会社設立の後、すぐに実施しなければいけない手続きに法人口座開設があります。会社用の銀行口座を作らなければ、ビジネスでの取引がまったく継続できないからです。

そうしたとき、あらゆる経営者が「できるだけ早く法人口座を作りたいため、最短即日で開設可能な銀行は存在するのか」と考えるようになります。これについて、結論を先にいうと即日での法人口座開設は可能です。ただ、銀行によって対応が分かれます。

また時間がかかる場合、実際のところどれくらいの審査期間になるのでしょうか。また日数の早い銀行だと、どれくらいの時間で法人口座開設が可能になるのでしょうか。

素早く法人口座を保有するにはコツがあります。また、最短即日にて法人口座開設できる銀行もあります。そこで、ここでは迅速に会社用の銀行口座を作るための方法を解説していきます。

通常、法人口座開設まで2週間が必要

まず、銀行へ申し込みをして会社が口座を保有する場合、一般的にどれくらいの期間が必要になるのでしょうか。これについては、一般的に審査期間を入れて2週間ほどの時間を要すると考えましょう。

通常だと地方銀行やネット銀行で審査時間が短いです。そうしたとき、法人口座開設までザックリと以下のような時間が必要になります。

銀行の種類所要時間
メガバンク2~4週間ほど
地方銀行2週間ほど
信用金庫2週間ほど
ネット銀行2週間ほど

いずれにしても、銀行口座開設の申し込みをして2週間ほどの時間は見ておかなければいけません。個人口座のように、銀行に依頼してすぐ利用できるようになるわけではないのです。

・メガバンクは非常に時間がかかる

ちなみにメガバンクで時間が非常にかかるのは、法人口座開設のときは事前に予約が必要になるからです。個人口座のように、窓口へ出向いて口座開設を依頼してもダメなのです。このときの予約は意外と時間がかかり、1~2週間後の日程を指定されることも普通です。

ただ、メガバンクは非常に審査基準が厳しいです。一方で地方銀行やネット銀行だと事前の予約は不要ですし、審査基準も低いため、メガバンクにて法人口座開設をする意味はありません。

審査期間があり、銀行ごとに日数はバラバラ

なお、当然ですが銀行ごとに審査期間はバラバラです。すぐに対応してくれて2週間ほどで口座開設できるケースがあれば、4週間などそれなりに時間を要するケースもあります。

また審査期間というのは、あなたがどのような資料を送付するのかによっても異なります。最初から完璧に書類を用意していればいいものの、そうでない場合は審査に時間がかかるようになります。

例えば、以下はGMOあおぞらネット銀行にある文言です。

事業内容の確認に関する書類になりますが、提出された書類が微妙な場合は「再提出を依頼するケースがある」と記されています。当然ですが、再提出が必要だとより法人口座開設までに時間がかかってしまいます。

どれくらいの審査期間になるのかについては、郵送の場合はザックリと1週間ほどです。この期間に書類の郵送やキャッシュカードの発送などの時間を含めると、2週間ほどの時間になるわけです。ただ、これはあくまでも目安であり、申し込みする銀行や提出書類の内容によって口座開設までの時間が変動すると考えましょう。

即日で申し込めるように必要書類を準備するべき

そうしたとき、できるだけ短い日数での口座開設を実現するためには、どうすればいいのでしょうか。これについては、法人登記して即日に法人口座開設を依頼できるように必要書類を集めておきましょう。

銀行によって必要書類は少し異なりますが、すべての銀行で提出しなければいけない書類は以下になります。

  • 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
  • 法人の印鑑証明書
  • 本人確認書類
  • ビジネスの実態が分かる書類
  • 銀行指定の申込書

この中でも、あなたが用意するべきは「登記簿謄本(履歴事項全部証明書)」「法人の印鑑証明書」「ビジネスの実態が分かる書類」の3つです。

本人確認書類については既に保有していると思います。「運転免許証がない」など特別な事情がある場合は別ですが、そうでない場合は代表者の本人確認書類はすぐに用意できるはずです。

