会社としてビジネスをするとき、場合によっては法人口座の名義変更をしなければいけないことがあります。代表者は法人口座で非常に重要であり、口座名義とも深い関係があります。
そうしたとき、法人口座の預金者名はどのようになっているのでしょうか。また名義人変更をするとき、どのような手続きをすればいいのでしょうか。必要書類としては何があるのでしょうか。
場合によっては、社名変更をしたかったり、法人成りをしたかったり、代表者変更による名義変更とは異なる理由によって法人口座の内容を変えたいと考える人もいます。この場合、どのようにすればいいのでしょうか。
それぞれの内容について、基本的な考え方は同じです。そこで法人口座名義がどのようになっているのかを確認し、名義変更についてどう行えばいいのか解説していきます。
もくじ
法人の口座名義は会社名と社長名(預金者名)
会社の経営者が常に同じとは限りません。代表取締役社長が変わっていくのは普通であり、これは同族会社であっても同様です。
そうしたとき、社長の交代と共に名義変更をしなければいけません。一般個人で名義変更はあり得ませんが、法人の場合は経営者交替が普通なので、その場合は口座名義人変更をする必要があるのです。
この理由としては、法人口座では「法人名 + 経営者名」が口座名義人になっているからです。例えば以下は、私の会社が保有する地方銀行での法人口座の通帳です。
中国銀行(岡山トップの地銀)での預金通帳ですが、これを確認すると以下のように記されていることが分かります。
- 株式会社〇〇 代表取締役△△
非常に長い口座名であり、これが法人口座の名義になります。実際の振り込みでは「カ)〇〇」などで問題ないとしても、法人口座では口座名義人の名前に社長名が含まれるようになり、長い口座名になることを理解しましょう。
ネット銀行の口座は会社名のみ
一方でメガバンクや地方銀行、信用金庫などではなく、ネット銀行にて法人口座開設をする人もたくさんいます。この場合は例外的に、口座名義人に社長名は含まれません。会社名のみの口座名義となります。
ネット銀行では預金通帳が存在しません。その代わり、以下のようなキャッシュカードのみ届くようになります。
このキャッシュカードとネットバンキングを利用することになり、通帳が不要なので社長名が記された口座名義ではないのです。
もちろん、代表取締役の情報はネット銀行に登録されます。また法人口座開設での審査時について、経営者も含めて審査対象になります。ただネット銀行だと、預金口座の名義人に経営者の名前が記されないというわけです。
法人口座の名義人変更は代表者変更のときに行う
こうした事情を理解して、会社の代表者変更のときは必ず法人口座の名義人変更をするようにしましょう。メガバンクや地方銀行、信用金庫などの場合、前述の通り通帳に経営社長が記されるようになります。そのため社長交代の場面では、必ず銀行に連絡をして代表者変更の手続きをしなければいけません。
支店をもつ銀行と取引をする場合、ほとんどの会社が融資を期待するはずです。このとき融資のたびに審査がありますし、実際の代表者が違うと融資担当者は「なぜ?」と不審に思います。そこで、事前に口座名義人変更が必要というわけです。
これはネット銀行も同様です。前述の通り、ネット銀行では口座名義人に代表者の名前は存在しません。ただ銀行登録情報には、以下のように社長の詳細が記されるようになります。
ネット銀行では融資機能が劣っており、実際のところ融資を利用する人はほぼいません。そのため代表者変更をしなくても一応は銀行機能を利用できますが、代表者が変わっているにも関わらず変更していない場合、虚偽の情報にて法人口座を利用しているといえます。
この状態は微妙なので、ネット銀行であっても社長交代の場面で素早く代表者変更の手続きをしなければいけません。
必要書類を集め、提出する
このとき法人口座の社長名義を変えるため、自由に預金者名を変更できるわけではありません。名義変更をする場合、必要書類を集める必要があります。
銀行ごとに必要書類は異なりますが、一般的には以下の書類を提出することになります。
- 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
- 新代表の本人確認書類
もちろん、銀行所定の書類に記載しなければいけないのは当然です。それに加えて、こうした登記簿謄本などの書類が必要というわけです。
登記簿謄本を確認すれば、代表者が実際に変更されているかどうか確認できます。また本人確認書類を提示することによって、実在する人物であることを証明できます。こうして、法人口座での名義人変更が完了します。
なお詳しい必要書類については「法人口座 代表者変更 〇〇(銀行名)」で検索し、公式サイトにて調べるといいです。
商号変更(社名変更)でも銀行への届出が必要
