資金繰りを改善するために売掛金売買としてファクタリングを検討する会社は多いです。そうしたとき、不安になるものとして「ファクタリングを利用している事実が得意先に知られることはないのか」というものがあります。

売掛金を早期買取してもらっている事実が知られてしまうと、「あの会社は資金ショートを起こすのではないか?」と勘繰られるようになります。

当然ながら、これでは正常なビジネス取引ができません。そのため、得意先・取引先へ通知が行くのかどうかを理解することは非常に重要です。

そこで「内容証明郵便が送られることはあるのか?」「得意先にばれることはあるのか?」などについて解説していきます。

取引先に連絡がいかない2社間ファクタリング

結論からいうと、ファクタリングを実施して得意先に通知が行き、売掛金を早期売買している事実が知られることはありません。

多くの場合、ファクタリングでは2社間契約という方法が採用されます。2社間ファクタリングの場合、「あなたの会社」「ファクタリング会社」の2社で契約を結びます。このとき、以下のようなお金の流れになります。

  1. 売買手数料が差し引かれ、ファクタリング会社から売掛金があなたの会社へ早期入金される
  2. 数ヶ月後、支払日に得意先から売掛金があなたの会社へ支払われる
  3. あなたの会社は入金されたお金をそのままファクタリング会社へ送金する

このように売掛先からのお金はいったんあなたが受け取り、その後にファクタリング会社へ送金することになります。ファクタリング会社が得意先と接する部分が存在せず、結果として取引先にばれることなく売掛金の買取をしてもらえるようになるのです。

3社間だと得意先に知られる

ただ、2社間ではなく3社間ファクタリングという方法もあります。3社間は「あなたの会社」「ファクタリング会社」「取引先」の3社で契約する手法になります。得意先を巻き込んで契約するため、当然ながら売掛金の売買をすることは取引先に知られるようになります。

このとき、3社間契約だとお金の流れは以下のようになります。

  1. あなたの会社が取引先へ売掛金を請求する
  2. 売買手数料を差し引き、売掛金をファクタリング会社から早期に支払ってもらう
  3. 取引先からファクタリング会社へ売掛金の支払いを行う

3社間だと取引先にファクタリングの事実を知られるだけでなく、取引先の担当者に法人の印鑑証明書を取ってきてもらう必要があるなど非常に手間です。そのため3社間はほとんど行われておらず、2社間契約がメインとなっています。

3社間契約のほうが圧倒的にファクタリングの手数料が低いです。ただ、実施にはハードルが高いので2社間が好まれるのです。

横領すると内容証明郵便で債権譲渡通知書が発送される

それでは、2社間契約を実施して絶対に得意先へ連絡がいかないかというと、必ずしもそういうわけではありません。あなたが横領・不正をした場合はファクタリングの事実がばれるようになります。

ファクタリング会社にとって2社間契約は横領されやすいというデメリットがあります。

例えば、分かりやすいものとして「売掛金の使い込み」があります。買取してもらった売掛金はファクタリング会社のものなので、取引先からファクタリング利用先に入金があると、当然ながらファクタリング会社へ送金しなければいけません。ただ、売掛金の入金があったときにそのまま使い込んでしまう不正があるのです。

または、一つの売掛金を複数のファクタリング会社へ売買するという不正もあります。これを二重譲渡といいます。

ただ、こうした不正をすることでお金を返せない状況に陥った場合、当然ながらファクタリング会社は債権回収の手段を講じるようになります。具体的には、債権譲渡通知書という書類を内容証明郵便で取引先に発送します。

債権譲渡通知とは、「売掛金の支払いをファクタリング会社へ変更してほしい」という法的文書になります。

ファクタリング契約をする場合、契約時に必ずサインしなければいけない文書として、契約書だけでなく債権譲渡通知書も含まれています。私がファクタリングを利用したときについても、以下の書類にサインしました。

支払いが滞った場合、債権譲渡通知書に日付を書かれて得意先に内容証明郵便が送られるようになります。そうして通知が行き、取引先と今後は健全なビジネスができなくなり、場合によっては取引停止になります。

