強風による影響によって庭にダメージを負ってしまうことがあります。日本は台風が毎年やってくるため、その影響によって庭木が折れてしまったり植木の倒木があったりするのです。

庭の木が倒れてしまったり枯れてしまったりしたとき、そのまま放置するとシロアリがわくなど、不都合な事態に陥ることがあります。そうしたとき、庭木の倒木などで撤去工事をするときの費用について、火災保険の請求が可能なのでしょうか。

自然災害を受けた場合、台風や雪による被害だと火災保険を利用することができます。ただ、火災保険を利用できるとはいっても適用範囲はどうなっているのでしょうか。また、注意点としては何があるのでしょうか。

ここでは、庭の植木の被害で火災保険金の請求をするに当たって理解するべきポイントについて解説していきます。

火災保険で庭は建物に区分される

実際に火災保険の請求を行うとき、必ず理解しなければいけない区分があります。それが建物と家財です。火災保険の適用では建物と家財の大きく2種類があるのです。

どのようなプランの火災保険に加入しているのかによって、火災保険金を請求できるのかどうかが違ってきます。そうしたとき、庭は家財ではなく建物に分類されます。

「庭にある木を建物と考える」となると、何だか変なように感じてしまいます。ただ、庭は家財のように自由に動かせるわけではありません。建物には動かせない庭木や構造物が含まれ、例えば門やフェンスなども火災保険では建物のくくりとなります。

そのため火災保険で植木の倒木に対して保険請求する場合、建物として考えることを理解しましょう。

ほとんどの契約で建物の保険金請求が可能

そうしたとき、ほとんどの火災保険プランで庭木が折れたときに火災保険を利用することができます。火災保険では、よほど変な火災保険に入っていない限りは建物が補償対象に含まれているからです。

家財が補償に含まれているかどうかは、あなたの加入プランによって異なります。ただ火災保険は建物を守るために加入するわけであり、建物が補償対象でない場合は加入の意味がありません。そのため基本は建物が対象になっており、補償してくれます。

このとき、火災保険では以下のように台風による風災や雪による災害についても問題なく対象になります。

火事だけでなく、台風による強風であっても問題なく補償されるのが火災保険です。そのため庭であっても保険金の請求が可能です。

倒木で他人への損害・ケガは個人賠償責任特約

なお強風によって植木が倒れるのはショックですが、場合によってはより悪い事態が起こるケースもあります。倒木によって他人にケガをさせたり、隣の家のフェンスを壊したりすることがあるのです。

自然災害による倒木なので、これを防ぐのは難しいです。そのため事故ごとに判断は異なるものの、庭木が折れることによって損害賠償責任を負わなければいけない場合があります。

これについては、特約を付けている場合は補償されます。個人賠償責任特約と呼ばれますが、以下は個人賠償責任特約に関する火災保険のパンフレットの一部です。

個人賠償責任特約は事故が発生したときの補償です。「国内外に関わらず補償してくれる」など、非常に補償対象が広いのが特徴です。このときの補償対象には「庭木の倒木などによって他人にケガを負わせてしまったり、外壁を傷つけてしまったりしたケース」も含まれるというわけです。

日常生活上での事故を補償してくれるのが個人賠償責任特約です。この特約を付けている場合、植木が倒れて他人に迷惑をかけた場合であっても補償されます。

注意点として、法的に賠償責任が発生したときのみ補償されます。「隣の家のフェンスを少し傷つけたため、そのままでは気まずいのでお金を支払った」というケースでは補償されないことを理解しましょう。

木が折れたとき、枯死によって申請する

それでは、実際に火災保険金を請求する場合は何を考えればいいのでしょうか。台風によって木が折れることはよくあります。このときは根こそぎ倒れたり、一部が折れたりします。