なお同じことは社名変更でもいえます。会社名は預金者名に必ず含まれるため、商号変更した場合は必ず銀行へ連絡し、社名変更の手続きをしましょう。
必要書類は基本的に先ほどの代表者変更と同じです。銀行ごとに必要書類は異なるので事前確認は必要であるものの、登記簿謄本や代表者の本人確認書類が必要になります。
また社名が変わるため、同時に会社印も変更になります。そのため印鑑登録をしている場合、会社の印鑑登録証明書を取得して銀行へ提出するようにしましょう。
一般的には、社長変更よりも社名変更のほうが手続きは面倒です。新会社ではなく、本当に既存の会社の名前が変わっただけなのか銀行側は確認しなければいけません。そのため必要書類は多くなりますが、いずれにせよ法人口座は社名変更についても可能です。
お金の支払いは名義変更の手続きが不要
なお、このように預金口座の名義人変更をした場合、他に心配になることがあります。それは通常の支払いです。
法人カードを保有してクレジットカード払いをしていたり、口座振替によって自動引き落としをしていたりすると、これらについても手続きが必要になるのではと考えてしまうのです。
社名変更の場合であれば、契約者がすべて変わるので当然ながらすべてをゼロから契約しなければいけないのは容易に想像できます。一方で社長交代によって、代表者変更のみをした場合はどうなるのでしょうか。これについて、必要なのは銀行への届け出だけであり、その他の支払いの名義変更は不要です。
例えば以下は私の会社で利用している法人カードです。
この法人カードについて、たとえ私がいまの会社を辞めて他の人に法人を渡したとしても、何か法人カードの名義変更をする必要はありません。理由としては、これらの支払いは社長との契約ではなく、会社との契約だからです。
法人同士の契約である以上、代表者変更をしたとしても何も影響しません。一般的な支払いについて社名変更ではすべての契約のやり直しが必要であるものの、社長交代では特に何もしなくてもいい理由がこれになります。
代表者変更があったら銀行への連絡が必須であるものの、それ以外の手続きは特に不要であることを理解しましょう。
法人成りでは必ず新規の申し込みが必須
参考までに、中には個人事業主から法人成りをする人もいます。この場合、すべての人で新たに法人口座開設が必要になります。
個人事業主というのは、その名の通り「個人」です。たとえ屋号口座をもっていたとしても、個人口座と何も変わりません。法人ではなく、個人の所有物でしかないのです。
こうした実状のため、法人登記して法人成りをした場合、個人事業主は必ず法人口座開設をしましょう。個人と法人はまったく別物のため、屋号口座の名義変更は不可能であり、新規での法人口座が必須となります。
個人事業主と法人では審査書類がまったく異なります。法人の場合、個人では取得不可能な登記簿謄本や法人の印鑑証明書、法人番号の証明書などを取ることができます。これらを利用して、法人口座開設を行いましょう。
銀行に届け出をして口座名義人の変更を行う
メガバンクや地方銀行、信用金庫などあらゆる銀行で代表者変更があったときに預金者名の変更が必要になります。またネット銀行のように、預金者名に社長名が含まれていない場合であっても、代表者変更のときは速やかに登録情報を変更するようにしましょう。
銀行にとって、経営者名は非常に重要な登録情報の一つです。名義変更しなくても口座をそのまま利用できるのは確かですが、融資のときに確実にバレます。またネット銀行についても、ウソの情報で法人口座を使い続けていることになってしまいます。
そこで、必ず名義変更するようにしましょう。必要書類を集め、銀行に提出すれば代表者変更が完了します。また必要書類は多くなりますが、社名変更についても手続きは似ています。一方で個人事業主の場合、新規で法人口座を開設しましょう。
銀行での名義変更手続きは面倒であり、新たな書類を取得して提出しなければいけません。ただ必要な作業であるため、必ず行うようにしましょう。
すべての個人事業主・法人で必須になるのがネット銀行での法人口座開設です。メガバンクや地方銀行からネット銀行に変えるだけで、月40件ほどの振り込みであっても年間24万円以上の無駄な経費を削減できます。
またネット銀行だと24時間365日ログインできるのは当然として「1口座で20のサブ口座を保有できる」「外貨預金が可能」「自動での定期払いを設定できる」など非常に高機能です。
もちろん融資については微妙なため、融資が必要な場合は地方銀行などとも付き合う必要があります。それでも、振込をネット銀行へ変えるだけで大幅なお金の節約につながります。
ただ、ネット銀行とはいっても多くの数があります。また、ネット銀行によって特徴がそれぞれ異なります。そこで、ネット銀行の中でも優れた銀行についてランキング形式にて以下で記しているため、この中からあなたのビジネス活動に最適なネット銀行を選択するようにしましょう。