銀行で口座開設
このようにして銀行を使い分けることが、事業を動かす経営者にとって非常に重要となります。無駄な経費をその分だけ抑えられるからです。
個人事業主・会社がメガバンクで銀行口座開設するメリットはゼロ
実際のところ、個人事業主や中小企業がメガバンクで銀行口座を作るメリットに何があるかというと、正直なところゼロです。メリットが一つもないのです。敢えてあるとすれば、「自分はメガバンクにて銀行口座を保有している」という優越感くらいです。
ただ、優越感だけではビジネスはできません。また相手先にとって、振込先の銀行名がメガバンクだろうがネット銀行だろうが関係ありません。つまりメガバンクで口座開設できたとしても売上にまったく貢献しません。
それでいて、融資面では地元の地方銀行・信用金庫に比べて機能が圧倒的に劣ります。
また日々の振込作業の利便性では、ネット銀行のほうが優れています。ネット銀行では振込手数料が安いことに加え、「24時間365日ログインできる」「外貨預金が可能」「1口座につき、20のサブ口座を保有できる」「自動での定期支払が可能」など、かなり高機能なシステムを無料で利用できます。
もちろん、見栄えを重視したい人ならメガバンクでの法人口座開設に挑戦すれば問題ありません。ただ経営者は実利を求めることのほうが重要なため、よほどの理由がない限りはネット銀行と地方銀行を活用するのが大原則です。
銀行の特徴を理解してネット銀行と地方銀行を利用する
「どのように考えて個人事業主や中小企業が法人口座開設するときの銀行を選べばいいのか」について解説してきました。多くの人がメガバンクでの法人口座開設を検討しますが、やめるようにしましょう。審査基準が高いですし、融資の相談も微妙で利便性が低いからです。
そうではなく、必ずネット銀行や地方銀行を利用する必要があります。ネット銀行については、手数料の安さからすべての経営者が銀行口座を作りましょう。
また融資を検討している個人事業主や中小企業であれば、地方銀行・信用金庫の支店へ訪問・面談をして法人口座開設するのが基本です。また、このときは同時に融資の相談もするといいです。
経営者は正しく銀行を使い分けなければいけません。そこで、銀行についてそれぞれの形態でどのような特徴があるのかを理解し、あなたに合った銀行にて法人口座開設するようにしましょう。
すべての個人事業主・法人で必須になるのがネット銀行での法人口座開設です。メガバンクや地方銀行からネット銀行に変えるだけで、月40件ほどの振り込みであっても年間24万円以上の無駄な経費を削減できます。
またネット銀行だと24時間365日ログインできるのは当然として「1口座で20のサブ口座を保有できる」「外貨預金が可能」「自動での定期払いを設定できる」など非常に高機能です。
もちろん融資については微妙なため、融資が必要な場合は地方銀行などとも付き合う必要があります。それでも、振込をネット銀行へ変えるだけで大幅なお金の節約につながります。
ただ、ネット銀行とはいっても多くの数があります。また、ネット銀行によって特徴がそれぞれ異なります。そこで、ネット銀行の中でも優れた銀行についてランキング形式にて以下で記しているため、この中からあなたのビジネス活動に最適なネット銀行を選択するようにしましょう。