このような倒木では、木は枯れてしまいます。そうしたとき、早めに火災保険の申請をして木を撤去したいと考えるのが一般的です。

火災保険の請求をするとき、事象が発生して3年以内であれば請求が可能です。ただ倒木後に庭木を撤去してしまった後から火災保険を請求した場合、現場の写真を撮るにしても「撤去後の状態が本当に台風による影響なのか」が分かりにくくなります。

建物の場合、傷跡はずっと残ります。そのため3年以内の申請であればいつでも問題ありません。ただ植木については放置するわけにはいかないものの、撤去前に火災保険の申請手続きをしていないと保険金が下りなくなるのです。

・枯死によって保険金請求が可能になる

なお、損害保険会社によって判断基準は異なりますが、以下のように「植木が折れるなどによって、7日以内に庭木が枯死した場合に請求対象になる」としている損害保険会社があります。

もちろん、木が折れたことによっていつ枯死したのか正確に把握するのは難しいです。ただ、いずれにしても強風による風災で倒木があった場合、撤去よりも前に火災保険の請求手続きを開始することでようやく保険金が下りるようになります。

工事着手する前に現状写真を撮っておく

ただ風災による被害を受けて早めに申請するべきとはいっても、具体的に何をすればいいのでしょうか。これについては、証拠として写真を撮っておくことです。以下のような現場について、どのような状況なのか撮影しておくのです。

一般的に火災保険は、被害を受けてすぐに請求しなくても問題ありません。前述の通り、3年以内であれば請求できます。ただ、木が折れた状態をそのまま放置しておくのは危険です。そのため庭木の倒木については、例外的に早めに保険金請求の申請をするべきです。ただこのとき倒木の処理を急ぐあまり、保険金請求の前に木の撤去をしてはいけないのです。

植木が実際に折れている現場の様子を証拠として残していなければ、「台風による影響ではなく、最初から撤去後のような状態だったのでは?」と損害保険会社から疑われてしまいます。そこで撤去工事を実施する前に、木が倒れている状況を写真として残しておきましょう。

すぐに片づけたくなる気持ちは分かりますが、最初に行うべきは写真撮影です。また、さまざまな角度から証拠として写真を残しましょう。

倒木処理のため火災保険の申請を行う

その後、火災保険の申請を行うようにしましょう。損害保険会社に保険金の請求をするためには、事前に工事の見積もりを依頼しておく必要があります。以下のような書類を入手するのです。

つまり、火災保険の申請をするためには「木が折れている様子の写真」「工事の見積書」の2つが必要です。見積書がなければいくらの工事費用になるのか分からず、火災保険金をいくら出せばいいのか客観的な根拠が分からないからです。

なお、倒木による影響があった場合は他の被害箇所についても、火災保険金の請求が可能な場所を探すようにしましょう。倒木の処理とはいっても、10~20万円ほどで収まることが多いからです。火災保険のプランによっては「20万円未満の場合は保険金が支給されない」などの決まりとなっているケースもよくあります。

そのため植木に限らず、他の建物部分を含めて合算して、高額な火災保険金を請求するのが正しい方法だといえます。

風災で木が折れた撤去費用を保険金で補償してもらう

台風による強風によって植木が倒れてしまった場合、できるだけ早めに撤去処理しなければいけません。そのままの状態では危険であり、庭としての機能を果たせないどころか、放置によってケガをしたりシロアリがわいたりするリスクがあります。

これら庭木の倒木処理については火災保険を利用できます。そのため自費にて撤去費用を出してもいいですが、火災保険を利用することによって撤去費用を出してもらうようにしましょう。

台風が過ぎた後、ダメージを負った庭については早めに保険金の申請をするといいです。ただ、ここまで述べた通り保険金申請のためには先に現場の写真を撮っておく必要があり、工事費用の見積書を含めて損害保険会社に提示しなければいけません。

一戸建て住宅やマンション、工場など火災保険に加入していれば敷地内の倒木は請求の対象になります。植木は建物の一部とみなすことができ、ほぼ確実に火災保険を利用できるため、積極的に保険金を活用するようにしましょう。