そこで、まずは法人登記後に登記簿謄本(履歴事項全部証明書)と法人の印鑑証明書を取り寄せるようにしましょう。役所(法務局)へ出向けば、これらの書類を入手することができます。例えば、以下は登記簿謄本になります。

会社の登記内容を記したものが登記簿謄本(履歴事項全部証明書)です。また、会社用の正式な印鑑であることを証明する書類が法人の印鑑証明書です。

ビジネス概要の説明書類準備が時間かかる

ただ登記簿謄本(履歴事項全部証明書)や法人の印鑑証明書については、いってしまえば役所(法務局)へ出向くだけです。平日である必要はありますが、多めの枚数を入手するだけで事足ります。

一方でビジネス概要の説明書については、できるだけ早い段階から準備しておくようにしましょう。

銀行での口座開設で審査落ちになる原因というのは、ほぼ「ビジネス概要の説明書がダメだったから」になります。自社ホームページの内容が微妙であったり、事業概要の説明書が薄かったりするわけです。

ただ、こうした「あなたの会社が運営しているビジネス概要の説明書」を作るとはいっても時間がかかります。私についても、「銀行口座を開設するため」だけに以下の書類を作成しましたが、やはり時間が必要でした。

また、他には「得意先との契約書」「提携先からの請求書」などについても、ビジネスを実際にしていることを証明するために提出しなければいけません。これらの書類が既に手元に存在するならいいですが、特に起業したばかりの法人だと手元にないことがあり、その場合は得意先にお願いしなければいけません。

これらの書類がなければ、銀行口座開設の審査に進むことができません。しかも前述の通り、法人口座開設には通常だと2週間ほどの日数がかかります。そこで事前に書類を用意しておき、法人登記した即日に銀行にて口座開設の申し込みを行えるように調節しておきましょう。

複数銀行へ同時に申し込んで時間短縮する

さらに、このときは地方銀行やネット銀行など複数の銀行で同時に口座開設の申し込みをするといいです。

もちろん、複数申し込みをしたからといって素早い審査になるわけではありません。ただ、審査落ちになったとしても、他に申し込みをしておけば安心できます。その他の銀行で一つでもいいので審査に通過すればいいからです。

実際のところ個人口座開設とは異なりあなたが想像するよりも法人口座開設は圧倒的に難しいです。事実、黒字企業で何年もビジネスをしている会社であっても平気で審査に落とされることがあります。それだけ、銀行側は会社の銀行口座開設に慎重なのです。

参考までに、以下は実際に法人口座開設の審査で落ちたときの書類です。

一つだけの銀行に申し込みをしてもいいですが、それだとリスクが高いです。審査落ちになった場合、一般的に連絡が来るのは2週間後です。法人口座開設の審査に合格しても落とされても、審査結果を知ることができるのには2週間ほどかかるのです。

そのあとに他の銀行で口座開設の申し込みを依頼するとなると、ゼロからのふりだしに戻るので、早くてもさらに2週間以上かかります。つまり、どれだけ早い審査でも法人口座開設まで1ヵ月以上の時間を要することになります。

これでは遅すぎますし、会社としてビジネスでのスタートが遅れて大きな機会損失になります。もちろん法人口座開設時まで個人口座でやり取りするという方法もありますが、会計処理が非常に煩雑になります。良いことが一つもないため、複数の銀行へ同時に申し込むべき理由がこれになります。

即日で法人口座開設できるGMOあおぞらネット銀行

そうしたとき、申込書類をすでに揃えているのであれば、最短即日にて法人口座開設できる銀行も少ないながらあります。有名な銀行としてはGMOあおぞらネット銀行があります。

GMOあおぞらネット銀行の場合、以下のように最短即日にて法人口座開設できるようになっています。

最短即日での法人口座開設が可能になる条件としては以下になります。

  • 代表者と取引責任者が同一
  • 本人確認の方法を自撮り動画(セルフィー動画)で行う

要は、本人確認を書類提出によって行うのではなく、自撮り動画をネット上で提出することによって即日にて法人口座開設が可能というわけです。

もちろん法人デビットカードなどは後で郵送されます。また書類不備の場合、即日で利用できるようにはなりません。あくまでも書類に不備がなく、審査に通過した場合に即日にて法人口座の機能を利用できるようになると考えましょう。

ネット銀行では一般的に口座開設はどれだけ時間かかる?