正しくファクタリングすれば問題ない

このように2社間契約でも得意先に通知書が発送されることはあります。ただ、この場合の落ち度は利用者側にあります。

お金の横領は犯罪であり、ファクタリング会社が債権回収のために債権譲渡通知での連絡をするのはある意味当然のことだといえます。そのため、こうした不正をしないのであれば特に大きなトラブルに発展することはなく、取引先に売掛金売買の事実が知られることもありません。

実際、私はこれまでに何度もファクタリングを実施しており、契約時には債権譲渡通知書にもサインしています。

ただ、支払期日に入金された売掛金を問題なくファクタリング会社へ送金しているため、これまで内容証明郵便で取引先に通知されたことは一度もありません。

不正を犯すのではなく、資金繰り改善のために健全にファクタリングを利用するのであれば特に大きな問題が起こることはありません。

債権譲渡登記をしてもばれることはない

なお、ほかにもファクタリングのときに心配になるものとして登記があります。個人事業主は登記できないので関係ないですが、法人だとファクタリングのときに登記をするのが基本になります。これを債権譲渡登記といいます。

売掛金という目に見えない債権を取り扱うため、登記をすることで法律的にも「売掛金がファクタリング会社の所有物になった」ことを記すのです。

このときの登記は登記簿謄本に掲載されるものではなく、動産(売掛金など)に関わる登記になります。そのため法務局に出向いたり、有料サービスを活用したりしなければ外に情報が漏れることはありません。

例えば、以下は国が用意している登記情報提供サービスであり、有料にて動産に関する譲渡の登記内容を閲覧できます。

当然、これらの情報をわざわざ検索する会社など存在しません。そのため、いずれにしてもファクタリングの事実を知られることはないと考えて問題ないです。

例外として、銀行融資などの金融サービスを利用するときは調べられます。ただ、ファクタリングの事実が銀行融資に対して悪影響を与えることはなく、実際のところファクタリングしている会社で銀行融資を受けているケースはいくらでも存在します。

このように債権譲渡登記をしても得意先に知られることはなく、銀行融資も問題ないため、特に悪影響は起こらないと考えましょう。

売掛金の売買でばれることはない

多くの人が不安になることとして、「取引先に通知書が内容証明で送られることで、ファクタリング利用がばれることはないのか?」というものがあります。これについては、「2社間ファクタリングを選択すれば取引先に通知がいくことはない」と考えましょう。

3社間契約だと取引先に知られるものの、2社間契約では取引先に知られることなく売掛金の売買を実現することができます。

ただ、例外的にあなたが不正を行い、ファクタリング会社に買取してもらったお金を横領すると、取引先に債権譲渡通知が発送されるようになります。債権譲渡通知書は法的文書であるため、ほぼ確実に取引先とのトラブルに発展します。しかし不正をしなければいいだけなので、これについては特に問題ありません。

他には、法人だと動産に関わる登記をすることになります。この場合についても、登記していることが取引先に知られることはほぼありません。こうした事実を認識して、正しく売掛金の買取をしてもらうといいです。

ファクタリング会社の選び方とは

資金調達のためにファクタリングを利用する場合、ファクタリング会社はたくさんあります。このとき、会社によって審査基準はバラバラですし、申し込みをしないと手数料は分かりません。そのため、複数社にあいみつ(相見積もり)を取るのが失敗しないコツです。

また、「素早い資金調達は可能か」「手数料相場は低いか」「土日対応できるか」「少額買取に対応しているか」など、ファクタリング会社によって方針がバラバラです。そうした中で優れた業者を選ぶ必要があります。

当然、偽装ファクタリングをしている闇金業者ではなく、真っ当なファクタリング会社を選ばなければいけません。利用業者に失敗すると、後で大変なことになります。

以下のページでは、私が実際に何社ものファクタリング会社を利用した中から、特に優れた業者だけ厳選しています。それぞれの特徴を理解したうえで複数社に申し込みをすれば、売掛金売買での失敗をなくすことができます。

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