それでは即日にて利用できる銀行ではなく、通常の銀行口座開設の目安はどれくらいなのでしょうか。私はGMOあおぞらネット銀行が「即日での口座開設に対応する前」に法人口座を開設したため、このときの事例を記したいと思います。

私がGMOあおぞらネット銀行(即日での法人口座に未対応のとき)に申し込みをしたのは4月6日(月)です。ネット銀行のため、当然ですがオンライン上での申し込みになります。その後、4月7日(火)に必要書類をすべて用意して郵送することになりました。

そうして口座開設の申し込みメールを受け取ったのが4月13日(月)です。なぜか申し込み受付まで時間がかかっていますが、ひとまず土日を挟んで月曜日に正式に口座開設の手続きが進むことになりました。

その後、審査が進むことになりますが、GMOあおぞらネット銀行については問題なく審査にパスすることができました。特に再審査の要請があるわけではなく、「法人口座開設が可能」というメールが送られてきたのです。

このとき、以下のようなメールが4月16日(木)に送られてきました。

そうして郵便物を待っていると、簡易書留にて会社の登記住所へ書類が送られてきました。これを受け取ったのが4月21日(火)です。実際の簡易書留の書類は以下になります。

こうして、簡易書留にあるパスワードなどを活用してネット銀行へログインし、本格的にネット銀行を利用できるようになりました。なお、このときは同時にキャッシュカードを受け取り、ATMについても利用できるようになりました。

これが、私がネット銀行を活用して法人口座開設をしたときのスピードになります。整理すると、以下のようになりました。

  • 4月6日(月):ネット上から申し込み
  • 4月7日(火):必要書類を郵送
  • 4月13日(月):口座開設の申込受付
  • 4月16日(木):口座開設手続きの完了
  • 4月21日(火):簡易書留・キャッシュカードを受け取り

私の場合はネット上から申し込みをした次の日に必要書類を郵送したわけですが、「郵送日から銀行口座開設までの日数」で考えると15日です。ネット銀行では一般的に最速2週間ほどなので、GMOあおぞらネット銀行は最短に近いスピード感で審査をしてくれたことが分かります。

銀行にて素早い期間での法人口座開設を実現する

できるだけ最短にて銀行口座開設を考えるのは非常に重要です。会社用の口座がなければビジネスを継続することができないからです。ただ、個人口座と違って法人では事前に考えるべきポイントがたくさんあります。

即日での口座開設は限られますが、GMOあおぞらネットのように特定の銀行であれば即日開設に対応してくれます。ただそれでも必ず審査があります。

また必要書類の提出を要求されるため、事前に書類を集めておくようにしましょう。このときは同時に複数の銀行にて口座開設の申し込みをするのが一般的であるため、登記簿謄本や印鑑証明書は多めに取得しておくといいです。

これに加えて、ビジネスの実態を証明できる書類を事前に準備しておくようにしましょう。そうすれば素早く書類を提出でき、最短にて法人口座を開設できるようになります。

振込手数料が安く、機能に優れる個人事業主・法人おすすめのネット銀行

すべての個人事業主・法人で必須になるのがネット銀行での法人口座開設です。メガバンクや地方銀行からネット銀行に変えるだけで、月40件ほどの振り込みであっても年間24万円以上の無駄な経費を削減できます。

またネット銀行だと24時間365日ログインできるのは当然として「1口座で20のサブ口座を保有できる」「外貨預金が可能」「自動での定期払いを設定できる」など非常に高機能です。

もちろん融資については微妙なため、融資が必要な場合は地方銀行などとも付き合う必要があります。それでも、振込をネット銀行へ変えるだけで大幅なお金の節約につながります。

ただ、ネット銀行とはいっても多くの数があります。また、ネット銀行によって特徴がそれぞれ異なります。そこで、ネット銀行の中でも優れた銀行についてランキング形式にて以下で記しているため、この中からあなたのビジネス活動に最適なネット銀行を選択するようにしましょう。

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